massirona さん プロフィール

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massironaさん: 読書のきおく
ハンドル名massirona さん
ブログタイトル読書のきおく
ブログURLhttp://massirona4.blog.fc2.com/
サイト紹介文読んだばかりの、或いは過去に読んだ愛おしい本たちの255字レビュー
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供21回 / 28日(平均5.3回/週) - 参加 2018/01/25 11:10

massirona さんのブログ記事

  • 過去の記事 …
  • レアード・ハント『ネバーホーム』
  • レアード・ハント著『ネバーホーム』 柴田元幸訳 (朝日新聞出版) 途切れながら、過去の記憶と今と夢とを行き来し、語りたいことと語りたくないことの狭間で、声はときどきためらいを見せた。痛みを知る足を地につけ、帰る場所をいつも求めているようだった。女性でありながら、男性として戦争に参加した経緯も過去も、その声は含みを持たせ、核心を覆い隠すように、それでいてはっとするほど鮮烈に、雄弁に語り続ける。出来事 [続きを読む]
  • 井上隆史編『津島佑子の世界』
  • 井上隆史編『津島佑子の世界』 (水声社) 読むほどに津島文学に魅せられてゆく。人が生きるために、小説が与える夢が必要だと一貫して作品を通じて伝え、書き続けたこと。父親の不在、障害を持つ兄との絆とその死、息子の死、死者の声や弱き者の声を掬い上げ、事象の核心や現実に迫るように同じテーマで描いたこと。個人や現在を多様な視線で照射し、夢の時間はもう一つの現実となり、多層的な時間の中、個人を超えた人間の視点 [続きを読む]
  • イタロ・カルヴィーノ『木のぼり男爵』
  • イタロ・カルヴィーノ著『木のぼり男爵』 米川良夫訳 (白水Uブックス、白水社) どこまでも強情に、どこまでも自分を裏切ることなく、どこまでも忠実に生きたコジモの人生が、いつしか愛おしく瞼を熱くした。始まりは滑稽に思える。それでも樹上に生きることは、長きに渡れば、一つの彼なりの哲学、思想のように映る。反逆の天性も、頑固さも、樹上から見つめ、考え、望み、それらを愛し、苦悩を繰り返した。自らの掟の中に生 [続きを読む]
  • イタロ・カルヴィーノ『木のぼり男爵』
  • イタロ・カルヴィーノ著『木のぼり男爵』 米川良夫訳 (白水Uブックス、白水社) どこまでも強情に、どこまでも自分を裏切ることなく、どこまでも忠実に生きたコジモの人生が、いつしか愛おしく瞼を熱くした。始まりは滑稽に思える。それでも樹上に生きることは、長きに渡れば、一つの彼なりの哲学、思想のように映る。反逆の天性も、頑固さも、樹上から見つめ、考え、望み、それらを愛し、苦悩を繰り返した。自らの掟の中に生 [続きを読む]
  • 津島佑子『大いなる夢よ、光よ』
  • 津島佑子著『大いなる夢よ、光よ』 津島佑子コレクション (人文書院) 辿り続けた夢は、いつしかもう一つの生きた時間になっていた。夢の中に問い続ける亡き息子との日々、亡き兄、慕う存在、原体験とも言うべき記憶。夥しい記憶の中、戻らない時を反芻し、自らの過去以上に、現実と夢を行き来し、生き続けることを問う。何一つ否定できることなどない。何一つ苦痛を覚えず生きている人はいない。一つの世界を失っても、すべて [続きを読む]
  • 津島佑子『大いなる夢よ、光よ』
  • 津島佑子著『大いなる夢よ、光よ』 津島佑子コレクション (人文書院) 辿り続けた夢は、いつしかもう一つの生きた時間になっていた。夢の中に問い続ける亡き息子との日々、亡き兄、慕う存在、原体験とも言うべき記憶。夥しい記憶の中、戻らない時を反芻し、自らの過去以上に、現実と夢を行き来し、生き続けることを問う。何一つ否定できることなどない。何一つ苦痛を覚えず生きている人はいない。一つの世界を失っても、すべて [続きを読む]
  • アキール・シャルマ『ファミリー・ライフ』
  • アキール・シャルマ著『ファミリー・ライフ』 小野正嗣訳 (新潮クレスト・ブックス、新潮社) 幸せが重荷と感じるほど、悲しみは支えとなり、その痛みはときに人を救う。家族の希望を託していた兄が寝たきりになってから過る罪の意識や気後れ、根深くある悲しみや喪失の思いは、状況が悪い方へ進もうとも、物語の端々で家族を結ぶようだった。酒に溺れる父、周囲への怒りを抱く母。疲弊しながらも、息子への愛を祈る両親を見つ [続きを読む]
  • アキール・シャルマ『ファミリー・ライフ』
  • アキール・シャルマ著『ファミリー・ライフ』 小野正嗣訳 (新潮クレスト・ブックス、新潮社) 幸せが重荷と感じるほど、悲しみは支えとなり、その痛みはときに人を救う。家族の希望を託していた兄が寝たきりになってから過る罪の意識や気後れ、根深くある悲しみや喪失の思いは、状況が悪い方へ進もうとも、物語の端々で家族を結ぶようだった。酒に溺れる父、周囲への怒りを抱く母。疲弊しながらも、息子への愛を祈る両親を見つ [続きを読む]
  • 津島佑子『ナラ・レポート』
  • 津島佑子著『ナラ・レポート』 (文春文庫、文藝春秋) 母よ、母よ。子よ、子よ。様々な時代の記憶を辿り、夢と現実を行き来する物語は、失われた母、失われた子を思うがゆえの切実なる対話だった。引き裂かれた母子関係は、一人の物語をこえ、重層的に歴史や説話の悲劇と結びつき、広がりを見せる。記憶を重ねるために生きている私たちが求める、誰かに語ってもらいたい物語は、その切実さが募るほど心が描くのだろう。女という [続きを読む]
  • 津島佑子『ナラ・レポート』
  • 津島佑子著『ナラ・レポート』 (文春文庫、文藝春秋) 母よ、母よ。子よ、子よ。様々な時代の記憶を辿り、夢と現実を行き来する物語は、失われた母、失われた子を思うがゆえの切実なる対話だった。引き裂かれた母子関係は、一人の物語をこえ、重層的に歴史や説話の悲劇と結びつき、広がりを見せる。記憶を重ねるために生きている私たちが求める、誰かに語ってもらいたい物語は、その切実さが募るほど心が描くのだろう。女という [続きを読む]
  • コルム・トビーン『ノーラ・ウェブスター』
  • コルム・トビーン著『ノーラ・ウェブスター』 栩木伸明訳 (新潮クレスト・ブックス、新潮社) 日常に過る心の機微が細部まで伝わる。夫の死を経て、戻らない時間をいっそう突きつけられることも、子どもたちのことも、仕事のことも、周囲の人々との付き合いも、自分自身のことも、ときにやり過ごし、ときに強く向き合い、ときに喪失の中、ノーラは一人決断し、行動する。彼女の行動力は、自らをいっそう強く導くように、それま [続きを読む]
  • 津島佑子『半減期を祝って』
  • 津島佑子著『半減期を祝って』 (講談社) 生きてゆくべき領分、夢と現実の手触りがいつまでも後を引く。何を思って、何を期待して、何を諦め、生きてきたのか。読みながら否応なしに過る感情を抱えて、今という時を生き、そしてこの先も行くこと。作家の眼差しが語る言葉にはらはら呑み込まれながら、この世界も、人間も、何かを追い求め続ける不完全なものであることを教えられる。危惧するような世界になるのかは知れない。け [続きを読む]
  • 津島佑子『あまりに野蛮な』
  • 津島佑子著『あまりに野蛮な』 上下巻 (講談社)<上> 見えない人に問う、不在や空白が胸を打つ。あの頃に生きていた人たち誰もが、この世に戻ってくることはない。時間は止まることなく、流れ続ける。その流れを知ることができるのは、生きた人間だけ。死者たちは今を知らない。伯母が途切れながらも書き続けた手紙と日記を七十年以上経て、思いがけず時間や夢に迷い込むように読み続け、その地を踏みしめ、巡らす物語は、当 [続きを読む]
  • ヘラ・S・ハーセ『ウールフ、黒い湖』
  • ヘラ・S・ハーセ著『ウールフ、黒い湖』 國森由美子訳 (作品社) 過去に思いを馳せ、甦るウールフのこと。けれど国の内情をこえて、絆の深さを測れるほど、彼のことを知らなかった。永久に過去となったからこそ巡らす回想は、おおよそ生まれてからそばにいて、自分の生のあらゆる局面、思考、体験を共有してきた唯一の存在、原点とも言うべき友だちだったウールフと、自分を隔てた時を語り出す。今だからこそ、ウールフの表情 [続きを読む]
  • 小川洋子『口笛の上手な白雪姫』
  • 小川洋子著『口笛の上手な白雪姫』 (幻冬舎) 読みながら、ただ愛しさがあった。誰かのため、というにはおこがましく、自分のため、というには遠慮がある。謙虚さを備えた人々の孤独や生きづらさを掬い上げるように語るまなざしを、心から好ましく思った。ときにそれが狂気に結びつこうとも、そこに至るまでの過程には、作品の声に耳を澄まし、感じ取る思いがあった。分をわきまえ、控えめに生きる人がいた。自分以外のところで [続きを読む]
  • 津島佑子『狩りの時代』
  • 津島佑子著『狩りの時代』 (文藝春秋) 一括りでは語れない差別の根がある。傲慢に陥る私たちの姿がある。そんな光景を見る様々な出来事、簡単に覗けない人の心を巡らせ、人間の本質の変化を迫る問いと答えの狭間を物語はたゆたう。出来事は曖昧に過ぎ去りながらも、記憶や言葉の感触、痛みは忘れられない。言葉に拘ることも、自戒の感情も、どの悪にしても、誰しもどこかに身に覚えがあることをはっと思い知らされる。人間が人 [続きを読む]
  • 大江健三郎『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』
  • 大江健三郎著『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』 (新潮文庫、新潮社) 内面に喰いこむがごとく狂気は、巡らせば迫りくるほど近くにある心地になる。時代や社会として外部から、過去の経験から、自分の内部から、生きてゆく誰もの存在につきまとうのを思い知る。感覚と想像が豊かであればあるほど、悪夢や夢想は現実生活と同じ重みと具体性を帯びて、境は曖昧なまま、生々しいほどの本能のごとく内面と繋がり、人間の狂気を [続きを読む]
  • トニ・モリスン『青い眼がほしい』
  • トニ・モリスン著『青い眼がほしい』 大社淑子訳 (ハヤカワepi文庫、早川書房) 眼はすべてを見ていたかに思えた。いやおうなしに眼に入ってくるものを、理解できないことも問わず、求め、ただ見ていたと。それぞれの生涯は、とりわけ女たちの、少女たちの眼に凝縮されているようだった。けれど、眼に見えていることは一部に過ぎないのだと、読むほどに知らされる心地になる。愛すべきことも、憎むべきことも、土地に根差す人 [続きを読む]
  • イレーヌ・ネミロフスキー『フランス組曲』
  • イレーヌ・ネミロフスキー著『フランス組曲』 野崎歓・平岡敦訳 (白水社) 身に迫る戦争の姿がある。言葉は胸の内にあり、多くを語らない。理性でも心でもなく、その血潮や人間の本質をたどれば、敵味方、すべきこととすべきでないことの違いは、どれほどのものだろう。集団と個人の狭間に立たされ、葛藤と矛盾を抱える闘いの中、心は自由を求めていた。神の手に身を委ねるしかすべのないこと、混沌、忘却。時代における自分の [続きを読む]
  • 小池昌代『幼年 水の町』
  • 小池昌代著『幼年 水の町』 (白水社) 終らない幼年時代が疼いていた。当時は表現できなかったことも、すべを得た今なら言葉になる。無意識に抵抗していたことも、大人が小さく見える瞬間も、超然とした孤独に清々しさを覚えたことも、生きることのしんどさも、束の間の安堵も、沈む時も、ひたすら堪える友の姿も、行動できなくとも、何もできなくとも、目はつぶさに見ていた。言葉が侵入する前の幼年の感覚のなまめかしさは、 [続きを読む]
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