古本あぶらや さん プロフィール

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古本あぶらやさん: 古本あぶらやのあぶらや日常
ハンドル名古本あぶらや さん
ブログタイトル古本あぶらやのあぶらや日常
ブログURLhttp://furuhonaburaya.blog.fc2.com/
サイト紹介文東京都北区にある小さな古本屋
自由文土曜日と日曜日のお昼から夕方まで開店しています
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供47回 / 297日(平均1.1回/週) - 参加 2017/09/24 13:07

古本あぶらや さんのブログ記事

  • 最初のマクドナルド
  •  明治時代が賑やかな時代であったとするならば、その賑やかさは、新時代の様々な創業者たちによって支えられた華やぎだといえる。それでも、明治の創始者、起業家の出現を可能にしたものは、江戸期に蓄積された鉱脈があったということを忘れてはならない。例えば、森銑三さんの「おらんだ正月」※1で紹介されているような江戸時代の「学問人」たちによる知識の蓄積がなかったならば、明治維新後に、突然流れ込んできた別世界の文 [続きを読む]
  • 明治という賑やかな時代
  •  まず、最初に説明するべきだったのかもしれないのだが、明治の偉人目録ともいうべき、この「三十年間全国人物千人評」が読売新聞に掲載された明治三十六年という年は、日露戦争開戦の前年であり、巨大な戦雲が急速に広がりつつあった時期であって、数か月後には、日本とロシアとの間で、初戦の火蓋が切られている。「恐露家」として批判を受けることの多かった伊藤博文が、「懦夫之魁 (意気地なしの頭領)」という痛烈な言葉を浴 [続きを読む]
  • 明治から百五十年
  •  ワールドカップ真っ盛りである。 この期間中、コロンビア戦があった六月十九日、キック・オフが迫る九時間前には、加計孝太郎氏が緊急記者会見をおこなったという速報が流され、あるいは、六月二十八日、注目を集めたポーランド戦が始まる三時間三十分ほど前には、働き方法案が参院委員会で可決され、その翌日、日本中が「あの、パスまわしは」と喧々諤々と議論している中で、参院本会議で、働き方法案とTPP関連法が成立して [続きを読む]
  • 聴聞のこころざしこれある輩
  •  稲垣史生さんの『時代考証事典』※1に付記されている“湯島の聖堂平面図”によれば、現在斯文会の漢学講座がおこなわれている場所は、もともとは、御高門そばの「東舎」が建てられていたあたりであったように思われる。「東舎」については、『時代考証事典』にその成り立ちが記されている。 天明七年(1787)九月、幕府は儒学奨励のために、学問所解放令というべきものをだしており、それは、  日々朝五つ半(九時)より九つ [続きを読む]
  • 昌平坂の学問所
  •  前回、論語を素読すると記して、本当に素読なんかしてるの?と聞かれた。 毎日ではないが、週に四度ほど、「論語」を素読する。 音読はいいよ、前頭前野を刺激してボケ対策にもなるし。 ところで、素読を始めたのも本の縁である。 司馬遼太郎さんは、ライフワークであった「街道をゆく」の連載で神田界隈を訪ねて、かつての昌平黌、現在の史跡湯島聖堂の郭内を歩き、旧知の人である苅部良吉さんに出会う。そこには、こんなや [続きを読む]
  • 毒薬話
  •   土曜日は暑すぎた。日曜日は一日雨で行き交う人すらなく、小さな古本屋としては、ハーフ・デッド(死んだも同然)な週末であり、店を開けて、誰も来ないから、愛刀であるゲンバノジョウを磨いたり、論語の素読をしたりした。狭い店で刀を抜いていたり、ひとりで大声を出していたりしたら、戸口まで来た客があっても、そのままひきかえしちゃうなぁ、と思ったら、少し可笑しくなって、「空き店(だな)の恵比寿さん」という言葉 [続きを読む]
  • スマホ時代のワールドカップ
  •  ちょうど十六年前の六月四日、日韓共同開催ワールド・カップで、日本代表はベルギー代表と初戦を戦って、ワールド・カップでの初めての勝ち点を得た。試合の視聴率は58・4%(ビデオリサーチ社調べ)であり、この数字は、21世紀が始まったばかりの頃には、その試合を競技場で観戦していないひとが、スポーツの情報を得ようとする場合、テレビやラジオの前にいなければならなかったということを教えてくれる。 この世界で情 [続きを読む]
  • ただ質問すれば答えてくれるだろうと思ってはいけない
  •   今回の「日大某タックル事件」のU監督・Iコーチの記者会見ほど、近年のインタビューの中でも、その受け答えに対して、これほど多くの悪罵と嘲笑を受けたものは無いと思う。ところで、このブログ記事のために、ユーチューブで、まるまる会見をチェックして(すごく疲れたデス)、筆者が強く感じるのは、結局のところ、あの会見はジャーナリスト側の完敗だったのではないかということであり、そう感じたときに、「正しく訊く」 [続きを読む]
  • カッコいいとは
  •   先週、クールジャパニーズなんてどこにいるの?という話に触れたので、この説に反論をしたいのだけれども、今の日本人、見渡したところ、確かにこれという人がいない。少々悔しいので、今回は、かって日本にいたカッコいいジャパニーズを紹介したい。冒頭にプロフィールを掲げた、いかにも戦前のモダンボーイ然としたこの男性の写真は、鈴木明さんの「昭和20年11月23日のプレイボール」※1にあったスナップショットである。  [続きを読む]
  • 日本人というものがいやになる
  •   先ごろ発刊されたニューズウィーク日本版(2018年5月15日号)が、「『日本すごい』に異議あり!」という特集を組んでいて、この特集の中で、小西美術工藝社社長のデ−ビッド・アトキンソン氏が、「『日本すごい』が空洞化する」という記事を寄稿して、氏の周辺のいわゆる「クール・ジャパン」文化の現状について語っている。アトキンソン氏が、寺社の修復工事を請け負うという企業の社長として、多くの日本人の職人を抱え、また [続きを読む]
  • 美味しい缶ビールの飲み方
  •  ゴールデンウイークでございます。といってもうちはやっておりますが。店主はいつもながらの開店休業状態の店でボーっとしております。ま、世間は休日ののんびりモード、こちらも今回は、本をはなれて無駄話をいたしましょう。  さて、ようやく暖かくなってまいりました。今日あたりは、まったく初夏の陽気ですな。ところで、暑さを感じるようになりますと、缶ビールが飲みたくなります。休日あたりだと、「今日は明るいうち [続きを読む]
  • 記者とタイプライター
  •  先日、NHK・BSで1976年にわが国で公開され、その当時、話題作として大いに注目された「大統領の陰謀」が放送されていた。これも、もう40年以上前の映画ということになる。この映画は、ロバート・レッドフォードとダステイン・ホフマンという二大スターの顔合わせと、アカデミー賞八部門ノミネートということで、鳴り物入りで日本公開されたのだが、実は、その当時、映画を観ていて、ひどく不思議に思えた場面があった。その [続きを読む]
  • 身一つ、家はない
  •  「露伴は自分の家を『かたつむりの家(蝸牛庵)』と呼び、やどかりのように幾度となく住まいを変えた」  幸田露伴の「蝸牛庵」の由来に対して、こう説明されていることが多いようである。特にネット上では、ウィキペディアを始めとして、露伴が自らの寓居を「蝸牛庵」と名乗った理由として、多くにこの説明が採用されている。あるいは、明治村に保存されている「蝸牛庵」の紹介に、この文章が使われているので、そこから引かれ [続きを読む]
  • 蝸牛のひと
  •  「不和な両親を頂いていることは、子供たちにとって随分な負担である。ことにそれが夫にとっては二度目の妻であり、子供たちにとっては継母であり、その継母はまた痼疾の病気もちであり、さらに経済状態がおもしろくないとこう悪条件が揃っていては、二進(にっち)も三進(さっち)も行きはしない。それでもその四人の家族のうち誰か一人がやさしく譲る気性であったらすべてはその一ヵ所が抜け道になって、あるいはきり抜けられ [続きを読む]
  • 箱根宮ノ下
  •  平日は本業に従事し、土日は売れない古本屋をやっているので、基本的に祭日以外は年中無休である。そのような毎日でも、不意にスケジュールが、ぽっかりと開く日ができる。そんな一日を使って箱根の温泉で、ときどき痛む腰の湯治をしようと思った。急ではあったが、箱根の宮ノ下で温泉つきの手頃なゲストハウスが取れたので、火曜日の午後二時すぎに新宿発の小田急線で箱根湯本に向かい、翌日の午前中には帰宅するという段取りを [続きを読む]
  • カ子ヨのこと
  •  時節であるから、ここ数年で急に伸びた古本屋の大島桜も花をつけた。今年の桜はこの週末までもつのだろうか。すでに今日あたり、風が花びらを散らし始めている。 日本人には、風に舞い、ひらひらと宙に浮かぶものに詩を感じる性向がある。花びら、木の葉、夏の日の帽子。花びらが舞う光景を眺めていて、「葉」と名づけられたひとのことを思った。「葉」と呼んだのは、彼女を愛した画家であり、本当の名前は「カ子ヨ」と云う。  [続きを読む]
  • あぶらや雑司が谷遠征記
  •  三月十八日は、一週間前の天気予報では、東京の予報は雨となっていた。 もし降られたら商品を守らねばならない。アマゾンで「広げると直径150cmになる驚異の三段式折り畳み傘」を取り寄せてみた。いざとなったらこれを五時間さし続けると覚悟を決める。ところが驚くべし、商品が届いた日に、もう一度天気予報を確認すると、予報は曇りとなっていて、翌日には、当日は晴れのち曇りとなった。 傘は広げると直径150cm、 [続きを読む]
  • 「なゐ」の日
  •  歌人与謝野晶子と云えば、処女歌集「みだれ髪」※1や人口に膾炙した「君死に給うことなかれ」が著名であるが、彼女は大正十二年九月一日に発生した関東大震災の罹災者でもあった。歌集「瑠璃光」に、このときに詠んだ七十余りの歌が収められている。このことは、今ではほとんど触れられることはないが、今年もこの三月十一日には、東北の震災被害を哀悼して多くの文章が生まれた。今回は与謝野晶子が九十五年前の震災の際に詠ん [続きを読む]
  • 出張販売のお知らせ
  •  来週の3月18日の日曜日に古本を背負ってフリマに参加することになりました。 鬼子母神通りみちくさ市 https://kmstreet.exblog.jp/ 当日はは雑司が谷鬼子母神通りの商店街の食堂「いち川」さんの前でゴザの上に古本を並べて午前11:00から午後4:00まで地味に営業しています。 懸念は書籍最低持ち込み数二十冊というハードルに対して、はたして運搬時、その負荷に腰が堪えられるかが憂慮されるところですが(本業 [続きを読む]
  • M.MとB.W
  •  最近、人と話をしていて「おや」とあらためて思うことがあった。ひとというものは相手の話を存外きちんと聞いていないのだなと。 言葉というものは意図通りに伝わる事のほうが珍しい困った道具である。話した内容は印象に残ったほんの短い断片しか相手の頭に残っておらず、そのために、当事者の間で「事実」に対する認識が異なってしまう。そんな問題が、無自覚に、あるいは意図的にしばしば発生する。「お前の片口ばかりでは判 [続きを読む]
  • 本日3月4日は
  • 本日3月4日は、店の前の歩道が下水道工事のため歩行者完全通行止になっております。人が通れないので店を開ける意味がないため断腸の思いで臨時休業といたします。ただ本人はふてくされて店で本を読んでいるので来店の方には通常通り応対いたします。つまりわが店本日は、8分の7だけ死んでいるというところですかな(うまい、まるで先週伏線を埋め込んで今週見事に回収したかのような流れである。だが、全然うれしくない!)それ [続きを読む]
  • 八分の七だけ死んでいる
  •  二十世紀文明への懐疑をウイットに富んだ言葉で発信し続けた人にジョージ・バーナード・ショーがいる。 おもしろいことに、同時代の人だった楽天的な物質主義者であるエジソンの問いかけに、ショーが機知溢れる解答をみせているシーンがある。それは1931年2月7日の「リバティ」に掲載されたやりとりで、インタビュアーは、エジソンが考えだした質問― それはエジソンの奨学金制度の受給者に対する試問を、そのままショーに [続きを読む]
  • パリのアメリカ人
  •  わたしたちは1889年のパリにいる。 「パリの印象は?」と聞かれたエジソンは、パリ万博の規模を称賛した後にこう口を開いた。「まあこれまでのところ一番目についたのは、こっちの人間が揃いも揃ってどうしょうもない怠け者だということだな。こいつらいったい、いつ働いているんだ?何の仕事をしているんだ?パリに来て以来、きちんと物を作っているところなんか見たことがない...」 インタビューアーであるR・H・シ [続きを読む]
  • クラヴェリナ
  •   「復興期の精神」の「球面三角」というエッセイの中で花田清輝は、クラヴェリナという「ほや」について言及をしている。クラヴェリナは水が濁ると縮んでしまって小さな白い球体になってしまうが、水を替えると元の形状に戻り息を吹き返すという(手元にある「復興期の精神」の解説では、池内紀さんが、このエッセイを書いた太平洋戦争中の著者こそクラヴェリナそのものであると印象的な分析をされている)。筆者がこのクラヴェ [続きを読む]
  • 西部邁さんのこと
  • もしあなたが「みにくいアヒルの子」を子供に語り聞かせて、その小さな相手から「このお話にどのような意味があるの」と聞かれたら、あなたはどう答えるだろうか? 「誰だって大きくなったら、欠点を克服できるということなんだよ」 子供は、だったらもう少し高くはならないかなと思っている自分の鼻も、大きくなったらすらりとした鼻に変わるのだろうかと考えて、すぐそれは嘘だと気づくだろう。なぜなら自分の目の前には、自分 [続きを読む]