Yama さん プロフィール

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Yamaさん: 思考研究の作法
ハンドル名Yama さん
ブログタイトル思考研究の作法
ブログURLhttp://thinkingbythinker.blogspot.jp/
サイト紹介文心理学を専門とする大学教員が、人間や文化とは何かを思索します。
自由文人間とは何なのかという問題について、さまざまな角度から思索を続けていきます。私自身は認知心理学というアプローチで、何らかの適応の結果から大きくなった脳が文化あるいは文明をいうものを創り上げ、それを利用したりそれに縛られたりしながら生きているのが人間だと思っています。私自身の出版物を解説したり、さまざまなことがらについて感想や意見を述べていったりしてみたいと考えています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供61回 / 316日(平均1.4回/週) - 参加 2017/11/03 16:50

Yama さんのブログ記事

  • 健康的存在―「学際的」の意味と意義
  •  すでに3か月経つが、私の前任校の先生方との共著である『健康的存在(Healthy Being)』がナカニシヤから出版された。この本は、もう10年以上前になるが、前任校に1年だけ客員准教授として滞在された筆頭編者のライ先生の発案によるもので、さまざまな領域の教員が「健康的存在」としての人間を語るものとして企画された。私も、編者の一人であると同時に、中の一章を担当している。本書は、多領域にまたがった、非常に学際的なも [続きを読む]
  • 下品に見えるが一応真面目な思考実験
  •  私は、人間の精神が、直観的な判断をもたらす進化的に古いシステムと、熟慮的な判断を可能にする進化的に新しいシステムから構成されているとする二重過程理論の視点で研究を続けている。二種類のシステムを想定したうえでの問題の一つに、新しいシステムが古いシステムを制御できるのかどうかというものがある。この理論を信奉する研究者たちの当初の想定はかなり楽観的で、進化的に新しいシステムが、古いシステムからの出力を [続きを読む]
  • ドブロヴニク滞在記―アドリア海の真珠と戦争の爪痕
  •  今年の夏は、出張ではない純粋なヴァカンスとして、クロアチアのドブロヴニクに1週間余り滞在した。中学生のころ、「バルカン半島はヨーロッパの火薬庫」と習ったが、当時の旧ユーゴスラビアはチトーによって統一されていたので、あまりピンとはこなかった。しかし、今回初めて訪れてみて、この地域の歴史的複雑さを改めて実感させられた。 ドブロヴニクは、アドリア海の真珠と呼ばれていて、世界遺産に登録されている。旧市街 [続きを読む]
  • なぜ中止することができないのか―人間の本性なのか日本人の病根なのか
  •  今年は暑いと予報されていたが、予想にたがわない酷暑の連続で、連日、熱中症で搬送される人が後を絶たない。また死者も出てきている。この中で、なぜ屋外のスポーツを中止しないのだろうか。たとえば高校野球である。球児たちはある程度身体が暑さに慣れているのか、あまり熱中症は報道されないが(まさか、朝日新聞に「忖度」して報道されないというわけではないと思いたいが)、スタンド応援の高校生からは毎日のように熱中症が [続きを読む]
  • せめて新年度スタートを3月にできないだろうか
  •  今年の夏は暑いと予報されていたが、今のところ予想通りとなっている。暑さに弱い私としては、この時期は通勤だけでも体力を消耗してしまう。また、ここ数年、夏から秋にかけての湿気の酷さには、毎年悩まされ続けている。その上、地球温暖化の影響で、台風が強くなったのみならず、雨量も半端ないことになってしまった。今年の酷い水害も温暖化の影響なのだろう。 この暑さの中で、大学は試験期間を含めて8月の上旬まで前期が [続きを読む]
  • 昔はモラルは高かったのか―現在の学生の意見
  •  ワールドカップでなんと日本がコロンビアに勝つという非常に幸運な番狂わせを起こし、三連敗を予想した前回の記事の反省をしなければならないが、この総括はワールドカップ終了後ということで、今回は最近の私のテーマでもある、モラルの話題について触れたい。 今年度前期は久しぶりに一年生配当の「人間行動学概論」の後半半分を担当した。この授業では、野生環境で進化した脳が現代文明を創り上げたという途方もないテーマに [続きを読む]
  • 2018年ロシア・ワールドカップ予想
  •  私はサッカーについては完全な素人だが、ワールドカップのたびに順位予想ごっこをするのが慣例になっている。実際は、グループごとの順位予想から始めているのだが、ブログではベストフォー以上を予想してみたい。 ドイツとブラジルが各グループ一位通過すれば、対戦するのは決勝ということになり、優勝はドイツではないかと思う。ドイツは、最近のワールドカップ前の親善試合でも苦戦をし、またセンターFWが超一流というわけで [続きを読む]
  • 霊長類とヒトの順位制についての忘備録
  •  残念ながら霊長類や人類学的な研究にこれまでかかわることはなかったが(今からでも遅くないかもしれない!)、ここ20年足らずの間、私はヒトの推論能力は社会的哺乳類として進化してきたという立場をとっている。そして、近年、モラルにも研究領域を広げようかなと考えており、とくに、進化的に古い直観的なモラル判断と、進化的に新しい熟慮的なモラル判断、さらにはそれらへの文化的影響と、野望や妄想だけは広がるのだが、なか [続きを読む]
  • 日本語は聞き手責任言語?―日大アメリカンフットボール部の事例
  •  先日来、日大アメリカンフットボール部の部員による、関学QBへの危険なタックルについてのニュースやコメントが飛び交っている。内田正人前監督や日大側への批判が高まる中、当事者として日大の宮川氏が記者会見という異常な事態に陥っている。 おそらく多くの人は、宮川氏に、ケガの可能性がある危険なタックルをするように指示したのは内田前監督または前コーチと推定しているが、前監督はそれを否定している。そのやりとりを [続きを読む]
  • 小保方晴子って何? ―某国首相夫人との類似
  •  数年前のSTAP細胞研究における一連の不正、博士論文における剽窃など、まさに研究不正のデパートというべき小保方晴子氏だが、その後、『あの日』や『小保方晴子日記』といった手記を出版し、何とグラビアにまで登場という理解できないことが起きている。 バカバカしくて、2冊の本は読んでみたわけではないが、どうやらそれらの中で、不正の反省がなされているわけではなく、バッシング中の被害感情だけが述べられているらしい [続きを読む]
  • 白い皮膚の遺伝子?−NHKスペシャル人類誕生第2回(2)
  •  これまでの私の授業や講演等において比較文化の話をさせていただいたとき、文化差を説明するものとして、遺伝子頻度の差異、文化的伝統の差異、地勢・気候・生態学上の差異が考えられると述べてきた。しかし、私の専門領域である知性、推論、思考のスタイルの文化差については、遺伝子頻度の差異による説明はほとんどありえないと説いてきた。そうすると、必ず出てくる質問・疑問は、世界の人々は民族によって髪や目、皮膚の色な [続きを読む]
  • 「西郷どん」の視聴率低下―感情の押し売り?
  •  NHK大河ドラマ「西郷どん」の視聴率が低下している。これまでの大河ドラマの面白さと視聴率は必ずしも一致しているわけではないが、「西郷どん」については、私の中でも評価がちょっと下がりつつある。その大きな理由は、2月1日の記事、https://thinkingbythinker.blogspot.jp/2018/02/blog-post.htmlでも触れたが、何かが余っているからである。 西郷は、かなり感情が豊かな人物であったらしいことは、司馬遼太郎の「翔ぶが如 [続きを読む]
  • 北朝鮮はどうなるのかー板門店での歴史的会談
  •  一触即発の北朝鮮だったが、なんと金正恩総書記と文在寅大統領の歴史的な会談が板門店で実現し、懐疑的ではあるが、金正恩は核放棄の約束までしてくれた。非常に驚きだが、おそらく徹底的な経済制裁でどうにもならなくなったところで、文在寅が差し伸べた手に金正恩がすがったというのが実情ではないだろうか。もし、トランプと文在寅が示し合わせてやったとすれば、なかなかの戦略だが、このアメとムチは効果的だったのかもしれ [続きを読む]
  • 広島対長崎―初の被爆地チーム対決
  •  4月28日、V・ファーレン長崎がJ1に昇格したことによって、Jリーグにおいて、初のサンフレッチェ広島と長崎の対決があった。この試合は、被爆地対決として平和祈念マッチあるいはピース・ダービーとして盛り上げられたが、とても良い試みだと感じた。3月16日のブログで、イングランドのフットボール(英国では、サッカーとは言わない)文化の厚みについて述べたが、日本のサッカー文化も、こういう活動を通して地域に根付いたり、海 [続きを読む]
  • ユートピア・イデオロギーの弱体化―平和のためにはありがたいのだが
  •  この4月から、大阪南部の和泉市のいずみ市民大学で計8回の講師をさせていただき、すでに2回を終えた。タイトルは「心理学からみた現代」で、現代は人々のモラルが低下し、悪い時代になっているように思われるが、実は違うのだというということが主旨である。受講されている方々は、大半が私よりも年長と思われるが、非常に熱心で、こちらがタジタジとなる質問やコメントをいただくこともある。 2回目は、世界全体で戦争やジェ [続きを読む]
  • 大学文科系学部の価値―異文化共生
  •  3月の末にフランスから帰国したが、いまだに時差ぼけが治まっておらず、午後から夕方くらいに強烈な眠気に襲われることがまだある。しかし新学期は始まっており、なんとか新年度に適応しなければならない。 ここ10年くらい、日本の大学、とくに国公立大学において、人文科学や社会科学、いわゆる文科系学部が何の役に立つのかという議論が行われるようになった。そして日本では、文理融合的学部への編成が奨励されている。この [続きを読む]
  • フランスで知られた日本人作家と日本で知られていないフランスのマンガ
  •  フランスから日本へは、3月29日に帰着した。共同研究先のトゥール大学においても私の研究の発表時間をいただいたが、パリのInstitut Catholique de Parisで30分で発表したものを、1時間半ほどに引き延ばして発表した。その中で、川端康成の『雪国』の、主語がない文として翻訳者を悩ませた悪名高き一節である、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」についてちょっと触れた。ところが、川端康成はほとんどフランスで知ら [続きを読む]
  • フランス人からの日本人への質問
  •  フランスを発つのは3月28日なので、トゥールでの滞在もあと2日になった。フランスは、今日からサマータイムで、日本との時差は1時間縮まった。これまでの何人かのフランスの人たちとの会話の中で、一番彼らが不思議に思っているのは、伝統的な文化を残しながらなぜ日本はハイテクの国になったのかということである。最近、全国紙のフィガロが発行している週刊誌に、熊野古道の特集があり、その写真にある、社寺仏閣や、白装束の [続きを読む]
  • せっかくなので旅行記 ― ロンドン・パリ編
  •  ロンドンからパリに移動し、パリでのワークショップの後、モンパルナス駅からTGVにのってトゥールに着いた。あまり得意ではないが、せっかくなので旅行記を書いてみることにした。 ロンドンの主要観光地の中で、まだ見ていなかったのが、ロイヤル・アルバート博物館である。前に来たときは、この隣にある自然史博物館は見たのだが、ロイヤル・アルバートはまだ見ていなかった。大英博物館を見ておけばここは必要ないと思ってい [続きを読む]