a.o さん プロフィール

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a.oさん: a.o独白ブログ
ハンドル名a.o さん
ブログタイトルa.o独白ブログ
ブログURLhttp://areiookuma.hatenablog.com/
サイト紹介文創作文章(ショートショート) 詩 個人的哲学(独白) などを公開しています。
自由文書きたい言葉が降りてきた時や叫ばずにいられないとき…その物事からいったん距離を置く方法として、日常を作品化するという実験をしています。
良いことやそうでないことも作品化すると、その全てに美が宿るような気がします。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供81回 / 66日(平均8.6回/週) - 参加 2018/06/08 16:51

a.o さんのブログ記事

  • 《創作》鈴虫の音
  • 田んぼには鋭利に光る錫色の雀よけの帯が、穂をちょうどかすめるほどの高さに張り巡らされていた。上から見るとそれは巡回路を示す柵のようにも見えた、鬼さんこちら、手の鳴る方へ、案内に従って散策する果てしない迷路のようでもあった。鋭利に光る雀よけのこの帯は、今度は真横から見ると水面が太陽光に乱反射しているかのように見え、存在しないはずの海がそこに在るように感じるのだった。そういう訳で庭から田んぼを見ると [続きを読む]
  • 《創作》鳥肉
  • 僕は楽園に居るのをやめてしまった、大体10年前に僕はその庭園から抜け出て、以来外側から楽園を見ていた。内部の構造は迷路のようになっていて、手をついて廻っても楽園の中心部には決して辿り着けないのだ。かと思うと、何の自覚もなしに庭園の中心部に居る連中も居る、生まれてから死ぬまで無自覚に遊び続ける連中も居る。僕はどういう訳か楽園の構造自体は把握していた、鳥という、この名前の通り僕は飛べたから、上から見た [続きを読む]
  • 《創作》快楽依存症
  • 注射器を手に持ち、女はどんよりとした夏の午後の部屋の中で、ただ一人、汗ばんでその内部に光を吸入させた。色とりどりの世界の素がいかにもなプラスチック製の小さな容器の中に収まってゆくのが見えた。「100本か200本くらい欲しいわね、1000本あったっていいわ、こんなのすぐに使い切っちゃう」女はそう言って瞼を閉じた、私は病気だろうか、あの人も病気なのだろうか、この絶大な快楽の前では全てが無に等しかった。依存症と [続きを読む]
  • 【詩】雷よ私を
  • 雷よ私を、打ち砕いてください。私は、あの人が異常だろうが正常だろうがどうでもいいのです。あの駅のあの病院にあの人は行ったそうです、そこで異常さを取り除いてもらうそうです。私もその異常に加担したらしいです。あの人、病気だそうです。だから何だというのでしょうか。あの人が病気だったら何だというのでしょうか。あの人が病気だったら、あの人の本性が病気ということでしょうか。あの人の本性が病気ということだった [続きを読む]
  • 《創作》降霊術
  • 雅歌は響き続け、皮膚の内外では常に、絶えることのない婚礼の宴が繰り広げられている。女は円形のテーブルの一席に座して居た。物理的な意味で言えば、それはテーブルの四分の一に相当した、だが魂たちを呼び寄せ、対話するにはそれ以上の面積は必要がなかった。女は降霊術を開始した。雅歌は響き続け、皮膚の内外では常に、絶えることのない婚礼の宴が繰り広げられている。女は呪文を念じた、確かに女の皮膚の薄皮一枚を [続きを読む]
  • 《創作》芝の根の国
  • 女は庭の芝を剥がしていた、どこか凶悪な様相の、腰の高さよりも大きいシャベルを深く土に埋め込ませては、呼吸と共に掘り起こした。芝の根の国は文字通り根絶やしにされていった、?き出しの土には多くの生き物が右往左往し、嘆いていた。蜩が鳴いた、女にはそれが朝焼けに響く声なのか夕焼けに溶ける声なのか判別がつかなかった、ともあれ空は薄紅色に染まっていた。血の色だと女は思った。ふと、シャベルが何かに当たって動か [続きを読む]
  • 責任とるよ
  • 干支が一週するくらい前、私は平均年齢20代の会社に居たの、会社という名前のただの組織に私は居たの。新宿や池袋にビルがあって、そこに通っていたけれど、呼び出されたら別室でフェラチオしてたの。なんでかって?暇だったから。暇だったし、咥えてるチンポにもその付属品である男共にも、そして女たちにも、愛着や責任が無かったから。何の責任も無い私を抱いたって、それこそ何の責任も生じない。そういうわけで、ほどな [続きを読む]
  • ごめんなさいとは何故だか言えません
  • こないだね、夢の中であの人に会ったの、あの人は大泣きして私の真正面に座していた、涙が、雨粒みたいにポツポツと私の膝に降ってきたっけ。私はあの人の涙をぼうっと見つめながら思った、ああ、聖母の両目から紅茶が流れてるみたいって。血の涙みたいって。あの人は紅色の声で言った、それは糸になって私に巻き付いていたけれどすぐに剥がれ落ちてしまった。床にはあの人の言葉の残骸が、紅色の糸くずとなって渦を巻いていた、 [続きを読む]
  • 秘密の独り言
  • これは秘密の独り言。以前あなたに度々質問されたことがありましたね、どうして君は枝葉の最後の一房であり続けるのかとあなたはよく問いかけてきましたね、私はその質問に対して本当の意味では答えていなかったのです。私は自分がそれを出来ない理由ばかりを説明していたに過ぎないのです…あの時はまだ何一つ知らなかったのです、人を愛することを私はまだ知らなかったのです。溝に溜った雨水を飲む雉鳩と目が合い、熱風が [続きを読む]
  • 《創作》狐につままれた日
  • 薄緑色に統一された巨大な建物中に男の喚き声が響き渡った、皆騒然として声の発信源である男を見ていた。「文句があるなら警察を呼べ!」男は尚もそう叫び、その場であぐらをかいた。女はそのすぐ側を通り過ぎた、驚くべき事に、女は考え事に夢中で男が叫んでいるということ自体に気が付いていなかった。女の目の前に居た老人が手招きしたので女は老人の側へ無意識のうちに歩いて行った。老人は言った。「危ないよ、そいつは危な [続きを読む]
  • 【詩】綺麗だよというあなたの言葉の鋭い槍で
  • 綺麗だよというあなたの言葉の鋭い槍で私は身も心も貫かれ死んでしまいました綺麗だよというあなたの言葉の槍は心地よくどんなに月日が経とうとも忘れる事が出来ませんあの時私を形作る一つのシャーレの内側で数多の生き物が叫びそれまでの私だった部分がいとも簡単に死に絶え無数の命が湧き出で新たな私へと造り替えられてしまったのです工事中のビルからの予期せぬ落下物電車とホームの間の魔境身体をかすめるように移動 [続きを読む]
  • 【詩】もしも目の前の人間があなただったら
  • 私は震えております恥ずかしいことにあなたに出会うまで、私は人間が人間に対して抱く尊敬や愛情の念を知らずに居たのです私があなたに抱くような気持ちを誰もが誰かに抱いていたとしたら…世の中は光輝く人で溢れていることでしょう…と、自分に必死で言い聞かせている私は今、怒りで震える手を押さえています先ほど非常に腹の立つことがありましたその原因である目の前の傍若無人な不細工を今この場で、殴りたい衝動に駆られ [続きを読む]
  • 《創作》庭で死にたい(汚濁注意)
  • 女は朝露に濡れた庭木に手で触れ、まだ涼しい風に身を任せ、誰も見ていないのをいいことに素足で芝生を踏んだ。その柔らかい感触に静かに全身で歓喜し、女は微笑んだ、庭で死にたいと思うほどに女は朝の庭が大好きだった。如雨露に水を入れて低木の根元を湿らせ、その一本一本に心の中で声をかけていった、おはようかわいい子たち。「M氏、いってらっしゃい、今日は早いのね」女はスーツ姿の男に声をかけた、二人は手を振り合っ [続きを読む]
  • 《創作》午前三時の奇跡
  • 彼女のしようとしていた事が何なのかは僕にはよく理解出来なかったけれど、ともかく彼女は懸命に、午前三時の教会で使命を果たそうとしていた。彼女は命綱なしで巨大な聖母子像のあの金の台座まで登っていた、僕は息を飲んで彼女を見ていた。声をかけたら彼女は間違いなく落ちるだろうと僕は思った、暗闇の中、教会が建って以来消えたことのないという蝋燭の紅い光だけが彼女と聖母子を照らしていた。絵の中のようだと僕は思った、 [続きを読む]
  • 【詩】林檎の園
  • 林檎を囓って振り向いたあなたは誰?ここは林檎の園、誰でも入ってきていいの、誰でもあたしを食べて良いのでも甘い果実を食べたのならこのあたしに教えて頂戴、あなたは一体誰?あたしはあなたの身体の中であなたになるだから知りたいのよあたしが誰になるのかあなたは誰なのか振り向いたあなたは答えあたしはもう一度問うあなたは誰?あなたが誰なのかをあたしは知りたいのあたしを食べたのなら教えなさい、あなたは一体誰? [続きを読む]
  • 《創作》独房の歌
  • とある男がいた、彼は少年の頃から影を見ていた、影は、影としか言いようがなかった。その男、もとい元少年は団地という名の独房に住み始めた、子供が出来たからだった、心の内側ではいつまでも移動したいと願っていた、移動を妨げる住処は彼にとってどこでも独房だった。願いが切実になればなるほど地面からいくつもの影が生じ、その数え切れないほどの小さな腕が彼の足を掴んで動けないようにした。元少年は叫んだ、俺を逃がし [続きを読む]
  • 《創作》病気手帳
  • ーーーーー第一幕ーーーーーその時代、国民には病気手帳というものが配布されていた。病気を持たない国民は一人も居なかった、科学者当人も医師当人も含め全ての人間が何らかの病に冒されて生まれてきているという驚くべき事実(それを意識と呼ぶ者も稀に居た)に、国民は文字通り飲まれたのだった、その国の国民は全て、最後の一人に至るまで病に冒されていた。病気手帳は病気の区分ごとに色分けされている…が、往々にして一人の人間が様 [続きを読む]
  • 【詩】内なる雅歌
  • あなたを婚礼に招きましょう、秘密の婚礼にあなたを招き、相聞歌をうたいましょう一緒に、内なる雅歌を、歌いましょう一緒に王様には王妃が六十人、側女が八十人六十人の王妃には麗しい下男が六十人、八十人の側女には恋人が八十人いいじゃない本当のことを歌いましょう、私たちの王様は怒ったりなさらないだって対になってそろい、相手を失ったものはいないのよ大丈夫、王様には特別な乙女がいるから、歌を歌っている乙女がいるか [続きを読む]
  • 《創作》内なる雅歌
  • 聖書の中で雅歌が一番好きです。だって敵と言う言葉が一切出てこないのです、呪いという言葉も、主という言葉すらも。あるのはただひたすら婚礼の夜を待ちわびる二人の相聞歌。人生に喜びしかなく、誰も憎んではいない、あれが聖書の真ん中のあたりに収められているというのも何やら神秘的な気がします。相変わらず骨は軋むけれど、全部が全部遊びみたいに思えてきたのです。憧れの人、私の王様に絵を見せる事は一番楽しい遊びで [続きを読む]
  • 1996年7月17日
  • 飛行機の話がしたいわ、飛行機って私毎日見ているのよ最近、飛行機は美しいけれど…美しい物ほど怖いのよ。1996年7月17日、私は飛行機に乗っていたの、今はなきアメリカの航空会社の飛行機。成田空港を出発して夜の海を越えて南の島まで…飛行機の窓から星空が見えたの。窓は、どういう理由かわからないけれど閉めろって言われていたけど、私は夕食として出された機内食を食べずに息を飲んで見てた。本当に星の中を飛んでいる [続きを読む]
  • 《創作》水中秘話
  • 小さな銀器に一度沸かした水を注ぎ、朝靄の中、女は手を合わせた。銀器はコップを半分にしたような大きさで、祈りを捧げるときにだけ使用する小さい器だった、それが祭壇にちょこんと置かれていた。祭壇には水を入れるための銀器とランプと、その銀器の台座である平べったく小さい一枚岩が置かれていた、祭壇自体は木で出来ていた。鳥の声意外の物音はしなかった。毎朝そうやって祈りを捧げていた女だったが、祈りそのものについて [続きを読む]
  • 《創作》俺は山奥にいる
  • 俺は山奥にいる、山奥にいる、山奥にいる、ダムのすぐそばだ。本当はダムだって邪魔なくらいだ、人っ子一人居ない真緑の空気を俺は吸いに来た。来月から働くという仕事場を見た、制服を着て作業をするんだと、一日中、ひと月のうちのほとんどを作業所で過ごすんだと。俺は何だか暗い気持ちになって、それを晴らしたくて、自転車に乗って山奥まで来た。ああ俺は今山奥にいる、山奥にいる、山奥にいる、そう思うと全身の一粒一粒が [続きを読む]
  • 《創作》万華鏡
  • 僕は万華鏡を持っているんだ、僕だけの万華鏡があるんだ、僕にしか見えない宇宙の模様を僕は知っている。出来事や、まだ出来事になる以前の様々な要素が混ざり合って存在し、ぶつかったときに顕在化する。こちらから見て心地よい事とその逆…万華鏡に散らばる、名前がついているのが不思議なくらい繊細な数多の色。それら全てが祝うべき万事であるということを僕は、誰にも言わないけれど確信している。宇宙の模様とは、万事を祝 [続きを読む]
  • 《創作》浮気の是非
  • 「神無月くんの誕生日、10月26日、それって私が人生初めての創作文章を書きはじめた日なの!これって運命だと思わない?」女は興奮して叫んでいた、裸でソファーの上に寝転び髪が汗で額に貼り付いていた。「神無月くんの声もこの前電話越しに聞いちゃった、可愛い声…」神無月くんは僕の息子だ、今年5歳。「ねえ、私、あなたと肌を合わせると神無月くんがより一層可愛く思えてくるの…私ね、これまで子供を可愛いと思った事な [続きを読む]
  • 世界は美で溢れている
  • 女は戸惑った、痛みの絵はもう描いたし、今度は楽しい美しい物の総合を描きたかった。しかし絵はそのようには進まなかった、いつでも痛みが在り、日常が美しい楽しいものだけではないことを女に囁いてくるのだった。今現在というものに対し女が思い浮かべるのは、客室清掃が海の中で踊るようなものであるということや、やや干上がっているものの、美しい小川の風景だった。前は小川のほとりを飽き飽きするまで歩いた、実際飽きなか [続きを読む]