welfair8 さん プロフィール

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welfair8さん: 誰も読まなかった幻の小説、「片端者」
ハンドル名welfair8 さん
ブログタイトル誰も読まなかった幻の小説、「片端者」
ブログURLhttp://bbiq8.seesaa.net/
サイト紹介文片端者の心理を描いたもの
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供184回 / 332日(平均3.9回/週) - 参加 2018/01/14 15:30

welfair8 さんのブログ記事

  • 鼻のない女性
  • 鼻のない女性が幸せになれるか。顔に大やけど負った少年に未来はある。この人たちの未来を思うと陰鬱になる。これが人生か。あまりにも悲惨である。鼻のない女性とすれ違った瞬間、彼女には微笑みさえあった。あの微笑は何を意味するか。彼らに比べれば自分はまだ幸せである。街中を歩いていく自由がある。にほんブログ村人気ブログランキングへhttp://ping.blogmura.com/xmlrpc/5ma91pvhf5rs [続きを読む]
  • 出会った若い女性
  • 恐らくは22、23歳の年齢の女性なんだろうが、顔に鼻がないのである。ひどい火傷で鼻の肉がないのである。火傷で鼻の高い部分が溶けてしまったのであろう。とてもそれは人間の顔ではなかった。鼻の穴が直接見えると言うか、骨が露出した状態なのである。正一郎はショツクで色を失ってしまった。にほんブログ村人気ブログランキングへhttp://ping.blogmura.com/xmlrpc/5ma91pvhf5rs [続きを読む]
  • 〓診察室です
  • 移植手術に関して詳しい説明があったので、正一郎は納得した。手術が成功をするか失敗するかはわからないが手慣れた感じが安心を呼んだ。ここで手術を受けようと決心する。診察室から正一郎が出ようとしたとき、若い女性とすれ違った。その女性の顔を見て正一郎は仰天した。にほんブログ村人気ブログランキングへhttp://ping.blogmura.com/xmlrpc/5ma91pvhf5rs [続きを読む]
  • 赤いネクタイをした先生
  • いろいろ言うと手術を断わられる恐れがあるので、「よろしくお願いします」と正一郎は頭を下げた。「今すぐ入院は出来ません」と赤いネクタイをした先生は言った。「いつ頃入院できるでしょうか?」と正一郎が答えると、「夏頃になるでしょう」と先生は答えた。気持ちとしては早くやってほしかったが、待つより仕方がなかった。気分的にはかなり明るくなった。暗かった毎日だが、、その暗いトンネルの先に一条の光を見出した。生き [続きを読む]
  • 皮膚移植
  • 「移植すると皮膚の色が変わるよ」と赤いネクタイをした先生は言った。「皮膚の色が変わっても構いません。このままではどうしょうもありませんから」と正一郎は答えた。皮膚の色が変わると言った先生の言葉は、実は患者にとっては衝撃をあたえるほどの深刻な事実だったのだが。そのことについては、正一郎は深く考えはしなかった。早く醜悪な火傷の瘢痕を徐去したいと思っていたから。汚い手と他人から言われるほど、それは美しい [続きを読む]
  • 赤いネクタイをした先生
  • 先生は非常に詳しく説明したので、正一郎は安心した。説得力があった。これだ、これだと思った。井芹先生の場合はあやふやで説得力がなかった。あやふやな感じは患者に恐怖感を抱かせる。赤いネクタイの先生の話には実際に多くの移植手術をしているという裏付けがあったのである。話はてきぱきとしていたし、自信が伝わってきた。にほんブログ村人気ブログランキングへhttp://ping.blogmura.com/xmlrpc/5ma91pvhf5rs [続きを読む]
  • 赤いネクタイをした先生
  • 先生は非常に詳しく説明したので、正一郎は安心した。説得力があった。これだ、これだと思った。井芹先生の場合はあやふやで説得力がなかった。あやふやな感じは患者に恐怖感を抱かせる。赤いネクタイの先生の話には実際に多くの移植手術をしているという裏付けがあったのである。話はてきぱきとしていたし、自信が伝わったkita. [続きを読む]
  • 赤いネクタイの先生
  • 赤いネクタイをした先生は手術の手順を説明した。お尻の皮膚を剥いで左手に移植するのだが剥いだ皮膚は潰瘍になり治るまでに3カ月以上かかると言う。左手はギブスをはめ、1カ月以上は左手は動かせないと言う。移植した皮膚は傷つきやすく、また手が曲がるようになるまで2カ月はかかると言う。にほんブログ村人気ブログランキングへhttp://ping.blogmura.com/xmlrpc/5ma91pvhf5rs [続きを読む]
  • 赤いネクタイの医師
  • 正一郎が火傷でぼろぼろになった左の手を見せると、赤いネクタイをした医師はにやりとして「これはいける」と言った。何だか変な気が正一郎はした。これはいけるとは何のことか。なんだか自分がモルモットになったような気がした。にほんブログ村人気ブログランキングへhttp://ping.blogmura.com/xmlrpc/5ma91pvhf5rs [続きを読む]
  • 有名な先生
  • 名前を呼ばれて、真ん中のカーテンを開けると三人のドクターが中にいた。三人の中で一番年を取った赤いネクタイをした医師が、「どうしたの?」と聞いた。この医師は移植手術の権威者で、有名な先生だった。それは後になって正一郎は知った。にほんブログ村人気ブログランキングへhttp://ping.blogmura.com/xmlrpc/5ma91pvhf5rs [続きを読む]
  • K病院
  • 飛行機で東京へ行くとわずかな時間で行けるのだが、経費を節約するために汽車で正一郎は東京へ向かった。K病院は大きな病院だった。受付には沢山の人が。人、人の群れである。さすがは大都会の病院だと正一郎は思った。診察室も四つのカーテンで仕切られている。にほんブログ村人気ブログランキングへhttp://ping.blogmura.com/xmlrpc/5ma91pvhf5rs [続きを読む]
  • 大学医学部カラー
  • 先生の機嫌を取っている暇はない。完全な手術ができるかどうかだけが問題だ。手の手術が得意な医者を探さなければならない。熊本に帰つてから大学の医学部などに手紙を書いた。長崎大学の医学部から手紙が来た。東京の?病院が一番進んでいるからk病院へ行けと書いてある。東京の飯田橋にあるK病院へ行くことに正一郎は決めた。にほんブログ村人気ブログランキングへhttp://ping.blogmura.com/xmlrpc/5ma91pvhf5rs [続きを読む]
  • 井芹先生,怒る。
  • 手術の予定の日、小倉の病院に正一郎は行った。診察室で井芹先生に会った時にどうも先生の様子がおかしいのである。前の手術のように自信が感じられない。足が震えているような感じがする。その日は入院せず、ホテルに泊まり、ホテルから先生の所に電話する。にほんブログ村人気ブログランキングへhttp://ping.blogmura.com/xmlrpc/5ma91pvhf5rs [続きを読む]
  • ある不安
  • 手術に失敗するととんでもないことになる。失敗は許されないのだ。顔の手術は傷跡が残ったが、まあまあの出来と言える。失敗ではない。手の手術は腿の皮膚を剥ぐと言ったが、腿では剥いだ部分何時も見えてしまうので、気が滅入ると思う。心理的にまずいと思う。剥いだ部分がきれいになるまで何年とかかるので。剥いだ部分がケロイド状になれば目も当てられない。にほんブログ村人気ブログランキングへhttp://ping.blogmura.com/xml [続きを読む]
  • 不信
  • 答えたものの、井芹先生、あまり自信がないようである。手の移植手術はあまり経験がないのではないか。前回の時は説明が具体的で黒板にまで手術の手順を書いたのに、今回はそれもない。何となくボウ―とした感じで患者としては不安の材料になるのである。にほんブログ村人気ブログランキングへhttp://ping.blogmura.com/xmlrpc/5ma91pvhf5rs [続きを読む]
  • 手の移植手術
  • 「難しいですか?」と正一郎が尋ねると「君の場合は皮下脂肪層までやられているので移植しなければならん」と先生は答えた。「どういう手術をするのですか?」「ももの皮膚を剥いで手に持ってくる」「どうやって剥ぐのですか?」「ローラーのような器械で剥いで手に持ってくる」「色は変わりますか?」「多少変わる」「期間はどのくらいかかりますか?」「今度はどのくらいかかりますか?」「今度は大部かかるよ。ギブスをはめるか [続きを読む]
  • 小倉へ
  • 3月になってから手術後の経過を見てもらうために正一郎は小倉に向かった。「顔の傷跡が膨れているような感じがするのですが」と正一郎が言うと、「後で機械で削ったらいいだろう」と先生は答えた。今度は左手の移植手術をやってもらおうと思って、そのことを正一郎は先生に尋ねた。先生はちょつと難しい顔をした。にほんブログ村人気ブログランキングへhttp://ping.blogmura.com/xmlrpc/5ma91pvhf5rs [続きを読む]
  • 自宅に帰る
  • 家に帰ると父親が正一郎に「顔はきれいになったな。手術して良かったな」と言った。喜びも束の間、夜になると耳の後ろのほうがきりきりと痛んで夜はなかなか寝付かれなかった。片頭痛でその夜はまんじりとも出来ず痛みで心臓がとまるのではないかと思ったほどである。にほんブログ村人気ブログランキングへhttp://ping.blogmura.com/xmlrpc/5ma91pvhf5rs [続きを読む]
  • 富田君の事
  • 退院する。病院の一階で富田君に出会った。来週の火曜日に顔の手術をすると言う。火輪で火傷し、顔に火傷の傷跡が残った。右の顔から顎、首の根元まで赤くなっている。若い富田君にとってそれがあることが屈辱なのだ。とても許せることではない。手術をすれば傷跡が残る。それでも手術をして火傷の醜悪な瘢痕を消したいのだ。その気持ちは痛いほど正一郎には解かった。途中、給油するときに、首を左に傾けて給油所の人から火傷の瘢 [続きを読む]
  • 退院
  • 今度は向こうのベツトの富田さんが「退院ですか、よかったですね」と声を掛けた。「ええ」と答えて正一郎がリンゴをやると、富田さんは「ここの人は本当にやさしい」といって見えない目をこする。隣の高橋君は戸畑の実家に帰っている。別れも言えず去っていくのは辛いと思う。にほんブログ村人気ブログランキングへhttp://ping.blogmura.com/xmlrpc/5ma91pvhf5rs [続きを読む]
  • 池田さんの事
  • 年齢は64歳だそうだが、若者のように若い。顔色は良く肌はつやつやしている。池田さんに比べれば、正一郎の手術後の傷跡などたいしたことではない。歩けるだけで幸せである。池田さんを看病している奥さんは毎日ではなく時々来るが髪は真っ白で疲労困憊である。気の毒なくらい疲れた表情をしている。患者の方は元気一杯である。にほんブログ村人気ブログランキングへhttp://ping.blogmura.com/xmlrpc/5ma91pvhf5rs [続きを読む]
  • 退院
  • 2月8日井芹先生,朝、早々とやってきて「もう退院してもいいよ」と言う。早く帰りたいと思っていたので退院と聞いて嬉しかった。正一郎が退院すると聞いて元炭抗夫の池田さんが「寂しくなりますね」と言う。腐った睾丸を除去して何となく元気がなくなったが、それでも安物のポータブルステレオを胸の上に置いて演歌を聞きご満悦である。にほんブログ村人気ブログランキングへhttp://ping.blogmura.com/xmlrpc/5ma91pvhf5rs [続きを読む]
  • 暗い青春
  • 決して暗い青春を正一郎は望んだわけではない。心のふかい所ではいつも明るい輝く青春を夢見ていた。顔のケロイドはなくなったが、手術跡の大きな傷跡が今度は正一郎を苦しめる。これではやくざ者として間違われる。こころ優しい正一郎としてはこのイメージは困るのである。手術を受けても苦しみが消えるわけではない。生きている限り苦しみは続くのである。けれども手術を受けてケロイドを消したことは、消極的ではない。明るい青 [続きを読む]
  • 高橋君
  • 「背中の痣が消えない限り生活に対して積極的になれないんだ」と高橋君は言う。暗い表情だが必ず病気は治すという強い意志のようなものを正一郎は感じ取った。間もなく病気を克服して元気な姿で職場に戻ってゆくのだろう。ふり帰ってみると、正一郎は青春は暗く、楽しい思い出がない。小さい頃、掘り炬燵の中に飛び込まなかったなら、こんなに苦しまなくて良かっただろう。顔のケロイドのおかげで、青春は輝きを失い暗い洞窟の中に [続きを読む]
  • 高橋君の事
  • 2ゲームをやった後で二人はボウリング場の喫茶室に入って行った。「上手だね。ボウリングはよくやるの?」と正一郎は高橋君に尋ねた。「うん、時々ね」と高橋君は暗い表情で答えた。「体の具合は?」「あまり良くないね。早く退院したいんだけどね」高橋君はあまり元気がない。悲しそうだ。正一郎の場合も困るけど、高橋君の場合はもっと困る。背中に出来た黒い痣がだんだん広がって来たそうだから。「気になって仕方がないよ」と [続きを読む]