闇の文学館館長 さん プロフィール

  •  
闇の文学館館長さん: キーツ詩集
ハンドル名闇の文学館館長 さん
ブログタイトルキーツ詩集
ブログURLhttp://blog.livedoor.jp/hall2011_68599/
サイト紹介文イギリスのロマン派詩人ジョン・キーツ(1795−1821) の作品を紹介
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供88回 / 230日(平均2.7回/週) - 参加 2018/03/15 03:33

闇の文学館館長 さんのブログ記事

  • チャールズ・カウデン・クラークへ(第84−132行)
  • テムズ河の澄んだ水に映る教会の尖塔せんとうを最後に見てから、 数週間が過ぎた。―― 東の薄暗い空から太陽が昇り、 芝草の野原や小石の多い小川に朝日の影が細い筋をつけるのを見てみたい、私はそう切望していた。 時間の経過に伴い、影が太く短くなってゆく様を見てみたい。 丘に漂う空気を肌で感じ取り、 小さな流れから、清らかな水を掬すくって飲んでみたい。 天上に振りまかれた大豆の花を寝床にし、そこに上半身を凭もた [続きを読む]
  • チャールズ・カウデン・クラークへ(第49−83行)
  • 私がこんなことを考えているうちに、 日々はゆっくりと、あるいは飛ぶような速さで過ぎていった。―― 今でも気が進まないのだ、 貴方あなたのために、退屈で無知なペンを手にするのは。それに今すべきことではない、長い知り合いであり、 初めて私に歌の素晴らしさを教えてくれた貴方でなければ。 壮大、甘美、簡潔、自由、繊細、 哀感に溢あふれ、真に神聖なるもの。 容易に逃げ出して、夏の海鳥のように、 浮遊するスペンサーの [続きを読む]
  • チャールズ・カウデン・クラークへ(第1−48行)
  • 貴方あなたはしばしば見ただろう、白鳥が厳いかめしい顔をし、 誇らしげに胸を反らして、自分の白い影の上に坐っているのを。 彼は輝く湖水の下へ、音も立てずに首を傾けるので、その首は銀河から届いた一条ひとすじの光のようだ。 程なく彼は遊び始める。――翼を拡げ、西風のようにナイアドに求愛し、 湖上を波立たせ、水晶の水面から ダイヤモンドの雫しずくを掬すくい取り、それを乳白色の巣にたくわえて、 暇なときに少しずつ [続きを読む]
  • 弟ジョージへ(第123−143行)
  • 今も私は、海の波の上で誇らしげに聳そびえ立つ高い断崖、その頂上を飾る花の寝床に横たわっている。 花の茎と葉は、私のタブレットの上に ゆらゆらと影を落としている。また一方では、 穂を垂れた烏からす麦むぎの畑が拡がっており、 麦の間から罌粟けしの真っ赤な花が顔を覗のぞかせている。それは生意気なくせに役立たずだから、 人間にとって有害な軍人の赤いコートを思わせた。また反対側では、紫と緑の筋がついた海原うなば [続きを読む]
  • 弟ジョージへ(第67−122行)
  • これらは詩人の生きた楽しみだが、 後世の評価は、さらに貴重なものだ。 誇り高い眼差しが死の霞かすみをさまよう間、 彼は今いま際わの際きわに何をつぶやくのだろう? 「この鈍い土塊つちくれの鋳い型がたを現世うつしよに残すことに未練はない。だが、私の魂は後世と高尚な会話をするだろう。―― 愛国者は、 私が鳴らす厳粛な警告を感知して、 鞘から剣を抜くだろう。あるいは議会で私の詩が高らかに読まれると、 惰だ眠みんを [続きを読む]
  • 弟ジョージへ(第1−66行)
  • 頭は混乱し、精神は重苦しく、そうした陰鬱な時間を、 私はどれだけ過ごしてきたことか。それは蒼天から届く天球の調べを聞くことができないと思った季節のこと。 幕状電光が明滅する空の彼方を視界が暗くなるまで見つめたり、あるいは波打つ草の上で仰向けになり、 星を眺めて聖なる思索を深めようとしたのだが。 紅くれないに染まった西空に綿毛のような雲が浮かび、 二筋の光の間に黄金の竪琴が微かすかに見えても、アポロの歌 [続きを読む]
  • ジョージ・フェルトン・マシューへ(第53−93行)
  • こんなことを書いても空しいだけだ。―― ああ、マシューよ、 僕があの乙女に会える場所を探すため、力を貸してくれないか。――そこで僕たちは温かい人情家を気取って、 一緒に座って詩作をし、チャタートンのことを考えよう。あの心優しいシェイクスピアは、月桂冠を戴いただく四人の精霊を遣わし、彼を天国へ招き入れた。 僕たちは、時代を超えて一条の光を遺のこした全ての賢者について畏敬をもって語ろう。 君はミルトンの盲 [続きを読む]
  • ジョージ・フェルトン・マシューへ(第1−52行)
  • 詩にまつわる歓びは麗うるわしいが、 仲間による歌の合作は二重に麗しい。 彼らが仲間の詩人として享受したものより、 満ち足りた運命、本物の歓びは、マシューよ、記憶を辿たどってみても見つからない! 彼らは力を合わせてその才能を発揮し、 演劇のミューズに勝利の記念碑を掲げたのだ。この大いなる協力が、天才を愛する心に高貴で、偉大で、善良で、人を癒いやす全ての感情を拡げてゆくのだ。寛大すぎる友よ! 歓んで君の後 [続きを読む]
  • ああ! あの日、僕が
  • ああ! あの日、僕が出会ったものを知っているかい。あの山並みのさらに向こう側、 険しい岩をつたい降りて、 苔こけ生むした泉に行ったときのこと ――ああ、金髪のメアリーよ、 多少の憶測が入るのは許しておくれ ――あの道での出来事には、 曖昧あいまいな点もあるのだから。 急流にかかる石橋まで来たときに、 濃い霧の中で見たものは、 馬に乗った行列だった。――そして行列が谷を駆け下りたとき、 彼らに会うため、僕も急 [続きを読む]
  • 丘を越え、谷を越え
  • 丘を越え、谷を越え、 小川を越えて、ドウリッシュの町へ ――生しょう姜が菓子売りの女房たちは、貧しい商いを営み、 生姜入りクッキーは、小さくなる。お転婆娘のベティときたら、丘を駆け下り、 華やかにペティコートを蹴り上げる。 「君がジルなら、ジャックになりたい」と、僕は言う ――そこで彼女は陽気に草の上に腰を下ろす。「誰かさんが来る、誰かさんが来る!」 「それは言い争っている風さ」と、僕は言う。そこで彼女 [続きを読む]
  • 魔法使いが現れそうな夜
  • 魔法使いが現れそうな夜、 丸い月が輝いている。 星は煌きらめき、 目を光らせ、聞き耳を立てているようだ ――星は何を聴いているのだろう? 歌と呪文を聴こうとしている。 見るがいい、驚いた星が煌めき、そして月は私の言葉を聞こうと、 熱く大きくなっている。 月よ! お前の金色の耳を大きく開くがいい ――聴け、星よ! 聴け、天体よ! 聴け、汝なんじ、永遠の空よ! 私は幼子おさなごのための子守唄を歌おう、 可愛い子守 [続きを読む]
  • 近代の恋愛
  • ところで恋とは何であろうか? それは怠惰のために、 甘やかし、愛撫し、あやそうと、華美に装よそおわれた人形だ。それは優しくも誤った名を持っており、あまりにも神聖すぎるため、 愚かな若者は恋することによって、それを神々こうごうしいものにできると考え、ひと夏の間、欠伸あくびをしながら恋に溺れる有様。その挙げ句、娘の髪の櫛は真珠のタイアラで作られ、 凡庸ぼんようなウェリントンたちが、ロミオにブーツを履き替 [続きを読む]
  • オーブリ・ジョージ・スペンサーに
  • (レノルズ嬢の)この芳名録ほうめいろくに書かれた、 彼の見事な詩を読み、 以下の試みは、いずれにせよ、それに対するささやかな賛辞を述べるためのもの若き詩人よ、君はその鳴り響く竪琴をどこで知ったのだ? 快いアクセントと優しい音色をどこで? 居間の暖炉の側に、心地よく座ることをどこで?つまり君は、アポロとどのように話をつけたのだ?その輝く道で、こうして私を試すため、ミューズは私を啄ついばむ烏がらすを飼うだ [続きを読む]
  • ネブカデネザル王の夢
  • 梟ふくろうや蝙蝠こうもりに餌をやりに行く前に、ネブカデネザルは忌まわしい夢を見た、 奥様がたが、自分の作ったクリームスープの中で、 二十日鼠とどぶ鼠が模擬海戦をする様を想像するよりも、もっと悪い夢を。 怖れた彼は、「猫族の明君」を呼びにやった。 召された若きダニエルは、鋭い眼光もたちまち失せて、こう言った ――「貴方あなたの王おう笏しゃくには麦藁むぎわらほどの価値もなく、 貴方の玉座には古い靴拭くつぬぐ [続きを読む]
  • 俗悪な迷信を嫌悪して書く
  • 教会の鐘が陰気に鳴り響き、 信者たちを人知れぬ祈りにつかせ、 人知れぬ憂鬱や、より怖ろしい不安へと誘い、 忌まわしい説教の声に耳を傾けさせる。 確かに人の心は、何か暗い呪文によって堅く縛られている。 炉ろ端ばたの歓びや、リディア調の音楽や、栄光の月桂冠を戴いただく者たちとの高尚な会話を振り払い、誰もが去ってゆくのだから。なおも、なおも、鐘は鳴り響き、私はきっと、じめじめした寒気を感じるのだ ―― あの墓 [続きを読む]
  • 詩人
  • 朝に、昼に、夕べに、そして真夜中に、 彼は魅惑の世界に足を踏み入れる、 植物や、洞窟や、岩や、泉から、 珍しい霊を召し出す護符を持って。――彼の目には、 様々な自然の対象物の殻が、奥底まですっかり開かれている。そして全ての秘密の真髄しんずいは、そこに善と美の原理を明らかにして、 彼に悟らせるのだ、ここでは学問も光を放たぬと。しばしば、この日ごと回転する球体の明確に認識できる事物の上を、彼の魂は荘厳そう [続きを読む]
  • 私に月桂冠が贈られたのを見た女性たちに
  • この地球上で、月桂樹から作られる冠ほど美しいものがあるだろうか?それは偶然生じた月暈げつうんや ―― 歓喜する三美神が唇のあたりに浮かべた笑みのようなもの。おそらく貴女あなたたちは言うだろう、 朝の薔薇を濡らす新しい露も ―― 海上のハルシオンの胸から優しく拡げられるさざ波もまた美しい、と。――だが、このような比較に価値などない。――それでは世界に、これほど美しいものは存在しないのだろうか? 四月の銀の [続きを読む]
  • 平和に
  • おお、平和よ! 汝なんじはその威容によって、この戦いくさに囲まれた島国を祝福するのか、 穏やかな顔によって、私たちの昨今の悲嘆を癒いやし、グレートブリテン王国を明るく微笑ませるのか? 汝の存在を、私は歓び讃える。そして、汝を待ち望む心優しき友人たちを歓び讃える。 私の歓喜を満たしておくれ、 ―― 私の初心を挫くじかせないでおくれ、 美しい山のニンフを汝のお気に入りにしておくれ、イングランドの幸福によって [続きを読む]
  • ロンサールからの訳詩
  • 自然はまる千年の間、カッサンドラーを より素晴らしい装飾として大空に引き留め、 美の最も麗うるわしい染料の上うわ澄ずみを取って、あらゆる仲間が及ばぬほど、彼女を形作り彩いろどった。その間、恋の神は翼で優しく彼女を守り、その影の下で、彼女の目に美しさを豊かに満たしたため、オリンポス高峰こうほうの雲のかかった王たちは、 奴隷のような溜息をついた。 初めて天から彼女が降臨するのを見たとき、 私の心に火がつい [続きを読む]
  • メアリ・フロッグリーに
  • もしも貴女あなたが遙はるか昔の時代に生きていたら、ああ、貴女の明るい顔立ちのことや、 光の神殿の中で、 自らの輝きに包まれ踊っている貴女のうるんだ瞳について、 様々な不思議が語られただろう。 貴女の眉は傾き、 愛らしい意味を描いてみせる。それは空にかかる黒雲の筋のように、あるいは雪の寝床に落ちた烏の羽根のように、 優雅な弧を成している。 貴女の黒髪は下へ垂れて、たくさんの麗うるわしい曲線を作る。あたかも [続きを読む]
  • 真昼の神よ
  • 真昼の神よ! 東と西の神よ! 私の魂が汝なんじのもとへ飛んでゆくと、 私の肉体は大地に押さえつけられる。それは荘厳そうごんな使節にして怖ろしい分隊であり、 峻厳なる深淵を この世の恐怖で満たさせる。そう、魂が頭上高く飛んでゆくと、 私たちは驚いて、その空気のような迷路の跡を凝視するのだ。 ――まるで年とし端はもいかない子供が鷲の爪でさらわれてゆくとき、 母親が狂乱しながら後を追いかけるように。そしてこれは [続きを読む]
  • バーガンディよ、クラレットよ、ポートワインよ
  • バーガンディよ、クラレットよ、ポートワインよ、 古いホックやマデイラと一緒にここから立ち去れ!お前たちは、私の楽しみとするには、あまりにも凡俗だ。もっと明るく、もっと透明な飲み物がある! 哀れな大杯の代わりに私のワインは、ひと夏の間溢あふれ出ている。 私の杯さかずきは大空であり、 私は自分の目でそれを飲む、デルファイにおける神託の苦痛を脳に感じるまで ――それから後についておいで、私のケイアスよ、後に [続きを読む]
  • ミルトンの髪の毛を見て
  • 調和する韻律の第一人者よ! 天空の老学者よ! 貴方あなたの霊は決して眠ることなく、 私たちの耳の周囲を巡る、 永遠に、また永遠に!おお、何と狂おしい努力を注いでいるのか、 貴方の神聖で気高い棺ひつぎに詩歌と音楽の燔祭はんさいを捧げようとする者は!甘美な音色の鳴り響く生ける神殿を貴方はなんと、天の方へ向け、 不協和音を協和音へ変えて、 歓喜に新しい歓びを与え、 悦楽にさらなる高貴な翼を授ける。――おお、貴方 [続きを読む]
  • 同じ女性たちから不思議な貝殻と詩の写しを贈られて
  • 君はゴルコンダの洞窟から採掘された、 山で凍りついた水滴のように清らかな宝石を持っているかい? 泉の向こう側から射しこむ陽光の中で羽ばたく蜂鳥の緑の冠のように光輝く宝石を。君は深紅の色をした発泡ワイン用のゴブレットを持っているかい?ずしりと重たい純金製で、 美女アルミダと勇者リナルドの神聖な物語が、 見事に描かれているあのゴブレットを。君は豊かな鬣たてがみを持つ乗馬を持っているかい? 敵に深ふか傷でを [続きを読む]
  • ある女性たちに
  • 自然の驚異を探求している間、迷路を行く貴女あなたたちの軽やかな足に追いつけなくても構わない。 情熱家の友シンシアの顔を賛美する、その崇拝の言葉を聞けなくても構わない。それでも私は、親しき友よ、谷川が流れる山の斜面を空想の中で貴女たちと共に巡る。 滝を落ちる水晶のような水、迸ほとばしる湧き水、 野の花を露で濡らす飛沫しぶきを見つめる。どうして野生の迷宮をさまよいながら、いつまでも佇たたずんでいるの?ど [続きを読む]