飴羊羹 さん プロフィール

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飴羊羹さん: 思考のかけら
ハンドル名飴羊羹 さん
ブログタイトル思考のかけら
ブログURLhttp://ame-youkan.hatenablog.com/
サイト紹介文日々頭に浮かんだことを、徒然に雑然と書いていきます。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供98回 / 286日(平均2.4回/週) - 参加 2017/10/04 22:12

飴羊羹 さんのブログ記事

  • ガラスに手を触れないでください
  • 美術館ではお馴染みの注意書きである。作品保護のためには、まず作品を保護するガラスから保護しなければならない。普段美術館に行かないようなファミリーが何かのイベント開始までの時間潰しに展示室に押し寄せ、子供がベタベタと汗まみれの手をガラスにご機嫌に塗りたくっている場合もあるが、基本的に大人が堂々とガラスに両手をつくことは少ない。しかし手を触れずとも、ガラスに自分が来場した痕跡を残す方法はある。前のめり [続きを読む]
  • 昼下がりのテレビ「すこやか診断」
  • みなさん、こんにちは!大人気コーナー、すこやか診断のお時間です!お仕事中のサラリーマンも、お昼寝中の奥様方も、どなたも片手間耳だけ貸して!日頃の鬱憤掴んで投げろ!夢のひと時あなたと共に!というわけで今日はこちら!穴埋め性格診断です!これから一つの単語をお見せするのですが、そのうちの一文字だけ○で抜けています!そこにどんな文字を入れるかで、あなたの性格や傾向がわかってしまうんです!それではさっそく行 [続きを読む]
  • 女の歳
  • [31歳]自分の年齢を示すような数字には敏感である。カレンダーを見ると、1から31まで数字が振られている。19日までの日付を見ても、自分には全く関係のないものに思われる。しかし、20日から先は違う。この20という数字からは、汚してはならない神聖な光が放たれている。20日を人差し指で優しくなぞる。指の先からたくさんの思い出が、美しい音色や、甘い匂いや、鮮やかな色とともに飛び出してくる。ハタチの頃の自分!信じら [続きを読む]
  • 花嫁の日記
  • ○月○日今日は初めて彼をお父さんに紹介した。お父さんは黙って突っ立ってただけ。家で彼の家柄の話をしても、「金持ちの相手はできへんで」って何度も言う。うちだって普通の家庭なのに。○月○日彼のご両親との初顔合わせ。都内のホテルで。お父さんはスーツ。いつもの作業着と全然違う。サマにはなってない。正直、今日のお父さんは恥ずかしかった。仕事でお得意さんに会う時みたいな、ヘラヘラした顔。家にいる時は頑固親 [続きを読む]
  • 嵐が丘への感謝
  • 私が愛する小説の一つに、エミリー・ブロンテがこの世に残してくれた唯一の長編小説、「嵐が丘」がある。この作品を初めて読み終えた時、落雷に脳天を貫かれるような衝撃があった。形容しがたいあるものが身体を通り抜けたと感じた。しかしそれが何なのかわからない。まさに嵐が猛風を巻き起こして過ぎ去り、その跡にぽつんと一人残されたようだった。身体がむず痒くなり、すぐにもう一度最初から読み始めた。1回目の通読ではあや [続きを読む]
  • 鳩の拾い食い
  • 夏に向けて日に日にその力を蓄えつつある太陽が、一切の雲を寄せ付けずカラリと輝いていた。街のアスファルトには、晴れ晴れとした陽気な休日を存分に楽しもうと外へ出てきた人々の影が、あちらこちらに行ったり来たり、伸びたり縮んだりしていた。主人と寄り添い歩く犬も澄み渡った空気を存分に味わいたいのか、その鼻をあちこちに向けては主人にぐいぐい引っ張られていた。友人や家族との談笑を楽しむ人々の笑い声がまわりの店先 [続きを読む]
  • 追想夜
  • 夜には一人で歩いた。別に邪魔するやつもいなかった。あの門はいつも開いている。ここには門限なんてないんだ。お、あんたは今帰りかい。名前も特に知らないけど、きっかけさえあれば知ってたかもしれないし、もしかしたら今日一緒に出歩いてたかもしれない人よ。あんたは今どうしてる。顔も思い出せないけど、何度も何度もすれ違った気がするよ。ああ、ここも通ったんだ。夜によく一人で歩いたんだ。川沿いに生えた名前も知らない [続きを読む]
  • 休み時間「ドッヂボール」
  • 小学生が持つ休み時間への熱意というものは、実に驚嘆すべきものである。定時退社の瞬間に人生の楽しみと優越感を凝縮させる大人でも、あれほどの疾走感と勢いを持ってチャイムと同時に走り出すことはできない。大人であれば諸々の事情により、たとえ定時で速やかに帰ることができる日であっても、あえて道草を食ってのろのろと帰る者もいるくらいであるが、小学生にはそのような面倒な事情は一切ない。その過ごし方は様々あれど、 [続きを読む]
  • おばあちゃんと自転車
  • ある日、70代か80代かのおばあちゃんが、その年齢の女性が出し得る最高速と言ってもいいほどのスピードで、交差点に向けて自転車を走らせていた。東西を走る道路側の信号が点滅しており、おばあちゃんが到着した頃にはもう完全に赤になってしまった。しかもその時、一台の軽自動車がおばあちゃんの目の前をかすめるようにして曲がっていった。おばあちゃんはこの危なげな出来事について、「え〜〜〜」と言うだけだった。世間の多く [続きを読む]
  • ハンカチの玉座
  • 一人住まいの女がベランダから顔を出すと、目線の下に、見慣れた工場のトタン屋根を確認することができた。元々灰色だったトタンが錆びついて茶色になったのか、錆びついたトタンを上から灰色に塗ったのか、それも判別できないほどに茶色と灰色が入り混じり、マダラ模様を形成していた。トタンの一部が、台風の日に石でも当たったのか、へこんで一層黒ずんで見えた。この風景は女にとって見慣れたもので、ただ一点を除いては、その [続きを読む]
  • 足組み
  • 多くの勤め人が帰路につく電車の中でのことである。車内は満員御礼というわけでもなく、向かい合わせに並べられた座席シートには、およそ人一人分の間隔を空けて、示し合わせたようにお互いの領域を守り合いながら、一日の勤めを終えて疲れた人々が座っていた。縛りから解放された人々の手には、大抵何かしらのアイテムが握り締められていた。まるで仕事の時のように、もしかしたらそれよりも忙しく手を動かしながら、あてどもなく [続きを読む]
  • 品定め
  • スーパーの惣菜売り場で、とある主婦が商品を手に取り、夕食をどうするか考えていた。彼女が気になったのは、一本の巻き寿司であった。透明のプラスチック容器に入れられた巻き寿司は、外見からその全貌を目で見て確認することができた。彼女は巻き寿司を手に取ると、まずこれを上から凝視した後、裏返し、下からも凝視した。その後、巻き寿司を360度ゆっくり回転させ、全体を舐め回すように凝視していった。このようにして巻き寿 [続きを読む]
  • ガールズトーク「落とし物」
  • 女子高生A今日マジ最悪だったんだけど。女子高生Bどしたん?女子高生A今日さあ、朝コンビニでおにぎり買って電車乗ろうとしてたの。急いでてさあ、だからおにぎりポケットにつっこんで走ってたんだけど。そしたらさあ、定期出そうとしておにぎりポケットから落ちたわけ。まあ気づかなかったんだけど。女子高生Bドジすぎ。女子高生Aそんでさあ、まあ私はそのまま走ってたんだけど、後ろから男が声かけてきたわけ。ていうか [続きを読む]
  • 屋根の上の小鳥たち
  • 工場の屋根にとまる小鳥の群れを見た。下から見上げる限りでは、屋根の縁にとまる姿しか確認できなかった。おそらく雀だろうが、それすら定かではない。彼らが騒がしく鳴く声が聞こえる。いや、騒がしいと感じるのは、心にゆとりのない者だけだろう。そうではなく、彼らは楽しげに歌い合っていた。いや、歌い合うなどと、まるで小綺麗な言葉を使ってみても、彼らが実際に愉快な気持ちで合唱していたのかどうかはわからない。彼らが [続きを読む]
  • 老師との対話「種蒔き④」
  • 老師いやはや、ありがとう。君からこんなに長い演説を聞けるとは思っていなかったから、少し驚いてしまったよ。しかし君としては、私を驚かしてやろう、というよりは、早いところ自分の考えを言い切ってしまって、出来る限り速やかにこの場を後にしたいと思っての演説だったのではないかね?若者見透かされていたようですね。実のところはそうです。いつもならば駅の改札を過ぎている時間になってきましたからね。老師君が急 [続きを読む]
  • 強風と少年
  • とても風の強い日のことです。ある心優しい少年が一人で街を歩いていました。歩道の脇には、強風に倒された自転車が沢山地べたに寝そべっていました。周りには沢山の人が歩いていたのですが、誰一人として自転車を起こそうとはしません。少年は不思議に思いました。学校の先生が、「困っている人がいたら、通り過ぎたりせずに優しく手を差し伸べましょう」と言っていたことを思い出したからです。きっと目の前で倒れている自転車達 [続きを読む]
  • 女たちのバレンタイン
  • 明美の働く部署は、男性2人に女性3人の、合計5人で構成されている。その女性のうちの1人が、ここでは係長を務めている。もう1人の女性は、明美より2年先輩の、智子である。そして明美は、去年の春に入社したばかりの新入社員である。2月14日のことである。明美は自慢の手作りチョコを職場に持参してきた。といってもわざわざ職場の人間のためだけに気合を入れて用意したものではなく、彼氏用の本命チョコを作ったときについでに作 [続きを読む]
  • 老師との対話「種蒔き③」
  • 若者はい、まだあります。抜け落ちていた第二の点は、その種が蒔かれる土地の種類への言及です。先程は種の種類について触れましたが、それら多種多様な種と同様に、種を受け取る土地もまた多種多様であるということです。一口に土地と言いましても、それらは温暖な気候や寒冷な気候、また空気の薄い高所であったり湿地帯のような低所であったり、実に様々な環境の元に置かれているわけです。そしてこれらの環境が異なれば、そこ [続きを読む]
  • 老師との対話「種蒔き②」
  • 老師どんな重大な点を見落としていただろう?若者それを取り上げる前に確認しておきたいのですが、種蒔き人によって蒔かれる種というのは、まさしく教育者が施す知恵のようなものと考えて間違いないでしょうか?老師もちろん私もそのように考えているよ。蒔かれる種によって、つまり与えられる知恵によって、教育を受ける者は自身を成長させる。若者ありがとうございます。それでは、私が思う見落としのまず一つ目は、蒔かれ [続きを読む]
  • 老師との対話「種蒔き①」
  • 老師おはよう。こんな朝早くに呼び起こして申し訳ないと思っているんだが、取り急ぎどうしても君の意見を聞きたくなったのだ。今すぐでなければ、私の考えが頭からするりと逃げ出してしまいそうなのだ。若者おはようございます。珍しいこともあるものですね、いつもなら僕の方から老師さまをお呼び出しするところなのですが。これから出勤なので、できれば手短にお願いしますね。老師年甲斐もなくはしゃいですまないが、では早 [続きを読む]
  • 老師との対話「砂つぶ」
  • 若者老師さま、私には悩みがあるのです。老師何でも話してくれたまえ。年寄りの一番の楽しみは、若い人の話し相手になることなのだから。若者ありがとうございます。最近特に思うことがあるのです。それは、私は結局何者にもなれないのではないか、ということです。老師若い人なら必ず持つ悩みだよ。特に君のような若い男ならばね。若者私は今、会社に雇用されています。いわゆるサラリーマンというやつで、日本人の大多数 [続きを読む]
  • マンホール
  • よく雨が降った日の翌日のホームルームで、太郎の在籍する3年2組の担任教師である南は、いつも生徒に見せる和やかな笑顔を浮かべながら全員に向かって話した。「昨日はすごい大雨でした。土砂降りで洪水のような日は、マンホールが開いてしまうこともあります。あんなところに入ったら、皆さんではきっともう出てこれません。くれぐれも日頃からマンホールには近づかないようにしてください。今日のホームルームはこれで終わりです [続きを読む]
  • 初詣
  • 年が明けて頭に浮かぶ共通の大行事としては、初詣がまず挙げられる。日頃は信心深くない大多数の日本人も、この時期は皆で示し合わせたかのように神を信じるか、信じているような気になる。よしんば全く神を信じていなくとも、初詣という行為自体に意味を見出す人もいる。大行列に並ぶこともいとわず、むしろ親族や友人と待機時間を楽しむことを望むかのように神社へ向かう。並んでいる間に新年への期待を胸いっぱいに思い描き、そ [続きを読む]
  • 年の瀬の街並み
  • 急ぐ車。普段の通勤時間に見られるような飛ばし方ではない。嫌々ながら走っているわけではない。向かう先に早く着きたいという、喜ばしい期待感にあふれている。窓越しに見える車内の顔も、優しくほころんでいるようだ。郵便局。年内に郵便窓口に駆け込む人々。手に持つのは年賀状だけではない。あの大きな包みには何が入っている?その笑顔は誰のために?大切な人に何かを送っているのだろう。この施設を最も有効に活用している [続きを読む]
  • 昔話 井戸を掘る男
  • 「おばあちゃん、何かお話して。」こっちへおいで。昔話を聞かせてあげようね。昔あるところに、二つの井戸を持つ村があったんだ。どちらの井戸も村長さんのものでね、それぞれが二人の息子達に一つずつ管理されていたんだ。兄も弟も村人達に慕われて、どちらが次の村長になるかと皆が話題にしていたもんさ。兄の方は熱血漢で気配りができてね、誰とでもすぐ打ち解けられる明るい性格が皆の人気だった。まさに男の中の男という [続きを読む]