秀春 さん プロフィール

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秀春さん: Hideの本とエッセイと絵と詩などのブログ
ハンドル名秀春 さん
ブログタイトルHideの本とエッセイと絵と詩などのブログ
ブログURLhttps://hide7639.muragon.com/
サイト紹介文おすすめ本を中心にエッセイ、絵、詩などを掲載したいと思っています。
自由文おすすめ本やエッセイ、絵、詩などを載せたいと思っています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供39回 / 30日(平均9.1回/週) - 参加 2018/01/26 22:58

秀春 さんのブログ記事

  • エッセイ 自分を信じるということ <アラン「幸福論」>
  • アランの「幸福論」の中に、こんな言葉がある。 「自分を信じるやり方に二つある。一つは学校式のやり方で、そのままの自分を信じるということ。もう一つは職場式のやり方で、自分を全く信じないというやり方である。」 どちらも軸となっているのは、自分であることに注目したい。 「ありのままの自分」とか「自分らしく」というような、今、はやりの言葉がある。これは、そのまま自分に酔って、自分と戯れることだけに終わって [続きを読む]
  • 「ワーニャ叔父さん」チェーホフ 新潮文庫
  • ロシアの近代作家チェーホフは医者でもありました。結核を患い44才で亡くなりましたが、その生涯は忍耐に忍耐を重ねた、聖職者のように清潔なものでした。作中のワーニャ叔父さんはどこにでもいるような、さしたる取り柄のない独身の中年男ですが、ある若い美しい夫人に恋をします。ワーニャ叔父さんは結局振られてしまうのですが、このツキから見放されたような男の心の苦しみには、平凡ですが、ある退っ引きならない必然性が籠 [続きを読む]
  • 自作詩 ゴッホ
  • ここに人間がいる オーヴェルの夏の空の下 大地の黄と空の青とが直に連続する 色調の緊張に抗し 裸心だけで立ち続ける奇妙な人間がいる よくよく見れば なんというボロ着を纏った 人生に踏みつけにされた男だろう 武骨な節だらけの手は 画筆より鶴嘴を握った方が よく似合う 頑丈な真っ直ぐな腰は異様な忍耐力の 確かさを思わせるが 双肩はすでに健康な均衡を 失っている 麦畑がざわめく 男はもう驚きもしない も [続きを読む]
  • 「空海の風景」司馬遼太郎 中公文庫
  • 司馬には、硬軟入り交じった著作が多いのですが、この本はその司馬の中でも、もっとも硬い方の著作に属するでしょう。剛直な筆致で、平安期の巨人空海を描きますが、著者の筆が思うように伸びず難渋しているのが分かります。筆者は、後記でこの伝説に包まれた巨人弘法大師の衣の翻りでもいいから描いてみたかったと言います。企ては果たして成功しているかどうか。私は際どいものを感じます。やはり、司馬には鎌倉期以降の日本人の [続きを読む]
  • 自作詩 セザンヌの余白
  • 書かれなかったことで 永遠に安らっている 隙間 サント・ヴィクトワール山は あんなにじっくり見つめられて逃げ出したくはなかったろうか 空さえも 動かぬ色を 剥き出しにされ 四角い額の中に収められてしまった 事物はみるみる表皮をはがされ 自然は その驚くべき心を われわれに通わせる そのとき 唐突に置かれる 一個の山 存在は 存在するという理由で しずかに揺れ 充溢した空白を作り出す 書かれなかった [続きを読む]
  • 「乃木大将と日本人」S・ウォシュバン 講談社学術文庫
  • ロシア戦役当時、筆者の米国従軍記者が、間近に見た乃木将軍の姿を捉えたものです。記者は、乃木をFather Nogiと親しみを込めて呼び、軍人としての賞賛には一顧も顧みず、漢詩を賞められるとニコリとする乃木の姿に、日本人の持っている武士道精神の精華を見たと言います。明治天皇崩御の際、乃木将軍殉死の一報がアメリカにもたらされるとアメリカ人士たちはみな、訳が分からない話だと首を傾げました。それを目にした [続きを読む]
  • 「殉死」司馬遼太郎 新潮文庫
  • ロシア戦役で最高司令官を務めた乃木希典を描きます。乃木は当時の論文で、「無能論」が書かれるほど戦術家としては取り柄を持たない人でしたが、松陰と同じ師によって教育されたその精神力は巨魁と言ってもいいものでした。有名な二〇三高地への攻撃命令は、まるで明日の馬の準備でもするような口振りで伝えられます。病に伏せっていた明治天皇を慮った場面は、巧まずに、読む者の微笑を誘います。生涯、一武人としての生を貫いた [続きを読む]
  • 自作詩 セザンヌ
  • セザンヌの髑髏は白い リンゴは熟れている ああ 軽い 実在のなんという正確な軽さ 空気はリンゴと 空は家と 人は木と 等質な存在 骨牌は礼拝と 日常は死と 切れ目なく繋がる リンゴは浮いているようにも また 世界の中で 確固とした位置を占めているようにも 見える このみんなから侮られ モティーフを求めて ホームレスのような風体で あちこち うろつき廻る男は いったい何者か 大きな世間しか取り合わな [続きを読む]
  • 「アメリカ素描」司馬遼太郎 新潮文庫
  • 歴史小説を得意とした著者が、アメリカについて書いた題名通りのデッサンです。ただ、司馬の眼光は鋭く。この不思議な大国の急所をよく見抜き、秀れた筆致でその暗部も明部も鮮やかに描き出してくれます。「普遍性があり便利なモノやコト、もしくは思想を生みつづける地域は地球上にアメリカ以外ないのではないか。」と著者は言います。憲法のみが国としての存立基盤である不思議な人工国家アメリカを語り、独自の文明論を展開しま [続きを読む]
  • 「馬上少年過ぐ」司馬遼太郎 新潮文庫
  • 戦国期の名将、伊達政宗を描きます。司馬のこの短編は、優に他の伊達政宗に関する書物を凌駕しています。題名は、漢詩もよくした政宗の「馬上少年過ぐ、世は平らかにして白髪多し、残躯は天の許すところ、楽しまずんば又如何せん」からとられています。政宗がこの漢詩を詠んだ時、戦国の世は終わり泰平の世が始まっていました。油断も隙もなかった戦国の世を振り返り、今の我が身を残躯<ざんく>と顧みました。戦国武将随一の名将 [続きを読む]
  • 「国盗り物語」司馬遼太郎 新潮文庫
  • 油売りの身から一国の城主にまでなった斎藤道三と稀代の天下人織田信長を描きます。道三の話柄には、多くフィクションが紛れ込んでいる感がありますが、一介の貧民から城主にまで登り詰めた男を描いて、痛快ささえ覚えます。信長については、「信長公記」があるおかげでしょう。写実的な筆致でその人物像を捉えます。戦国時代の二人の名武将を描いて、読み応え充分な書物に仕上っています。エンターテイメントとしても楽しめる小説 [続きを読む]
  • 自作詩 若い友の訃
  • 山縣よ お前は気ままに生きて 勝手に逝った 建設現場で得た金は酒と女に 費やされた アトピーを抱えた体も意にも介さず お前は不摂生を続けた それがお前の魅力でもあり欠点でもあったが 最期を見とる人はいなかったが 通夜には多くの弔問客が訪れたという 俺はお前が放った愚かな一言のために お前の葬儀に行くことを拒んだ 春だというのに雪が舞った ああ おろかなのはどちらだったろうか お前の死に顔は安らかだ [続きを読む]
  • 「世に棲む日々」司馬遼太郎 文春文庫
  • 数多い司馬の歴史小説の中でも、もっとも優れた著作と言っていいでしょう。吉田松陰と高杉晋作の二人の傑物を描きます。司馬は、日本は鎌倉時代になって、始めて日本人の顔が見えるようになると言っていますが、法然と親鸞の師弟の繋がりを先駆とする日本の師弟関係、時代は経て、幕末の動乱期になっても健在なまま保持されたこの強靱な糸を松陰と晋作の師弟間の中にも見ています。欧米列強の外患に対しても強い力を発揮したこの上 [続きを読む]
  • エッセイ 「罪と罰」再考
  • ある「罪と罰」の本の帯に、「ラスコーリニコフは、偶然、犯した第2の殺人によって自白する。」と書かれていた。だが、これは、大きな誤りであって、ドストエフスキーという詩人の思想を誤解するものである。「罪と罰」が感傷家によって、読まれた一例でもあるだろう。 こう質問してみよう。もし、偶然、リザヴェーダが居合わせなかったとしたら、彼は自白しなかったのであろうか。偶然とは、よくない言葉である。 ラスコーリニ [続きを読む]
  • 「楢山節考」深沢七郎 新潮文庫
  • 著者畢生の代表作、小説「楢山節考」です。舞台は、どことも知れないもの深い貧しい山村です。主人公おりんばあさんは、なんでも食いそうな自分の健康できれいな歯が恥ずかしく、石臼にぶつけて自分の歯をガタガタに傷付けたりします。この村は、いつもの食物に事欠くほど貧しいのです。やがて、おりんばあさんが裏山に捨てられる日がやってきます。おりんばあさんは、村の掟に従い、息子に付き添われて、雪の降り出した裏山に捨て [続きを読む]
  • 「アイヌの昔話」萱野茂 平凡社ライブラリー
  • 著者は、アイヌ民族出身の政治家でもあった、アイヌの昔話の収集家でした。本書はアイヌの人々によって口承されてきた昔話を著者が日本語に訳したものです。この昔話の中には、殺されたことで、「もう、悪事を重ねなくても良くなった」と自分を殺害した者に礼を言う悪?の話や我が子を焼いて「おいしい、おいしい」と言って食う母の話など、戦慄するような話柄があります。また、「わたしは」という一人称で始まる話が多いのもアイ [続きを読む]
  • 「海辺の光景」安岡章太郎 新潮文庫
  • 戦後第三の新人と呼ばれた作家の一人、安岡章太郎の代表作です。海辺の施設には、もう何も判別も判断も付かなくなった認知症の主人公の母が入所しています。主人公は母の傍らに付き添い、一夜を明かします。母との思い出を辿っていく中に、主人公は豁然と蒼穹が開けたような大きな心の境地に到達します。志賀直哉の名篇「暗夜行路」の最終場面を思い起こさせるような、美しい自然と一体になった場面です。日本人の悟りの在り様を考 [続きを読む]
  • 「砂の女」安部公房 新潮文庫
  • 舞台は、どことも知れない海岸近くの僻村です。主人公は、まるで人間用の蟻地獄の巣のような、とある一軒の砂に囲まれた家の中に、ふとした油断から堕ちてしまいます。自力ではどうしても這い上がれないその家の中には、一人の女がいます。村人達は、この女と一緒になって、この村の人間になるなら出してやろうと告げます。主人公の抵抗が始まります。現実と非現実が無機的に交錯する安部公房の作品の中でも、世界中で読まれた代表 [続きを読む]
  • 「五輪書」宮本武蔵 岩波文庫 
  • 日本一の剣豪として知られる宮本武蔵が、その自分の剣術の腕前の拠って来たる所以を書き著したのが本書です。武蔵はここで、「仏法儒道の古語をも借らず」つまり、伝統の力を借りないで、書物を著そうと企てています。こうした試みは、まず無惨な失敗に終わることが通例ですが、武蔵の場合は、少なくともその独創的な思想のデッサンは鮮やかに成功した数少ない例の一つです。武蔵の思想に「器用」と「勝つ」の二つがあります。器用 [続きを読む]
  • エッセイ 自由という女神 「『罪と罰』考」
  • 「罪と罰」のラスコーリニコフは、自分で抱いた自由思想を全人格で実践した男である。そこには、何の妥協もないのであって、誰にも、それを止める力はなかった。そうして、凶行を遂げた後に、良心の呵責が容赦なく襲いかかっても、自由を追い求める彼の悪魔的な頑強な人格は、それによって、崩壊することはないのである。そうなのである。彼は、豊かな良心を持った殺人者という、一見、不可能と見えるパラドックスを、強硬に生き抜 [続きを読む]
  • 「今年の秋」正宗白鳥 中公文庫
  • 日本近代の自然主義小説家正宗白鳥の最晩年の短篇集です。どの編も枯れ切った、宗教的な雰囲気さえ漂う名篇になっています。白鳥の文章は、味も素っ気もないもので、まるで活字そのものを読んでいるような気にさせられますが、そのために作品の純度は非常な高さに達するものがあります。白鳥は、若い頃キリスト教に入信しましたが、「教えを捨てる者は地獄に落ちる」とその宗教の頑なな性格に反発し、棄教した経歴があります。白鳥 [続きを読む]
  • 「知られざる傑作」バルザック 岩波文庫
  • フレンホーフェルという金持ちの老画家の話です。彼は、熱っぽく絵について語り、瞬く間に一枚の見事な絵を描いてしまうような腕を持っていますが、少し風変わりなところがあります。十年来、ある絵に没頭し、それが自分でも傑作かどうか判じかねているのです。ある機会があって、思い切ってその絵を信頼している画家の仲間に見せます。拍子抜けしたような画家たちの様子を見て、フレンホーフェルは絶望し、「わしはただの金持ちの [続きを読む]
  • 短歌 No.1
  • 夕日より強く激しき赤やあるなほ燃えんとす君の唇 夏座敷縁側降りる猫の子や耳をそばだて秋の音をきく すごいような夕焼け空のもと人間たちのたましいに動物たちのたましいが忍び込んだ 風はどうなっただろうか部屋は散らかっている 冬日差し鏡の国のアリスのみ逆さになりて書棚にありぬ 幻のごとくさくらは舞い上がり空に滲んで溶けて消えゆく 春の日の風はふんわり桜連れ川辺の道をはんなりはんなり 過ぎし日の思い出一つ [続きを読む]