AS さん プロフィール

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ASさん: ウィーン大の美術史
ハンドル名AS さん
ブログタイトルウィーン大の美術史
ブログURLhttp://histoirevienne.blog.fc2.com/
サイト紹介文建築、彫刻、絵画のはなし。
自由文ウィーン大学で美術史を専攻しています。
現在修士論文執筆中。西洋美術史をメインに書いています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供24回 / 165日(平均1.0回/週) - 参加 2017/12/05 04:08

AS さんのブログ記事

  • 過去の記事 …
  • Augarten Ausstellungen
  • オーストリアブランドのアウガルテン社が今年創業300周年を迎えます。アウガルテン社の前身は1718年に開窯した帝室磁器工房で、ヨーロッパではドイツのマイセンに次ぐ古い老舗です。日本でもTBSや日本テレビのウィーン関連バラエティー番組などで度々取りあげられ、今年のNHK版ウィーンフィルニューイヤーコンサートのロケ地にもなりました。今年はオーストリア国内でも本が出版されたり、ドキュメンタリー番組が組ま [続きを読む]
  • Transfiguration
  • 予告から一週間近く経ってしまいましたがラファエロの Transfiguration (1516−20年成立、405cm × 278 cm、ヴァティカン美術館蔵 )のはなしをします。この絵はラファエロが37歳で亡くなる年に完成しました。かなりドラマチックに演出された物語画。ユニークなのは上段と下段のコントラストで、画家の興味は上の聖人たちよりもあきらかに下の人々の絡み合った群像のほうに向けられています。手前真ん中の方膝をつ [続きを読む]
  • Die Antikenrezeption in der Renaissance
  • 3年前に履修したゼミで読んだ本を3年迷って買いました。絶版の古本です。扱う古本屋さんがだんだん少なくなってきたのでそろそろ買うことにしました。うえに写っている何やら不気味なブロンズ製の器は1520年頃にイタリアのパドゥアで制作されたそうです。オリジナルはウィーン美術史美術館にあります。ゼミでわたしに与えられた課題でした。実物から型をとった蛇がトリトンあるいはネプチューンのマスクにとぐろを巻いていま [続きを読む]
  • Passion Christi II
  • 復活祭も過ぎたというのに受難週モードが抜けないと思われるかもしれません。きっとここずっとバッハばかり聞いていて、マタイ受難曲の聴き比べをしているからか。ちなみにいちばん好きな録音はオランダのヘレヴェッへのライブ。ロヒール・ファン・デル・ウェイデン「十字架降架」(1435−1440年、油彩、220x262cm、マドリッド、プラド美術館)うえの絵は北方ルネサンスは初期ネーデルランド派の画家ロヒール・フ [続きを読む]
  • Anastasis
  • 建築をテーマに短文で書くと建築史っぽい内容になってしまいますが、今日はエルサレム旧市街にある聖墳墓教会にします。(行ったことはありませんが。)エルサレムは中世から今日まで東西をめぐる政治問題の中心地ですね。ギリシャ語で復活をアナスタスィスといい、ヨーロッパでは聖墳墓教会をアナスタスィス教会とも呼びます。ローマ皇帝コンスタンティン1世が335年に完成させました。息子の命を受けてコンスタンティンの母ヘ [続きを読む]
  • Passion Christi
  • 受難週にちなんで今回はキリストの絵にします。北方ルネサンスを代表する画家ハンス・ホルバイン(1497−1543)の作品 「墓の中の死せるキリスト」。1521−1522年成立、油彩およびテンペラ、菩提樹、30,5×200cm、バーゼル美術館蔵画家の父も同名の画家であったので、区別するため若い方のハンス・ホルバイン (Hans Holbein der Jüngere)と呼ばれています。北方ルネサンスといっても地理的にはベルギー [続きを読む]
  • Ecclesia & Synagoge
  • 前回タイポロジーとエクレシアのはなしをしたのでその延長線でシナゴーグのはなしをします。エクレシアには対があり、シナゴーグといいます。エクレシアはキリスト教および新約聖書の寓意像。シナゴーグはユダヤ教および旧約聖書の寓意像です。図像学において両者はほとんどの例で左右に対置して描かれています。前回アレゴリーの起源をギリシャといいましたが、エクレシアとシナゴーグは9世紀半ばからカロリング朝の写本や彫刻に [続きを読む]
  • Typologie
  • 13世紀にフランスで描かれた写本 Bible moralisée のウィーン版 。前回のつづきです。新旧約聖書の有名な情景が左右で対置させて描かれています。新約と旧約で対置させることをタイポロジーといいます。ここでは聖書解釈学の意味です。アレクサンドリアのヒエロニムス(347−420)がプラトンの「イデア」に基づいて体系化しました。ヒエロニムスは東方教会のモザイク画やローマ教会の写本などキリスト教美術のいわば文法をつく [続きを読む]
  • Bible moralisée
  • フランスの写本 Bible moralisée「聖書教訓」から一頁。天地創造するイエス・キリストが描かれています。この写本は1220年から1230年にフランスの宮廷で制作されました。4巻が現存しており、そのうち1巻がスペインのトレド大聖堂に、もう1巻がオックスフォードの図書館に、のこり2巻がウィーンのオーストリア国立図書館に保管されています。うえの頁はウィーンにあります。(Codex Vindobonensis 2554, 344 x 260 mm)キリスト [続きを読む]
  • カノン つづき
  • ポリクレットが紀元前5世紀に制作したドリフォロス(槍をもつ男)が「カノン」(ノルマ、規範)とも呼ばれている前回の話のつづき。 フィディアスと並んで生前から彫刻家として有名だったポリクレットのドリフォロスはかれの弟子たちをはじめ、その後数世紀にわたって立像彫刻の理想像になったわけですが、なぜこんなにポピュラーになったのでしょう。古典時代から現代美術まで、ある作品が時代を超えて受容されてきた背景にはそ [続きを読む]
  • カノン
  • 前々回にプリマ・ポルタのアウグストスが出てきたので、今日はこれに関連したテーマにします。 西洋美術の立像彫刻にはいくつか類型があって、アウグストスと似たような例でほかに有名なのは: ↑ ベルヴェデーレのアポロ。図版の例はローマ時代の有名なコピーでヴァティカン美術館にあります。オリジナルはブロンズ製でギリシャ時代紀元前4世紀に成立。このベルヴェデーレのアポロは西洋絵画のなかに度々描かれています。 ↑ ミ [続きを読む]
  • Um Gottes Willen!
  • はじめてこれを見たときギョッとしてしまった。このプリマ・ポルタのアウグストス(左 西暦15年成立、2,04m、ヴァティカン美術館所蔵、右 20世紀の復元、ミュンヘン国立ギプソテーク所蔵)は数あるアウグストスの立像のなかで最もポピュラーではないでしょうか。今でもメディアなどで出回っているイメージは左の(変色してはいるけれど)白い大理石のほうで、ほとんどのひとはこの像が着色されていたなんて知らないみたいで [続きを読む]
  • ベリー公のいとも豪華なる時祷書
  • 前回の投稿に「世にも美しい本」と表題をつけて思い出したのが「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」 (15世紀成立。縦30×幅21,5?。全208頁)。「ベリー公のいとも美わしき聖母時祷書」とならんで有名なゴシックの細密画です。ここでもわたしがついつい見とれてしまうのは背景にみえる建築。この「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」は西洋の写本のなかでも最高傑作といわれていますが、中世からルネッサンスの建築史をや [続きを読む]
  • ゴシック建築
  • 今日は予告通りゴシック建築について書こうと思います。 ゴシック建築は主に教会建築に代表されますが、図版に挙げられている例で共通するのはどれもバズィリカ様式で建てられていることです。縦長で、東が回廊で仕切られ、内陣が(ほとんどの例で)十六角形に収まっているのが特徴です。ゴシックより前のロマネスク時代にもバズィリカ様式はありましたが内陣の構造が異なり、東側の壁はたいてい水平に閉じられています。バズィリ [続きを読む]
  • 建築がいちばん好きだけど・・・
  • わたしは絵画より建築のほうが好きなのですが、いざブログとして書くとおもしろくない文章になってしまいます。物語があって完結しやすい絵画とちがって建築は建物を解体してほかの建物と比較するようなことを永遠とやるので、なかなか終わらないのが原因かもしれません。どうしたものか思案していたらよく出来た図版をみつけました。 Link: http://wk-blog.wolfgang-ksoll.de/wp-content/uploads/2011/10/Grundrisse-Fassaden1.jp [続きを読む]
  • ピエトロ・カヴァリーニのマリアの生涯 -キリスト生誕-
  • 1月6日は東方教会のクリスマスで、ウィーンにあるギリシャ正教会とロシア正教会のまえには信徒の人たちが集まっていました。今日の作品はローマのサンタ・マリア・トラステヴェレ教会にあるピエトロ・カヴァリーニのキリスト誕生を描いたモザイク画。カヴァリーニはイタリア・ルネッサンス萌芽期のトレチェント(14世紀)にジョット、ベリンギエリ、チマブエと並んでマニエラ・グレカを代表する画家でした。マニエラ・グレカと [続きを読む]
  • ナウムブルク大聖堂のウタ
  • 今年初の投稿は彫刻から。ギリシャ彫刻からはじめるつもりでしたが長くなりそうなのでまたの機会に。今日はドイツのナウムブルク大聖堂にある有名なウタの像にします。 上の平面図をご覧ください。ナウムブルク大聖堂には東西に内陣があり、西側の内陣(8の番号がふってあります。)には東方教会のように仕切り壁(9)があって、信徒は長堂(2)から内陣の奥へ立ち入ることができません。その閉ざされた内陣の内壁に等身大 [続きを読む]
  • 聖ステファノと「オルガス伯の埋葬」
  • オーストリアではクリスマスの翌日26日は聖シュテファンの日で祝祭日になっています。今年はクリスマスが月曜日でしたから三連休でした。今日は聖シュテファンを描いた絵を見てみましょう。聖シュテファンは新約聖書の使徒行伝に出てくるキリスト教で最初の殉教者です。聖シュテファンを描いた絵はいくつかありますが今日はエル=グレコの「オルガス伯の埋葬」(成立年1586−1588年)にします。聖シュテファンだけでなく [続きを読む]
  • ザルツブルク・フランツィスカーナー教会
  • 今日はザルツブルクにあるフランツィスカーナー教会のお話。ザルツブルクにある教会建築のなかでもわたしが一番好きな教会です。 この教会もヨーロッパに現存する数多くの教会と同様、18世紀にバロック様式に改装されてしまいました。ちなみにヨーロッパ人が建築に関して「バロック化された」と言うとき、そこには「されてしまった」という消極的なニュアンスが込められています。そして多くの教会建築と同様、このザルツブルク [続きを読む]
  • III 「ブルータスの邸に息子たちの遺骸を運ぶ警吏たち」
  • 前回の「物語画」のつづき。アルベルティが著した「絵画論」は画家が作品を制作するにあたって必要な文法書のようなもので、その典拠になったのがアリストテレスの「詩学」でした。「物語画」に描かれるテーマはギリシャ神話、新旧約聖書からの逸話、歴史的政治事件などで、物語のどの場面を描くべきかについては、アルベルティが「描くに最も値する瞬間」を選んで描くよう説いています。「描くに最も値する瞬間」というのは鑑賞者 [続きを読む]
  • II. 「ブルータスの邸に息子たちの遺骸を運ぶ警吏たち」
  • 前々回のダヴィッドのつづきをちょっとだけ。絵画には歴史画、静物画、肖像画などジャンルがありますが、なかでも最高峰とされたのが「物語画」でした。さて、ダヴィッドは「物語画」の王道を行った画家でした。今日は「ブルータスの邸に息子たちの遺骸を運ぶ警吏たち」を例に「物語画」の特徴を見ていきましょう。・まず人物が描かれていること。・その人物の心理が鑑賞者に明確に理解できること。・物語が描かれていて、その主 [続きを読む]
  • I. 「ブルータスの邸に息子たちの遺骸を運ぶ警吏たち」
  • 投稿第一弾はプロフィールに使用しているダヴィッドのデッサンから。フランスの画家ジャック・ルイ・ダヴィッド(1748−1825)が、「ブルータスの邸に息子たちの遺骸を運ぶ警吏たち」(1789年)の構想を練る際に描いたデッサンのひとつ。処刑された兄弟の死を嘆くブルータスの娘が描かれています。完成した作品を観ると右に描かれた人物がブルータスの娘です。顔を覆った人物像には歴史があり、ローマ帝国時代の学者 [続きを読む]
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