lemar さん プロフィール

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lemarさん: cadeau
ハンドル名lemar さん
ブログタイトルcadeau
ブログURLhttp://cadeau.blog.jp/
サイト紹介文ご無沙汰しております lemarです
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供20回 / 290日(平均0.5回/週) - 参加 2018/02/13 15:15

lemar さんのブログ記事

  • 過去の記事 …
  • 風霜星霜0-3
  • この小さな国で、あれ程テレビで顔も晒されてまるで透明人間になったかのように雲隠れしたまま暮らせるものだろうか?出国したという記録もなかった。勿論、工作員によって北に連れ去られたという仮定も完全には否定できなかったが…。実際、この事件が盛んにテレビで取り上げられていた頃”美人女医”だから北にも利用価値がある。等と言った評論家もいた。だが、いくらなんでもチェ・ヨン将軍に成りすました工作員ってのも…そん [続きを読む]
  • 風霜星霜0-2
  • 『どうかこれは持って帰ってください。』押し返した段ボールはいつも相手に押し返された。『ほんの気持ちですから。私らは田舎もんで気の利いた事も出来なくてもっと“遣いでのあるもの”が差し上げられればいいんですがこれが精いっぱいで。』女医の両親が土地の一部を売って作ったという懸賞金も『懸賞金のお金が全部なんです。』今のところ目ぼしい情報が得られずその金は使われないままだった。女医は妙な格好の男に連れ去られ [続きを読む]
  • 風霜星霜0-1
  • 「班長、それまずいんじゃないっすか?今度来た警正は相当堅物らしいですよ。なんでも親は軍の高官だったってミンソクが言ってました。」「落下傘か?なら堅物でもなんでもないだろう。箱ごと警正の机の上に置いといてやるよ。」「いやそれが、本人は警察大学を首席で卒業してこの前のテロ騒動で最年少の警正に昇進したそうで…。融通が利かないって、上からも結構煙たがられてるらしいですよ。」カン刑事は感心しないようにパン班 [続きを読む]
  • 黄雀風 4
  • 「開腹しなきゃ、開腹。腹を開くの。」侍医に食って掛かる声は天人か。俺の腹の事らしいが、天の医員は俺の腹に巣食うアレをどうにかするつもりなのか。長い間、じくじくと膿み続けた腹の中は血肉が腐り、さぞやおぞましいものに違いない。「…オートリシスして…。」おーと…天の言の葉は呪詛か仏慈か。俺の腹の中で饐えた腐臭をまき散らす血肉はきっと天人の明るい眼を汚してしまったに違いない。だから俺は「…微細…焼いてしま [続きを読む]
  • 黄雀風 3
  • 目を開いた時、自分がどこにいるのか一瞬わからなくなった。確か、医員が赤々と火をおこした炭箱を持って中に入っていったのはついさっきの事だと思ったのに…。忙しく立ち働いていたはずの医員もテマンの横の椅子で作業台に突っ伏して座ったまま眠っていた。その上、何処も彼処も静まり返って何の音もしなかった。…という事は俺の隊長はもう大丈夫なんだろう。いつの間にか眠ってしまったようで固い床にうずくまったまま一夜を過 [続きを読む]
  • 黄雀風2
  • 「この患者はこのまま出血し続ければ手術しても死ぬわ。だから、やらせて。」チュンソクは溜息をつきながら主寝室に充てられるその部屋の障子を閉じた。寝台に横たわる隊長の顔色はさっきよりもさらに土の色に近づいていく。死人の顔色は時が経つと蒼白になるのではなく土の色に近くなる。それは仕官して少し経った頃、知った。二間続きになったその次の間では侍医に帯同してきた助手の医員が言い争う天人と侍医の声に耳を聳てなが [続きを読む]
  • Guimauve
  • 「何してるんだ。」遅くなって帰宅したヨンの夕食の相手をしながら「ちょっと腕のお肉がね」ウンスは左腕を上げるとその二の腕の肉をつまんでみせた。「その“肉”がどうしたんだ。」まくれ上がった袖から出た白い肌の弾力は勿論ヨンのよく知るところだ。煮魚を箸で器用にほぐしたヨンは「一口、食べるか?」とウンスに尋ねた。ウンスはヨンに首を振りながら「最近運動不足なんじゃないかしら。この辺が弛んできて、ほら。」そう言 [続きを読む]
  • 黄雀風1
  • 「サイコ」その女は俺をそう呼んだ。女の目が怯えたように俺を見ると何故か俺の心は傷つけられた。意味の分からぬ言葉で喚き散らす煩いだけの女であったが。かつて師父の血を吸った鬼剣はその時と同じくスルリと滑らかに俺を貫いた。自分で剣を握ったくせに腹に剣の刺さった俺を女が怯えた目で見ている。「命で償う。」戦場で死ぬるのではないが己が言葉を守るために死するのであればこれも高麗武士の死にざまとしては一つの在り様 [続きを読む]
  • 迂達赤のための応急処置講座 心肺蘇生術
  • 非番の迂達赤が雁首そろえて医仙の話にいちいち頷くと気を良くした医仙はさらに滑らかに弁舌をふるった。此度の講座は、事前に医仙と隊長との綿密な打ち合わせがあっての開催故、チュンソクは他の隊員と共に聴講するだけでよかった。しかも助手は”気の毒にも“トクマンが務めている。その為、最後列に座っていたが、そこは、医仙の背後で睨みを利かせる…いや、温かく見守る隊長からは一番離れた位置になった。だからという理由で [続きを読む]
  • 迂達赤のための応急処置講座 止血術
  • 「矢傷は無理に引き抜くと鏃の返しで神経まで傷つけることがあるから…。トクマンさん、ちょっとそれ貸して。」トクマンから受け取った矢を手にしたウンスが「その場で無理に引き抜かず。傷口にが広がらないように、この長い部分…箆(の)っていうの?」矢を示しながら居並ぶ髭面に問いかけると素直な“生徒たち”の頭が一斉に縦に振られる。私語もなく熱心に聞き入るお行儀のいい“生徒たち”の様子に満足げにウンスがにっこり笑 [続きを読む]
  • 天籟殷殷 後
  • 『お産は次の満月だから、心積もりしといとくれよ。』産婆がウンスにそう言っていたが…。― ホントに、そうなった。この星に住む生物は皆等しく月の影響を受けずにいられない。地球と互いに引き合う月は潮の干満を引き起こすその同じ力で、時に新たな命を与え、時に命を奪う。― どうか、今日は奪わないでそして、ウンスは不承不承に、しかし切実に、また月に向かって呟いた。― できるなら男の子を「初産なのに思ったよりも速 [続きを読む]
  • 天籟殷殷 前
  • 夜半に敲かれる扉。「ユ先生、夜分にすみません。ユン家から参りました。」「直ぐ開けます。ソル、往診セットをお願い。」真っ暗な夜の道。使いの者が持つ松明の灯りは早足で駆け急ぐその者の心持に応ずるように激しく揺れた。危険な出産になると聞いているのかユン家の使いの者の足は思いの外速くウンスとソルは息を切らしながら夜の道を殆ど走るようにしてその者について行った。松明を掲げた使いが案内する商家には既に何度か往 [続きを読む]
  • 月夜梅影 憐香
  • どこかで誰か…そう、若い女が笑っている声がした。明るいその声は早朝の宮城には不似合な程よく響いた。その笑い声は意中の男に聞かせる為…のような気がした。不思議な事だが女は女のそんな気持ちを敏感に感じ取る。男はどうなのだろうか。果たして、そんな女人の気持ちに気付くものなのだろうか?その声は少々無作法な気もしたが女官だろうか?あんなに笑って上役に叱られていなければよいが…。そう思うと不憫な気もした。その [続きを読む]
  • 月夜梅影 余芳
  • どこかで誰か…そう、若い女が笑っている声がした。早朝の宮城には不似合な無作法な程によく響くその声は妙に癇に障る。おそらく、その声に見え隠れする“あざとさ”がそうさせるのだ。その笑い声は意中の男に聞かせる為…のような気がした。不思議な事だが女は女のそんな気持ちを敏感に感じ取る。男はどうなのだろうか。心を乱したその声は始めたばかりの夏書の余白に墨を落とした。何を願うでもない手すさびに近い写経が急に虚し [続きを読む]
  • 白雨余花
  • どこかで誰か…そう、若い女が笑っている声がした。早朝の空に甲高く響くその声は妙に癇に障る。おそらく、その声に見え隠れする“あざとさ”がそうさせるのだ。その笑い声は意中の男に聞かせる為…のような気がした。不思議な事だが女は女のそんな気持ちを敏感に感じ取る。男はどうなのだろうか。曇天の仄白い朝だった。あちこちで朝の支度が始まっているのだろう厨の煙が何本も昇っていくのが見える。すぐ先の大通りからももう人 [続きを読む]
  • 迂達赤のための…
  • 「次。」「チョ・トクマン、行きまーす。」テャー上段に構えた木大刀を完全に振り下ろす前にその刀身を通してトクマンの腕に強い衝撃が走った。そして、痺れる程の痛さの中手の中の木大刀が何時の間にか宙を飛んでいたのに気付いた。― 傍によることすら出来なかった。「次。」ずっと昔、赤月隊はその命を懸けて国を守る無敵の集団だと教えられた。「もう一回お願いしますっ。」トクマンに向けた汗に上気した顔の中で射干玉の瞳が [続きを読む]
  • 雪紅梅 Ver.2
  • ふと目覚めると余りの静けさにこの世の音が全て消えてしまったかのような錯覚を覚えた。自分の耳がおかしいのかと声を出してみると「あー。」あたり前だが夕べと変わらず聞こえた。― 馬鹿だなそう思うと少し笑えた。底冷えのする空気のせいで部屋の中にいても自分の息が白いのがわかる。― もしかしてと、きんきんと指先を凍らせながら戸を少しだけ開けてみた。― やっぱり思った通りまだ明けきらない朝が全ての色を失ってしま [続きを読む]
  • 玫瑰思色
  • 「違うな…。」ヨンは手に取った赤い玉を掌で転がしたり日に当てて光の具合を見た後直ぐに興味を失ったように仰々しい羅紗の布包みに玉を戻した。― またか…マンボは呆れたように溜息をつくと無駄のような気がしたが「そいつぁ、めったに出回るもんじゃないんだぞ。それ程赤い珊瑚は西域でもずっと西の果ての果ての大秦の海でしかとれねえ。」言い訳のように言い添えてみた。さっきまでヨンが手にしていたのは滴るような血の色を [続きを読む]
  • 投果夫問
  • 「いい香りですね。」「あら、いらっしゃい。」開けたままの扉に大きな影が差すと甘い匂いの広がる部屋の中が少し狭く感じる。「さっき薬草園で棄てるっていうから貰ってきたのよ。虫食いとか傷とかがあって薬に出来なかったのね。これを捨てるなんてもったいないでしょ?こんなにいい匂いなのに。で、今日は何?」無邪気に開くその唇からは時折、酷く残酷な言の葉が漏れることを何故か直ぐに忘れてしまう。「…何って、別に…。」 [続きを読む]
  • 雪紅梅
  • ふと目覚めると余りの静けさにこの世の音が全て消えてしまったかのような錯覚を覚えた。自分の耳がおかしいのかと声を出してみると「あー。」あたり前だが夕べと変わらず聞こえた。― 馬鹿だなそう思うと少し笑えた。底冷えのする空気のせいで部屋の中にいても自分の息が白... [続きを読む]
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