闇の文学館館長 さん プロフィール

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闇の文学館館長さん: キーツ詩集
ハンドル名闇の文学館館長 さん
ブログタイトルキーツ詩集
ブログURLhttp://blog.livedoor.jp/hall2011_68599/
サイト紹介文イギリスのロマン派詩人ジョン・キーツ(1795−1821) の作品を紹介
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供55回 / 154日(平均2.5回/週) - 参加 2018/03/15 03:33

闇の文学館館長 さんのブログ記事

  • ある詩の序歌 その一例
  • さあ! 騎士道物語を語らせてくれ。 大きな白い羽根飾りが、 私の目の中で踊っているから。それは後世の兜の羽根飾りと違って、 一つ一つが優雅に靡なびいている。 人間の手では、いや、アーキメイゴの魔法の杖でも、これほど風情のある曲げ方はできないだろう。むしろこう考えねばなるまい、 山のそよ風がふざけ半分に、最上の歓びを捨て、 穏やかな力が作るこの驚異を誇示しているのだ、と。さあ! 騎士道物語を語らせてくれ。 [続きを読む]
  • 小高い丘の上で、爪立ちをした(第205−242行)
  • 広大な天空を支配する女王よ、 私が目にした全ての輝きのうちで、最も美しい女王よ! 貴女あなたが輝きにおいて全てのものに勝まさるように、 貴女を詠う甘美な物語は、全ての物語に勝る。ああ、蜜のように甘い三つの言葉が欲しい。それがあれば、 貴女の婚礼の夜における唯一の驚異を話せるだろう!遠くの船が、竜骨を見せて浮かぶようなところで、フォイボスはしばし、巨大な車輪を遅らせると、 見えない豪華な姿が威厳を帯びる [続きを読む]
  • 小高い丘の上で、爪立ちをした(第151−204行)
  • 木の枝を押し分けて、私たちに広い森の中を覗のぞかせてくれた作者も同じように感じた。そのおかげで、ファウヌスやドリュアスが、 微かすかな音を立て、木々の間を近づいてくる様子や、 美しい草花で作られ、象牙色の手首や飛び跳ねる足首に飾られた花輪を垣間見ることができる。 彼はまた、美しいシュリンクスが恐怖に震えながら、アルカディアのパンから逃げたことを物語っている。 哀れなニンフよ ―― 哀れなパンよ ―― 彼が [続きを読む]
  • 小高い丘の上で、爪立ちをした(第107−150行)
  • 次に何が? 一房の月見草、心はその上をさまよい、やがてまどろむかもしれない。それから、心地よい眠りに就くことがあるかもしれない、蕾つぼみがはじけて本物の花が開くときの音に驚かされることがなければ。あるいは少しの間も留まることを知らない、様々な種類の蛾が飛び交う音や、 雲の上に銀色の縁を覗のぞかせ、光を放ちつつ、ゆっくりと滑るように空へ昇ってくる月に驚かされることがなければ。ああ、心優しい詩人の創造 [続きを読む]
  • 小高い丘の上で、爪立ちをした(第57−106行)
  • ここではスイートピーが、ほんのり赤い翼を拡げ、 飛び立つばかりに爪立ちをして咲いている。その下では全ての物を掴つかもうと、 白く細い蔓つるが、小さな輪を作って巻きついている。藺い草ぐさが茂る小川の土手にかけられた しなった橋の上にしばらく佇たたずんで、 「自然」の穏やかな振る舞いをよく眺めてみるがいい。それは、森鳩の鳴き声よりも心地よいとわかるだろう。あの曲がり角を流れてくる川の何と静かなことか。 水 [続きを読む]
  • 小高い丘の上で、爪立ちをした(第1−56行)
  • 「詩人たちのために造られた緑の褥しとね」―― リミニ物語小高い丘の上で、爪立ちをした。 空気は冷たく、風はなかった。可愛い蕾つぼみをつけ、葉も疎まばらな先細りの茎くきは、つつましくも誇らしげに、 弧を描きながら傍かたわらに垂れている。 早朝に降りた、星のように輝く露玉は、また蕾から消えていなかった。 雲は、毛を刈り取られ、清らかな小川から出てきたばかりの羊のように純白であり、 空の青い野原で優しくまどろ [続きを読む]
  • アポロに寄せるオード
  • 黄こ金がね色に輝く西の広間で、 汝なんじが厳おごそかに座するとき、かつて英雄の行為を崇高に語り、また運命について吟じた歌い手たちは、湧き起こる情熱のままに金剛石の竪琴を手にし、その弦は途切れることなく閃光せんこうを発して、絢爛けんらん豪華な炎を煌きらめかせる。今、ホーマーはたくましい腕で、 弦の音も高く、戦の竪琴を掻き鳴らし、 遙はるか遠くから喇らっ叭ぱの音が鳴り響く中で、 西方の光彩を熱くする。だが [続きを読む]
  • ブライト・スター
  • 輝きわたる星よ、私はお前のように揺るぎなくありたい。 ――夜空の高みにあって煌きらめき、孤独を知らず、その目は永劫えいごうの瞼まぶたを開き、 自然界にて耐え忍ぶ、不眠の隠者のように見守り続ける。 現世うつしよの岸辺を洗い清め、 祭司の働きをする大波を、あるいは山や荒野を覆う淡き初雪を見つめ続けているのだ。いや ―― もっと揺るぎなく、もっと移ろうことなく、 愛しい人のふくよかな胸を枕にし、その起伏をいつ [続きを読む]
  • 生きているこの手は
  • 生きているこの手は、今は温かく、しっかりと握りしめることができるが、もしも冷たくなって、墓場の氷のような沈黙に閉ざされれば、お前の日々にまとわりつき、お前が夢見る夜を凍らせるだろう。だから、お前は自分の心臓が乾ききっても、 私の赤い血管に再び命が流れることを望むだろう。お前の心を鎮めて安らぎを与えよう ―― さあ、見るがいい ―― この手をお前に差し伸べているのだ。This living hand, now warm and capab [続きを読む]
  • 妖精の歌
  • 1.涙を流さないで! ああ、涙を流さないで! 花は、次の年には再び咲くのだから。もう泣かないで! ああ、もう泣かないで! 若い蕾つぼみは、木の根の白い芯の中で眠っているのだから。 涙を拭いて! ああ、涙を拭いて! 私は楽園の中で歌い、 人の心を慰めることを教わったから ―― だから涙を流さないで。上を! 上を見てごらん! 赤や白の花咲く園を ―― ほら見て、見て ―― 私は今、 赤い柘榴ざくろの梢こずえの上を [続きを読む]
  • どうして今夜、私は笑ったのか
  • どうして今夜、私は笑ったのか? 誰の声も教えてはくれない。 神も、厳しい宣告をする悪魔も、 天の高みや地獄の底から答えてはくれない。ならば、すぐに自分の心へと戻ろう。――心よ! 今、ここには孤独な私とお前だけがいる。さあ、語るがいい。どうして私は笑ったのか? おお、地上に生きる人間の苦悩!おお、闇よ! 闇よ! 私はいつも悲嘆に暮れる。 天国に、地獄に、心に、空しい問いかけを続けているとは!どうして私 [続きを読む]
  • あの日は過ぎ去った
  • あの日は過ぎ去った、美しかったものは全て消えた!甘い声、甘い唇、柔らかい手、さらに柔らかい胸、 温かい呼吸、微かすかな囁ささやき、優しい歌声、輝く瞳、整った容姿、ほっそりとした腰! 花や蕾つぼみの魅力も消えていった。私の目から、美しい景色が消え、 私の腕から、美しい姿が消えた。あの声も、あの温ぬくもりも、あの白さも、あの楽園も消えた! 季節外れの夕暮れが来て、消えてしまった。暗い祝日 ―― あるいは芳 [続きを読む]
  • ファニーに寄せるオード
  • 1.医者である自然よ! 私の魂から血を抜き取ってくれ!ああ、私の心から詩を取り出して、休息を与えて欲しい。 貴女あなたの祭壇の上に私を投げ出してくれ、 息苦しいほどの詩情の潮が、この膨らんだ胸から引いてゆくまで。 主題を! 主題を! 大いなる自然よ! 主題を与え給え、 私に夢を見させて欲しい。 私は来て ―― 貴女を見る。貴女はそこに立っている、 冬の大気の中へ私を招いて。2.ああ! 愛しい人よ、私の全ての恐 [続きを読む]
  • ファニーに
  • 私の目から記憶を追い払うには、どうすればいいのか? なぜなら私の目は、そう、一時間ほど前、光輝く私の女王を見てしまったから! 心に触れれば、思い出が生まれる。ああ、教えてくれ、 恋人よ、教えて欲しい、私の思い出を殺して、かつての自由へ解放されるには、どうすればいいのだ? 私が出会った美女が全て麗うるわしく、 私を半なかば罠に捕らえるのに十分だとしても、そこに縛らないでくれ。どれほど貧弱な斑ぶち毛げであ [続きを読む]
  • 愛しています、と貴女は言う
  • 愛しています、と貴女あなたは言う。でも、尼僧よりも小さな声で、 夕べの鐘が鳴る間、 自分のために静かに祈りを捧げる尼僧よりも。 ―― ああ、心から私を愛しておくれ!愛しています、と貴女は言う。でも、その微笑みは冷ややかだ、まるで九月の朝の日射しのように。あるいは聖キューピッド寺院の尼僧が、 大斎日の断食でもするように。ああ、心から私を愛しておくれ!愛しています、と貴女は言う。 ―― でも、その時の唇は、 [続きを読む]
  • 私は欲しい、貴女の優しさが
  • 私は欲しい、貴女あなたの優しさが ―― 憐れみが ―― 愛が ―― そう愛が! 私を焦じらして苦しめない慈悲深い愛が、 一途で、脇道にそれない、偽りのない愛が、 仮面を脱いだ、誰が見ても ―― 穢けがれのない愛が!ああ、貴女の全てが ―― 全てが ―― 全てが ―― 私のものであって欲しい!その姿、その美しさ、その愛の微かすかで甘美な味、 貴女の口づけ ―― その手、その清らかな瞳、あの温かく、白くて、滑らかで、快楽 [続きを読む]
  • 美しき非情の女 バラッド
  • なぜ物思いに耽ふけるのか鎧の騎士よ、ただ一人青ざめ、さまよい歩くとは?湖畔の菅すげは枯れ果てて、鳥の歌も聞こえてこない。なぜ物思いに耽るのか鎧の騎士よ、そこまで衰え、悲しみに沈むとは?リスは穀倉を満たして、 すでに収穫の時は終わった。貴方あなたの額に百合の花が見える、苦悩と熱のために汗で濡れて。そして頬に見るのは萎しおれた薔薇で、瞬く間に花は色いろ褪あせてゆく。    私は草原で、ある女と出会った [続きを読む]
  • マイアに(オード断章)
  • ヘルメスの母よ! 永遠に若々しいマイアよ!バイアの岸辺で貴女あなたが歌われたように、 私も貴女の賛歌を歌おうか?それとも遠い昔のシチリアの言葉で、 貴女に求愛しようか? あるいは小さな民族に偉大な詩を残した後、 快い草地の上で、心満ち足りて逝いった詩人たちが、かつてギリシャの島々でそうしたように、貴女の微笑を求めようか?ああ、彼らの古いにしえの力を与え給え。 密やかに咲く桜草と、小さな空と、わずかな人 [続きを読む]
  • 怠惰のオード
  • 彼らは労せず、紡つむがず1.ある朝、私の前に三つの人影が現れた。うなだれ、手を組み合わせ、顔を横に向け、サンダルの音を立てず、優雅に流れる白い衣ころもを身にまとって、 相前後して、静かに歩いていった。 彼らは通り過ぎていった、大理石の壺に彫られた人物たちが、 反対側を見るため回転されて動いていくように。 彼らはもう一度やって来た。まるでもう一度、壺が回転して、 最初に見た彫り物が戻ってきたように。 名工フ [続きを読む]
  • 眠りに寄せるソネット
  • ああ、静寂な夜更けを芳香ほうこうで包むものよ、光から遮さえぎられ、聖なる忘却に覆われて、私たちの闇を愛する目を、そっと優しい指で閉じるものよ。ああ、心を和やわらげる眠りよ! どうか閉じておくれ、お前の賛歌を聴く中、私の歓びの目を。さもなくば、「アーメン」を待っておくれ、お前の罌粟けしが、私のベッドの周囲に施ほどこし物を撒いてあやすまで。そして私を救っておくれ、さもないと過ぎ去った日が、私の枕の上で [続きを読む]
  • 怖れの時
  • 私のペンが溢あふれる想いを書き終える前に、積み重ねた本が豊かな穀倉のようになって、熟れた実りを言葉として収める前に、私の命が終わるのではないかと怖れる時、輝く星空に高貴なロマンスを象かたどる大きな雲を仰ぎ、生きているうちに、偶然の魔法の手を使って、その影を追いかけることが叶かなわぬと思う時、そして、ゆきずりの愛しい人よ、もう二度と貴女あなたに会うこともなく、一途な妖精の恋の魅力に溺れることもないと [続きを読む]
  • ある夢 パオロとフランチェスカの挿話を読んだ後で
  • かつてアルゴスが騙だまされ、意識を失い眠ってしまうと、ヘルメスが軽やかな翼で舞い上がったように、 私の怠惰な精神もデルファイの葦笛あしぶえを吹いて、 龍のような世間の百の眼を魅了し、征服し、奪い取った。それが眠るのを見て、同じように飛び去った先は ―― 冷たい雪空の清らかなイダ山ではなく、その日、ジョウヴ神が悲嘆に暮れたテンペの谷でもなく、あの悲しき地獄の第二圏だった。 烈風や旋風、雨や雹ひょうのつぶ [続きを読む]
  • 侘びしい夜のような十二月に
  • 侘わびしい夜のような十二月にあまりにも幸せな、幸せな木立よ、お前の枝々は何一つ覚えていない、あの緑の恵みを。 ―― 霙みぞれ混じりの北風が唸うなり声を上げても、枝木を傷つけることはできない。凍りついた樹木もまた、春に芽を出す枝々を閉じこめはしない。侘びしい夜のような十二月にあまりにも幸せな、幸せな小川よ、 お前のせせらぎは何一つ覚えていない、アポロの夏の面影を。だが、甘い忘却に浸り、水晶の波が岸をえ [続きを読む]
  • 見よ、入り江を船が
  • 見よ、入り江を船が滑ってゆく。 愛しいエレン、私はお前から去ってゆく。 雄々しく去ってゆく、お前の愛を信じながら、 深い、道なき海の上を。 ―― お前の可憐な姿が、もはや私の側になくても、この優しい想いが、真夜中に私を勇気づけてくれる。 「我が恋人が、我がために祈り給う」戦いくさの雷鳴が轟とどろくときも、 弾丸が私の周囲で飛び交うときも、 吹きつける嵐の猛威が、 海と空を波打たせるときも、それでも私の心は [続きを読む]
  • ハイピリオンの没落 ある夢 第1曲より
  • 狂信者は夢を見て、それぞれの分派に適う楽園を創造する。 野蛮人もまた、最初に至高の夢想から天上界を推し測る。 惜しむらくは彼らのことが、格調高き言葉によって、 仔牛の皮紙やインドのタラジュの葉に書き記されることはなかった。 月桂冠で賞賛されることもなく、 彼らは生き、夢を見て、死んでゆく。ただ詩歌だけが、己の夢を語ることを可能とし、 優れた言葉だけが、想像力を暗い魔術や沈黙の呪縛から解き放つことができる [続きを読む]