seno-le ma さん プロフィール

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seno-le maさん: Seno-Lê Ma 小説、批評、音楽、アート
ハンドル名seno-le ma さん
ブログタイトルSeno-Lê Ma 小説、批評、音楽、アート
ブログURLhttps://senolema.amebaownd.com/
サイト紹介文若干やばめの小説ブログ。LGBT、詩、歴史、哲学、同性愛、革命。見たことのない風景を、見ようよ。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供64回 / 15日(平均29.9回/週) - 参加 2018/05/09 23:13

seno-le ma さんのブログ記事

  • 小説 op.4-03《愛する人/廃墟の花》④…世界が滅ぶまで、君と。
  • レ・ハンの部屋を出たわたしを、あの四人の男たちが出迎えた。彼らはわたしを待っていたのだった。わたしにあてがわれたのは、レ・ハンの部屋から遠く離れた、また別の廻廊のすぐ傍らの部屋だった。地上2階。壁を作った仕切りが複雑に入り組んだ空間。地上であるということが、ここにおけるわたしの地位を伝えている気がした。もし、レ・ハンの言うことが事実なら、地上は住居としては歓迎されるべき場所ではなかったは [続きを読む]
  • 小説 op.4-03《愛する人/廃墟の花》③…世界が滅ぶまで、君と。
  • 誰にも無視された数度の叫び声の後に、不意にドアが開く。長い時間が経過した後で、なぜ?と、開かれるドアを見乍ら、いまさら何を?訝りさえした。この期に及んで?と、ただ。実際には五分もたっていなかったに違い。疲れ果てた神経はもはや何の驚きも示さない。マットレスに、その崩壊した《それ》に背を向けて、のけぞるように身を横たえたわたしが、駆け寄る四、五人の男たちの足音を聞く。 [続きを読む]
  • 小説 op.4-03《愛する人/廃墟の花》②…世界が滅ぶまで、君と。
  • 開かれたドアの向こうには公的施設の通路に違いない。飾り気の無いコンクリート壁の通路を電気照明が照らしだし、天上は高めだが、4メートルほどでしかない。老人が座っていた5、6人がけの椅子には新聞が投げ捨てられていた。見慣れない発音記号つきのアルファベットが書かれたそれに、一人の男の写真が載っている。賞賛しているのかもしれない。否定しているのかも知れない。何かを、彼は演説したに違いない。ここの [続きを読む]
  • 小説 op.4-03《愛する人/廃墟の花》①…世界が滅ぶまで、君と。
  • これは、連作《永遠、死、自由》の後半の、近未来を舞台にした中篇です。ゾンビがはびこる核爆発による破綻した世界の中で、記憶を失った男が、理解不能な巨大施設の中に隔離され、言葉の通じない人々の間で生きて行く。謎めいた男と出会う。そして、ゾンビの少女とのふれあい、明かされていく彼女の《死》の顛末は…という、あらすじにするとありがち、かつ、笑うしかないくだらない展開なのですが、読んでいただくと、 [続きを読む]
  • 無料:電子書籍&ダウンロード
  • 以下、作成順に一気読み閲覧用ファイル&ダウンロード・ファイル(《パブー》という電子書籍サイトへのリンクです。)を並べておきます。閲覧もダウンロードも無料で可能です。パソコンの場合、そのままPDF保存したほうがいいんじゃないの?というのが個人的な好みなのですが(笑)、お好きな形式でどうぞ。もっとも、ブログ形式でしか閲覧できないものもあります。(《私小説》シリーズのいくつか [続きを読む]
  • 小説 op.4-01《永遠、死、自由 Ⅲ》⑤…まだ誰も見たことのない風景を、見ようよ。
  • 穢死丸の切り落とされた頭部が覚醒したまま地表に転がった。罅割れたアスファルトが血に染まった。声帯を失った穢死丸が、叫んでいた。声はなかった。それは悲鳴だった。失心しそうになりながら失心しきれずに、穢死丸の小さな頭部の中が、いま、無際限に広大な、苦痛と絶叫の音響空間に他ならないことは、誰にも見て取れた。瑞樹が失禁しながら背後で言っていた。「ねぇ、あれ、だれ?」振り向いたわたしに、身をよじっ [続きを読む]
  • 小説 op.4-01《永遠、死、自由 Ⅲ》④…まだ誰も見たことのない風景を、見ようよ。
  • 瑞樹は二十歳を少し超えたばかりだった。小柄で、兎のように細かく歩いた。美しいとも綺麗ともいえなかったが、ある種の男たちにとってかわいいらしくはあった。佐藤に強姦されかかり乍ら、目の前で泣き出した佐藤に同情の目を向け、むしろ、わたしをなじった。何もできなかったのに、彼女は言い、なにも、こんなことまで、と、佐藤に駆け寄った彼女の短い髪の毛が照明に照らされて、真っ白く染まっていた。わたしにひざ [続きを読む]
  • 小説 op.4-01《永遠、死、自由 Ⅲ》③…まだ誰も見たことのない風景を、見ようよ。
  • 海辺でときに集めたすれ違いざまの視線を泰隆は千秋に嫉妬してみせ、千秋は声を立てて笑う。「水着、派手すぎ?…エッチかったかな?」千秋の笑い声は甲高く、鼻に抜けるように鳴る。甲高い、変声期前のような声で話した。湘南までは電車で行った。「あなたは、どう思いますか?」「なにを?」佐藤は振り向いて聞き返した。「…ですか?なにを。…」…え?「自分の正気」佐藤は、もはやわたしの顔など見てはいなかった。 [続きを読む]
  • 小説 op.4-02《愛する人》…きみの革命、僕の涙。(全)
  • この小説は、《愛する》という、不可解な動詞をめぐる小説です。《愛する》というのはありふれた言葉だし、概念なのですが、結局のところ、何をどうすれば《愛する》ことになるのか、わたしたちはまだ知らないのではないか。事実、知りえないのではないか、と。非常に定義が困難で、難解な概念だと想うのです。LGBTの問題も絡まりますが、この作品ではそれほどではありません。LGBTに関して言うと、この言葉が個人的には [続きを読む]
  • 小説 op.4-02《愛する人⑤》…きみの革命、僕の涙。
  • 死のうとしたことがあった。高校生のころ。本当に自分が死ねるのかどうか、試してみたかった。もし、死ねなかったとしたら? 夏の日差し。美しい夏。わたしたちは知っていた。日本の、自然。美しい日本の自然。小さな、瀟洒な、華奢な、色あせたような、やわらかい日差しに包まれた、かすれ行く美しさ。記憶された淡い幻のような。そしてそれらが、ふいに発生する無慈悲なまでの暴力性、その一時停滞 [続きを読む]
  • 小説 op.4-02《愛する人④》…きみの革命、僕の涙。
  • こんなものなの? もとめたのは?ほしかったものは? こんなもの? こんな? みいだしたかったもの。たどりつきたかったのは? こんなもの? こんな? この?これ? 病院から出てくる理沙を待つ。新宿の真ん中の。巨大な、古びた施設。何名もの死にかけのものたち。快癒しかけたものたち。死んだもの。痛めつけられたもの。へし折られたもの。これから切り刻まれるもの。収容されたそれらの集積。そこ [続きを読む]
  • 小説 op.4-02《愛する人③》…きみの革命、僕の涙。
  • 海辺の夕方にまだ日は堕ちない。わたしの言いたいのは、理沙がうつむく。…こんなことじゃない。一瞬だけ。あの哄笑がふたたび始まるまでの、その。「だけ。…、まじ。…だけ。 …理沙だけ」はるかの唇が自分の唇にふれるのを理沙は拒絶しない。自分が発情しているのは知っている。押さえ難い、胸をむかつかせるほどの性欲が、そのぶ厚い温度が、理沙の部屋の中のベッドの上で体中に熱 [続きを読む]
  • 小説 op.4-02《愛する人②》…きみの革命、僕の涙。
  • この小説では、最初に、恋愛小説らしい、恋愛小説っぽいスジは追わない、と、書いたものの、それ以外のスジはぐちゃぐちゃな入り乱れています。右翼青年のクーデターだとか、切腹だとか、進化だとか、ですね。いつもちゃんと、小説の最後まで頭の中で考えてから書き始めるのですが、いつも、その通りに書けたこととがありません。《理沙》の、内面含めたボディ・デザイン、(…タトゥーなど)結構、好みなのですが、最初 [続きを読む]
  • 小説 op.4-02《愛する人①》…きみの革命、僕の涙。
  • 基本的には、恋愛小説です。複線として、進化がテーマになっています。自分の身体が進化を刻んだ瞬間に、《彼》はどんな風景を見るのか?恋愛小説と言っても、そんなにいかにも恋愛小説的な物語が展開するわけではありません。どちらかというと、愛する人の前で、言葉に詰まる瞬間が、テーマになっています。時代は、現代です。2018.05.16 Seno-Lê Ma 愛する人 [続きを読む]
  • 小説 op.3-03《月の船、星の林に》…僕は知っている。僕の未来を。
  • この小説は《花々を埋葬する》、《ブーゲンビリアの花簪》につづく作品で、連作《flowers》の三作目です。いまのところ、これで終わり、です。一作目から順に、過去に遡行して行くかたちをとっていますから、最も古い過去と、現在を飛び交いながら、話は進行します。モティーフになっているのは、《生まれ変わり》《転生》です。私自身はそんなものを信じているわけではありませんが、知り合いの女の子が本気で語る《生 [続きを読む]
  • 小説 op.3-02《ブーゲンビリアの花簪(はなかんざし)》…僕の、罪。
  • まず、説明が必要です。最初、冒頭部、詩的といえば詩的、意味不明といえば意味不明の言葉が群がります。それらの中から、やがて、意味を読み取れる文列が不意に生起し初めて、小説は物語を物語り始めるのですが、つまり、常に《話者》が正気であるとは限らない、と言うことです。不意の、狂気。精神疾患という、非=正気のカテゴリーの中に綺麗に分類されてしまうようなそれではなくて、不意に落ち込むような狂気。私た [続きを読む]
  • 小説 op.3-02《ブーゲンビリアの花簪(はなかんざし)》④…僕の、罪。
  • 奇矯な北村に力を貸すものは一人もいなかったが、彼の革命話には皆が同意した。奇矯な、おかしな北村の、奇矯な、おかしなイベントは、わたしたちに愛され、もてあそばれ、ひとりでに伝播していく妄想にすらなったが、既に、ある許しがたいほど馬鹿なおなべのホストが夢見た妄想に過ぎなかったことなど誰もが知っている以上、妄想としてのなんの効力も無かった。そんな事は北村だって気付いていたが、最早、彼の計画は彼 [続きを読む]
  • 小説 op.3-02《ブーゲンビリアの花簪(はなかんざし)》②…僕の、罪。
  • 「もう、会わない気でしょ」不意に立ち止まった春奈が言った。わたしも、彼女に寄り添うようにして立ち止まり、「どうして?」わたしは言った。どうして、そんなこと思うの?わたしは知っていた。わたしが、優しい、とても、限りなく優しい眼差しのうちに、微笑と共に彼女を見つめているのを。ずっと微笑み続けていたのを。彼女の部屋の中でも、いまも、一方的に話しかける彼女の声を聞いている間中から既に。ずっと。接 [続きを読む]