ギトン さん プロフィール

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ギトンさん: ギトンのパヴィリオン
ハンドル名ギトン さん
ブログタイトルギトンのパヴィリオン
ブログURLhttps://ameblo.jp/gitonszimmer/
サイト紹介文漂泊の“うたびと”たち ヘッセの詩とBL詩 自訳と自作
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供61回 / 158日(平均2.7回/週) - 参加 2018/04/17 17:40

ギトン さんのブログ記事

  • 詩文集(52)――荒れ狂うヘッセ、冷笑するヘッセ
  •       ぼくは星 ぼくは天空の一箇の星 地上をつぶさに見まわして地上の世界を侮蔑する この身は永遠(とわ)の灼熱に焼かれつつ。 ぼくは海、夜ごと荒れ狂う 嘆きの海、罪深き生け贄 古き罪に新しきを重ねつつ。 ぼくは貴方らの世から締め出された者 自惚(うぬぼ)れに育てられ、自惚れに騙されて 国無き王となった者。 ぼくは愚かな情熱そのもの 家に竃(かまど)無く、戦(いくさ)に刃(やいば)無く 己 [続きを読む]
  • 詩文集(51)――砂に刻まれた風の詩(うた)
  •       砂に書かれた 美しいもの、心を奪うものは みな一時(いっとき)の気配か雨でしかなく たぐい稀なもの、うっとりさせるもの、 優美なものは長つづきしないのだと: 雲や花々、しゃぼん玉、 花火と子供の笑い声、 鏡を覗きこむ女の眼、 その他多くのすばらしいものは 見つけたとたんに消えてしまう 瞬きする間(ま)のできごとで 風にただよう香りにすぎぬことを われらは嗚呼、悲しみとともに知る.  [続きを読む]
  • 詩文集(50)――【?C記念】秋のはじめ
  •   こんばんは(^^)o まだまだ蒸し暑い日がつづきますが、おかげさまで 50回目を迎えた《詩文集》です。 セミ・チェント記念は、ヘッセ詩の朗読をお届けします。↓あとのほうには、ヘルマン・ヘッセ本人の朗読テープもあります。 ともかく、まずは視聴してください。意味はぜんぜん解らなくてかまいません。画像を見ながら、原詩のひびきを聴いていると、なんとなく意味が伝わってくるのが感じられるはず。。。 ほんの2分間で [続きを読む]
  • ”光の季節”――大いなる川の岸辺
  •  「琥珀の海」ってどんな海だろう……などと考えながら読んでいたら、さいごの連で、「大いなる川の岸辺」に出遭って打たれた。ここで「大いなる川」に思い至る感性を、ぼくは知らなかったから。  そういえば、「大河」を見たことがないかもしれない。ライン川もセーヌ川も、たしかに水量は豊富だったが、すごく大きいという感じはしなかった。  行ったことはないけど、ヴォルガ川(中流,マリ共和国)を貼りつけておきま [続きを読む]
  • 詩文集(49)――風に吹き消された一枚の壁画
  •     アルプスの向こうには それはひとつの山の旅: アルプスの稜線の雪がつめたく 光るとき、もうイタリアの青い海が 視界のはてを限っている! 高みの風と渋い顥気が ほのかな菫の香り、陽に みたされた南の海の 甘い予感をはこんでくる。 そして眼にははるかフィレンツェの あかるい伽藍がうかび たたなづく丘のむこうには幻のように ローマの街がかがやいてみえるのだ。 くちびるはもう無意識に美しい 異 [続きを読む]
  • 詩文集(48)――人は惑い、それでも時は流れる
  • リヴォルノ,イタリア fotolivorno.net       オデュセウス リヴォルノ付近      視界のはずれで夕陽にかがやいて 黒いマストの船が水平線を往く その強い魔力はわたしのまなざしを 視えない世界の縁(ふち)に固定させる。 ――わたしは想う、船の舵を握るのは 神のごときオデュセウス、名づけようもない 郷愁が、海また海の脅威を越えて 彼の遠い故国へと誘(いざな)う 彼は運命(さだめ)に屈すること [続きを読む]
  • 詩文集(47)――旅の技術
  •       旅の技術(テクニック) 目的のない旅は若者の歓び 若さとともにそれは色あせた そしてただ離れることがわたしの旅になった 目的と意志とを自覚するようになったからだ。 しかし目的ばかりを追求するまなざしから のどかな旅のあじわいは締め出されている 森と流れとあらゆるかがやきが 旅路のどこにでも待ち設けているというのに。 いまあらためて、わたしは旅を習うことにしよう 天空の星々にあこがれ [続きを読む]
  • 詩文集(46)――生きるとはこんなにも軽やかな歩み
  • イワギキョウ,加賀白山       リンドウの花 夏の歓びに浸りきり至福のひかりのなかで 息もしなくなって、おまえは立っている そらはおまえの杯(さかづき)の底に沈んでしまったかのよう おまえのうぶ毛を吹く風が この魂のあらゆる罪と痛みを 吹きはらってくれるなら ぼくはおまえの兄弟になって しずかな日々をおまえとともに過ごすだろう 世をわたってゆくぼくの旅は かろやかで幸せな目標を見るだろう お [続きを読む]
  • ★ HIC ET NUNC
  •       HIC ET NUNC(いま・ここで) 世界はふるびてしまったから ひとは、いま、ここ、に執着している 世界はこちこちになってほころびてしまったから ぼくたちは覆いを閉ざし、いま、ここ、にとどまろうとする 古臭くなった世界にしがみつき称揚するひとたちは 塗りの剥げたテンペラ画を修復しようとあくせく働く 世界が泣いている;しずくに濡れた壁のまえに 安っぽい書割を置いてごまかそうとするやつらは  [続きを読む]
  • 詩文集(45)――なつかしき少年の園(その)
  • 三ツ峠,山梨県.      蝶 ある時かなしみにおそわれて ひとり野はらを歩いていった ぼくはひとひらの蝶を見た 白と深紅のはねが舞い そらでは風がふいていた。 おお蝶よ!ぼくがまだ子供だったころ 世界は朝方のように澄んでいた あおぞらはぼくのすぐ近くにあった おまえが美しいはねをひろげるのを 最後に見たのはそのころだったか。 天上の園(その)からふきよせられた 色あざやかな柔らかい吐息よ、 ぼ [続きを読む]
  • 詩文集(44)――真夏の大地の憂鬱
  • 小川原湖,青森県.       夏の旅 見晴るかす黄金(きん)の海 風に揺すれる麦稈の穂波 遠くの村からきこえてくる 蹄のひびき、鎌打つ音。 蒸せかえるような重い季節だ! 陽の耀きに顫えてゆらぐ 稔りきった黄金の潮(うしお) 刈り入れの用意は整った。 広い大地に径(みち)も無く そぞろ彷徨(さまよ)う異邦の者に このわたしに、稔りはあるのだろうか 獲り入れの鎌が近づいたとき?  前回までの『地の糧 [続きを読む]
  • 【告知】7月28日、都営新宿線・船堀でLGBTイベント!!
  •  ⇒:LGBTコミュニティ江戸川  直前のお知らせですみません。 都営新宿線・船堀駅から徒歩2分、タワーホール船堀で、区とオランダ大使館が後援するLGBT講演会が開かれます。 江戸川区で、こういうイベントは、今まであまりなかったんではないかと思います。東京の東半分と千葉県方面の方は、ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。主催は「LGBTコミュニティ江戸川」、↓こちらでアメーバ・ブログも開設されて [続きを読む]
  • 詩文集(43)――絡み合う欲情の森、荒原と沙漠――『地の糧』(6)
  • 樹々の迷宮 白神・高倉森のブナ林       ぼくは知る、きみが歩いてゆくのを 夜おそく通りを歩いているとき、不安のあまり 眼をおとして足を速めるのはいつものことだ 唐突に眼の前に、きみがおし黙って立ちすくんでいる かもしれない:きみの悲しみのすべてをぼくは見るだろう きみの死に絶えた幸せをぼくから求めようとしているのを。 毎晩きみが戸外(そと)を歩いているのを ぼくは知っている;おどおどした足 [続きを読む]
  • 詩文集(42)――秘められた悦楽、イチジクの恋――『地の糧』(5)
  •       夜 夜はぼくの親しい友だち 夜とは心を読み合える 同じ祖国、ぼくらの前世は 姉・弟のあいだがら。 そしていつか時が来て 夜はぼくをしっかり抱きしめる! 笑ってうなづき、ぼくの頬をなでながら 用意はできた?と問いかける。 「用意はできた?」とは、死ぬ用意ができたかということです。 メルヒェンのように軽く明るいこの唄も、その意味するところは、おそろしく重く深いのです。ちなみに、「姉・弟 [続きを読む]
  • 詩文集(41)――苦くて甘い果実を求めて――『地の糧』(4)
  • シモツケソウ、白山・釈迦新道,石川県.       彼は暗闇を歩き―― 彼は暗闇を歩くのが好きだった、黒い樹々の 影が折り重なって、彼の夢を醒ましたから。 それなのに彼の胸には、光へ!光へ!と 燃えるような欲求がうずいていた。 彼は知らなかった、頭上には、澄みきったそらいっぱいの まじりけない星がかがやいていることを。  ヘッセの詩をめくっていると、いつもそれとなく安心感を覚えるのは、“真実は自分 [続きを読む]
  • 詩文集(40)――“違う世界”で自己を見つめる――『地の糧』(3)
  • スマトラの森林       スマトラへの途上 毎晩のように、夢に浮かされたわたしの眼のまえに 故郷(ふるさと)がまぢかに立つ それはまだわたしのものであるかのように。 しかしまだ、わたしは旅をつづけなければならない 辺鄙(へんぴ)な離れ島の烈日の下で わたしの心臓を休ませなければならない きかない赤ん坊を揺らして、うたを唄って やすらかに寝かしつけるように: しかしわたしの心臓はすぐにまた不機嫌 [続きを読む]
  • 詩文集(39)――荒れ野の渇き、熱帯林の泥の河――『地の糧』(2)
  • スリ・ランカ、ピンナワラ「象の孤児院」       原始林を流れる河 それは数千年にわたってこの森を拔き 褐色の裸の人間たちの樹と葭(よし)との編み細工 かれらの小屋が建ち、復た消えるのをずっと眺めてきた 褐色の水はたえず押しよせ葉叢や小枝、原始の森の暗いへどろを 巻きこみ、燃え熾(さか)る烈日をうけて醸される 夜になれば虎と象が蒸し暑く火照った身体(からだ)を 浸し、その粘(ねば)い情欲の咆哮 [続きを読む]
  • 詩文集(38)――すっぱだかに脱がして愛を注ぐ――『地の糧』(1)
  • スリ・ランカの海釣り       セイロンに到着 背のたかい岸辺の椰子 かがやく海、はだかの男たちが舟を漕ぐ 年古き聖なる国よ 永遠に若い太陽の焔の恵み: 蒼い山々は霞と夢のなかに消えてゆき 頂きは陽の眩しさに姿を隠す。 わたしを迎えたのはぎらぎらした浜辺: 見馴れない樹々が烈しく宙を睨む 陽に灼かれてよろめくどぎつい色の家(や)並み 気まぐれに明滅する路地裏、とどろく喧騒。 感謝にみちて、私の [続きを読む]
  • ★ 散 文
  •             散 文 生のとるさまざまな形よ、すべてが私には美しく見えた。        ―――ジッド     さまざまな生、さまざまな期待、唇と唇、腕と腕、体のすべての部分を重ねて。 世界の破片がさまざまであるように、愛はさまざまで、古い廃坑が吐きだした地球の透明なかけら、とがって光る生のさまざまな形。 ぼくらの見ない夜の高みから、星辰が見おろしている事実、永劫の真理、ぼくらの誰も知 [続きを読む]
  • 詩文集(37)――アジアへの旅
  • スエズ運河を往く船(『アラビアのロレンス』より)       アフリカから故郷(ふるさと)を振り返る 故郷にあるのはよいことだ なじんだ屋根の下のまどろみ 子どもたちと庭と犬、ああそれなのに さすらいの旅から還ってまだいくらもたたないのに はるかな岸辺がまた新たな誘惑となっておまえに迫ってくる 故郷を想うことは在るにまさる 高き星空のもとで おのれの憧れとともにあることは。 故郷に憩うことができ [続きを読む]
  • おばんでございます
  •       アンニョンハセヨ!オヌルオットンネヨ〜? ニラレバ炒め、ときどき作るんですが、おいしく作るのはなかなかに難しいのが、この料理。 独自の味を工夫するには漬け込みからやるべきですが、ギトンはたいてい、漬け込みずみの袋物を買ってきちゃいます。ところが地元のヨーカドーでは売ってないんですね。地元で買うと、いやでもナマのレバーから漬けこまなくちゃなりません。‥‥いきおい、レバニラをやるのは、 [続きを読む]
  • 詩文集(36)――行き惑うともがらに
  •       しずかな雲 ほそい、しろい しずかな、やわらかな くもがあおぞらを吹いてゆく 眼をおとしてごらん、至福の まっしろな冷気が、きみの 蒼い夢を貫(つらぬ)いて入ってゆくよ ━━━━━━━━━━━      貧しき人びと 木(こ)の葉は散り粗暴な風が 行く手を阻(はば)んで巻きあがる 哀れな子よ、われらの今夜の塒(ねぐら)さえ わたしにはわからないのだ。 おまえもまたいつか風のなかで  [続きを読む]
  • 詩文集(35)――過ぎ去った時を告げる者
  • フェラーラ,イタリア.       死の王国 すべての灯りは消えた 家のなかに夜が忍びこんでくる まばゆい昼間の亡霊は あおざめて去ってゆく わたしに忘却を供してくれた あの杯(さかづき)は消え失せた わたしの頭は灰になり 愛する者はみな死んだ わたしは紫の衣(ころも)をまとい わが王国を眺めわたす 通りも庭も雪が積み そらは力なく薄暗い わたしの頭は灰のよう 銀のほつれを風に振る 塔の高みで夜 [続きを読む]
  • 詩文集(34)――民主主義が死ぬ時
  •       嵐のあとの草花 兄弟のように、皆がみな同じほうを向いて 首(こうべ)を垂れ、雫を振るい風のなかに立っている まだ不安におびえている、雨に濡れた眼は見えない; 力なき者はちぎれ、壊滅して横たわる。 それでもかれらは身体(からだ)を麻痺させたまま、びくびくしながら 愛すべき光に向かい徐々に頭を上げる 兄弟のように、やっとのことで最初の笑みを浮かべる: 俺たちはまだ生きている、敵に呑み込ま [続きを読む]
  • 詩文集(33)――ドン・キホーテの系譜
  • ハーバート・サトラー「メムノンの巨像」(1846年)wikimedia-comons.       東方への旅 世界のはてに迷いこみ、十字軍から落ち零(こぼ)れ 時と数の荒れ野をさまよう兄弟の群れ: 怖れから、戦いと贖罪の気高い目標を見失い 沙場(さじょう)の炎暑に灼かれつつも彼らの眼には 夢の国、椰子の岸辺が絶えることなく微笑んでいる。 彼ら迷子の兵士らを、町と市場の 愚民どもは冷ややかに嘲笑う されど、かのメムノ [続きを読む]