秀春 さん プロフィール

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秀春さん: Hideの本とエッセイと絵と詩などのブログ
ハンドル名秀春 さん
ブログタイトルHideの本とエッセイと絵と詩などのブログ
ブログURLhttps://hide7639.muragon.com/
サイト紹介文おすすめ本を中心にエッセイ、絵、詩などを掲載したいと思っています。
自由文おすすめ本やエッセイ、絵、詩などを載せたいと思っています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供168回 / 267日(平均4.4回/週) - 参加 2018/01/26 22:58

秀春 さんのブログ記事

  • エッセイ ゼルキンのモーツァルト
  • ゼルキン&アバドのモーツァルトのピアノ協奏曲集を聴き込んだ。ゼルキンは亡くなってしまったが、これが彼の最も良いモーツァルトの演奏となったようだ。ゼルキンはモーツァルトのピアノ協奏曲は弾くのだが、モーツァルトのピアノソナタの方はほとんど弾いていないようで、わたしは寡聞にして知らない。あんなにモーツァルトのピアノソナタを砕いて、見事に弾き熟したグールドは、何故か、ピアノ協奏曲の方は若い頃の24番の一曲 [続きを読む]
  • 「風の歌を聴け」村上春樹 講談社文庫
  • 村上の処女作です。ねずみと呼ばれる奇妙な男が登場しますが、曰く言いがたいリアリティーを持った男です。「羊をめぐる冒険」でも、やはりこのねずみが登場するのですが、村上の内面の心と切っても切れない関係を持った物語上の登場人物であることは、論をまちません。その内面の分析よりも、むしろ、その風の歌のような実在性にわたしは心をひかれます。 [続きを読む]
  • 「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」村上春樹 新潮文庫
  • この小説も二つの物語が、同時進行します。ユニコーンと言われる一角獣の骨の標本が、二つの話をつなぐ支点となっていますが、両話がどう繋がっているのかは、読者の判断に委せられているようです。ハードボイルドと静かな物語。ここで、村上の言いたかったというようなことを憶測するのは、野暮というものでしょう。村上は書きたかったことを書いたのです。村上の小説には「もの」に対する愛惜がにじみ出ているようなところがある [続きを読む]
  • 「ねじまき鳥クリニクル」村上春樹 新潮文庫
  • ある意味で、勧善懲悪的な物語と言っていいのですが、村上の語り口には、真新しさがあります。かなり残酷な場面が精細に描かれるのですが、読む者は、むしろ、目を背けることなく、作者と一緒になって、そうした場面が展開していくのに見入ってしまうようです。物語が終わった後は、明るい悪夢から目覚めたような気にさせられます。村上の佳品です。 [続きを読む]
  • エッセイ ある女流作家の言葉
  • 名前は忘れたが、わたしの心の中で、良く思い出されるある女流作家の言葉がある。 「自分は、モーツァルトやベートーヴェンになれるような才能はない。だから、作家なんていう商売は辞めて、人生を楽しもうと決めたのだ。」と 人が自分で決めた人生のことだから、とやかくいう義理はないのだが、この言葉を聞いて何か釈然としないものを感じた。作家として成功した人間の何か嫌な感じのする自負心をこの言葉に嗅ぎ分けたからであ [続きを読む]
  • 「海辺のカフカ」村上春樹 新潮文庫
  • 15才の少年が主人公です。猫と話せる中田さんも忘れがたい副主人公です。村上の文体には明るさがあります。これは、村上の確固とした人柄から直に来ているもののように感じられます。この「海辺のカフカ」では、フロイトやユングの深層心理学から得られた知見を十分に活用し、それを間然とすることのない物語に熟なして作り上げています。少年と中田さんの二つの物語が同時進行しますが、最後にそれが、古代文様の二匹のトカゲの [続きを読む]
  • 「羊をめぐる冒険」村上春樹 講談社文庫
  • ノーベル文学賞との噂の高い、村上春樹の初期の作品です。読む人の意表を突く巧みで斬新な比喩と、テンポの良いきびきびとした文体を用い、読む者をファンタジーとリアリズムの交錯する世界に引き入れます。村上ワールドと言われていますが、およそ、日本の近代文学には、その著者の家風に馴染まないと、読んでいけないような敷居の高さがありましたが、村上の作品はそこから抜け出して、土足で踏み込んで平気なような明るい開放感 [続きを読む]
  • 「ソクラテス」田中美知太郎 岩波新書
  • 田中美知太郎はギリシア哲学が専門の哲学者です。この人は、実のところ、ソクラテスにしか本当の興味を抱かなかった生まれながらの哲学者だった人と言っていいでしょう。プラトンの著作の数多くの名訳があります。剛直な論理の使い手で、西洋哲学を自分のものにするためには、三段論法を本当にしっかりやらなければならないと強調します。ソクラテスのもっとも大きな美点に比喩の天才を見るところは、田中美知太郎ならではの慧眼と [続きを読む]
  • エッセイ 死の観念というもの
  • 人間は、心の中でじつに多くの逃げ場をつくるものだが、その最たるものは、死の観念であろう。”死”ではなく死の観念である。 ラ・ロシュフーコーだったと記憶しているが、死を本当に思うことは、太陽を見つめ続けるのと同じく人間には、本来無理な仕業であると言っていた。 現今、ドクロのアクセサリーや小物が流行っているが、あれは単なる観念的な飾りであって、現代人が死に対する認識を深めている証拠ではない。 ただ、こ [続きを読む]
  • 「明治大正史 世相篇」柳田國男 講談社学術文庫
  • この歴史には、固有名詞がまるで出てきません。柳田は、ある特別の人物に焦点を当てなくても、歴史を書くことができるという信念のもと、「常人」と柳田が言う普通一般の人々を考察の対象とし、見事に明治から大正にわたる歴史を書き上げました。書中、「日本人は開国以来、軽度の興奮状態にあるのではないか」という言葉は、今のわれわれにもそのまま通用する非常な卓見のように思えます。民俗学の第一人者による「常民」の歴史で [続きを読む]
  • 「ザ・ジャパニーズ」エドウィン・o・ライシャワー 文藝春秋
  • ライシャワーは、もっとも有名で人気のあったアメリカの駐日大使でした。日本人よりも、日本のことをよく知っているのではないかと思われるくらいの日本通でした。この書は、そのライシャワーがどのような立場にも偏らず、ことばの確かな意味で客観的に、日本人についてその良否両面を明確に申し立てた、見識の高い日本人論です。文献としては、古くなった感が否めませんが、卓抜な日本人論と言っていいでしょう。この書の後に書か [続きを読む]
  • 「弘法大師とその宗教」菊池寛 大東出版社
  • 菊池寛が、同郷の偉人弘法大師の「十住心論」を学んで書いた書物です。菊池は、真言宗弘法大師の特に「即身成仏」の思想に注目します。これは、人間に非常な勇気を与える思想ではないかと感服します。菊池は、「弘法大師の小説も戯曲も書けなかった。しかし書こうと努めたおかげで、弘法大師のことをいろいろ知ることができた。その知ったことについて率直に語るのだ。」と言います。梅原猛の空海についての著作よりもずっと前の時 [続きを読む]
  • 「ユダヤ人と日本人」イザヤ・ベンダサン 角川文庫
  • 本当の著者は山本七平だと言われていますが、名著として名高い日本人論です。ユダヤ人から見た日本人という奇抜な発想がとられています。この書の中で、ベンダサンは日本人の思考法に触れ、パチパチ珠を弾くソロバンになぞらえて、日本人は頭の中に語呂盤を持っていると言っています。論理思考よりも直感的な思考を得意とする日本人の考え方をうまく突いた例えです。本書はロングセラーとなり、日本人を語るときに欠かせない書物と [続きを読む]
  • 「ポルトガル文」リルケ 角川ソフィア文庫
  • 失恋の深い心の傷手をどう癒やしたらよいのか。この人間にとって永遠の課題に唯一応えられる書物が本書でしょう。この書は、実際に真剣な恋愛におちいり、その恋に破れた若い女性が書いた手紙をそのまま本にしたものです。ここにあらわされた恋愛感情は誰のこころも打たずにはおかない真率なもので、読む者を強く揺さぶらずにはいません。恋に破れた女性は、僧院に向かい世を捨てます。男の方は出世し将軍となります。真剣な恋愛を [続きを読む]
  • 「病床六尺」正岡子規 岩波文庫
  • 子規晩年の四部作の中の一つです。子規は36歳で結核で世を去りましたが、この病気の特徴で、意識は臨終の最後まではっきりとしていました。子規の文体は、その死病に冒されていたと思えないような驚くほど乱れのない、健康そのものの精神を伝えるもので、しかも若年で世を去ったにも関わらず、円熟さえしています。子規には辞世の句が3句あります。「糸瓜咲て痰のつまりし仏かな」「痰一斗糸瓜の水も間に合わず」「をととひのへ [続きを読む]
  • 「抽象と感情移入」ヴォリンゲル 岩波文庫
  • 人間の美的感覚として、抽象衝動があることを結論づけた美学史上、画期的な論文です。十九世紀の終わり頃から現代に至るまで、画家たちが次々と抽象絵画を描くようになっていった。その先陣をきるようにして本書は世に問われました。ヴォリンゲルは、広場恐怖症と呼ばれる神経症者の症状に注目し、支点を持たない無際限に広がる世界に立たされたとき、人間は美的動機として抽象活動を行うということを、論証しました。抽象絵画の論 [続きを読む]
  • 「明恵上人伝記」 講談社学術文庫
  • 明恵上人は、鎌倉期の旧仏教華厳宗の名僧です。じつに不思議な伝説に富んだ人で、その無邪気極まりない人柄と相俟って、兼好も徒然草の中で、その逸話を取り上げていますし、明恵上人伝記は江戸時代にはベストセラーになっています。屋根裏の蛇が鳥を襲おうとしているのを神通力で分かってしまったり、客と話していて、一昼夜経ってしまったことも気付かず、今、訪ねてきたばかりのように茶を出したりとずば抜けた精神力の持ち主で [続きを読む]
  • 「僕の音楽武者修行」小澤征爾 文芸春秋
  • 世界的な指揮者となった小澤征爾が、若い頃ヨーロッパに渡った時のことを自伝風に纏めた本です。オートバイの後に日の丸の旗をなびかせて、ヨーロッパの街を疾走する自分の姿を書いたくだりは、なんとも微笑ましい意気盛んな若い日の小澤の姿があります。爽快な心意気に溢れたこの本は、若い人にはぜひ読んで欲しい一冊です。 [続きを読む]
  • エッセイ 日本人と自然の不思議
  • 日本は、夏は東南アジア諸国並みに暑く、冬は北欧の冬並みに寒い。また、日々の気温差が季節の変わり目には乱高下する。自然が厳しい国というだけでなく、自然災害は他の先進国と比べても、圧倒的に多い。地震、台風、豪雨、豪雪等々。 こうした国であるにもかかわらず、日本人は、ほかのどの国よりも、自然を愛でる。特に、季節を愛でるということにかけては、突出している。これは、自然の脅威もさることながら、自然の恵みも、 [続きを読む]
  • 「暦と占いの科学」永田久 朝日選書
  • 英語で9月の意味するセプテンバーは、本来7を表す数詞です。では何故この名称になったのか、そうした素朴な疑問に本書は丁寧に答えてくれます。また、暦が占いときっても切れない関係にあることを懇切に解説し、占うという行為が正確な暦を作る上で欠かせないものだったということを説き明かしてくれています。著者の平衡感覚は、決して占いを非科学的なものとして単純に退けることをしません。暦と占いについての正確な知識が得 [続きを読む]
  • 「人とつきあう法」河盛好蔵 新潮文庫
  • 河盛好藏はフランス文学者です。この本は、だれしも一度は悩む、人との付き合い方について著者が若い人に向けて書いたものですが、といって、自分の経験をかいつまんで、単なる処世術を書いたというような気楽な本ではありません。人とつきあうという人間にとって退っ引きならない業と真正面から向き合い、では、どうつきあうのが本当なのかじつによく考え抜かれた本です。人間は人生において人から一、二度だまされるくらいの人の [続きを読む]
  • 「不安と欣求」梅原猛 角川学術文庫
  • 角川書店が企画した仏教思想シリーズの中の親鸞についての書物です。当時、新進気鋭の学者だった梅原猛が中心になって筆が執られています。論文と対談という形式で構成されていて、仏教の初心者にも読み易い本になっています。学術的に提示される親鸞像と小説として描かれる親鸞像とを繋ぐ橋がないという嘆きが語られ、親鸞の思想を知るためには、親鸞の人生に肉薄することがどうしても必要であると強調されます。親鸞の素描と言っ [続きを読む]
  • 「義民甚兵衛」菊池寛 角川文庫
  • 菊池寛には「屋上の狂人」といい、知的障害者を扱った作品が多いのですが、この「義民甚兵衛」もそのひとつで、また菊池寛の中で最もよい作品ではないかと思われます。意地の悪い、悪知恵に長けた母親や兄弟から、知的障害の甚兵衛は苛められるのですが、甚兵衛の間抜けな正直さが、知らぬ間にあっと驚くような復讐を母親や兄弟にしてみせて、百姓たちから義民として崇めまつられて終わります。読後、爽快で充実した味を残す名篇で [続きを読む]
  • 「蕎麦ときしめん」清水義範 角川文庫
  • 名古屋人というものを知るためには格好の本でしょう。名古屋をこよなく愛する名古屋人の屈折した心情がよく書けています。熱烈なドラゴンズファンのタクシー運転手が、客から最近調子のいいドラゴンズを褒められると「あんなもんあかんわ。監督がアホだで。」と喜びを心中に押し隠しながら、素っ気なくそう応えます。名古屋人気質というものを巧みに描いた好著です。 [続きを読む]
  • エッセイ 年齢ということ
  • 「資本論」に、こんな言葉がある。「人が、半年生きるということは、その半年分、死に近づいたということである。」これを読んだ当時、また、年齢を重ねた現在も、この物差しで測ったような年齢についての見解には、砂を噛むような人生を見せられている気がして、どうしても、釈然としない思いを抱かせられたものである。まったく、唯物論的年齢観であろうか。 これに比べれば、孔子の言葉の方が、よほど気が利いている。心理学で [続きを読む]