また、頼ってしまった。種田は顔をしかめる。まったく、情けない。一般市民を頼る警察に信頼などを置けるものか。仕方ないと言い訳を立てたのは、しかし私自身だ。種田は、フロントガラスの向こうで煙草を吸う鈴木を見つめる。彼は雨よけに張り出した庇の裏側を覗く、鳥の巣が見えた。ツバメの巣のようだ。 鈴木が車に戻る。 「手紙に隠された暗号とやらは見つけられた?」エンジンをかけて鈴木がきいた。お尻に入れた財布を取り出す動作で、助手席側に顔が迫る。が、すぐに弾かれたように交わる近距離の視線は、互いの射程圏内を確認させることで、危険を察知、鈴木はぱっと、定位置に腰を落ち着けた。胸元に財布を入れ換える。 海道に合流し…