Yama さん プロフィール

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Yamaさん: 思考研究の作法
ハンドル名Yama さん
ブログタイトル思考研究の作法
ブログURLhttp://thinkingbythinker.blogspot.jp/
サイト紹介文心理学を専門とする大学教員が、人間や文化とは何かを思索します。
自由文人間とは何なのかという問題について、さまざまな角度から思索を続けていきます。私自身は認知心理学というアプローチで、何らかの適応の結果から大きくなった脳が文化あるいは文明をいうものを創り上げ、それを利用したりそれに縛られたりしながら生きているのが人間だと思っています。私自身の出版物を解説したり、さまざまなことがらについて感想や意見を述べていったりしてみたいと考えています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供16回 / 37日(平均3.0回/週) - 参加 2017/11/03 16:50

Yama さんのブログ記事

  • 過去の記事 …
  • 死刑囚の臓器移植と功利主義―再度二種類の道徳的判断から考えてみる
  •  前回の記事が、功利主義とは5人を助けるために1人の犠牲を厭わないというもので、それが直観に妨害される例が、太った男を歩道橋から突き落とす場合だという趣旨とも読み取れるので、もう少し解説を加えたい。私は、功利主義の原則的賛同者だが、助かる人数のみが功利主義の指標というわけではない。 功利主義への反例としてあげられるのが、5名への臓器移植である。彼らは、肺、心臓、肝臓などそれぞれ異なる臓器移植が必要な [続きを読む]
  • 遺骸の金歯の抜き取り―二種類の道徳的判断から考えてみる
  •  先日、ネットの記事に、「祖父の葬儀での出来事です。火葬された骨を骨壺に詰めるとき、叔父が骨に混じっていた金歯を指して、『これ質屋に売るからもらっていい?』と半笑いで言うんですよ」という記述があり、ほとんどの人がこの叔父の非常識さに嫌悪を示したということが記されていた。私も、同じ印象を受けるが、それでは、なぜ遺骨の金歯を換金したら悪いのだろうか。使用されなくなった金歯を換金するのは合理的だし、もし [続きを読む]
  • 身体部位語―空間的・機能的拡張と身体感覚ベースの表現
  •  前回の記事で、身体部位を表す単語の連呼を記したが、そこからの連想で、身体部位語がさまざまな比喩表現として使用されている例を思い出した。この話題は、ロスアンジェルス在住のジョン金井氏の著作である『そうだったのか! ニッポン語ふかぼり読本』の中にも取り上げられている。なお、金井氏のブログは、氏の許可を得てこのウェブサイトからもリンクされている。 金井氏の中で取り上げられている例は、「顔を立てる」、「 [続きを読む]
  • ダンバー数を超えてー (下ネタ失礼します)
  •  社会的哺乳類として進化した霊長類には、集団が拡大すれば協同作業や外敵との争いという点で有利だが、集団の維持にコストがかかるというジレンマが常にある。集団が大きくなると、成員間の相互理解に大きな認知的負荷がかかるからである。そうした背景から、言語の起源についての研究で知られるロビン・ダンバーは、霊長類における集団のサイズが、脳における新皮質比率にほぼ比例するという法則を見出した。つまり、新皮質の割 [続きを読む]
  • 「哺乳動物が人間に馴れる」とは?
  •  15年ほど前にジャレド・ダイアモンドの名著である『銃・病原菌・鉄』を読んだとき、印象に残っていることの一つに、ユーラシアには輸送や長距離移動に利用できるウマがいたが、アフリカにはそのような動物はおらず、たとえばシマウマは絶対に人間に馴れないという記述がある。彼の主張は、それがアフリカの停滞とユーラシアの発展をもたらした要因の一つということだが、その議論から外れて私が素朴に感じたことは、動物が人間に [続きを読む]
  • 日本人は論理的に考えることが本当に苦手なのか―比較文化編
  •  前回の投稿では、少なくとも遺伝子頻度の差異で思考スタイルの文化差を説明するには無理があるという主張を行ったが、今日は、その思考スタイルの文化差についても触れておこう。拙著『日本人は論理的に考えることが本当に苦手なのか』でも解説されており、12月11日の大阪市大の公開講座でも紹介する予定である。 過去20年の間にさまざまな思考の比較文化研究が行われたが、その多くは東洋人と西洋人を比較したもので、1999年に [続きを読む]
  • 日本人は論理的に考えることが本当に苦手なのか―遺伝子編
  •  この秋冬の大阪市立大学の、「温故知新」と題した一連の公開講座の一つとして、12月11日の夕方、梅田の大阪市大の文化交流センターで話すことになった。演題は「日本人は非論理的? ―心理学の比較文化的研究から見えてくること―」で、種本は、拙著『日本人は論理的に考えることが本当に苦手なのか』からである。 日本の後進性がよく指摘されていた1960年代ならともかく、日本人が非論理的と考えている人は現代では少なくなって [続きを読む]
  • ボツワナ―「制度」によって豊かな国に
  •  最近、二つのきっかけでアフリカ南部の国、ボツワナに興味をもった。一つは、アセモグルとロビンソンの共著による『国家はなぜ衰退するのか―権力・繁栄・貧困の起源』の中で豊かになりつつある国として取り上げられていること、もう一つは、ボツワナ共和国の初代大統領だったセレツェ・カーマの実話を基にした映画である『A United Kingdom』を飛行機の中で見て感動を覚えたことが理由である。 ボツワナは、世界の最貧国が集ま [続きを読む]
  • 続・黒染強要事件から想像したこと
  •  前回は、高校の教員にやや同情的な論評を行ったが、その後、金髪の留学生にも黒染を強要したという報道があり、私の中で同情が唖然に変わりつつある。高校側からのコメントによれば、金髪や茶髪の生徒が混じっていると学校の評判が下がるからだとか。まあ、確かに、保護者の口コミというのはずいぶんいい加減で、「あっこの学校な、ちょっと見に行ったらな、茶髪おったで〜」「ほんならうちの娘、行かすのやめとこ」くらいの会話 [続きを読む]
  • 黒染強要事件から想像したこと
  •  生まれつき茶色の髪の女子生徒に黒く染めることを府立高校の教員が強要したということが問題になっているが、やはり多くの人々から批判が起きている。私も、これは、例えば、ガングロを校則で禁止するとき、アフリカ系の生徒に顔を白く染めることを強要することと本質的に同じだと思っていたが、これが人権にかかわることだというその程度の想像力がないのだろうかといぶかしく思っていた。 一方で、高等学校の教員といえばある [続きを読む]
  • 改憲論議の前に
  •  先日の衆議院選挙では、安倍晋三率いる自由民主党が多くの議席を獲得した。各党のさまざまな論点・争点がある中で、私が気になるものの一つに日本国憲法の改正、特に、第9条の修正がある。私はこれについては全くの素人ではあるが、心理学の立場からのグローバリズムへの適応等に関連して、どうしても関心が向いてしまう。 改憲論議が盛り上がるのは悪くはないが、私の中では、その前にもっと議論して欲しいと思っていることが [続きを読む]
  • 洞窟壁画
  •  一度この目で見たいものの一つに、約2万5千年から1万5千年前の間に、スペインのアルタミラ洞窟やフランスのショーヴェ洞窟で描かれた洞窟壁画がある。非常に生き生きとしたトナカイなどが描かれているらしいのだが、洞窟の中で、これを描いた人は何のために何を考えながら描いたのかを想像してみたいのである。 ただしこの洞窟画は、約1万年余り前には描かれなくなっている。私は、この理由を東からの農業技術を伴った巨石文化 [続きを読む]
  • おんな城主直虎
  •  昨年、HNK大河ドラマの「真田丸」が終了し、大きなロスに陥っていた。正直言って、その時点で今年の「おんな城主直虎」には期待していなかったのだが、これが、非常におもしろい。歴史素人の私には、史実についてはよくわからないが、昨年の真田丸と同様に、戦国時代の小領主にどのような苦難があったのかというリアリティも伝わってくる。そして、各登場人物の心理描写が丁寧で、それを演ずる俳優がそろって役者である。 今 [続きを読む]
  • 論文発表数の減少
  •  のっけから悲観的な話題だが、日本人研究者による国際誌での論文発表数の世界に対する割合がこの10年間で急落しているらしい。これはNature Index 2017 Japanによる報告で、日本人にとって大きな警告となっている。このニュースに対して、私の中で意外なという驚きと、当然だろうという矛盾した印象をもった。 意外という理由は、ここ10年ほどの心理学領域において、国際誌にかなり日本人若手研究者の論文が掲載されるようにな [続きを読む]
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