真宮寺八雲 さん プロフィール

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真宮寺八雲さん: 戦国の世は御伽草子の如く
ハンドル名真宮寺八雲 さん
ブログタイトル戦国の世は御伽草子の如く
ブログURLhttps://blog.goo.ne.jp/s_yakumo
サイト紹介文信ONの世界を舞台にオリジナルの小説を書いております。楽しんでいただけると幸いです^_^
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供273回 / 263日(平均7.3回/週) - 参加 2017/09/27 12:17

真宮寺八雲 さんのブログ記事

  • 近江羽衣伝説 拾 「怒りの者たち」
  • 《怒りの者たち》少し、昔の話をしようと思う。天より舞い降りし、八人の天界人。その末妹は、天に帰れなくなり、人のいやらしさ、人の欲望の的として、ある老夫婦と共に暮らし始める。天女は、それでも、不平不満をこぼすでなく、老夫婦の為に、懸命に働いた。皆の心に、疑問は湧かないだろうか?なぜ、そんな者たちに従うのか。なぜ、そこまでして尽くそうとするのか。己に打ち込んだ、呪縛があるゆえか?いや、それはただの証に [続きを読む]
  • 近江羽衣伝説 九 「口調」
  • 《口調》「…何者じゃ?」薄暗い牢の中で、少女の、姫巫女の声が虎空の耳に届く。訝しげな瞳を向けて、彼女は、もう一度、問いかける。「こんなところに忍び込んでくるとは、お主、泥棒さんか何かかや?」彼女の存在に気づかずに足を踏み入れたのは、失敗であったが、まだまだ、挽回は可能。そう考え、虎空は澄ました様子で答えた。「何を言っているでござる。拙者は見廻りの途中でござるよ。うん、ここも、異常な…」「嘘をつくで [続きを読む]
  • 近江羽衣伝説 八 「ご対面」
  • 《ご対面》「お前がどんな体質か知れぬが、我が術の研究の為、貴重な実験台に変わりない。殺しはしないから、安心するがいい。おい、死なぬ程度に、そいつの世話をしておけ」極蓮は、そう言い残すと、乱暴に扉を閉めて出て行った。憎らしい後ろ姿に、べーっと舌を出した後、「のう、大丈夫かや?…のう、ってば!」未だ苦しそうに喉を抑えながら、へたり込んでいる、くノ一の娘へと声をかけた。咳も落ち着いてきた頃、娘はわずかに [続きを読む]
  • 近江羽衣伝説 七 「臨終の間際」
  • 《臨終の間際》刺客の襲撃を退けた虎空たちは、息のある者を捕縛した後に、大黒寺へと足を踏み入れた。息のある者、と言っても、それは僧兵二人のみ。虎空曰く、完全に殺気をもって襲ってきたのは、彼らだけだったから、とのこと。僧兵のおかしさに気がついていたのは、クロウだけではなかったようだ。「…おや、まあ…人の気配がまったくしないでござる」キョロキョロと周りを伺いながら、虎空が言う。「変ですね…たしかに」クロ [続きを読む]
  • 近江羽衣伝説 六 「大黒寺の戦い」
  • 《大黒寺の戦い》「虎空さんは…この人が敵だということに、気がついていたのですか?」周囲に警戒の気を張り巡らせながら、クロウが虎空に、そう尋ねた。もちろん、すでに戦闘不能となっている、僧兵の事である。もっとも、もう一人の方も、棍棒を両手に構えて、虎空との間合いを図っている。こちらも、同様、ということだろう。「うーん、多分?くらいの、不確かなものでござるがな。ここまでの道中、我々に対して何回か、襲いか [続きを読む]
  • 近江羽衣伝説 伍 「敵の姿」
  • 《敵の姿》悪人というのは、何故か暗がりで相談するのが定番のようで…御多分に洩れずに、この二人も、とある寺院の一室にて、何やら怪し気な会話をしていたのである。「…どうやら、ここを嗅ぎつけられたようだな」「はい。誠にもって、申し訳ありません。うちの愚弟が余計な真似をしまして…」偉そうな口調の男は、上質の仕立てがされた僧衣を纏う者。歳は三十くらいであろうか。どこか中性的な雰囲気をもつ容姿。舐めるような視 [続きを読む]
  • 近江羽衣伝説 四 「再会」
  • 《再会》なかなか信じがたい話だが、どうやら虎空への依頼というのは、その大黒寺の調査と、本当に天女が閉じ込められているのであれば、その救出を…との事。引き受ける事に、特に迷うことのない虎空であったが、疑問に思うとは、しっかり聞いておく。「一つ伺っておきたいのでござるが…」「はい、何でございましょう?」虎空の目をしっかりと見つめたまま、僧都が言う。「どうして、この件を拙者に?わざわざ、名指しというのは [続きを読む]
  • 近江羽衣伝説 参 「意外な人物」
  • 《意外な人物》事の経緯を語る清十郎。それを見つけたのは数週間前のことだという。「先ほど話した通り、当家の酒づくりには、当主以外関わらぬことが鉄則となっております。父も母も他界しており、今は腹違いの兄、壱成が当主。我々の仲は、とてもいいと言えるものではありません。私は後妻の息子として、生まれて以来、ずっと兄より嫌われておりましたから。後から現れた母と私が、気に食わなかったのでしょう。私は、いてもいな [続きを読む]
  • 近江羽衣伝説 弐 「本来の依頼」
  • 《本来の依頼》「…とまあ、そんなこんなで、キツネ阿闍梨を退治するに至ったでござる」出された湯呑みを手に、慈存阿闍梨から引き受けた依頼の顛末を語る。小谷寺院の一室。目の前には、温厚そうな老僧が座り、虎空の話をじっと聞いていた。その横には、僧侶とは違うようだが、上等な材質の着物を着た若者が一人控えている。老僧は小谷寺院の僧都を務める者。若者は僧都とともに入室してきたので、きっと寺院の関係者であろうと、 [続きを読む]
  • 新カテゴリーのお知らせ
  • いつも、御来訪いただき、誠にありがとうございます。この度、新規作成されました、『夜の御伽草子』カテゴリーは、パスワード式となっております。閲覧をご希望の方は、お手数ですが、真宮寺八雲のツイッターにて、パスワードのご確認をいただくか、ゲーム内にて、対話によるご確認をお願いいたします。皆さまのご支援、ご声援に、心より御礼を申し上げます。真宮寺 八雲 [続きを読む]
  • 近江羽衣伝説 壱 「犬の鳴き声」
  • 「犬の鳴き声」うー…わん!わんわん!わんわんわん!!わおぉーーーーん!!!近江の地、穏やかな水面に映るは、青空に浮かぶ雲と太陽の光。小谷から南東に位置する場所に、湖を一望できる橋が架かっていた。今、そのたもとにて、前述のような、犬の鳴き声が…いや、正確には、犬の『鳴き真似』の声が響き渡る。誰も通りかからぬのが幸いにござるな…鳴き真似の主は、そう思い、心の中で安堵のため息を漏らした。「うー、がるるる [続きを読む]
  • 近江天女伝説 結 「嵐の予感」
  • 《嵐の予感》見えた。待ちに待った、良人の姿が。天香は隣にいる桔梗に会釈をすると、小走りに伊蔵の元へ向かう。伊蔵もまた、同時に天香を見つけると、一目散に彼女の元へと駆け出した。見送る桔梗、そして姫巫女。まずは離れた二人を再会させることができて、安堵の表情を見せる。「天香!」「伊蔵さま!」街道の真ん中、抱き合う二人。しばし後、ボロボロの伊蔵の姿を見て、天香が悲痛な声で尋ねた。「ああ、こんなに傷だらけで [続きを読む]
  • 近江天女伝説 十一 「腕力自慢に任せとけ」
  • 《腕力自慢に任せとけ》主と出会った山と、小谷の町の間に、一軒の茶屋がある。桔梗に連絡を入れた姫巫女は、羽衣を手にした伊蔵をつれて、待ち合わせの場とした、その茶屋へと向かっていた。何度も何度も、姫巫女に礼を言う伊蔵。その羽衣は山の中の木の枝に引っかかっていた。そう説明してある。山の主や、銀太のことを話さなかった理由。それは、余計な心配事は持ち込まない方が伊蔵達にとっては良いのではないか。そう三人で考 [続きを読む]
  • 近江天に伝説 拾 「主の願い」
  • 《主の願い》ある日、近江の山中にて出会った天女と、その後、山野の主となる子犬は良き友人となる。「嬉しいことに、あのお方は我のことを友人として慕ってくれた。そして、我に色々な事を話してくれたのだ。我がそれを理解しているとは、思っていなかったようだから、あのお方にとっては、独り言のようなものだったかもしれぬ。天から降りてきて、今地上で暮らすこととなった経緯。天界の暮らしと、思い出。風が冷たい、日差しが [続きを読む]
  • 近江天女伝説 九 「もう一つの伝説」
  • 《もう一つの伝説》はるか昔、近江の国。とある山の山頂近くに、とても綺麗な水辺があったという。天から眺めた景色も美しかったとみえて、そこに天界より八人の天女が舞い降りて、水浴びを始めたのだ。煌びやかな衣服とともに、それぞれの羽衣を木の枝へかけたままで。麗しき天女たちが、水の雫を輝かせながら過ごす。そんな桃源郷の如き光景を、ひっそりと物陰から伺う者がいた。一人の男…?いや、その者は、その者たちは、近く [続きを読む]
  • 近江天女伝説 八 「後継」
  • 《後継》「なんだ?お前たち!じいちゃんをいじめたら、許さないぞ!」少年は、そう言って姫巫女たちを睨みつける。が、よく見ると、その身体が細かく震えていることがわかった。大好きな存在のために、勇気を振り絞って、ここに立っているのだろう。「銀太…お前」「じいちゃん、大丈夫か?すごい音が聞こえたから、びっくりして来たんだ。痛いことされてないか?」主に『銀太』と呼ばれた少年は、心配そうに振り向いて、そう尋ね [続きを読む]
  • 近江天女伝説 七 「怒らせると怖いのじゃよ?」
  • 《怒らせると怖いのじゃよ?》死屍累々…その場に立つのは巫女の少女一人。腰に手を当て、口を固く結んで、大層ご立腹の様子だ。地に転がる人影は、和泉と将監の二人。低い呻き声を上げ、微かに動くのみだ。そして、もう一つ。大きな巨体を横たえて、こちらも同じく呻きながらの悶絶中。口の周りに、泡なども見えた。その数分前…「お主ら、いい加減にせんかああああ!!!」二人と一匹を睨みつけた姫巫女は、右手の掌を天に、左手 [続きを読む]
  • 近江天女伝説 六 「怒りの姫巫女」
  • 《怒りの姫巫女》巨大な獣を前に、三人は軽く目配せをすると、それぞれの武器を下げて見せる。一歩前に出たのは、「主殿、まずは非礼を詫びるのじゃ。勝手に領地内を走り回って悪かったの。じゃが、こちらにも少々事情があるでな。話を聞いてたも?」 両手を広げて、敵意のないことを示した姫巫女だった。殺生はしないようにしてきたが、縄張りに入り込んだのは事実。まずは礼を尽くして、話し合いたいというのが、彼女の願いだっ [続きを読む]
  • 近江天女伝説 五 「群れを統べるもの」
  • 《群れを統べるもの》暗闇の中、それが呼吸をするたび、銀色の毛がゆっくりと蠢く。まったく光の届かないその場所に、今、二つの光が灯った。淡く、紅に光る眼。うつ伏せに、身を横たえていたそれは、状態を起こして、宙を睨みつける。「…何かが、入り込んでいるな…」鼻先を小さく動かした後に、「人間、か。…大きな力を感じる。これは、我が出ねばなるまい、か」そう呟き、四肢を地につけ立ち上がる。そして、ゆっくりと、洞の [続きを読む]
  • 近江天女伝説 四 「信楽犬」
  • 《信楽犬》「…見つからない。どうしたらいいんだ」伊蔵は水辺に立ち尽くし、一人つぶやく。手や足には、細かいすり傷や痣が。着ている衣服も、あちこち破れ、汚れ…一体どうしたんだ?この姿を見た者は皆尋ねてくるだろう。ひどい格好だ。しかし、伊蔵にとって、今、そんなことは、どうでもいいことだった。穏やかに揺れる水面を見つめて、また、ため息をついた。そこへ、「なあ、あんた。ひょっとして伊蔵さんかい?」背後から男 [続きを読む]
  • 近江天女伝説 参 「山野の中で」
  • 《山野の中で》一夜明けて。「では、お気をつけていってらっしゃいませ」恭しくお辞儀をする桔梗に見送られて、和泉、姫巫女、将監の三人は、町の外へと出立する。「うむ。桔梗、天香のこと頼んだぞ」「はい、姫様。わたくし達は、町の中で伊蔵様の事を聞いてみます。よろしいですか、くれぐれも、和泉様、将監様のご迷惑にならないように」「もー…それは、昨日からずっと聞かされて、耳にタコができとるわ」むくれる姫巫女に、桔 [続きを読む]
  • 近江天女伝説 弐 「伊蔵を探せ」
  • 《伊蔵を探せ》近江の首都、小谷。門をくぐると、目の前には、綺麗に整備された広い通りが旅人を迎え入れる。正面に見える大きな両替商までの大通り。ここには、様々な露店が立ち並び、沢山の人達で賑わっていた。先に和泉が言っていたとおり、鍛冶関連のものが多く見られる。そんな魅力的な場所を、まさに目を瞑るようにして通り過ぎ、和泉たちは宿屋へと入っていった。特別な連れである、娘を一人従えて。あてがわれた部屋に入る [続きを読む]
  • 近江天女伝説 壱 「尋ね人」
  • 《尋ね人》この国の各地に伝わる伝承である。とある山頂近くに、美しい湖があった。そこに天から八人の天女が舞い降りて、水浴びをし始めたのだという。その様子を、一人の男が木陰から覗いていた。あまりの美しさに心を奪われた男は、側の木にかけてあった羽衣を一枚隠してしまう。やがて、水浴びを終え天へと帰ろうとするが、羽衣が見つからずに、一人取り残された。悲しみにくれ、泣いている天女に、男は自分のうちに来るように [続きを読む]
  • 幕間 安土の生活 結 後編 「姫とお友達」
  • 《姫とお友達》こんな人に出会ったよ。あんな事、本当に起こるんだね。そんな他愛もない話をしていると、「あれ?真希さんに姫さん。何やってんすか?こんなところで」親しげに話しかけてくる武芸の男性が一人。安土で、真希とともに親しくなった、若きもののふである。素晴らしい向上心の持ち主で、様々なところに冒険に出かけては、沢山の経験と情報を持ち帰って、己の力としている。わからない事や、初めていく場所の事を、二人 [続きを読む]
  • 幕間 安土の生活 結 前編「姫と耳飾り」
  • 《姫と耳飾り》とある、小さな屋敷にて。いざ生産を始めた姫巫女であったが、さっそく、新米であるが故の、壁に行き当たる。髪飾り各種を作るために必要な、『銀製飾り玉』を作ろうとするが、なかなかうまくいかない。一生懸命頑張ってみたが、おそらく熟練者が生産した場合に比べ、半分以下の数しか作れなかった。「これは、あ奴に怒られてしまうの」ようやく目標の数を作り終えて、姫巫女は独り言を言う。それとも、笑われてしま [続きを読む]