月暈やこう さん プロフィール

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月暈やこうさん: ゲリラ部隊
ハンドル名月暈やこう さん
ブログタイトルゲリラ部隊
ブログURLhttp://bluerose098.blog.fc2.com/
サイト紹介文BL要素のあるオリジナル小説ブログ
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供82回 / 12日(平均47.8回/週) - 参加 2017/11/30 15:15

月暈やこう さんのブログ記事

  • 始められた葬送曲(82)
  • 「出て行けといっても、出て行く気はないんだろ? だったら今晩だけは、寝室を貸してやる。俺はこいつの家に泊まりに行くから、朝になったら勝手に出て行ってくれ」 隣から恨めしそうな視線を送ってくるジャックを無視してそれだけ言うとジョンはきびすを返す。「待って、あたしを独りにするの?」「そうだ」 背中に投げかけられた声を振り返りもせずに切って捨てる。 隣のジャックがどんな顔をしているか、あまり想像したくな [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(81)
  • 「でもやつらは俺を狙ってた!」「だが手を出してはいない。トキハラは自分から奴らと接触したんだろ? それが奴の意志だってことだ」「行かなきゃ、生きていられたかもしれないんだぞ!」「そうだろうな。だが、行った。おまえはトキハラの意志を無視するのか? どういう気持ちでそいつが組織と接触したのかはわからないが、それはそいつの意志だったんだろ? だったら、おまえがいつまでもうじうじと考え続けることを、奴は望 [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(80)
  • 「ま、おまえが堅物に見えたんだろ、彼女には」「?」「こんなにうぶな顔してちゃ間違ってもその筋の人じゃないってわかるからな」「それって俺がなめられてないか?」「なめられてるね、思い切り。でも、いいんじゃねぇ? そういうこともあるさ」「良くねぇよ!」「まあ、女の子がいる生活もいいさ。気分転換になって」 女顔の奴がいる生活なら送った事があるんだが、それとこれとは全く話が違う。「まずいな……」「…………。 [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(79)
  •    §「……そういうわけで、今おまえの家に俺とおまえとジェシカが集合しているわけだな」「説明的なセリフをありがとう」「茶化すな! 女に不器用って言うか、それ以前の問題だぞ、これは」 ジェシカにシャワーを使わせている間、二人は玄関に座り込んで話し合っていた。 むしろジャックが一方的にジョンに怒っているというほうが正確かもしれない。「だっていきなり初対面の女に付きまとわれて、あげく家に居座られても、 [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(78)
  • 「商売のことで上ともめたのよ! 見つかったら殺されるわ。かくまって欲しいの! でも警察は駄目。私自体が法を犯してるから。でも、死にたくないのよ。助けてよ!」 本心か嘘か判別できない。「一晩でいいから。お願い」「じゃあ、俺の友達紹介してやるよ。俺なんかよりかっこいいし、女の子との会話にも慣れてる。そいつも警官だしな」 言うとすぐにジャックに電話をかける。「よう、ジャック! ちょっと来てくれないか?  [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(77)
  • 「そんなに邪険にしなくたっていいじゃない」 確かに今日のジョンはいつにも増して他人に冷たい。 だが、今は人を近くに置きたくないのだ。 知り合いも、知り合いではない人も。 しかしそんなことはジェシカにはわからない。「一緒にいるくらいいいでしょ?」「悪いが、俺には付き合っている人がいるんだ」「あら、そんなの全然かまわないわよ。もとから独り身だとは思ってなかったし。いいじゃない、彼女にばれないつきあいな [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(76)
  • 「あなたの名前は?」「俺にはあんたを買う気も、買う金も無い。あんまりくっつくな。この国の法律で娼婦は違法になってるはずだ。刑事だからこの場で逮捕することもできるが?」 脅しをかけたところで彼女に怯える様子はない。「すごーい、刑事さんなんだぁ。じゃあ娼婦辞めるわ。それで、あなたの名前は?」 呆れて声もでない。 だが彼女には無視しているように映ったのだろう。 怒ったように言いだした。「ちょっと、こっち [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(75)
  • 「ちょっと無視しなくてもいいじゃない」「なんなんですか、あなたは」 極めて不機嫌そうに聞く。「何って、つれないわねぇ。少しくらい付き合ってくれてもいいでしょう?」「何の用ですか?」 あまりにまじめな口ぶりに、彼女は思わず笑い出す。「やぁだ、そんなに警戒しないでよ。あなたがずいぶんと難しい顔して歩いてたから、興味を持っただけよ」「……」「そんな顔しないでよ。一目ぼれしただけよ。察してよね、そのくらい [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(74)
  • 「久しぶり、マスター」 カウンターの中でグラスを磨いていたマスターは、入ってきたジョンを見て微笑んだ。「いらっしゃい。何にします?」「クラシック」 言われて、マスターは驚いた顔をする。 クラシックはジョンと時原が好きだったカクテルだが、時原が死んでから、ジョンは頼まなくなっていたのだ。 何かあったなとは思ったが、口には出さなかった。「はい、どうぞ」 マスターがクラシックを注いだとき、ちょうど客が入 [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(73)
  •    § 時原は自分のせいで死んだ。 ジャックには言ってないことが一つある。 それは時原がハッカー『OWL』だということだ。 『OWL』は依頼に応じて情報をハッキングし、売る。 値段は法外だが、技術には定評があり、危険がないため情報がどうしても欲しいという顧客は絶えなかった。 ジョンはそのデータバンクを管理していた。 もちろん初めは非合法な活動をしているなんて思ってなかった。 だが警察に入り、そこ [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(72)
  •    § ふと見ると、自分の手が血でぬれていた。 右手は血まみれの上に、さらに拳銃を持っている。 銃身が熱い。 撃ったばかりの拳銃。 そして目の前には血まみれの時原がいた。 死んではいない。「ジョン……おまえ……」 時原は両の目でジョンを見据え、手をのばしてくる。 その手が頬に触れるか触れないかのところで、彼の双眸から光が消える。 手は重い音を立てて床に落ちた。 見開いたままの目、血まみれの体。  [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(71)
  • 「挨拶のかわりに殴ろうとするのは、止めてほしいな」「何を言う。どうせおまえは簡単に防いじまうんだから、気にすることはない。――ロイ! こいつを更衣室に連れて行ってくれ」 近くに立っていた従業員を呼び出すクロウに、そんな手間を煩わせまいとマルスが口を挟んだ。「場所ぐらい覚えてますよ。ここでただ働きをするのは初めてじゃないですからね」 少しでも負け惜しみをしようとするかのような言い方に、クロウはまた、 [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(70)
  • 「えらく単刀直入だな」「じゃあ、どう言えばよかったんです?」「『ただ働きでもしますから、どうか泊めさせて下さい』と、切実に言ってみせろ」「あの……ただ働き、という部分がとても気になるのですが……」「言うのか、言わないのか?」「うっ……」 マルスが嫌だと言えないことを知っていて、クロウはにやにやと笑みを浮かべながら待っている。「ただ働きでも、しますから……どうか、泊めさせて下さい」「――よしっ、よく [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(69)
  •    § 深夜を回った頃、とある酒場にまた客が入ってきた。 中は薄暗く、強い光のカラフルなライトがランダムに辺りを照らしている。 絶えず音楽が鳴り響くなか、男女が踊ったり酒を飲んだりと、静かになる様子もない。 たった今入ってきたばかり客は、人の合間を縫って、静止したライトで照らし出されているカウンターへ真っ直ぐに向かった。 混み合う中、難なく空いている席を見つけて椅子に座るが、バーテンは客に目も向 [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(68)
  •  いつも命令に従うだけで、自分の意思を言ったことのないお前が。 それを聞いて、マルスは先ほどと同じような笑みを浮かべる。 命令には従う。 それは、命令にははむかえない体になってしまったから。 命令に自ら従った。 それは、あの施設でみたものをばら撒かれないために。 暫くして、一言呟いた。「何故、だろうね」 こんなことをミラームに言うつもりはない。 ミラームは、組織を大切にしているから。 けれども長年 [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(66)
  •    § パブから出ると、日は完全に沈み、闇色の空には月が浮かんでいる。「じゃあ、またな。――そうだ。今度ロンドン観光案内でもやってやろうか? 久々だろ、ロンドンも」「忙しいジョンに、そんな暇ができたら頼もうかな?」 マルスが笑うと、ジョンも笑いながら別れを告げて帰っていった。「――マルス」 丁度ジョンの後ろ姿を見送った後に呼びかけられ、マルスは振り返った。「あれは誰だ」 無表情のまま、ミラームが [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(65)
  •  マルスは、何でも言っていいんだよ、と言う。 それに、ジョンは苦笑する。「人のこと言えねーくせに」「なんだよ、心配してるんだよ」「俺だっておまえのことが心配だ」「オレは心配されるようなことはないけど」「嘘つけ」「ジョンこそ」 そこで二人は、ぶは、と思わずふきだして笑った。「ところで、イギリスには当分いるのか?」「うん。こっちには旅行に来ていてね。気が済むまで遊んでいるつもり」 少し悲しそうにマルス [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(64)
  •    §「ジョン。そういえば、さっきオレが現れることをわかっていたようなことを言ってたけど?」 パブでちょっとした食事を食べながら話をしていた途中で、マルスは先程から不思議に思っていたことを訊き始めていた。「いや、お前っていつも、会いたいなあって思った頃に現れるから」「なんだよ、それ」 くすくすと、マルスは笑う。 そんな顔を見ていると、恋人といる時とは別の安らぎを覚える。「ジョン、疲れてる?」「ん [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(63)
  •  男共と違って、マルスはほっとした表情。 急ぎ足で駆け寄れば、男どもは去っていった。「ひさしぶり。助かったよ」「自分ひとりでも何とかなったくせに」「そんなことないよ。それにしてもさっきの人たち何がしたかったんだろうな」 ナンパだよ、と言う台詞をジョンは言わないでおいた。「まあ、会えて何よりだ」「あまり驚かないんだな」「そろそろ現れると思ってたからな」「?」「ま、立ち話もなんだし、どこか寄らないか? [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(62)
  •    §「さてと、じゃあチーム結成を祝って飲みに行こうか!」「悪い! 俺今夜はパス」「マジかよ! 面白くねぇな。リィ刑事は行くだろ?」「すまないね、今日は一番下の子の誕生日なんだ」「ちぇっ、暇人は俺だけかよ」 拗ねるジャックを置いて、ジョンはオフィスを出た。 確かに最近付き合いが悪いから、そのうち付き合ってやるか。 などと考えて人ごみの中を歩く。 ちょうど仕事が終わる時間だからだろう。 街は同僚と [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(61)
  •    §「今回は多少強引な捜査も必要だ。だからあの二人と一緒にしたのだが、全く抑止力がないと大変なことになる。だから君をつけたんだ」 チーフはリィにそう説明した。 説明というよりは丸め込もうとしているといった感じがある。「はぁ……」 リィはすでに生返事を返している。「まあ君はいつもどおりあの二人の手綱を握ってくれればいい」「チーフ、私にあの二人をいっぺんに押さえ込むのは無理です。勘弁してくださいよ [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(60)
  • 「まあでも、俺らが配属されたとき以来だな、この組み合わせも」「配属早々問題連発したコンビだからな」「リィ刑事もかわいそうに」「おまえがそれを言うなよ……」 お互いの能力は低くない。 むしろ分野においては警視庁内でも一位二位を争えるだけの力量はある。 仲も悪くない。 だが、二人は知っていた。 お互いがとても向こう見ずで突っ走るタイプであることを。 だから相手には冷静さと、突っ走ったときにそれを抑えて [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(59)
  •  信じたくない気持ちもあった。 だが結論は残酷にも告げられたのだ。「そして最後にジャック・ニート、ジョン・スウィフト、リィ・トレヴァ−。ニート君には軍との打ち合わせを任せる。また、潜入捜査中のウィリー捜査官との連絡は今までどおりスウィフト君に一任する。では各自気を引き締めて行動するように。以上」 三人は声もでない。想像はしていたが、考えたくはなかった。「言っても無駄だとは思うんですがね、このチーム [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(58)
  •  信じたくない気持ちもあった。 だが結論は残酷にも告げられたのだ。「そして最後にジャック・ニート、ジョン・スウィフト、リィ・トレヴァ−。ニート君には軍との打ち合わせを任せる。また、潜入捜査中のウィリー捜査官との連絡は今までどおりスウィフト君に一任する。では各自気を引き締めて行動するように。以上」 三人は声もでない。想像はしていたが、考えたくはなかった。「言っても無駄だとは思うんですがね、このチーム [続きを読む]
  • 始められた葬送曲(57)
  •    § その日、ロンドン警視庁刑事捜査部第三班では先日の摘発とその犯人から得た情報をもとにミーティングを行っていた。「今回の銃器密輸の摘発で、重大な計画が発覚した。近日このロンドン市内で大規模な非合法オークションが開かれるというのだ。先日押収したのはその商品の一部で、市内にはもっとたくさんの密輸品が運び込まれている。我々はそれを捜査するとともに、オークションに潜入し、それ自体を網にかけるつもりだ [続きを読む]