黒書院御上段の間 さん プロフィール

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黒書院御上段の間さん: 黒書院御上段の間
ハンドル名黒書院御上段の間 さん
ブログタイトル黒書院御上段の間
ブログURLhttp://blog.goo.ne.jp/tatuya_sintaro
サイト紹介文棋士のBLをコソーリ書いていきます。 BLが苦手な方は、そっ閉じ推奨でお願いします。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供52回 / 35日(平均10.4回/週) - 参加 2017/08/28 09:37

黒書院御上段の間 さんのブログ記事

  • ONE SHOT 1
  • 「菅井さん」関西将棋会館を出ようとした菅井竜也に、斎藤慎太郎は声をかけた。「ん?」「お願いがあります」「うん」「僕を・・・・・・抱いてくれませんか?」「あ?」竜也は、慎太郎の顔を見上げる。その顔は、今までになく闇を孕んでいた。竜也は思い出した。ひとつの噂を。ほんの小さな噂は、竜也の耳に届いていた。『斎藤慎太郎は、孤独を“体”で埋めている』と。「ああ、そういうことか」「菅井さん?」「わかった。でも、ひとつだけ条件がある」慎 [続きを読む]
  • Esperanza 最終回
  • 慎太郎の部屋。達也との事を、慎太郎は勇気に伝えた。黙っていられなかった。ベッドに腰かけた慎太郎の足の間に、勇気は座っている。「知ってたよ。達也の気持ち」勇気は、棋譜に視線を落としたまま言った。「知ってた?」「慎ちゃんに告白したことも、付き合ったことも言わなかった。ううん、言えなかった。達也が、慎ちゃんが好きだって知ってたから・・・・・・それってずるいよね」「そう・・・・・・」「ねぇ、慎ちゃん」「ん?」「慎ちゃんは、どうし [続きを読む]
  • Esperanza 4
  • 「お、三枚堂君」関西将棋会館の棋士室。達也がいたことに、慎太郎は驚いた。達也は関東所属だからである。「こんにちは」「あれ?こっちで対局やった?」「いえ、斎藤さんに話があって今日は来たんです」「俺に?」「大事なお話があるんです」「そう・・・・・・じゃあ、ここじゃなんやから、移動しょうか?」「対局見なくていいんですか?」「忘れ物取りに来ただけやから」将棋会館を出た二人は、近くの公園へと向かった。公園のベンチに並んで座る。「メ [続きを読む]
  • Esperanza 3
  • 「なぁ、慎ちゃん。東京に移籍して。そしたら、ずっと一緒にいられるのに」「あのなぁ・・・・・・」「なんてね。無理なのはわかってる」勇気の横顔は少し寂しげに見えた。「そうやな・・・・・・東京に移籍はできひんけど、勇気が逢いたいって思ったら、仕事じゃなくても俺がこっちに来てもええし、勇気が大阪に来たってええよ。遊ぶ所もいっぱいあるし。遠距離も悪くはないかな?」「慎ちゃん?」慎太郎はそっと、勇気の手に触れた。「遠距離恋愛になる [続きを読む]
  • Esperanza 2
  • 勇気に真意を聞けないまま、月日が流れていき、慎太郎は東京の常宿のホテルにチェックインをする。慎太郎はスマホを取り出すと、メールを打ち始めてしばらく、手が止まった。少し逡巡した後、削除して勇気に電話をかける。呼出音がなると同時だった。『はいっ!』「早いな」『待ってた』「待っててくれたんや」『うん。達也が、斎藤さん今日こっちに来るって言ってたから』「そうか」『ねぇ、慎ちゃんに逢いたいんだけど』「どこへ行けば [続きを読む]
  • Esperanza 1
  • 深夜の着信音。斎藤慎太郎は、枕元に置いたスマホを取った。「・・・・・・はい?」『慎ちゃーん、今どこー?』電話の主は酔っているのか、なんだか騒がしい。「家や」『こんどーいつー東京に来るのー?』「ああ、えーと・・・・・・しばらく関西対局やから、11月かなぁ?」『えー!?やだー今すぐ逢いたいよー!』「はいはい」すると、電話の声が変わった。『すみません。夜分遅くに、三枚堂です』平身低頭しているのだろう、三枚堂達也の姿が目に見える [続きを読む]
  • 片想い 最終回
  • 竜也の予想していなかった言葉に、慎太郎はうろたえた。「あの・・・・・・菅井さん?」「俺も、ずっと慎ちゃんが好きやった。だから・・・・・・悩んでる事があるなら、他のやつやなくて、俺を頼ってほしいって思ってた」竜也は、堂島川に映る夜景に視線を落とした。慎太郎は溢れそうな涙を指で拭う。「なんや・・・・・・そうやったんですか・・・・・・」慎太郎は安心したように微笑むと、そっと竜也に近づく。「頼っても・・・・・・いいですか?」「もちろん」慎太郎は [続きを読む]
  • 片想い 4
  • 終局後。竜也が棋士室に現れた。観戦記者のインタビューに答えている姿を、慎太郎は少し離れた場所から見つめる。慎太郎の存在に気づいたのか、竜也は一瞬視線を慎太郎に向けた。日が暮れるのも早く、すでに外は薄暮になっていた。「菅井さん。話があるんですけど、いつでもいいんでお時間取ってもらえますか?」将棋会館を出ようとした竜也に、慎太郎は声をかけた。「今でもいいけど?」「でも、対局後ですし・・・・・・」「今の俺は、おまえ [続きを読む]
  • 片想い 3
  • 「悩んでる事なんかないですよー」「そうかー?」練習将棋も終わった帰り際、数歩先を歩く竜也の背中を、慎太郎はただ見つめている。将棋会館を出て、宿泊しているホテルへ戻る竜也を見送ろうと、慎太郎は立ち止まった。その時だった。振り返った竜也は、視線を落として口を開く。「おまえ、嘘つくの下手やな?」「え?」「何を隠してんのかわからんけど、吐き出さんとあかんと思うよ。じゃあ、明日来れたら棋士室に来て」竜也は右手を上げて [続きを読む]
  • 片想い 2
  • 「目に砂埃入りそうですわー」苦笑いで、慎太郎は言う。「気いつけなあかんで。慎ちゃん目弱いんやから」竜也の何気ない言葉に、心が揺れる。(ずるいなぁ)と、慎太郎は思う。棋士室に入ると、竜也が手招きをした。「練習将棋付き合ってくれる?」竜也は翌日、対局を控えていた。「いいですよ」二人は駒を並べはじめる。「よろしくお願いします」「よろしくお願いします」そして、静かに練習将棋は始まった。奨励会員も、興味深げに集まってくる [続きを読む]
  • 片想い 1
  • 片想いが、こんなに辛いとは思わなかった。いまにも泣き出しそうな気持ちを持て余し、斎藤慎太郎は最寄り駅へと急ぐ。彼は、幼馴染みであり、仲間であり、ライバルでもある。手を伸ばせば届く距離。慎太郎にとって、それがいちばん遠い距離だった。子供の頃、将棋大会でいつも目にしていた名前。眼鏡の奥の瞳が、慎太郎をクギ付けにする。あの頃も、今でも。棋士室に彼がいると、それだけで胸が痛む。しかし彼の姿がないと、もっと [続きを読む]
  • 傷心 最終回
  • 千駄ヶ谷にある、東京将棋会館。本来なら、竜也はタイトルホルダーなので関西対局なのだが、スケジュールを理由に東京対局に変更してもらっていた。終局後、竜也は対局相手の阿久津に、変更してもらったことへの謝罪をした竜也。その去り際だった。「俺の慎太郎に、手を出さないでいただきたい」視線を外したままで言う。「怖いねぇ、菅井王位は。もし嫌だと言ったら?」「僕は、慎太郎のためなら悪魔にだってなれますよ?」竜也の刺すよ [続きを読む]
  • 傷心 4
  • 『腹立つ』慎太郎からの電話。「いきなり腹立つって・・・・・・」竜也は苦笑する。阿久津とのことを、阿久津の名前を出さずに慎太郎は言う。「へぇ、将棋の話に釣られて、ほいほいついてったん?」竜也の声に、慎太郎が慌ててるのが手に取るようにわかる。『・・・・・・怒ってる?』「ん・・・・・・ちょっとなぁ・・・・・・」『なんにもなかったで?』「んなことはわかってるよ」『・・・・・・』「で、相手は誰?」竜也は意地悪く訊いてみた。『あの・・・・・・言わなあかん [続きを読む]
  • 傷心 3
  • JR大阪環状線福島駅。慎太郎は重い足取りで、駅に降り立つ。これから向かう関西将棋会館で、阿久津主税(ちから)が対局しているからであった。その昔、竜也と想いを交わすその前に付き合っていた、慎太郎にとって初めての相手。だからこそ、気分は重くなる。持ち時間を考えると終局に近いのだが、棋士室に行かなければいいだけだと自分に言い聞かせ、将棋会館へと向かう。事務所での所用が思いのほか手間がかかり、気がつけば阿久津 [続きを読む]
  • 傷心 2
  • 「ちょっと・・・・・・お兄さん?」菅井竜也が、いつものように慎太郎の部屋に行くと、慎太郎は竜也を背後から抱きついた。「どうしたん?」「もうちょっとだけ・・・・・・」「あー前に来てくれると、菅井さんは嬉しいんやけどなぁ」「ん」慎太郎は顔を伏せたまま、また竜也に抱きつく。「綺麗な顔見せてくれへんの?」「・・・・・・」「困った子やな・・・・・・」竜也は、慎太郎を寝室まで誘導する。「よっと」竜也がベッドに身を横たえると、慎太郎を抱き寄せる。「竜也・ [続きを読む]
  • 傷心 1
  • 午前2時。斎藤慎太郎は、鳴り響く着信音に目が覚める。「はい・・・・・・」「しーんちゃん!あっそっぼっ!」電話の主は酔ってるのか、テンションの高い声で言った。「寝てるんですけど?」慎太郎は、不機嫌な声で応える。「ちょっと、声が聞きたかっただけじゃん」「何をいまさら・・・・・・」「もう、他の棋士(おとこ)に抱かれたの?」慎太郎は身を起こすと、ベッドに腰掛ける。「そんなこと聞いて、どうするんですか?」「西の王子の動向は、いつも気にな [続きを読む]
  • 夕映えを待ちながら 最終回
  • 夕映えの源八橋。行き交う人に見向きもせず、慎太郎はただそこに立ち尽くしていた。将之と別れて数ヶ月。どこにいても、将之を探してしまう癖に気づく。慎太郎は限界だった。人目もはばからず、泣き叫びそうになるのをこらえ、唇を強く噛み締める。視線すら合わせてもらえない。将之を傷つけた代償は大きい。もう将之にさよならを告げたのだからと、顔を上げようとしたその時だった。聞き覚えのある足音に気づく。顔を上げた慎太郎 [続きを読む]
  • 夕映えを待ちながら 3
  • 関西将棋会館の棋士室。慎太郎は奥に将之がいるのに気づき、一番手前の席に座った。微妙な距離が救いだった。将之はこちらに気づいているのかいないのか、ディスプレイに映る盤面をずっと見つめている。慎太郎は小さくため息をついた。いつまでも引きずっている自分が悲しい。自分が選んだ選択が、間違いだったのか。いや、最善手だったのだ。自分のためにも、将之のためにも。そう心の中で言い聞かせる。すると将之は立ち上がり、 [続きを読む]
  • 夕映えを待ちながら 2
  • それは、どちらから別れを切り出したのかそれすらわからなくなってしまうほど、慎太郎と豊島将之は話し合いを重ねて出した結論だった。嫌いになって、憎しみあっての別れではない。それだけが、二人を支えていた。そして最後の夜。ありったけの愛を吐き出そうとする慎太郎に、将之は優しく言った。「もうええよ、慎太郎。朝まで側におって?それだけでいいから」そうして朝まで、二人は抱き合ったまま時を過ごす。最後の瞬間まで、二 [続きを読む]
  • 夕映えを待ちながら 1
  • 夕映えの源八橋。行き交う人に見向きもせず、斎藤慎太郎はただそこに立ち尽くしていた。恋人と別れて数ヶ月。どこにいても、別れた恋人を探してしまう癖に気づく。もう、忘れたはずの愛ではなかったのか。納得づくの別れではなかったのか。人目もはばからず、泣き叫びそうになるのをこらえ、唇を強く噛み締める。思い出すのはすべて、あの夢のような日々。もうさよならをしたのだからと、顔を上げようとしたその時だった。聞き覚え [続きを読む]
  • Haungry Spider 最終回
  • 深夜。竜也は、リビングから漏れる明かりに目が覚めた。寝室に慎太郎の姿はなく、リビングで研究をしているのだろう音が微かに聞こえる。竜也は思い出していた。天才と称される羽生善治という人間に、同じ初挑戦でタイトルを取れなかった自分と、タイトルを取れた竜也。自分に何が足りないのか、竜也との差は何なのか、悔しくて夜も眠れない時があると慎太郎は言っていた。寝室の引き戸の前で、竜也は逡巡した。何を言えばいい?慎 [続きを読む]
  • Haungry Spider 3
  • 自宅のある岡山に帰った竜也は、まんじりともせず夜を過ごしていた。もうひとつの顔に戸惑いつつ、甘い唇が忘れられなくなっていく。スケジュールを確認すると、3日後に休日があった。慎太郎にメールを送ると、待っていたかのようにすぐに返事がくる。『大阪に来れる?』『その次の日、大阪で仕事があるから』『待ってる。新大阪に着いたら、メールして。迎えに行くから』『わかった』『楽しみにしてるな』デートの約束のようなメ [続きを読む]
  • Haungry Spider 2
  • その日はタイトル戦のために、棋士室は賑やかだった。「なぁ、菅井っち」モニターに映し出される盤面を見て、慎太郎は竜也に声をかけた。「ん?」「この筋は悪くないんやけど、こっちの方がよくない?」その言葉を聞いた瞬間、二人はその局面まで駒を並べていく。「駒の損得を考えると、まぁこうやろなぁ」竜也の言葉に、慎太郎はうなずく。「なるほどなぁ。さすがタイトルホルダー」「知ってたんやろ?」「なんで?」「慎ちゃんやったら、これぐ [続きを読む]
  • Hungry Spider 1
  • あれは、いつのことだったか。菅井竜也は、記憶の糸を手繰り寄せる。あの時・・・・・・奨励会の喧騒の中、はにかむ笑顔を見つけた。斎藤慎太郎。あの出逢いが、竜也の人生を変えたと言ってもいい。今でも変わらない笑顔に、竜也は心を揺らしていた。「ライバル?誰が?」竜也は仲間たちと昼食を取っていた。「慎ちゃんと竜也」そう言ったのは、兄弟子の船江恒平。「あ、俺?」「巷で有名やで?」「考えたことないなぁ・・・・・・」竜也は首をかしげた。 [続きを読む]
  • 軒下のモンスター 最終回
  • 「へぇ・・・・・・やるなぁ」土佐堀川沿いのカフェ。都成と慎太郎は、川を眺めながら食後のコーヒーを楽しんでいた。都成は、驚いたような顔で慎太郎を見る。「なるようにしかならんし」「この間まで、泣きそうな顔しとったのに」「開き直ったら、俺強気よ?」「・・・・・・やなヤツ」心地よい風が、慎太郎の前髪を揺らす。「俺も、開き直ればよかったかなぁ?」少し寂しげに微笑む都成に、慎太郎は視線を外した。「今からでも遅くはないと思うけどなぁ。 [続きを読む]