ツカサ さん プロフィール

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ツカサさん: 海の向こうの怪異録
ハンドル名ツカサ さん
ブログタイトル海の向こうの怪異録
ブログURLhttps://uminomukou.work
サイト紹介文実話怪談@主に外国時々日本
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供26回 / 124日(平均1.5回/週) - 参加 2018/05/15 19:44

ツカサ さんのブログ記事

  • 雨蛙婚姻譚
  • 日紗子さんはその日、日本での休暇を終え勤務地であるシンガポールに戻った。家を空けていたのはおよそ二週間。そこまで長期というわけではないが、南国の気候は不在の間に色々な不具合をもたらす。帰宅早々に家の中を点検する日紗子さん。すると、白い壁にちょこんと貼り付く一匹のアマガエルを見つけた。元来、犬猫以外の生き物が苦手な日紗子さんだが、その時はなぜか鮮やかな黄緑を可愛らしいと思った。その理由はただひとつ。 [続きを読む]
  • 死人に耳あり
  • 今年古希を迎えたFさんが20代の頃の事だというから、およそ半世紀も前の話である。 当時Fさんは神社のすぐ傍の家に住んでいた。常駐の神主さんもいないような小さな神社だったので、掃除や草むしりなど日々の雑用はFさん一家が引き受けていたそうだ。 ある日、朝の散歩がてら神社へ行ったFさんのお祖父さんは首吊り死体を見つけた。通報してすぐに来てくれた警察は死体を降ろし回収して行ったのだが、当然ながら後処理まではしてく [続きを読む]
  • 舌が覚えている
  • 30代の主婦、Rさんは会うなり春先に出会った男性の愚痴をこぼし始めた。出会い系サイトで会った彼は40代と言っていたが実際にはそれよりも20歳ほど上に見えたこと、ヘビースモーカーだったせいか歯は汚くキスの際に口周りを舐めまわされてえずきそうになったこと、自称テクニシャンなのにガサツでかさついた手に触られる度に痛かったこと、無理やりに咥えさせられた男性器も臭く出来るだけ息を止めていたせいで苦しかったこと。そ [続きを読む]
  • 夜の神様
  • 中国で大学生のBさんからこんな話を聞いた。まだBさんが幼かった頃、中国東部にある島でおじいさんと二人暮らしをしていた。都会で働く両親が田舎に住む祖父母に子供を預けるというのは中国ではよくある話で、Bさんが当時住んでいたその島もかなりの田舎だった。 退屈な生活を送っていたBさんだが、一度だけ、島にひとつしかないデパートに連れて行ってもらったことがあるという。「おやつっていうと果物を干したものとかヒマワリ [続きを読む]
  • 挿げ替え
  • Nさんの大学のキャンパス内には全部で6基のエレベーターがある。ごく普通の、奥が鏡張りになっているタイプのものだ。そのうちの1つ、教育棟にあるエレベーターの鏡だけは何故かフェルトで覆われている。Nさんはそれを常々不思議に思っていた。「何でそこだけわざわざ見えないようにしてるのかなぁって」だからある日、例のエレベーターに乗った時にフェルトを捲ってみることにした。セロハンテープで留めてあるだけのフェルトは [続きを読む]
  • 中国在住
  • 中国滞在経験のある知人はこんなことを言う。「10年以上中国にいる日本人とはあまり関わらない方がいいですよ」もちろん仕事や家族の都合で長年暮らしている人もいる。彼女が指すのはそのような人ではなく、ちょっと特殊な事情で「日本に帰れない人」のことである。 その人と最初に会ったのは中国北部のとある町の日本料理店だったそうだ。40過ぎの地味な女性。これといって特徴もない、普通の人。それがRさんだった。お互い客とし [続きを読む]
  • 真夜中の鳥居
  • 「僕が二十代の頃の話や――」 現在和歌山県で飲食店を経営するDさんは、二十代の頃は普通の会社員だった。その日、Dさんは大阪方面で仕事をしていて、日付が変わる頃に車で和歌山へと帰っていた。目的地は串本、本州最南端の場所である。仕事でもプライベートでも何度も通った道だ。間違えるはずはないのだが、その日はどうしてだろうか、知らない間に見たことのない道を走っていた。引き返そうかとも思ったが、ずいぶん前に通り [続きを読む]
  • 恋愛ブログ
  • Aさんは数年前まで、とある恋愛指南ブログの読者だった。当時Aさんは既婚者でありながら彼氏がいた。彼氏の方にも家庭があり、いわゆるダブル不倫と呼ばれる状態だったそうだ。そんな関係だったものだから、家族にはもちろん友人にも相談できない。自分一人ではどうすることもできない鬱々とした気持ちは、そのブログにコメントをすることで解消していた。『仕事終わりに会ったけどほんの20分だった』『LINEの返事が返って来ない』 [続きを読む]
  • 禁住地
  • 中国北部にある小さな村には昔から「寺の裏に家を建ててはいけない」という言い伝えがあった。村の人達は長年その言い伝えに従って生活してきたのだが、二十年程前、余所から移住してきた人達によって寺の裏に家を建てる計画が持ち上がった。昔からそこにいる村人達はもちろん反対した。しかし急速に近代化が進んでいた当時のこと、根拠のない迷信だと一蹴されてしまった。 果たして、村人達の反対をよそに九戸の家は完成した。程 [続きを読む]
  • 封鎖
  • 今から約五十年前、中国で大規模な地下鉄開通工事が行われた。工事が進んでいたある日、現場で古い井戸が見つかった。作業員が恐る恐る井戸の蓋を持ち上げると、すうっと上がってきた冷気が彼の顔を掠めた。更に蓋をずらしてみると、大きな鎖がぶら下がっているのが見えた。鎖は底の方へと続いている。何が繋がれているのか気になった作業員は鎖を引き上げてみた。ズッ……ズッ……ズッ……。――かなり長い鎖のようだ。いくら引い [続きを読む]
  • 訳アリ男性
  • 『未練』のAさんのお友達から後日、こんな話を聞いた。 「例のママさんみたいにはっきり何かが見えるとか、霊感があるとか、そういうんじゃないんですけど、オーラみたいなものが分かるんです。あ、見えるんじゃなくてその人の色が分かるっていうか。直感? ですかね。はっきりとこの人は黒だ、って分かるようなこともあれば、何となくこの人は暖色系だなぁ、みたいにぼんやりとしか分からない時もあって。それで、茶色の男の人っ [続きを読む]
  • 移霊
  • 大学の学生寮に住むSさんは、霊を郵送したことがあるという。 「ある時期から部屋の前の廊下が臭くなったんですよ」 Sさんの部屋は3階にあるのだが、3階の廊下だけ甘ったるい腐敗臭がしていた。例えるなら「バナナの皮を数週間放置したような臭い」だそうだ。寮生たちは念入りに掃除をしたり芳香剤を置いてみたりしたが、一向に臭いは消えない。そのうちに、臭いはSさんの部屋の中へと移った。悪臭の原因を突き止めようと、Sさん [続きを読む]
  • 復讐返礼
  • 大企業の役員だという彼とは東南アジアの某国で出会った。雑居ビル1階のアイリッシュパブで、スツールをひとつ空けてカウンター席に座っていた。 元々その国の駐在員だった彼は日本に家族を残しての単身赴任、会社から与えられた3LDKのマンションで一人自由気ままな生活を送っていた。週末はいつも近隣諸国へと遊びに出かけていたそうだ。年齢の割にアクティブだ。素直に感想を口に出すと、彼は首を振った。「お嬢さんが想像して [続きを読む]
  • 愛痕
  • 彼女は穿いていたロングスカートを太ももまでたくし上げて、それを見せてくれた。青黒くて縦に長い円形の痣。 かつて彼女は人の道に外れた恋をしていたという。その相手が「噛み癖のある人だったの」 羽織っていたカーディガンから腕を抜き、右肩をこちらに向ける。楕円形の痣はそこにもあった。 結局、二人の関係が周囲に知られ、彼女は全てを失うことになる。それが四年も前の話。 消えない歯型というわけではないそうだ。彼と引 [続きを読む]
  • 留遺 三篇
  • 通学路にてKさんが高校生の頃、通学途中に近所のおじいさんに会った。いつものように挨拶をする。が、おじいさんからの返事はない。いつもなら二言三言交わすのに、何だか妙だと思った。帰宅して母親に言うと、嘘をつくなと何故か怒られた。「おじいちゃんは昨日の夜病院で亡くなったのよ」と。数年経った今もKさんはその時のおじいさんの様子をよく覚えている。錆び付いたチェーンをギイギイ鳴らしながら自転車を漕いでいた、それ [続きを読む]
  • 弔い
  • 今から五年ほど前、Yさんのお婆さんが亡くなった。 葬儀が始まると、僧侶はYさん一家を呼び寄せ、輪になって棺を囲むように告げた。黙って指示に従う大人達。葬儀に参列するのが初めてだったYさんも皆に倣った。すると、僧侶が持って来たカバンの中から生きた鶏を取り出し、その場で首を切り落とした。切り落とされた鶏の生首は棺の上に突き立てるように置かれた。そして、僧侶はぶつぶつと念仏のようなものを唱え始めた。その途端 [続きを読む]
  • 寂しい女
  • 今はごく普通の主婦であるKさんがまだ大学生だった頃、彼女は割と「軽い方」だったらしい。「それなりに彼氏もいたんだけど、声かけられたらふらーっとついて行ってたんだよね」その日、Kさんはゼミの飲み会に参加していた。楽しく飲んでいたのだが、誰かが言った「もうすぐ終電だ」という言葉を合図に、皆は慌ただしく帰り支度を始めた。ゼミの中でただ一人、実家暮らしではないKさんは終電の時間など気にしなくてもいいのだが、 [続きを読む]
  • 焼失
  • 和歌山県に住むTさんという男性からこんな話を聞いた。Tさんの働いている会社は毎年、十二月の最終出勤日に社員総出で大掃除をするという決まりがある。まずは自分のデスクの整理から。次は共有スペース、それから会社の外周。デスク整理以外の掃除は皆で適当に分担して行うのだが、ある年、Tさんは四十代の女性社員と共に「焼却炉係」に任命された。焼却炉といってもきちんとしたものではなく、日曜大工が趣味だという社長が自作 [続きを読む]
  • 汝、余所の諍いに関わる勿れ
  • 現在大学生のBさんがまだ幼かった頃。 ある夏の夜、村の住人達が広場で喋っているとどこからか言い争う声が聞こえてきた。どうやら男性と女性が喧嘩をしているようだ。しばらくすると「痛い!」という女性の切羽詰まった声が聞こえた。皆は「放っておいた方がいい」と家に帰ってしまったが、一人のおじいさんは声のする方へと駆けていった。声は河口の辺りから聞こえてくるのだが、月明かりだけでは声の主を見つけることも儘ならな [続きを読む]
  • 命の影
  • Eさんという女性がある日、日課の散歩に出かけた。20分ほど歩いた先にある小川はお気に入りの場所だった。Eさんはその日も小川の畔でしばらく過ごそうと思っていたのだが、すでに先客がいた。隣の家に住むKさんだ。川縁に腰かけて、足で水面をぱしゃぱしゃと揺らしている。 「こんにちは」いつものように挨拶をしたのだが、Kさんからの返事はない。それどころかこちらを見もしない。「Kさんもいらっしゃってたんですね」もう一歩近 [続きを読む]
  • 死者との再会
  • 今から数年前、Sさんは従姉の葬儀に参列した。葬儀から三日後にとある儀式を行った。それは紙で作った馬を燃やすこと。Sさんの故郷の風習である。死者が無事にあの世へ旅立てるようにとの願いを込めて行われるのだそうだ。親族だけで広い公園に集まって、紙の馬に火をつける。火にゆっくりと覆われた馬はあっという間に黒い煤へと変わった。最後まで見届け、公園を去る時。Sさんは何となく振り返って馬を燃やした場所に目をやった [続きを読む]
  • 校長の仕事
  • 数年前まで関西の小学校で校長先生をしていたというSさんにこんな話を聞いた。 Sさんが二十年ほど前に勤務していた学校には、奇妙なルールがあった。それは、毎朝一番早く学校に行ってコップ一杯の水を供えること。雨の日も雪の日も土曜日も日曜日も、決して欠かすことはできない。もちろん夏休みも冬休みも。彼女は毎日学校へ行き水を供えていたそうだ。それは校長だけの特別な仕事だったらしく、他の教員や生徒には秘密にしてい [続きを読む]
  • 横浜陰陽的放送局
  • 横浜陰陽的放送局さんが「お時間拝借増刊号19」にて当ブログの怪談『陰と陽』と『男嫌い』を朗読&解説して下さいました。個人的に好きなタイプの怪談だけを集めて楽しんでいるので怪異の原因や理由についてはほとんど知りませんでした。解き明かすとつまらなくなっちゃう話って多いじゃないですか。でも解説だけでひとつの怪談になるくらい怖かったです(特に『男嫌い』)。朗読と解説は動画の後半、1時間10分くらいからです。前 [続きを読む]
  • 地下鉄の怪 乗客篇
  • 今から五十年ほど前、中国は北京で地下鉄の開通工事が行われた。工事が始まって間もなく、作業に携わっていた人達から「幽霊を見た」、「誰もいない場所で人の声が聞こえた」等といった奇妙な報告が相次いだ。(『地下鉄の怪 作業員篇』) 行政は地鎮祭を行い「深夜は工事をしない」と決定した。地鎮祭のおかげか、その後霊障はなく工事は無事に終わった。しかし開通後しばらくすると、深夜でも電車が走るようになった。すると再 [続きを読む]
  • 浮気の匂い
  • 四十代のWさんは、数年前に離婚した。女癖の悪かったWさんの若い頃を知る友人達は皆、離婚理由は彼の浮気だろうと噂したが、実際はその反対なのだという。セックスレスを理由に奥さんから離婚を切り出され、改善しようにも当時多忙を極めていたWさんは為す術もなく同意せざるを得なかった。三人の子供の親権は奥さんが持つことになり、Wさんはあっという間に一人ぼっちになってしまった。かつて賑やかだった家が寒くて暗い場所にな [続きを読む]