conta さん プロフィール

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contaさん: コンテナガレージ
ハンドル名conta さん
ブログタイトルコンテナガレージ
ブログURLhttp://container39.hatenablog.com/
サイト紹介文ミステリー小説を愛するフリーライターが、自作の小説を投稿しています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供44回 / 15日(平均20.5回/週) - 参加 2018/07/28 08:06

conta さんのブログ記事

  • 赤が染色、変色 7
  •  本番五分前、精神を落ち着ける祈りは周囲へのポーズ、平然と振舞う私に感化される連中が何度か不注意によるミスを犯した事例がこのふがいない有様というわけ。楽屋を出たのが、開演十分前である、現在はリハーサル室の控え室で開演を待つ。リハーサル室は会場の名称、ややこしいが、本来のコンサートホールの出番待ちに使われる施設なのだ。 二件目の事件、あれは少々手際がお粗末に思える。突発的に起きたなにかしらの対処が、 [続きを読む]
  • 赤が染色、変色 6
  •  もう、よそう。 松田三葉はグッズ販売の開始時間に端末のアラームを、その三十分前にセットした。時間を二度確認する、それから彼女は運転席のシートを倒した。 打ち付ける雨、跳ね返す金属、連続した異なる音階、高低の乖離を転じて規則の出現へ、協和に変遷。 私がより若々しく私を維持していたなら、アイラに私を、私にアイラをと、不遜な考えを起こしただろうか? 問いかけはむなしく、額を覆う右腕、その下の栄養を取り [続きを読む]
  • 赤が染色、変色 6
  •  一人身だったら、いつもアイラに会いに行けるのに……。それは違うか、違うよね、三葉は千切れるほど首を振った。 車内に戻る。 フロントガラスに流れる一筋、二筋。水の玉が集まり一つへ、重く大きく形を変えて、下へ消える。 私は幸せなのか、不意をついて疑問が襲う。 誰と比べているの?対象を明確にして欲しい、観測はそれからにしてよ、不用意な塞がりは禁物。 だめね、私は前の書き手みたいにアイラに寄り添ってしま [続きを読む]
  • 赤が染色、変色 6
  •  山を降り始めた時刻が午前十一時半、すこぶる快調、彼女はブラックコーヒーを飲みながら、峠道を降りた。そこからは一時間もかかっていないだろう、渋滞に捕まらなかったら到着は二十分は早かった、だけど怒りは自然と不思議とどうしてか静まるの、理由はわかりすぎるほど身に覚えがある、三葉は大分コンベンションセンターの駐車場でバシバシとハンドルをにやけ顔で叩いた。 車内のシートに収まる。 しばらく妄想を膨らませ、 [続きを読む]
  • 赤が染色、変色 6
  •  朝からそわそわした浮遊感が拭えない、うれしい悲鳴。 松田三葉は、夫を送り出す二時間前に起床、玄関先に新聞と雑誌をまとめて回収に備える、朝食の支度はいつもの半分、十分で食卓に並べる。洗濯機はあの人が家を出てから回すとして、スピード洗いが二十分、乾燥に二十分と考えると、八時過ぎには、うん、家を出られそう。ライブは夕方の七時開演、開場はその三十分前でグッズ販売は一時間前の六時だから、時間の余裕は十分す [続きを読む]
  • 赤が染色、変色 5
  •  次だ、死体について。密室が示めされた。保身が逃走者の存在と施錠された窓からの脱出を明示した一件目の阿部記念館。まるで、マジシャンの手品を解き明かす作業、騙して微笑んでお金を取ってとは、遊園地のアトラクションにも類似、恐怖と期待の狭間、騙されていることを自ら望む、稀有な心持ちと論理解釈だ。そう、ここの展望台もこれの一部。逸れたので事件に引き返す。画像を呼び出した。コンクリート造の外観は海外の思想に [続きを読む]
  • 赤が染色、変色 5
  •  紙が踊る、手紙だ。二つの記憶に関連性を見出すとでも言うのか、発光体を模して点滅を繰り返している。 一度、煙草を口にくわえる。吐き出した煙、念のため、灰を落とす。瞼を下ろす、気配なし、足音は離れて複数が観測される、接近の割合はきわめて低い。 アンケートと死体を交互に想起しよう。あくまで演奏に主眼を置いたメンテナンスだ。 まずは、アンケートから。年代のばらつきは比較的顕著に表れた。次に扇風機の首を振 [続きを読む]
  • 赤が染色、変色 5
  •  ファンと交流を結ぶ手法は確立されていたものの、サインを求める彼を筆頭とするファンの事情に、彼女は疎い。偶然そういった人物を見かけることがなりより彼らのこれまでを計り知れる、わざわざ分け入って正体を確かめることをアイラは控える。 握手を求めた男性の手は居場所を失って、後頭部に移動、それからは煙草をスパスパ、煙をポンプのように肺に送った。出入り口は一つ、私の前を男性は通る。テーブルを挟んだ奥側の隙間 [続きを読む]
  • 赤が染色、変色 5
  •  あいにくの雨、お足下の悪いなか、卑屈な表現に聞こえる感覚を人は取り去ったらしい。一切の世辞を述べないアイラは、雨に降られるまま体を濡らす、会場である大分コンベンションセンターに入った。堂々、表口を潜る。 土曜日。午前中はセンターの象徴と聞いた展望棟目当ての観光客はまばら、観光地では雨は降らず、いつも晴天であるような錯覚は出発前に取り去ることが肝要だろう、あくまでも彼女の持論だ、ただし旅行を終日愉 [続きを読む]
  • 赤が染色、変色
  • 「ご飯が炊き上がりました、ご飯が炊き上がりました」炊飯器が呼びかけた。七時を過ぎたか、彼女はリビングの照明をつけた。 カレーは二日目がおいしいのと言い訳めいた文言で明日の夫の夕食を私は既に作り出し、完成完成作り置き。 すらすら言葉が、つらつらリズムに乗せて、きらりきらりの残響が、不意に故意に視界に満ちる。 スプーン片手にアイラの魔法、いつの間にやら私は虜。 ピンポン、ピポンとチャイムがなれば、手元 [続きを読む]
  • 赤が染色、変色
  • 「中身はどうしても男っぽいのよね、あの子」くすっと、三葉は笑いをこぼした。コンロに立って、火を弱める、この辺りから失敗は許されないのよ。だけど、ははは、笑える。昔の私みたいなんだもの、あの子。けれど、それが異性には強力に作用するって気付くのはもっとさきのことだったりするとは夢にも思っていないでしょうね。ほほほほ。 乾いた年季の入ったフライパン、家に移り住んだときに買った由緒ある同年代の代物、数々の [続きを読む]
  • 赤が染色、変色
  •  私も一緒に彼女と同じ空間に一生息が詰まるそのときまで、死を迎えられたらな。たぶんおかしいけれど、本望よ。 鶏肉を炒める。豚でもなく牛でもなく、細切れでもない、鶏モモを一口大より大きめにカットして焼き色がついたころあいを見計らい、野菜たちの鍋に移しかえた。水を数センチ、ほんのわずか注ぐ、野菜の水分を期待するので、十分なのだ。 ご飯を炊飯器にセット、サラダ用の野菜を水洗いして、放置。あの人が帰宅した [続きを読む]
  • 赤が染色、変色
  • 「たまねぎ、火にかけっぱなしだった」三葉はキッチンに駆け込む。わざとリビングと玄関をつなぐドアは半開きにしていた。「あちゃあー、やってぇしまった。もう、始めからやり直しだわ。また炒めなおさなきゃ」「おーい、大丈夫う、松田さん」「はあい。ちょっと、はあ、てんやわんやです」「手伝おうか?」「いいえ、また一からせっせとたまねぎ炒めなおしますう」三秒で腰を上げるだろう。三、ニ、一。「……ごめんねー、私が邪 [続きを読む]
  • 赤が染色、変色 4
  •  インターフォンを取る、回覧板だ、無駄話が長引かないように、カレーの匂いを振りまいて、火をかけっぱなしにしておく、おっちょこちょいを演じるのよ、面と向って挑みかかるのは割りに合わない、三葉はミルクパンを台所下から取り出し、木べらでほんの少し、たまねぎを掬い取る、そちらを弱火にかけて、玄関に走った。本体のフライパンは火を消していた。「こんばんわ。回覧板ですう」隣に住む伊達さんだ、好き嫌いのちょうど中 [続きを読む]
  • 赤が染色、変色 4
  •  ようやく明日に迫った、息が詰まりそうで恐ろしい。夕食それにお弁当はいつもにまして豪勢なおかずをふんだんにちりばめた。普段手を抜いていたと、あの人は思うだろうか。ううん、松田三葉は首を振る、詮索はするけれど一方的な意見一つで決め付ける人じゃなかった、それが結婚の相手に選んだ条件だった。三十年も前の出来事、イベント、過去の一ページ、ええ、もう私にとって、あれは通過儀礼のようなものよ、アイラに出会うま [続きを読む]
  • 赤が染色、変色 3
  •  天井をアイラは見上げた。いつもの癖だ。こうして、何の気なしの行動を首が司る。疲労の証、サイン、記し、予兆、アラーム、警告、予鈴、掛け声、カウント、明滅。 煙が立ち昇った。 三週間のライブを振り返る、わざとらしく合間に死体の映像が割り込む、目を閉じた、それでも追従。 まったく、どうかしてる。 私の足跡で死にたかった、あるいは殺したかった。どちらも自らに私を見出してはいるが、外部にそれを示そうとして [続きを読む]
  • 赤が染色、変色 3
  • 「吊りズボンであれば、パンプスをお勧めします。もちろん、他の二足でも過不足はありません。ですが、いつもとは違う系統の服を選ばれた事実を考慮しましたら、はい、あまりにも通常過ぎる選択は単なる奇抜に終わる可能性が高く、ゆえに判断を女性的な意味合い、性別が限定された様式美を履き、賛否を伺うことが妥当ではないかと」アキはこの服を選ぶ予感を抱いていた、だからこその整った意見。「問題ありません。お願いします」 [続きを読む]
  • 赤が染色、変色 3
  •  ギターを職人に差し出す。冬季も黒い髑髏がプリントされたTシャツ、長髪のスタッフに手渡した。彼が弦の調節を行ってくれる。ステージ裏に風のように姿を現すエンジニアは、音響設備は施設に備え付けの機械を一部使用するとのこと、ギターを含む音声に関しての調節は細かな調節が必要となる。が、現時点では、機械の癖を引き出すことに注力し、翌日に再度、調節を求める。簡潔に、それだけを言って、エンジニアは肩を回して持ち [続きを読む]
  • 赤が染色、変色 3
  •  とはいえ、理想はどうやらあったようだ。より昔に、何も知らなかったときにまで、戻ることを内面の奥深く分け入った森、乾いた葉の裏側、そのさらに下の、湿る腐葉土の深部に息を潜め、丸まった私は重たい瞼で迎えを待つか……。 彼らに届ける場所を明確に捉えた、気がした。 試作が証明してくれるだろう、アイラはそっと弦を掴んだ、音がぶっつり切れた、居心地の悪さ、ええ、予定調和を裏切ったのよ、私を含めた観客たちの次 [続きを読む]
  • 赤が染色、変色 3
  •  差し掛かったステージ、ひょいと、彼女は飛び乗った。中央に立つ。 人知れず音を奏でる、斜めに出番を待つ踏ん反り返る一本をスタンドから手に取る。観客は数人。 亡くなった人物が残したと思われる、手紙を浚った。歌いながらである。 私が目的らしい、人生の目的に人の一部を据えるのか、とても危険で不安定な指標だと思う。確かに、彼女たちが受け取る心象風景は私が思い描いた一部だ。そう、けれどたったの一面。 メディ [続きを読む]
  • 赤が染色、変色 3
  •  カワニは裏方の人間、それゆえ映像化やネット上にあるいはその他媒体への公開という可能性が片隅に残っていた。一夜限りとは割り切れないのだろう、どこまでも貪欲で、つまるところ歌手たちの多くはそうやって、物理的に一度きりのライブすらも繰り返し、大多数の小さな画面上で好きな時に観戦されてしまう。かつての大昔の演奏すら見られてしまう。彼女は正方形にかたどった床の一枚に両足を乗せる、作り手と演奏家の違いを持ち [続きを読む]
  • 赤が染色、変色 3
  • 「収容人数は千二百人、だそうです」参りました、と付け加えた他人事のようなカワニの発言は、大き目の会場に目星をつけて、ありとあらゆる会場を探し当てる今回の戦術が引き起こした。完全に把握しきっていないまま、見切り発車で、ツアー会場の選考が行われてきた証が彼の発言に集約されている。アイラに驚きはない、平静そのもの。いつものことだ。つまるところ、会場の要請は突発的なキャンセルにより決定した会場がほとんどで [続きを読む]
  • 赤が染色、変色 3
  •  しかし、過去の事例ではライブ開催の翌日に死体は見つかる、気は抜けない。連続殺人を食い止める方法は、ライブの中止が残された強い手札。だが、最終週の福岡の開催をもって彼女はライブの終了を決めていた、変更は受け入れないつもり。公演中止の働きかけには断固、警察からの要請に真っ向から逆らう態度で臨む。ツアーと事件を嗅ぎつけるマスコミへ格好の餌を与えているようなものだ、黙っていれば彼らは次の新鮮なまだ、息を [続きを読む]
  • 赤が染色、変色 3
  •  長崎県のライブは西部の、かろうじて建物が現存する印刷工場での開催であった。近隣の住居は三世帯が暮らす集落が山の中腹入り口に建つ。事前にかつての工場が発した音は山の形状によって集落には届かなかったそうで、深夜であっても騒音の心配はない、との住民の太鼓判をもらっていた。工場は山の中腹にあり、ライブ会場当日は、手配したシャトルバスを最寄り駅から走らせるのだそうだ、もちろん定期便は往復の一便のみ、これも [続きを読む]
  • 赤が染色、変色 2
  •  子供ほどの女性歌手に入れ込む姿に、明らかに不審めいた夫の態度と距離。始まりは、数ヶ月前に訪れたライブハウスの定期公演だった、娘の付き添いで歌う姿に惚れ込んだ。同世代の関心は海外の若い男性、アジア系の歌手や役者だけれど、これまでそういったあこがれの対象は私には縁遠く、実生活を正面から受け止められず、履き違えた娯楽に興じる、逸脱した羨望と思っていた。それが、まさか、あろうことか……この私がのめり込む [続きを読む]