gekkolu さん プロフィール

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gekkoluさん: 月は見えているか
ハンドル名gekkolu さん
ブログタイトル月は見えているか
ブログURLhttps://ameblo.jp/gekkolu/
サイト紹介文突如として月に出現した謎の機械群と地球世界の四半世紀を超える戦いの行方は・・・
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供48回 / 165日(平均2.0回/週) - 参加 2018/05/04 02:03

gekkolu さんのブログ記事

  • 「その日の夜に、月を見上げて」 百八
  • にほんブログ村 2072年 6月13日 上海自治区  ああ帰りたい。 俺はさっきから心の中で呪いの言葉を繰り返す呪術師のような気分になり始めている。  中華が食べたいってごねるカンザシに逆らえず、俺達・・・イサミこと近藤と、サガーこと相模原に、エリサこと神薙絵理沙一士、足すことの俺・・・は、うちは中華料理専門です、中華以外やってませんって、まあ当然なんだが、自己主張の激しい店舗を構える中華料理店 [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 挿話十八の七
  • にほんブログ村 「それと指揮官殿」 泉谷三曹が報告を続ける。 「タブレットには耳に引っ掛けるタイプのウェアラブルカメラが接続されていました」 「了解した泉谷三曹。そちらへ戻る」 通信を切った東屋一佐は佐川へと視線を移した。 「遺体の状況は一通り記録したようですから、一度戻りましょう佐川さん」 「ああ、そうしよう・・・ところで東屋一佐。そのタブレットは、やはり起動しなけりゃいけないようだね」 「あ [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 挿話十八の六
  • にほんブログ村 円筒状のセントラルコア内壁には前世紀の太平洋戦争で使用された空母が機銃座などとして両舷に設けていたスポンソンに似た張り出しが多数存在する。もちろんそれらよりもはるかに規模は大きく、たとえばア号部隊が侵入したセントラルコア第三層のそれは内壁全周のほぼ三分の一を基部として中心方向へ90メートル延びている。 上方から俯瞰したならばそれは下底部が湾曲した、脚が凸凹に張り出している台形で [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 挿話十八の五
  • にほんブログ村 学術班はまず最初にセントラルコア内のDNAサンプルの採集作業を開始した。 ア号部隊に参加した兵隊、科学者、技術者はそれぞれの専門分野を調査の中心とすることはもちろんだったが、他分野での調査活動においても補佐を行うことが求められていた。 何しろ・・・当初は88名の戦力であったが、それでも幾つかの調査活動ではマンパワーの不足が危惧された・・・想定される調査範囲は広大で、互いに共助の姿 [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 挿話十八の四
  • にほんブログ村   そこには川代レポートに記載されていた構造図では、セントラルコアの円筒状の外殻をを六段階の階層で取り囲む環状通路が存在している。 ア号部隊が到達した扉の奥は、その中の環状通路内六カ所に設けられた大型機材を搬入するための昇降機エリアのうちのひとつだった。 つまりそこには航空母艦の艦載機用エレベーターと同様の設備が、この全階層を貫通して設けられていたわけだ。 「ここは第三階層で良いん [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 挿話十八の三
  • にほんブログ村 「2039年の話しだ」 高富は言った。 「その頃の私は、まあ色恋沙汰とは縁遠い苦学生っていう・・・まあ俗に言う陰キャラだったわけだが・・・ああ、私のことなどどうでも良いか。当時私は大学2年生で地球世界のエネルギー革命に、つまり核融合関連の研究に生涯を捧げるなんて怪しげな野望に燃えていたんだが、ちょうどその頃にNHKが報道用の宇宙船を竣工させたんだ・・・『おおとり号』って言うんだけ [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 挿話十八の二
  • にほんブログ村 「まさかとは思っていましたが・・・」 東屋一佐は呆れたような声で、統合モニターに映る外の情景に溜息を漏らした。 「雨まで降るなんて」 本当に、ここが月の地下であることを忘れてしまう。 「雨が晴れたら松川君にミニドローンを飛ばしてもらおう」 佐川が提案する。 「すっかり失念していたが、ホログラフだろう空の向こうに何があるのか確認しておくべきだったね」 「まさか、ここまで環境が整備 [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 挿話十八の一
  • にほんブログ村   挿話 セントラルコア   2071年6月23日  地下都市のメインシャフトに到達したア号部隊は、労することなくセントラルコアへの入り口を見つけることができた。 川代レポートに記録されていた第7層構造物内の位置データも空白部分が予想外の地下空間だったことを除けば高架幹線道路の配置も正確だったし・・・地球側は当初、この高架道路を、無数のセグメントを貫通する幹線通路だと考えていた・・・ [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 百七
  • にほんブログ村 「あれ?ハーレムじゃないの?」 俺がバシャバシャやってると、背後から聞きなれた声がした。 決して筋肉バカではないタルボットを名乗る田坂だった。 「あ、ああ、ちょっと寝つけなくてさ」 俺はタオルで頭を拭き拭きしながら田坂へと顔を向ける。 「そうか・・・って悪い夢でも見たのか?」 「え、何でわかるんだ?」 「だってさあ、今日も訓練でへとへとのはずじゃないか。俺らんとこも、みんな泥人形 [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 百六
  • にほんブログ村 俺達はドーム越しにさんさんと降り注ぐ、お天道様の日差しに照り付けられながら鉄砲構えて・・・しかも、いつも通りの戦闘装備にドライシェルスーツ着込んでの完全装備で駐屯地演習場の浅瀬設定されたどでかい深度可変プールでの行軍訓練と相成った。 将来的には15個中隊を擁することになる第2機動騎兵連隊の駐屯地には、それを見越して様々な演習設備があってだな。特にプール関係は充実していて、水を綺 [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 百五
  • にほんブログ村  やけ食いだった。 せっかくの命拾いした後の朝飯だって言うのに、砂を噛んでいるようで味がしなかった。 畜生め、せっかくのシャケだっていうのに。 俺は、おそらく呆れ果てているだろう周囲の視線を無視して朝飯をかっ込んだんだが、慣れないことはするもんじゃなくて、喉を詰まらせて箸を止めてしまった。 胸元を押さえて俺は唸り声をあげる。 「どっ、どうしたハーレム?」 誰かの声が聞こえたが、そん [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 百四
  • にほんブログ村    翌朝 兵隊の一日は、起床後のベッドメイクから部屋の掃除ってとこから始まる。 俺達は決してお客様ってわけじゃないわけだからな。 ああ、高校時代の寝坊助野郎は士長殿や軍曹殿達の有難い精神注入でいつの間にか、こうした一連の習慣が身についてしまう。 志願制度には常に反対の立場をとってらっしゃる人権団体の方達が目にしたら卒倒するような教育的指導ってやつで、俺達は根性を叩き直される。 も [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 百三
  • にほんブログ村  「吉川」 俺の胸中を察してくださったのか、三尉殿はおっしゃった。 「お前がビーバー砦でどんな目に遭ったのかは俺も知ってる」 俺は驚いて三尉殿の顔をガン見してしまった。 その場で張り倒されても文句の言えない非礼な態度だったが、それは決して意識してのことではなかった。だけど、上官に対してして良いことでは決してない。 しまったと思ったが、すでに時遅しだ。 俺は悔恨の思いとともに。三尉殿 [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 百二
  • にほんブログ村   第六部  青き地球を首飾りにして 2072年 5月2日 現在  救出作戦を終えた俺達、第2機動騎兵連隊第17中隊の烈火24機は大型輸送ヘリ8機に分乗して上海自治区近郊の駐屯地に帰隊した。 烈火は全機、大なり小なりの損傷を受けたが、それでも俺達操縦士は戦死、戦傷はゼロで任務を終えることができた。 けれど、無事に救出できたのは、俺があのくそったれ共から奪い返した女性1名のみで、仲 [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 挿話十七の九
  • にほんブログ村  誰もが困惑の中で沈黙を続けざるを得なかった。 下手に否定的なことを口にすれば、それは佐川への批判になるかもしれないし、肯定的な意見を述べれば正気の沙汰ではない与太話に同調する妄想癖の持主と思われるかもしれない。それだけなら笑い話ですむが、一歩間違えば月委員会主席調整官としての佐川の権威に媚びを売る太鼓持ちとも見られかねない。 どちらに転ぶのもまっぴらごめんだというのが大方の考えだ [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 挿話十七の八
  • にほんブログ村   「ア号部隊の諸君、佐川だ。現在諸君が目にしている光景については、正直なところ私も驚いている。このようにアルファ基地の地下空間に巨大な都市が存在しているとは、思いもよらなかった。そして何より現在諸君が異質に思うのは街のあちこちに掲示されているホログラフの看板だろう・・・そう、私達にとって馴染みのあり過ぎるロゴが表示されている・・・され過ぎている。しかし、かつての月科学都市主義者の [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 挿話十七の七
  • にほんブログ村 都市機能としての照明設備にも部分的な劣化が生じているのだと考えても、あまりにも話が出来過ぎている。 ・・・この都市は・・・俺達をあそこへ引き寄せたかったのか?・・・だとしたら、その目的はなんだ?・・・俺達への警告か?・・これ以上関われば、お前達もこうなるぞという・・・ あれはアルファ基地内をさ迷う、あるいはこの地下世界に同化している、かつての月の住人達の何らかの意思表示だったので [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 挿話十七の六
  • にほんブログ村  やがて、地下都市の空は朝焼けの橙色の色彩へと変遷を見せる。 東屋一佐が座上する装甲月面車L2へ松川技術一尉が搭乗したのは昨夜、ミニドローンを飛ばしてしばらくしてのことだった。 現在は東屋も松川も増進剤を服用して夜通しの作業に没頭している。 一休みして鋭気を養いL2へ戻った佐川を待ち受けていた車内の状況は緊張に溢れていた。 ・・・何があったんだ?・・・ 「佐川さん。おはようございま [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 挿話十七の五
  • にほんブログ村   松川技術一尉は航宙特戦群の笠原裕二曹の手を借りて装甲月面車からドローンを収容したキャニスターを降ろす作業を行っていたため、自身が属する第2班とともに休憩するのが間に合わず、第1班に飛び入りすることになった。 兵員14名を収容できることから第1班10名に松川一人が加わることはさほど問題ではなかったが、それでも一人増えればそれだけ車内は窮屈になる。 松川技術一尉は第1班の班長を務め [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 挿話十七の四
  • にほんブログ村  「取り込み中失礼します!」 第1班、第3班を指揮するために重装装甲戦闘服で警戒監視に出ている通常では第1小隊小隊長の皆川麻美三尉が割って入るように報告を送って来る。 「何か?」 新たな謎に気色ばむ佐川を気に気にかけながらも、東屋は努めて冷静な声で皆川三尉に尋ねた。 ・・・冗談じゃないぞ、敵襲だとでも言うんじゃないだろうな・・・ 「何があった?」 「佐川主席調整官殿、東屋一佐殿、街 [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 挿話十七の三
  • にほんブログ村   「小1時間もあれば」 おそらく、この地下都市の光景を目の当たりにした時から松川技術一尉はドローンを使うプランの変更を検討していたのだろう。 「まず手始めにミニドローンを4機飛ばして市街地のマッピングと三次元的な空間認識をさせます。あとは・・・もともとコイツらは空を飛ぶのが仕事ですから」 速く作業を始めたいからとっとと認可しろという素振りで松川は東屋一佐にちらちらと視線を送ってい [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 挿話十七の二
  • にほんブログ村     「少しの間だけ、行軍を止めてもらえるかな」 ややあって佐川は言った。 先ほどの佐川の思案する様が妙に気になりはしたが、東屋はその件について質すのは今は適切ではないと自身の中で結論を出していた。 佐川のことだ。 もしも彼が何某かの懸念を抱いたのだとしても、話すべき時が来たならば彼自身が自発的にそれを明らかにしてくれるに違いないと信頼しているからでもあった。 「了解です」 そう東 [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 挿話十七の一
  • にほんブログ村 挿話 始まりの迷宮 ・・・セントラルコアに至る・・・十二日目    ア号部隊はゲート到達より二日後、第7層地下構造物入り口に至った。 それまでの道程は脅威の連続だった。 彼らが行軍したゲートからセントラルコアのある第7層地下構造物入り口までのルートすら広大で、まるで地球世界の地下高速鉄道をスケールアップした感じだが、変わっているのは路面、両側の壁面、天井に複数の軌条が設けられてい [続きを読む]
  • 「その日の夜に、月を見上げて」 百一
  • にほんブログ村  俺達は、その荒廃した都市の成れの果ての中で烈火搭乗を継続したままで三日間の警戒任務に就き、二波に及ぶ武装勢力の大攻勢を凌ぎ、敵に壊滅的な打撃を加えた。 その間、俺達第8戦闘隊は1機の損失もなく武装勢力の出血を強要して死体の山を築いた。俺達は自ら殺害した死体を、人体の欠片を、烈火の手を使い、急遽設けられた死体置き場へと搬送した。陸防軍の水陸機動団と華連邦義勇軍の皆さんは俺達を、まる [続きを読む]