conta さん プロフィール

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contaさん: コンテナガレージ
ハンドル名conta さん
ブログタイトルコンテナガレージ
ブログURLhttp://container39.hatenablog.com/
サイト紹介文ミステリー小説を愛するフリーライターが、自作の小説を投稿しています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供166回 / 141日(平均8.2回/週) - 参加 2018/07/28 08:06

conta さんのブログ記事

  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 8-3
  •  三枚目、文字を拾う。「天窓といろりは可動式なのでは、と思いました。意識を失いかけたときおぼろげに煙を見たんです。もうろうとした意識、混だくしていたので、確証は低く捜査の足しにもならないでしょうが、襲われ生き残った唯一の被害者の証言だと大目見てどうか最後まで読んで欲しいものです。僕は今病室を抜け出してます、そちらにファックスが渡る頃にはもうホテルの地下入り口ゲートを左もしくは右手に道路を走ってる頃 [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 8-2
  •  昨夜美弥都は『ひかりいろり』を今一度遠矢来緋を従えて室内を調べた、係員の本分を彼女はまっとう、突発的なドアの封鎖に体を廊下と室内にまたがって遮断を防いでいた、システム管理に事情は伝達済み、警報のみを一時的に解除していた。レールを左へ滑る、勤務先のドアも同様左に収まる。利き足の配慮だろう、左足を軸に前に踏み出す右足、それに連動する右半身を先に滑り込ませる。右に開いたとて体全体が入りきる直進が可能な [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 8-1
  •  調査報告を鈴木はファックス用紙に『ひかりやかた』宛、六枚の綴りを送りつけた。搬送中に意識は回復し、病院に到着するころには会話ができるまではっきりと意識が戻り、驚くのは序の口で救急治療に取り掛かる検査の段階で鈴木の体は筋組織、血管、臓器に異常は見られず、折れやすい肋骨も軽微なひびが見つかったぐらいで、皮膚表面の赤黒い着色にいたっては顔料などが皮膚に染み込んだらしく強靭な肉体と医療スタッフから賞賛さ [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 7
  • 八月九日 (どっと目に疲労が及んだために、六、七、八日と家に篭る。今日を見越していたのかも、無意識ではあった) 今月の定期健診を受けた。内容をすぐに書き留めた、病院裏の駐車場はようやく埋まって横断がやっと途切れてくれた。「どうぞ、次の方」「おはようございます」            「あら、少し痩せました?顔色が優れないねえ、体調は?」「寝つきが悪くて、顔色はそのせいだと思います」「そう?ならいいけ [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 6-8
  •  果実の甘さ。作業の手が止まる。赤銅色のミルを回すハンドルを伸ばした脇が心地よく程よい伸張を這わせる体勢であった。口に含む味覚のほとんどを苦味が占める、甘さはまだカップの縁に口をつけ液体が流れているときに良く見られたいがために印象を植え付けて、苦味、二つが混ざり合い食道を流れた口腔内が空っぽの状態に、忘れたころに甘さがぱっと花開く。目に入る腕の時計。三分以上五分以下か……、時間外の変質。おもむろに [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 6-7
  • 「悔しかったら」室田は入り口に片耳を向ける顔のねじり。「そこの『週刊医療ジャーナル現場編』を読んでみたらいかがかしらね」 封書を彼女は持ち込んでいた、宛先はホテル、ここへ送られてきた郵便物である。 彼女らと入れ替わりに安部が姿を見せた。そういえば、像の制作に欠かせない打音は鳴り止んでいた。いつもの隅の席に阿部が座る、美弥都は注文を取ると躊躇せず、昨夜から朝方にかけてのアリバイを尋ねた。「仕事を第一 [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 6-6
  • 「捜査が及んだホテル内をいっせいに隈なく取り掛かることはしませんでした。限られた人員が順々に『ひかりいろり』、天窓、屋根、通路、二階回廊と客室、フロントそして駐車場。鑑識は見当をつけた箇所を優先的に証拠が消えてしまうその前に採取、鑑定に回す。したがって第一手に『ひかりいろり』が選ばれるのは必然的」「ははあ、そう。私が部屋に匿って屋根から鑑識の青い制服が引き上げた隙を狙って、犯人を屋根に戻した。警察 [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 6-5
  •  少女の視線が美弥都の背後を捕らえる。窓。 ぐずついた天候、空模様は崩れたらしい、雨が落ちた。それらしい兆候を見過ごしていた雨雲の流れはひっそり水面下で忍び寄っていた。 極限状態に、室田祥江はの心情は晒されていたのかも、溢れるすんでんのところ、姪が放つ一滴が落ちたのだった。 美弥都は室田の去り際に鈴木に押し付けられた使命を思い出した、面倒だが呼び止めるしかあるまい。質問数は控えめにしよう、彼女は相 [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 6-4
  • 「すごーい。すごいわ。ねえ、店員さん、私が会った人であなたが一番賢い」「単なる推測でしょ。それぐらい叔母さんにだって朝飯前」「今は夕飯前。そうだ、ねえご飯、ご飯を食べたいぃ」上半身の揺れから少女の両足は交互に前へ進むバタ足の見本を示していただろう。「はぁ、夜道の運転は嫌いなのよ、気味悪くって」クラッチバックを探る手に海外メーカーのエンブレムが光る。少女に、「あなたが運転してくれたら喜んで付き添うわ [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 6-3
  •  飲み物の注文でも似たようなケースがある。大勢で注文する際にまとめて一人が勝手に飲料を決めてしまう、強制を敷く者に靡いてしまう者が少なくない。私はそう言った場合、あえて注文に同意を取る。一度聞いて覚えられる、ドンくさい店員をそのときは演じるのだ。ポールペンで数量をわかりやすく止めてみたりして。案の定ほぼすべてのケースで注文の変更が聞かれる。飲みたくないとまでは言わない、けれどここでわざわざ飲むべき [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 6-2
  • 「叔母様いつになったら、夕食に連れて行ってくださるの?さっきから煙草ばかり吸って、お母様はいつも煙草を吸う人は配慮に欠けているって仰ってました。本当に嫌われますよ、今度こそ」年端も行かない小学生がいっぱしに大人に利いた口で意見する。しかしながら子供にも人権は宿り守られるべきである。彼女たちの意見を、少なくとも両親やともに暮らす大人たちは各自と同様に聞き入れるべきだ。不遇の子供時代をすごした反動であ [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 6-1
  •  入院を余儀なくされた鈴木の代役は来週、つまりO署特別捜査課は現場へ送り込む代わりの刑事が取得する休暇に合わす腹積もりらしい。「抱える事件が多いのです」、病院に送られる鈴木は搬送直前の救急車に乗せられる寝台の上で所属部署を庇った、うわごとである、彼の意識は搬送の時点では混濁していた。彼と事件の解明を約束をしてしまった手前、私一人が降りるわけにもいかない。滞在四日目、気になって回廊を彼女は歩いた、角 [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 5-3
  •  光に包まれる、あれれ、呟く傍から体が燃え尽き、バルーンも咆哮ばかりの噴射装置も大きな籠だって見る間無残に跡形は細切れ紙片に空を飛べた。満足だろう、そう言った。言われたのか言ったのか、定かではない。とにかく誰かが耳元か体の内側で僕に聞こえるぐらいの音を聞かせたんだ。だったら、うん、ぼくはぼくでなくても、もしかしたら良いのでは、とこう思える。 あの人が見つめる、こっちを目と鼻の先に彼女の鳶色の瞳が二 [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 5-2
  •  重りを増やしやがって。この野郎、もう口も満足回らない、声が弱い。体内だと流暢なのに。 剥がれそうだ、皮膚が片側へ流れている、流れたいと切実に嘆願、僕に許可を求める。いけない、それは認められないんだ。波は押し寄せる、砂浜が削られる。海に風力発電の風車を建てたいのだそうだ、発生する磁場に動植物の生態が破壊されかねないので断固建設を推奨したがらない市民たち。おかしな映像が紛れ込む。かなり昔の出来事だ、 [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 5-1
  •  あいつが来る、追いかけてくる、追いつかれた! 動けなく手足を縛られた。やめろ、やめてくれよ!聞こえていないらしい、仏頂面は黙々プログラムに従うみたいでどこか機械を髣髴とさせる。 半分、遮られる視界。まさか、そのまさかだ。ここをどこだと思うのだ、連想ゲームはものの数秒、お見事、優秀、偉くもないぞ、こんな非常時に。 あぁ死ぬのか、短い人生だったよ。重い、重いよ。ひどく無残で惨めな死に方じゃないかよ、 [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 4
  • 八月九日 狐は悪い、悪戯が好きであります。たいそう偏屈でして手におえず、その狐、仲間にも嫌われる。狐、茶色く、お腹の辺り、耳のうち側は白くて目は色々その時々やお昼までおりますと大層気取って見えます。夜は宝石、綺羅戯羅闇夜を飛び跳ねる。 ある時分、猟師の仕掛け罠を見つけます。私は用心をしました。あたりを通りかかるときは慎重に飛び跳ねる位置を確かめます。背の高い叢になるべくならなるべくなら、と他の道を [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 3-3
  •  手を添え囲炉裏にはまる石に触れる。ぴったりと枠に収まる、盛り上がる、そう捉えられもする、けれど決して縁の高さを逸脱はしておらず弁えて平行に徹する。はいつくばって、顔をびたっと眼球があたるほど近づけてみた、成人男性の中で鑑識は当然としても、地面を這い蹲る、しかもスーツ姿の人種は刑事ぐらいなものだろうさ。 つかの間だった。あっという間である。どうしてそうなったのか、わからない。多分、何時間、数日後に [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 3-2
  •  天窓の開閉はこじ開けた形跡、外枠はたいそう綺麗な状態ですよ、屋根に上がった鑑識は大声を張り上げて情報を二階の回廊中に聞かせてしまった。耳の調子が少しおかしいのと、高所はかなり強風に煽られる、風の影響を非常に受け易いんだ。 鈴木は足を止めた。天窓を徐に見上げる。死亡推定時刻は発見の数時間前から六時間前の間、と鑑識はおおよその時間をはじき出した。昨夜から本日の明け方にかけて殺された、ただ殺害と遺体を [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 3-1
  •  一人体制で駆け回る捜査は気楽も気楽、調子を合わせるのは体調と空腹具合の二つが主な気にかける変化である。その反面訪問先が多いと次の段階へ移りたくても収集した情報に一旦検討の場を与えなくてはいけない、勿論推測を働かせて、たとえば上司の熊田さんは僕らが知りえる情報を膨らませることで生じた疑問点の解消が不思議と事件の解明に繋がって、種田はというとどちらかと言えば単独行動を好んで、手当たりしだセンサーが捕 [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 2-2
  •  手早く洗顔、歯磨きを済ませて記録を僕は確かめてた。 時が止まった。目を疑う。息も止まっていたし、再開した呼吸で咽てもいた、痰が絡んだらしく、しばらくハンドルにすがって前かがみの体勢を続けた。それでも。瞳は画面を捉え続けた。理解し難かったし何より訪問の理由が見つからない。そういった命を危険に晒す趣味は稚拙で馬鹿のやることだと思い続けて、かなり緩和されたが今現在も自然の中で身をすり減らす行為を斜めに [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣2-1
  •  八月八日 二日間を思い出してみようとするが、一向に映像が浮かび上がってこない。手帳を開いても二ページは白紙、空白は空寒い。いつも業務日誌をつけてたのが癖になってる。ようやっと自分が見え始めた。まだ朝のそれも日が昇ったばかりの午前五時。昨日上司は部屋に戻った記憶も……だめだ、きっぱり通信を拒む。誰にって、そりゃあ今日、現在、数秒前の今に決まってる。 枕元の端末を引き寄せる、後頭部に枕をあてがう。連 [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 1-4
  • 「二年前と今回、関連性を疑っていいのかそれとも偶然の域を出ない夏の休暇時期が揃っただけのことなのか、とはいえ宿泊者は僕と日井田さんを除くと状況は事件当日を再現したとも思える」鈴木は低い声で唸ったかと思うと世話しなく顔を上げた、パーツが広がっていた。「そっくりに現場の状況を仕立てて何か得があったんでしょうか?つまりです、犯人を知っていてそいつに『私はお前の犯行を見抜いたんだ』、と知らしめる、当人は自 [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 1-3
  • 「そうでしょうか……。二週間に一度の散髪、その翌日は決まってか名前を聞かれるものですから、髪型を弄られているのかとも思うのですよ。割合はっきりものをいうタイプですしこちらとしても若気の至り、そういった時期はあってもまあ、今のうちだからと達観はしています。しかし……、どうも髪型を含んだ全体をこう嘗め回すような視線を朝一番に向けられる、とでも言いましょうか」山城は個人的な話題に脱線しかけた流れを自らポ [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣 1-2
  •  日誌を睨みつける鈴木はぼやく。「家入さんの筆跡はどうも他人が書いたと見えなくもなくって、かなり日によって文字の特徴を変えてますよね。これって意識的なのかな、ふーん……」「気分屋ですから、家入は」グラスを一口傾けた、山城はあきれて眉に傾斜を作る。「彼の証言を私は他の二人よりも鮮明にあのときを言い表してる、あくまで想像でありますが、彼の記憶力は群を抜いてますよ。それで以前のホテルを辞めざるを得ない状 [続きを読む]
  • 兎死狐悲、亦は狐死兎泣  1-1
  • 「日井田さん、押収品の手帳はお持ちですか?」鈴木は日誌を注視した前かがみの突っ伏しそうな姿勢のまま片手を伸ばす、上着は数分前降雨がもたらした湿度の上昇とほぼ水といえるコーヒーの摂取に吹き出す汗、それに暑さに耐え切れず、脱いでいた。袖のボタンを留めた腕は軽く手首が覗く。 エプロンが軽い。美弥都は返却不要の意思を伝えた。昨晩に内容は確認した、と。 O署の刑事鈴木と『ひかりやかた』支配人の山城、彼らはフ [続きを読む]