Yama さん プロフィール

  •  
Yamaさん: 思考研究の作法
ハンドル名Yama さん
ブログタイトル思考研究の作法
ブログURLhttp://thinkingbythinker.blogspot.jp/
サイト紹介文心理学を専門とする大学教員が、人間や文化とは何かを思索します。
自由文人間とは何なのかという問題について、さまざまな角度から思索を続けていきます。私自身は認知心理学というアプローチで、何らかの適応の結果から大きくなった脳が文化あるいは文明をいうものを創り上げ、それを利用したりそれに縛られたりしながら生きているのが人間だと思っています。私自身の出版物を解説したり、さまざまなことがらについて感想や意見を述べていったりしてみたいと考えています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供41回 / 168日(平均1.7回/週) - 参加 2017/11/03 16:50

Yama さんのブログ記事

  • ユートピア・イデオロギーの弱体化―平和のためにはありがたいのだが
  •  この4月から、大阪南部の和泉市のいずみ市民大学で計8回の講師をさせていただき、すでに2回を終えた。タイトルは「心理学からみた現代」で、現代は人々のモラルが低下し、悪い時代になっているように思われるが、実は違うのだというということが主旨である。受講されている方々は、大半が私よりも年長と思われるが、非常に熱心で、こちらがタジタジとなる質問やコメントをいただくこともある。 2回目は、世界全体で戦争やジェ [続きを読む]
  • 大学文科系学部の価値―異文化共生
  •  3月の末にフランスから帰国したが、いまだに時差ぼけが治まっておらず、午後から夕方くらいに強烈な眠気に襲われることがまだある。しかし新学期は始まっており、なんとか新年度に適応しなければならない。 ここ10年くらい、日本の大学、とくに国公立大学において、人文科学や社会科学、いわゆる文科系学部が何の役に立つのかという議論が行われるようになった。そして日本では、文理融合的学部への編成が奨励されている。この [続きを読む]
  • フランスで知られた日本人作家と日本で知られていないフランスのマンガ
  •  フランスから日本へは、3月29日に帰着した。共同研究先のトゥール大学においても私の研究の発表時間をいただいたが、パリのInstitut Catholique de Parisで30分で発表したものを、1時間半ほどに引き延ばして発表した。その中で、川端康成の『雪国』の、主語がない文として翻訳者を悩ませた悪名高き一節である、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」についてちょっと触れた。ところが、川端康成はほとんどフランスで知ら [続きを読む]
  • フランス人からの日本人への質問
  •  フランスを発つのは3月28日なので、トゥールでの滞在もあと2日になった。フランスは、今日からサマータイムで、日本との時差は1時間縮まった。これまでの何人かのフランスの人たちとの会話の中で、一番彼らが不思議に思っているのは、伝統的な文化を残しながらなぜ日本はハイテクの国になったのかということである。最近、全国紙のフィガロが発行している週刊誌に、熊野古道の特集があり、その写真にある、社寺仏閣や、白装束の [続きを読む]
  • せっかくなので旅行記 ― ロンドン・パリ編
  •  ロンドンからパリに移動し、パリでのワークショップの後、モンパルナス駅からTGVにのってトゥールに着いた。あまり得意ではないが、せっかくなので旅行記を書いてみることにした。 ロンドンの主要観光地の中で、まだ見ていなかったのが、ロイヤル・アルバート博物館である。前に来たときは、この隣にある自然史博物館は見たのだが、ロイヤル・アルバートはまだ見ていなかった。大英博物館を見ておけばここは必要ないと思ってい [続きを読む]
  • パリでのワークショップ ー Cross-cultural studies & rationality
  •  英国で10日過ごしてパリに着いた。今回の主要目的地は英国のWolverhamptonとフランスのToursなので、パリはちょっと寄り道しただけなのだが、パリ第8大学のJean Barataginさんが20日の午後にワークショップを開催してくださるとのことで、予定変更して2泊することにした。ワークショップは、下記にあるようにCross-cultural studies & rationalityというタイトルで、私は最後に30分いただいて話すことになった。http://paris-rea [続きを読む]
  • イングランドフットボール文化
  •  Jリーグが始まって25年、野球以外のプロスポーツ不毛だった日本で、この短期間のうちによくこれだけサッカーが盛んになったものだと思う。それでも、母国とされるイングランドと比較すると、やはりまだサッカーは文化として根付いていないという印象は強い。ここ、Wolverhamptonでも、大学の研究室には必ずWanderersグッズがあり、また、これまで訪問した別の大学の研究室でも、その地方のクラブチーム関係のものがあったりする [続きを読む]
  • 英国にて
  •  この3月、大学の助成金を受けることができ、英国とフランスに計3週間滞在することになった。金曜日に日本を発ち、夜遅くにWolverhamptonというミッドランド地方の田舎町にたどり着くことができた。おそらく日本人にはほとんど知られておらず、また日本人らしき人を見かけることもほとんどない街である。人口の4分の1がシーク教徒を中心としたインド系である(したがって、インド料理はうまい)。サッカーにかなり詳しい人なら、こ [続きを読む]
  • ハニートラップとセクシャルハラスメントーああナルシスト
  •  鈴鹿久美子氏が、政治家にハニートラップに代表される異性関係のスキャンダルが多い理由をある番組で語ったという記事があり、その番組は見ていないが、なかなか的を得た指摘だった。鈴鹿氏によれば、そのテの人種は、「東大入ったらモテるようになるんじゃないか」、「官僚になったらモテるようになるんじゃないか」、「政治家になったらモテるんじゃないか」という期待をしながら努力を重ね、うっかりモテてしまうと、若いころ [続きを読む]
  • 卒業論文の意義 (3)―「卒論は市民リテラシーのため」と告げる意味
  •  卒業論文の意義についての、3回目の記事である。前回、卒業論文は、とくに研究者をめざすわけではない学生にとっても、市民リテラシーを育成する上で非常に効果があるということを主張したが、これは指導者側として学生に伝えるのは、実はかなりキツイのである。その理由は、このメッセージの意味するところは、「卒業論文は企業等であまり役に立ったり評価されたりしないかもしれない、その点で、あなた自身にはあまり益がない [続きを読む]
  • 卒業論文の意義 (2)―市民リテラシーの育成のために
  •  前回の記事では、卒業研究や卒業論文は企業において評価されないと述べたが、実は『心理学って何だろうか?』の中で私が強く主張したことは、市民リテラシーとの関連である。市民リテラシーとは、あまり聞きなれない用語かもしれないが、よき市民として、政治や経済のことを知り、少子高齢化や地球温暖化など社会で問題となっていることについて、適切な判断を下すと同時に何らかの行動をとることができるような一連のリテラシー [続きを読む]
  • 卒業論文の意義 (1)―企業において役立つことは理解されにくい
  •  日本心理学会の教育研究委員を何年間かさせていただいたが、その成果の一端ともいえる『心理学って何だろうか?―四千人の調査から見える期待と現実』が、楠見孝先生の編集で出版された。この本は、委員会による何年間かの調査に基づいたものだが、私は主として、大学の心理学教育においてどのような授業が重要と考えられているかという視点で調査を担当した。そして、本書の中の一つの章の中で、調査結果と私の私見を披露してい [続きを読む]
  • 銀と銅―銀はくやしい、そして銅はほっとする
  •  日本がサッカーのワールドカップに出場するようになってから、私の中でオリンピックの地位が相対的に低下し、さらには全体的に盛り上がりに欠けるという印象だったピョンチャンオリンピックであったが、羽生結弦の金の連覇は大きなニュースになった。しかし、今回のオリンピックの中で、私が興味を抱いたのは、二人のメダリストの発言である。一つは、今回銀メダルを取った渡部暁斗の「2という順位は見飽きた」という発言、もう [続きを読む]
  • スマホ中毒とチンパンジーのグルーミング
  •  スマートフォンを肌身離さずにもち、常にチェックしていじっていないと落ち着かない人が増えているようだ。世にいうスマホ中毒である。幸い、私の周囲には、会話中に常にいじっているというような人はいないが、通勤での駅での乗り換え時の歩きスマホにはかなり迷惑を被っている。あれほど、歩きスマホは危険であるという啓発があるにもかかわらず、混雑した駅で何度もぶつかりそうになる。 私はスマートフォンを持っていないの [続きを読む]
  • 大河ドラマ「西郷どん」と「翔ぶが如く」
  •  2018年の大河ドラマ「西郷どん」がスタートを切った。なかなかおもしろくて、日曜日を楽しみにしているのだが、現時点での私の個人的な感想は、「何かが足りない、でも何かが余っている」である。この評価が妥当かどうかという自信はないが、どうしても比較してしまうのが、1990年の「翔ぶが如く」である。 「翔ぶが如く」はすばらしかった。司馬遼太郎の歴史小説は、歴史家から見ると誤りもあるのかもしれないが、どれも登場人 [続きを読む]
  • iPS細胞の研究不正について―尾木直樹氏の発言への違和感
  •  研究不正がまた起きてしまった。iPS細胞の研究で、京都大学の助教による捏造と改ざんである。小保方晴子氏の事件で、研究者には、不正が良くないことが倫理的にも理解され、不正を行うと社会的にも制裁を受けるということが肌で感じられたと思えるのだが、同じような事件が起きて非常に残念に思う。 この事件について、教育評論家の尾木直樹氏がコメントを行っているが、研究不正者本人を非難するというよりも、研究現場の現状 [続きを読む]
  • 大学入学試験の出題ミスについて
  •  今年、大阪大学の入学試験においてミスがあり、ミスだけではなく、予備校に指摘された後の対応が批判されている。確かにこの対応については問題だろうとは思うが、メディアをはじめとする世間一般が、どうして入学試験のミスについてこれだけ寛容さがないのだろうか。 私の領域は心理学なので、あまり出題にかかわることはないが、それでも大学院の入学試験やその他諸々の入学試験の負担は大きい。文学部という部署に属ずると、 [続きを読む]
  • 韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)って何?
  •  触れると火花が散りそうな話題はできるだけ避けたいのだが、2015年の慰安婦問題日韓合意への韓国側追加要求については、リベラルとされている人たちの中にも驚きと呆れが生じている。文在寅大統領も、国内の支援団体の意見を考慮してのことのようだが、この団体の代表的なものが韓国挺身隊問題対策協議会(以下挺対協)であろう。 私は、以前からこの団体に不信感を抱いていた。掲げている理想は高邁である。軍隊に従軍慰安婦など [続きを読む]
  • 推論研究のゆくえ (2)―メンタルモデル vs 新パラダイム
  •  おそらく心理学者の中でもごく少数の人たちにしか知られていないのではないかと思うが、最近、新パラダイムという呼ばれる潮流が広がりつつある。これは、演繹推論における規範、すなわち何を正しい推論とするかという基準についての主張であり、命題論理学と述語論理学を規範としてきた伝統に対するチャレンジなのである。これについて、金子書房から2015年に出版された、『認知発達研究の理論と方法』の中で、私が「推論研究の [続きを読む]
  • 推論研究のゆくえ (1)―メンタルモデル雑考
  •  私が一章を書かせていただいた、Routledgeからの、”The Routledge International Handbookof Thinking and Reasoning”が手元に届いた。私が推論研究に本格的に取り組むようになったのは、博士課程に進学した1985年あたりからである。当時、推論研究のアプローチとして、ピアジェ以来の人間の論理性を強調した心理論理アプローチ、意味論的手続きによってモデルが形成されるとするメンタルモデルアプローチ、人間の推論がいかに [続きを読む]
  • ヘルコリアーやめろ!やめるんだ、こんな戦い!
  •  最近、韓国のネット記事で知ったが、韓国の若者でちょっと流行しているフレーズに、「やめろ!やめるんだ、こんな戦い!」というものがあるようだ。これは、私は知らないのだが、アニメの、機動戦士ガンダムSEEDに登場するアスラン・ザラの言葉らしい。 この背景にあるのが、韓国における競争の厳しさのようだ。日本も、受験戦争や就活など、競争が激しいと言われてはいる。しかし、ご存知方も多いと思うが、韓国の、とくに受験 [続きを読む]
  • 続おんな城主直虎―続編を熱望
  •  NHK大河ドラマ「おんな城主直虎」が終わった。大河の常套である歴史の大きなイベントを中心に据えるよりも、小領主としての苦労や、微妙な人間関係を巧みに描いた異色の大河ドラマであったが、見応えがある一年であった。しかし、やはり歴史的経緯という点からみると、いくらヒロインが亡くなったとはいえ、これから大きな歴史イベントの連続なので、続編をぜひ見てみたいものである。 大河ドラマの異例の続編があったのは、「 [続きを読む]