飴羊羹 さん プロフィール

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飴羊羹さん: 思考のかけら
ハンドル名飴羊羹 さん
ブログタイトル思考のかけら
ブログURLhttp://ame-youkan.hatenablog.com/
サイト紹介文日々頭に浮かんだことを、徒然に雑然と書いていきます。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供75回 / 365日(平均1.4回/週) - 参加 2017/10/04 22:12

飴羊羹 さんのブログ記事

  • 壁の蚊
  • 三カ月前に壁に叩きつけた蚊の死体がまだ残っている。叩きつけた瞬間の姿は、過去見た多くの蚊の臨終の時と同じように、ありきたりでつまらないものだった。切れた弦を垂らすかのように、未練がましく後ろ足をゆっくり伸ばして死んでいった。腹から血を吐き出さなかったことから、一仕事やり遂げる前に果てたことがわかった。ゴキブリのように死んだふりをしておいて再び羽を広げるかもしれないと思い、死体をそのままにして様子を [続きを読む]
  • 葦の就活
  • 何でもよいので、あなた自身を何かに例えてください。はい、私は葦のような人間だと思います。どうして葦なんでしょうか。はい、踏みつけられても折れることなく、どんなことにも耐えていける人間だと思うからです。それについて具体的なエピソードはありますか。はい、わたしは子供たちと遊ぶボランティアサークルを一回生の時に立ち上げて、部長をしていました。最初は部員がわたし一人でした。構内にチラシを貼っても誰も興味を [続きを読む]
  • 「木林森」1限目
  • 一年二組の小川先生は黒板に「木」を書いた。「皆さんはこの漢字を知っていますか。」40人いるクラスメイトの半分くらいが手を真っ直ぐ天井に向けて挙げた。皆が口を同じ形に横に引き伸ばしながら「き」「き」と叫び出した。「じゃあゆうやくん」手を挙げずにじっと黒板を見つめていたゆうやが当てられた。「き?」とゆうやはまわりを見ながら答えた。「そうだね、「き」だね。なんでこの字が「き」なのか、わかる人いますか。」ク [続きを読む]
  • うり坊の甘噛み
  • 田舎のとある飯屋の軒先に、一匹のうり坊が頑丈な一本の赤い綱で繋がれているのを見た。そういえばどうしてうり坊はうり坊と呼ぶのだろうかとぼんやりと、そういえばうり坊のうりとはなんなのだろうかとまたぼんやりと考えながらじっとうり坊を見ていると、うり坊の茶色で栗色な毛並みがまさにうり坊がうりと呼ばれる所以のように感じられてきて、やはりうり坊にはうり坊という名が最適なのだと思えてきた。そうしてうり坊という言 [続きを読む]
  • シュパンヌンク
  • シュパンヌンクとは日常に溢れたものである今ここでキーボードを叩いている指先の感覚、これはシュパンヌンクであるベランダから差し込む光と、その光により生み出されるカーテンの淡い影を視覚で捉える、これもシュパンヌンクである昼飯前の腹の鳴りと収縮感、これもシュパンヌンクである便座シートをつけていない便座に座ってひんやりびっくりする、これもまたシュパンヌンクであるさればこそシュパンヌンクは日常に溢れていると [続きを読む]
  • 遺跡を求める者
  • あの家の下、あのスーパーの下、あのビルの下には何が眠ってるんだ。絶対何かあるよな。あそこで発掘調査をしてる。小学校の運動場くらいの面積か。そうだ全部そんな風にすればいいんだよ。全部調査だ調査。全部の建物ぶっ壊して、そこかしこの土全部掘り返してくれや。古墳が見つかるかもしれないし、恐竜の骨が見つかるかもしれないし、オーパーツのかけらが見つかるかもしれない。次から次に建ててんじゃねえ。地層の一番下から [続きを読む]
  • ポーチの女の子
  • 丸太の腰掛けに家族三人が座ろうとしている。父と子ども二人である。小さい方の男の子が、勢いよく丸太に腰を落として背中から転げ落ちる。少し頭を打ったようである。後ろで座っている中年女性が、ああ、と言って心配そうな顔をする。男の子は泣き出そうとする。父は、よしよし、痛くないもんな、痛くないもんな、と言いながら男の子の頭を撫でている。男の子は、ふぃー、と声を押し殺しながら、父の腕の中で涙をこらえている。男 [続きを読む]
  • とある史学科教授の挨拶
  • 20○○年4月○日 某大学にて皆さんこんにちは、ご入学おめでとうございます。私は史学科で主に西洋史を研究しとります●●です。皆さんどうぞよろしくお願いします。僕は皆さんが史学科に入ってくれてすごく嬉しいです。だって皆さんは、僕が愛してやまない史学っちゅう学問の世界に入ってきてくれた、仲間なんですからね。皆さんは高校でたくさん勉強されたでしょ。歴史で出てくる地名とか人名とか年号とか、ひたすら暗記して [続きを読む]
  • パンドラと希望
  • パンドラというのは、ギリシャ神話に登場する女の名です。彼女は開けてはならない瓶の蓋を開けてしまい、あらゆる厄災が世界中に広がりました。しかしその瓶の底にはただ一つ、「希望」が残っていたということです。これが人の持ちうる最後のもの、どれほど絶望する時にも心の底に残る希望だと言われています。しかしこの話には続きがあります。パンドラは「希望」の残る瓶を持ち、ある男のもとに嫁ぎました。この時から、女は結婚 [続きを読む]
  • 高校野球の観客
  • 高校野球には独特の熱気がある。テレビ中継で見ているだけでは、実際の熱気の10分の1程度も味わうことはできないだろう。高校野球はライブ感の極みなのである。この熱気が最高潮に達するのは、9回の逆転がなるかどうかという瀬戸際の場面である。勝負の緊張感と相まって、会場の熱気はますます高まっていく。この熱気の理由はどこにあるのだろうと考えてみると、それはどうやら観客にあるようである。というのも、彼らが劣勢のチー [続きを読む]
  • 老師との対話「種蒔き⑤」
  • 老師僕が見た夢には続きがあるんだよ。夢の中で種蒔き人が種を蒔き終わると、驚くべき早さで季節が移り変わり始めた。春は心地よく、夏は蒸し暑く、秋は涼しく、冬は寒かった。それぞれの季節が種を育んだ。季節のもたらす風や光は、時にはきびしく、時には優しく大地を包みこんだ。季節の移り変わりはある瞬間にピタリと止まった。そこに広がる光景はとても興味深いものだった。良い種蒔き人によって植えられた質の良い種たちは [続きを読む]
  • 居眠りの反省文
  • 先生、今日は授業中に寝てしまってごめんなさい。次からは絶対に寝ないようにします。ごめんなさい。でも、謝るだけだと、ただ夜更かししたダメな子どもだと思われそうなので、わたしなりの理由を書いておきます。居眠りしてしまったのは、昨日の晩ご飯の時にお母さんと一緒に見たドラマのせいです。お母さんは毎日夜遅くまでお仕事があるので、いつもくたくたになって帰ってきます。お母さんは疲れているのに、いつも晩ご飯を急い [続きを読む]
  • ガラスに手を触れないでください
  • 美術館ではお馴染みの注意書きである。作品保護のためには、まず作品を保護するガラスから保護しなければならない。普段美術館に行かないようなファミリーが何かのイベント開始までの時間潰しに展示室に押し寄せ、子供がベタベタと汗まみれの手をガラスにご機嫌に塗りたくっている場合もあるが、基本的に大人が堂々とガラスに両手をつくことは少ない。しかし手を触れずとも、ガラスに自分が来場した痕跡を残す方法はある。前のめり [続きを読む]
  • 昼下がりのテレビ「すこやか診断」
  • みなさん、こんにちは!大人気コーナー、すこやか診断のお時間です!お仕事中のサラリーマンも、お昼寝中の奥様方も、どなたも片手間耳だけ貸して!日頃の鬱憤掴んで投げろ!夢のひと時あなたと共に!というわけで今日はこちら!穴埋め性格診断です!これから一つの単語をお見せするのですが、そのうちの一文字だけ○で抜けています!そこにどんな文字を入れるかで、あなたの性格や傾向がわかってしまうんです!それではさっそく行 [続きを読む]
  • 女の歳
  • [31歳]自分の年齢を示すような数字には敏感である。カレンダーを見ると、1から31まで数字が振られている。19日までの日付を見ても、自分には全く関係のないものに思われる。しかし、20日から先は違う。この20という数字からは、汚してはならない神聖な光が放たれている。20日を人差し指で優しくなぞる。指の先からたくさんの思い出が、美しい音色や、甘い匂いや、鮮やかな色とともに飛び出してくる。ハタチの頃の自分!信じら [続きを読む]
  • 花嫁の日記
  • ○月○日今日は初めて彼をお父さんに紹介した。お父さんは黙って突っ立ってただけ。家で彼の家柄の話をしても、「金持ちの相手はできへんで」って何度も言う。うちだって普通の家庭なのに。○月○日彼のご両親との初顔合わせ。都内のホテルで。お父さんはスーツ。いつもの作業着と全然違う。サマにはなってない。正直、今日のお父さんは恥ずかしかった。仕事でお得意さんに会う時みたいな、ヘラヘラした顔。家にいる時は頑固親 [続きを読む]
  • 嵐が丘への感謝
  • 私が愛する小説の一つに、エミリー・ブロンテがこの世に残してくれた唯一の長編小説、「嵐が丘」がある。この作品を初めて読み終えた時、落雷に脳天を貫かれるような衝撃があった。形容しがたいあるものが身体を通り抜けたと感じた。しかしそれが何なのかわからない。まさに嵐が猛風を巻き起こして過ぎ去り、その跡にぽつんと一人残されたようだった。身体がむず痒くなり、すぐにもう一度最初から読み始めた。1回目の通読ではあや [続きを読む]
  • 鳩の拾い食い
  • 夏に向けて日に日にその力を蓄えつつある太陽が、一切の雲を寄せ付けずカラリと輝いていた。街のアスファルトには、晴れ晴れとした陽気な休日を存分に楽しもうと外へ出てきた人々の影が、あちらこちらに行ったり来たり、伸びたり縮んだりしていた。主人と寄り添い歩く犬も澄み渡った空気を存分に味わいたいのか、その鼻をあちこちに向けては主人にぐいぐい引っ張られていた。友人や家族との談笑を楽しむ人々の笑い声がまわりの店先 [続きを読む]
  • 追想夜
  • 夜には一人で歩いた。別に邪魔するやつもいなかった。あの門はいつも開いている。ここには門限なんてないんだ。お、あんたは今帰りかい。名前も特に知らないけど、きっかけさえあれば知ってたかもしれないし、もしかしたら今日一緒に出歩いてたかもしれない人よ。あんたは今どうしてる。顔も思い出せないけど、何度も何度もすれ違った気がするよ。ああ、ここも通ったんだ。夜によく一人で歩いたんだ。川沿いに生えた名前も知らない [続きを読む]
  • 休み時間「ドッヂボール」
  • 小学生が持つ休み時間への熱意というものは、実に驚嘆すべきものである。定時退社の瞬間に人生の楽しみと優越感を凝縮させる大人でも、あれほどの疾走感と勢いを持ってチャイムと同時に走り出すことはできない。大人であれば諸々の事情により、たとえ定時で速やかに帰ることができる日であっても、あえて道草を食ってのろのろと帰る者もいるくらいであるが、小学生にはそのような面倒な事情は一切ない。その過ごし方は様々あれど、 [続きを読む]
  • おばあちゃんと自転車
  • ある日、70代か80代かのおばあちゃんが、その年齢の女性が出し得る最高速と言ってもいいほどのスピードで、交差点に向けて自転車を走らせていた。東西を走る道路側の信号が点滅しており、おばあちゃんが到着した頃にはもう完全に赤になってしまった。しかもその時、一台の軽自動車がおばあちゃんの目の前をかすめるようにして曲がっていった。おばあちゃんはこの危なげな出来事について、「え〜〜〜」と言うだけだった。世間の多く [続きを読む]
  • ハンカチの玉座
  • 一人住まいの女がベランダから顔を出すと、目線の下に、見慣れた工場のトタン屋根を確認することができた。元々灰色だったトタンが錆びついて茶色になったのか、錆びついたトタンを上から灰色に塗ったのか、それも判別できないほどに茶色と灰色が入り混じり、マダラ模様を形成していた。トタンの一部が、台風の日に石でも当たったのか、へこんで一層黒ずんで見えた。この風景は女にとって見慣れたもので、ただ一点を除いては、その [続きを読む]
  • 足組み
  • 多くの勤め人が帰路につく電車の中でのことである。車内は満員御礼というわけでもなく、向かい合わせに並べられた座席シートには、およそ人一人分の間隔を空けて、示し合わせたようにお互いの領域を守り合いながら、一日の勤めを終えて疲れた人々が座っていた。縛りから解放された人々の手には、大抵何かしらのアイテムが握り締められていた。まるで仕事の時のように、もしかしたらそれよりも忙しく手を動かしながら、あてどもなく [続きを読む]
  • 品定め
  • スーパーの惣菜売り場で、とある主婦が商品を手に取り、夕食をどうするか考えていた。彼女が気になったのは、一本の巻き寿司であった。透明のプラスチック容器に入れられた巻き寿司は、外見からその全貌を目で見て確認することができた。彼女は巻き寿司を手に取ると、まずこれを上から凝視した後、裏返し、下からも凝視した。その後、巻き寿司を360度ゆっくり回転させ、全体を舐め回すように凝視していった。このようにして巻き寿 [続きを読む]
  • ガールズトーク「落とし物」
  • 女子高生A今日マジ最悪だったんだけど。女子高生Bどしたん?女子高生A今日さあ、朝コンビニでおにぎり買って電車乗ろうとしてたの。急いでてさあ、だからおにぎりポケットにつっこんで走ってたんだけど。そしたらさあ、定期出そうとしておにぎりポケットから落ちたわけ。まあ気づかなかったんだけど。女子高生Bドジすぎ。女子高生Aそんでさあ、まあ私はそのまま走ってたんだけど、後ろから男が声かけてきたわけ。ていうか [続きを読む]