FrostedForest さん プロフィール

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FrostedForestさん: Forest of Stories
ハンドル名FrostedForest さん
ブログタイトルForest of Stories
ブログURLhttp://forest-of-stories.hatenadiary.jp/
サイト紹介文一編の小説を公開しています。現代小説ですが、恋愛や事件などに偏らず「人間」に焦点を当てて描きます。
自由文小説:出来事の重なりで徐々に全体像が浮かび上がる大長編小説。主要人物である竹内・倉下・早瀬・井上が人々と触れ合う様子を細やかに描く。
筆者:平成6年生まれ。某国立大法学科卒業。就職活動の困難を経て、大学4年の秋に内定を得た企業に滑り込み。仕事のストレスを小説執筆で癒す。この小説の構想を大学ノートにまとめていたら50枚=100ページが埋まってしまったほどで、書くネタには困らないが睡眠時間には困る見込み。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供12回 / 114日(平均0.7回/週) - 参加 2018/01/11 11:53

FrostedForest さんのブログ記事

  • 過去の記事 …
  • Leaf 11
  • その涙に、僕はどんな言葉を掛けるべきなのかわからなかった。何も言わずに黙々とピザを頬張るさとみは、こちらに気を配る余裕がないという様子である。時折浮かぶ涙が、店内の照明を静かに反射していた。「……こんな質問をするのは酷かもしれませんが、今後どうやって生活していくおつもりですか」聞くべきではないとわかっていた。しかし、これを聞かずに別れるわけにはいかない。相手は自分よりも若い女性二人なのだ。「ホーム [続きを読む]
  • Leaf 10
  • 「この一週間のことを話してもいいですか」なぜここまで話してくれるのだろう、と不思議だった。しかし僕にはその話を聞く責任があるし、その意欲もある。もはや僕は「知らない人」ではないのだ。倉下は、火事のことは知っているが、今日僕が二人と会うことは知らない。ただ渋谷でさとみとデートするのだと信じきっているのである。それでよいと思った。さとみから倉下についての話を聞いて以降、どうしても彼への不信感が拭えない [続きを読む]
  • Leaf 9
  • 話ができる程度の距離まで近づくと、彼女たちからは少し焦げたような匂いの中に汗くささが漂っていた。男性のそれとは異なるとはいえ、やはり嗅覚を強く刺激する。洗い立てのセーターが後ろめたく思えて、殊更にコートの襟を立てて話しかけた。「お疲れ様です」口をついて出た言葉がこれだった。二人は小さく頷いたまま、表情を変えない。言葉選びを間違えてしまったかもしれない、と直感して、慌てて言葉を継いだ。「ご両親におか [続きを読む]
  • Leaf 8
  • 針のような北風が、微動だにしない秋田犬の頬を刺す。その静けさの隣には声があり、歌があり、音がある。真っ白に覆われた冬空の下、渋谷の街は覚めない夢のように心地よい騒がしさに包まれていた。地下道から地上に出ると、早瀬さんは人混みから少し外れたところで、妹とともに立っていた。桜新町駅からしばらく歩いたところにある彼女たちの家まで付き添ったあの日から、僕は二人の早瀬さんを下の名前で呼ぶことにした。姉がさと [続きを読む]
  • Tree 1について
  • 筆者として皆様にお会いするのは初めてです。はじめまして。この記事の本題に入る前に、このブログについて簡単に説明させて頂きます。このブログは、オリジナルの小説を書き綴っているものです。このブログを一編の小説に見立てるならば、 “Forest of Stories”は書名ということになります。一方でカテゴリー名は「Tree」で統一しています。今回であれば「Tree 1」に当たるものです。これは章立てに相当するものとしています。そ [続きを読む]
  • Leaf 7
  • 車内に空いている席を見つけた早瀬は、ちょこちょこと駆け寄ると腰掛けた。彼女は正面に立った竹内をまぶしそうに見上げた後で、そっと目を瞑った。呟くように「せっかくリラックスしていたのに、余計なことを思い出しちゃった」と漏らした。尋ねると、両親の姿がちらついたと笑う。酔いのせいか疲労のせいか、と首を横に振る彼女の瞼には疲労の色が浮かんでいた。竹内はその小さな顔をしばらく見つめた後で、視線を吊り広告に移し [続きを読む]
  • Leaf 6
  • 「それから、一つ聞きたいことがあるんです。なぜ、さっき店を出たあと、倉下にあんな話をしていたんですか。ホテルに行こうかな、みたいな感じで」「ああいう話をしないと、倉下さんにいじめられるんです」「いじめられるというのは……、会社の人が言っているように、無理やりホテルに連れ込まれるということですか」「いえ、本来の意味でのいじめです。社内で無視されたり、変ないたずらをされたり」倉下のようなあっけらか [続きを読む]
  • Leaf 5
  • 竹内は、倉下と早瀬の関係性を密かに疑った。社内でどれほど仲が良いのか知る由もないが、軽くそのような話ができるのは「適切な先輩・後輩の関係」からはどこかずれている気がした。一階に降りた後に早瀬と二人きりで取り残された竹内は、彼女にどのように切り出し、どのように期待を裏切るかを思案した。「早瀬さん、あの――」「まさかホテルになんて行かないですよね、そのかわりに、どこかカフェにでも」突然真剣なまなざしに [続きを読む]
  • Episode 4
  • 倉下は「あれがさとみちゃんな」と耳打ちすると、「お待たせ―」と調子よく挨拶をした。これは大学時代から変わらない。彼にとって目の前の人の性別など無関係である。男子校出身の竹内には、これが共学校の実力かとまさに驚愕している部分だが、以前から倉下は「単なる性格の違い」と受け流している。竹内は店の前で会話が止まらない二人の様子を見て、ついていけないとばかりに首を右に少しかしげた。店員と倉下の双方に促されて [続きを読む]
  • Episode 3
  • やがて電車が隅田川に差し掛かったところで、倉下は竹内に微笑みかけてきた。「緊張してる?」「そりゃ女の子と会うんだから、まあ多少は」「そろそろ慣れた方がいいぞ」そう言われたからといって突然性格が変わるはずはなく、むしろ尚更に身が固くなる感覚を覚えるのだった。ゆっくりと紅茶を飲んで過ごすはずの午後が、急転直下この展開なのだから、落ち着いていられる方が珍しいのではないか。悔し紛れに「早瀬さん、どんな子な [続きを読む]
  • Episode 2
  • 「竹内、最近浮いた話とかないの」思えば倉下のこの言葉からすべてが始まったのだといっていいかもしれない。大学の部活動で知り合った彼とは、互いに就職してから3年が経った現在も交流を持っている。最近では結婚を意識する年齢になったこともあって、顔を合わせるといえば話題もそちらに傾きがちだった。「申し訳ないけど相変わらず女の子の影はないかな。倉下は彼女とうまくやってるんでしょ? いいよな、余裕で」「うーん、 [続きを読む]
  • Episode 1
  • 地下鉄のプラットフォームに下る階段に差し掛かった辺りで、スイングトップの内ポケットの中でスマートフォンが電話の着信を告げた。少しの緊張を感じながら画面を見ると、「倉下裕介」の名前が表示されていた。「――なんだ、倉下か」「おっ、張り切ってるじゃん。『健闘を祈る』って言おうと思って電話したけど、言うまでもなさそうだな」電話が切れるのを待っていたように、静かに地下鉄が入ってきた。普段は立つスペースもない [続きを読む]
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