そらのかがみ さん プロフィール

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そらのかがみさん: そらのかがみ
ハンドル名そらのかがみ さん
ブログタイトルそらのかがみ
ブログURLhttps://soranokagami.com/
サイト紹介文書き散らかした物語や創作メモの掲載サイト
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供46回 / 265日(平均1.2回/週) - 参加 2017/11/27 00:05

そらのかがみ さんのブログ記事

  • 六 デュマの館  (六)
  •  六 「僕は、この翁に愛情を感じてしまった。それで、いいじゃないか。僕は、愛したいんだ」  友を、と口の中でかすかに言った。誰の耳にも聞こえなかったようだった。鼠は嘆いた。 「ああ、どうしてその感情を理屈でもって押さえつ... [続きを読む]
  • 六 デュマの館  (五)
  •  五 「愚かだな」  闇の太子が冷たく言った。 「賭博とは契約だ。一度結べば、覆るはずもない。返せというのがおかしいのだ。失うのが嫌だというなら、端から賭けねばいいだけのこと。そんな簡単な道理も分からぬとは、自業自得もい... [続きを読む]
  • 六 デュマの館  (四)
  •  四「なにすんだよ!」 放り出されて背中を打ったチトランシェが、怒って鉄格子から首を出した。 すると、仕事を終えて背を向けていた偶人たちは、後ろ向きのまま猛烈な速度でもって引き返した。後ろ手に、猫の首を牢のなかへと押し込めると、またそのままの姿勢で去った。 温もりのない手のひらで顔を押されたチトランシェは、そのいやにスベスベと真っ平らな感触を気味悪がったのか、全身の白い毛を立たせて、ぶるっと背筋を [続きを読む]
  • egword Universal 2
  • なんと!egword Universal 2が、復活!このワープロソフトを愛用していたんだけれど、Macのバージョン上げたら、使えなくなって、昔、書き散らかした小説が取り出せなくなっていたのですよそれが取り出せる!このサイトのコンテンツが増やせる!さすがに少しは推敲するので、掲載には時間がかかるとは思うけれどいやあ、よかったよかった [続きを読む]
  • 『レディ・プレイヤー・ワン』
  • レディ・プレイヤー・ワンオタク心をくすぐられてた映画思いたったが吉日ということで、ふと時間が作れたので、鑑賞してきたいやあ、メカゴジラ対ガンダム!にやにやしちゃうね世代的には、きっともっと上の人たちが楽しめるんだと思うアイアンジャイアントは見たことない見とけよー、と言われたけど、見なかった……ダーククリスタルは見てあったけどさシャイニングはホラーだから、スルーしてた2人の女の子が出てくるのは知って [続きを読む]
  • 六 デュマの館  (三)
  •  三「カディアス!」 そう叫んだのはチトランシェだった。そしてシバも、身体を鼠へと向け、一歩踏み出す――だけだった。 息を呑み、動かなかった。四肢には力がこもっていたが、身体中の筋肉は緊張し、荒い呼吸に胸腹が上下に打った。ギッと眼は見開いたが、そのまま頬が震えただけだった。仁王に立って、少年は立ち尽くした。 一方、白猫はすでに鼠を助けにシバの肩から飛び降りていた。左右に跳ねて、正面に立ちはだかる偶 [続きを読む]
  • 六 デュマの館  (二)
  •  二 だが偶人たちもそれに呼応し、動き出した。 成人男子並の背丈をもつ偶人は、棒状のパーツから成っており、まるで糸の無い操り人形のようだった。しかし素材は人骨獣骨を粉砕して練り合わせたものであり、人形として形は整えてはあるものの、それは骸骨にほかならなかった。 そして、なくした体格とは大きく外れたものであったが、自らの骨から成っているためだろう、死霊が宿りやすかった。さまざまな骨が混じっているため [続きを読む]
  • 六 デュマの館  (一)
  •  一 バザールの宿場から少し歩くと林があり、その奥に広い敷地の屋敷があった。 かつては見事な庭園と王国中に名を知らしめた名勝も、召使いたちが手入れを放棄して二十余年、庭は下草が生い茂り、踏石の跡も見えない叢林となり果てた。その奥に屹立する石塁にも蔦が絡まり、いやに濃い緑に覆われていた。 古くは宿場を守護する堅牢な砦であったが、勲に栄えある土地の豪族が褒美に賜り、太平の世に貴族となって屋敷とした。屋 [続きを読む]
  • 五 カシャラの濯ぎ手 (八・終)
  •  八 燿姫の無邪気な悪気――その心を妖艶な微笑に隠そうとして、それでも漏れてしまった悪戯ごころ――に、男は見惚れてしまったのだ。なにかを企み、それを隠しきれない拙さを、愛おしく感じてしまった。かつて、日だまりに遊ぶ愛くるしい我が子を眺めて、はじめて知った胸をくすぐる心地が励起した。心和む情緒を誤解し、恋の気分を抱いてしまった。 数日に及ぶ彷徨により、男は理性を自棄していた。訳の分からぬ、先の分から [続きを読む]
  • 五 カシャラの濯ぎ手 (七)
  •  七「あの男はお前を愛したというのか? ちがう。あの男はお前の見た目に恋をしたにすぎないのだ。いかにお前が醜いといえど、それは天上の星のごとき他の姫たちと比べればのことであり、人の身から見れば、お前とて、天下絶世の美を具している」「あなたさまに愛していただけないのであれば、どんな美ですらわたしを飾るものにはなりますまい」「美は形だけではないのだと、おまえはようよう知りえぬのだな。まったく、容姿の美 [続きを読む]
  • 五 カシャラの濯ぎ手 (六)
  •  六 はたして、二人は互いに抱きしめ合った。 男の背中に回した腕は、せっつくように手のひらを伸ばしつけて指を首に這わせていった。そこに男の汗を感じると、男の体臭を嗅ぎ取った。強烈なフェロモンを感知した。激しい欲情を思い知った。恐ろしかった。 途端に感じた性の匂いが胸に染みいり、隙間を作った。胸のうちにべとつくように垂れる臭気は、まるで硝子窓に流れ落ちる雨の雫のように、稲妻のような軌跡を描いた。亀裂 [続きを読む]
  • 五 カシャラの濯ぎ手 (五)
  •  五 穏やかな河の流れが二人を隔てていた。川幅は広かったが、底の浅い下流であった。妖魔の里を流れる第一の大河、翡翠の河は森と草原の境であって、カシャラは白燿に輝く丘から下りてきた。男は湿った土を裸足で踏みしめ、木々の脇から姿を見せた。 川向こうは遠かったが、カシャラには男の顔立ちから目の色まではっきり見えた。痩せこけて、弱々しいといった表情をみせる男は、しかしその茶色の瞳にはなにか、強烈な力を宿し [続きを読む]
  • 五 カシャラの濯ぎ手 (四)
  •  四「なぜ王を愛してはいけないのか」 うつむいた顔をあげ、カシャラは立ち上がろうとした。だが嗤いをやめた、冷たい視線を投げつける姫たちの目に射ぬかれて、気圧されて、腰が引けた。地面にぴちゃりと、顎の先から滴が垂れた。「汚らしい」 カシャラをかばうかのように言葉を並べ、しかし次には手のひらを返して辱めた、あの妹姫が毒気を込めて呟いた。それを聞いた姉姫は喜々とした色を浮かべた。鼻先で嗤いつ言った。「ど [続きを読む]
  • 『秒速五センチメートル』
  • 秒速五センチメートル新海誠監督の映画ですね。年末だか年始だかに、新海誠特集みたいな感じで映画がまとめて放映されていたのをビデオ録画してましたが、ようやっと視聴。いやあ、切ないストーリーだった。スローペースで続くのが、なかなかにつらかったけど。ラスト、山崎まさよしさんの曲、いいね。結局、喪失感を抱えたまま、彼はどうなって行くんだろう?大人になりきれない姿が、なんだか悲しくなった。 [続きを読む]
  • 五 カシャラの濯ぎ手 (三)
  •  三 テーブルの上で視線を交わす、うふふと笑う姫たちをよそ、カシャラはひとりうつむいたままだった。「あら、どうでしょう?」 また別の姫が声をあげると、カシャラは思わず渋面を作った。 いま口を開いた姫は、カシャラよりも百歳は年下の妹だった。しかもこの妹姫は、小馬鹿にしてくる妹たちの、きまってその先頭に立つ者だった。 だが、カシャラにとって自分を笑いものにする者が誰であれ、たとえその瞬間に激情として憤 [続きを読む]
  • 五 カシャラの濯ぎ手 (二)
  •  二 妖魔の城に、カシャラという名の姫がいた。 数多いる姫のなかでも、もっとも器量の悪く、根性の卑しい娘と蔑まされて暮らしていた。 カシャラは他の姫たちと同じように妖魔の王に仕えていたが、姉妹らからは下働きばかりを押しつけられて過ごしていた。王に面通しをすることなど、生まれてこのかた一度としてなく、これも自分の容姿が醜いばかりとカシャラは思った。それならば懸命にお仕えするしかないと信じた、いつの日 [続きを読む]
  • 五 カシャラの濯ぎ手 (一)
  •  一 いつ見上げても、紫紺の空に陽が昇ることはなかった。 月はあった。満ち欠けもあるようで、半月を見た。山の向こうから昇り、反対側へ下りていくのを見届けた。 星々が流転する空であったが、昼と夜の区別は、ただ空に浮かぶ巨大な玉の、白く輝くか輝かないかのいずれかだった。上空にいくつか浮かぶ輝けるその宝玉を、土地の住人は白燿と呼んでいた。「はくよう――白燿か」 そのひとつを見上げた青年は、視界の端にもう [続きを読む]
  • 四 おしゃべりな猫 (四)
  •  四  闇の太子は自嘲したふうに笑みを浮かべ、さらに続けた。 「日々がその繰り返しとあっては、いかに幾百の年が過ぎても里の在り処は分からなかった。ようやく見つけた妖魔の里の名残りの者も、この愚かしい小鬼とあっては、里へ帰... [続きを読む]
  • 四 おしゃべりな猫 (三)
  •  三  チトランシェは食われないことが分かると、ホッとしたように全身を弛緩させ、自分のしっぽにくっついたソースをペロリとなめた。すると、上機嫌なその味に目を丸くして、夢中になって皿の上をなめ始めた。  それを眺めながら溜... [続きを読む]
  • 四 おしゃべりな猫 (二)
  •  二 「僕たちは、妖魔の王の城を探して、旅をしている」  シバが言った。  一向は宿屋の一室に食事を持ち込み、卓を囲んで座っていた。広い部屋に仕切りはなく、壁の所々に燭台が掛けられていた。部屋の片側には四台のベッドが並べ... [続きを読む]
  • 四 おしゃべりな猫 (一)
  •  一「僕たちは」とシバが言った。 細く白い月の光が時計塔を照らしていた。広場は淡い夜の明りに照らし出され、起き上がろうとする少年が、青年の手にあるフレイルに腕を伸ばした。 苦しそうに、だが揺るぎない眼力を眉目に込めた少年を、遠巻きに多くの人たちが見守っていた。否、息を飲んで見つめるその眼差しは、恐れているといってよかった。 吐血し、口の端から赤い液を垂らしながら少年シバは言葉を続けた。「僕たちは、 [続きを読む]
  • 三 不死人の里 (五・終)
  •  五 言い切った。「俺が妖魔の里を見つけだす」 不死の力も弱いくせに。 そう思ったが、今度は口には出さなかった。 だが飲み込んだその言葉は、シバの頭を巡り続けた。不死の力も弱いくせに。「不死の力も弱いくせに」とラクーが言った。びくりと心臓が跳ねるのをシバは感じた。だが彼は笑いながら続けて言った。「翁組のブナ老がよく俺に告げてくる。不死の力も弱いくせにと。だから、なんだ。シバ、お前までそんな言葉を俺 [続きを読む]