文音 さん プロフィール

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文音さん: 童話の時間
ハンドル名文音 さん
ブログタイトル童話の時間
ブログURLhttps://douwanojikan.exblog.jp/
サイト紹介文自作の創作童話のブログです。 楽しんでお読みいただければ嬉しいです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供45回 / 129日(平均2.4回/週) - 参加 2018/09/12 14:31

文音 さんのブログ記事

  • 泣き虫なねずみの赤ちゃん(あとがき)
  •  「泣き虫なねずみの赤ちゃん」をお読みくださり、ありがとうございました。 このおはなしは、久し振りに三題噺に依らず、自分で着想したものです。 「泣き虫なねずみの赤ちゃんが、人形を作ってもらっても泣き止まず、ねずみの人形(ぬいぐるみ?)をつくってもらって泣き止んだ」という発想が突然浮かんで、そこから作りました。 お話が浮かぶときは、ぱっと全体が一瞬で出来上がってしまうこと、なんと... [続きを読む]
  • 泣き虫なねずみの赤ちゃん(9)
  •  おかあさんねずみはその声にはっと身を起こしました。 その頭には、あることがひらめいていました。 それはこの人形が、それを抱いていたこの家の女の子と同じ姿をしている、ということでした。 黒いおかっぱ頭も、くりくりとした黒い瞳も、健康そうな赤いほっぺも、何もかもそっくりです。 ああ、あのお人形は、あの女の子自身だったのだ、あの子のおかあさんは、自分の子供の人形を作ったのだ、とやっ... [続きを読む]
  • 泣き虫なねずみの赤ちゃん(8)
  •  「おいおい、かあさん、赤ん坊が泣いているってのに、寝ちまったのかい?  この子はずっと泣き通しだからなあ…。  よっぽど疲れているんだな」 おとうさんねずみは大泣きする赤ちゃんに手こずりながら、慣れない手つきでおむつを替え、ほ乳びんでお乳を飲ませました。 赤ちゃんは涙の粒をほっぺに残しながら、ごっくんごっくん音をたてて飲みました。 お乳を飲ませ終わったとき、おとうさんは、赤... [続きを読む]
  • 泣き虫なねずみの赤ちゃん(7)
  •  おかあさんねずみは反省して、次はもっと小さい人形をこしらえました。 ちょうど、前の半分くらいの、赤ちゃんが抱きかかえられるくらいのをね。「さあ、これでもう大丈夫ね」 ところが、それでも赤ちゃんは泣きやみません。「…これでも大きすぎるのかしら?  そうよねえ、この子はまだ、生まれたばかりの赤ちゃんで、歩くどころかはいはいもできないし。 …それじゃあ今度は、もっとずっと小さ... [続きを読む]
  • 泣き虫なねずみの赤ちゃん(6)
  •  たしかあの子の人形は、黒い毛糸の髪をおかっぱにして、大きな黒いビーズ玉の目を縫いつけてありました。 赤いワンピースを着て、とも布のリボンが頭にもついていました。 いま思い出しても、とてもよくできた、いきいきとしたかわいらしい人形でした。「あんな人形を作ってやったら、赤ちゃんだってどんなに喜ぶでしょう。 そうすればきっと、いまのように泣かずにすむかもしれないわ」 おかあさんね... [続きを読む]
  • 泣き虫なねずみの赤ちゃん(5)
  •  よく見ていると、その人間の女の子は、自分の大きな人形に名前を付けて大事にかわいがっているのがわかりました。 人形は女の子の一番仲の良いお友達のようでした。 むずかっているときも、誰かが人形を持ってくれば、たちまち機嫌がよくなりました。 雨で外へ行けなくて泣いたときも、ひとりで退屈でつまらないと泣いたときも、人形さえあれば女の子は泣き止みました。 夜、寝るときは、その子のおかあ... [続きを読む]
  • 泣き虫なねずみの赤ちゃん(4)
  •  おかあさんねずみは以前、自分たちの巣食っている家の人間の女の子が人形を抱いているのをたびたび見かけたことを思い出したのです。  それはまだ赤ちゃんがおかあさんねずみのおなかにできる前のことでした。  人間の女の子は、自分と同じくらい大きい人形を手をつなぐように持って、引きずって歩いていました。  女の子が人形と一緒に歩いているつもりなのが、おかあさんねずみにはよくわかりました... [続きを読む]
  • 泣き虫なねずみの赤ちゃん(3)
  •  そんなある日、朝早くねずみの町へ出かけて行ったおとうさんは、夕方、オルゴールを抱えて帰ってきました。ベッドの上につるすと、くるくる回りながらりろりろと鳴るおもちゃです。「そんなものをつるしても、この子はまだ目がよく見えませんよ」 おかあさんが笑うと、「そうかい? でも、いい音がするだろう」 おとうさんはそう言ってオルゴールを天井からつるしました。 けれども赤ちゃんの泣... [続きを読む]
  • 泣き虫なねずみの赤ちゃん(2)
  •  赤ちゃんはひとたび泣き出すと、もう、抱っこしてもおんぶしても子守歌を歌っても、ちっとも泣き止んでくれません。 それでもまだ、おかあさんのほうが一緒にいる時間が長い分、赤ちゃんの相手が上手なので、泣き止んでいる時間が少し長いのでした。 おかあさんがつかれるとおとうさんが代わるのですが、どうもうまくいきません。 おとうさんねずみにはお乳がないので、おかあさんねずみはときどきお乳を... [続きを読む]
  • 泣き虫なねずみの赤ちゃん(1)
  •  若いねずみの夫婦に赤ちゃんが生まれて、夫婦はおとうさんとおかあさんになりました。 赤ちゃんはよく太って丈夫でしたが、どういうわけか、生まれた時からとてもよく泣きました。 新米のおとうさんとおかあさんはその度に、おむつをかえたりお乳を飲ませたりてんてこ舞いをするのですが、赤ちゃんは一旦泣きやんでも、またすぐに泣き始めます。 元気がいいので、泣き声も大きいのです。「大きな声だなあ... [続きを読む]
  • ある後家さんのお話(あとがき)
  •  拙いお話を読んでくださり、ありがとうございました。 このお話も、前回の「白い羊の八百屋」と同じく、塑田久子さまの「どこまでも、まよいみち」のなかの三題噺スイッチからお題を頂いて作ったものです。 頂いたお題は、「籾殻(ブラン)、木、肉屋」でした。 まず、「ブラン」というものがわかりません。調べてみると、「ふすま」のことのようですが、いまひとつピンときません。 「オールブラン」と... [続きを読む]
  • ある後家さんのお話(16)
  •  心配そうにみなの様子を見守っていたおかあさんは、ようやく笑顔になって答えました。「村長さん、みなさん、今日は本当にありがとうございました。 夫を亡くしてから、わたしは何もかも独りでやらなくてはいけない、 もう誰も助けてはくれないのだから、と思っておりました。 けれども、それは間違いでした。 村長さんを初め、村のたくさんの方がわたしと坊やのことを心配してくださり、 今夜のこの... [続きを読む]
  • ある後家さんのお話(15)
  •  村長さんの号令で、村の人たちはみな手を合わせて「いただきます」と声をそろえると、一斉に料理を食べ始めました。 口々に、「おいしいね」「おいしいね」と言いながら。「こんなうまいものは初めてだ。うちの肉が、こんなにしゃれた料理になるなんて」 お肉屋さんが言うと、「本当だなあ。わたしは長い間牛乳をしぼってきたが、ただ飲むことしか知らなかったよ。それから、捨てていた脂肪も、役に立... [続きを読む]
  • ある後家さんのお話(14)
  •  さあ、おかあさんと坊やは大忙しです。 村中の人のごちそうを、限られた時間で二人きりで作るのですから。 狭い台所で、二人はくるくるとよく働きました。 おかあさんは、牛飼いが捨てようとしていた脂肪を瓶に入れてよく振って、バターを作りました。 牛乳を温めてお酢を加えてかき混ぜて、チーズもこしらえました。 三つのコンロには、お鍋とフライパンが入れ替わりかかりっぱなし。 坊... [続きを読む]
  • ある後家さんのお話(13)
  •  帰り道、おかあさんは重い荷物を抱えて、村長さんにお礼を言いました。「村長さん、ありがとうございます。 おかげさまで、こんなにたくさん食べ物を手に入れられました。 これだけあれば、当分、暮らしていけるでしょう」 ところが村長さんは意外なことを言いました。「いやいや、これはおまえさんと坊やだけで食べるのではないよ。 実はわたしにもうひとつ考えがあるのだよ」 そして、こう... [続きを読む]
  • ある後家さんのお話(12)
  •  そして二人は最後にもう一度、初めにもみがらをくれた、田んぼを持っているお百姓さんをたずねました。「やあ、村長さんにきこりの後家さん、これは大変な荷物ですな」 お百姓さんは、あれこれ荷物を抱えた二人を見て目を丸くしました。「いや、みんなあなたのおかげですよ」 村長さんが言うと、お百姓さんは、「はて? わしの? わしが何かしましたかいな?」と、首をかしげました。「... [続きを読む]
  • ある後家さんのお話(11)
  •  村長さんとおかあさんは、りんごと卵と牛乳の入ったバケツともみがらの袋を分けて持って、畑を通りかかりました。 畑では、お百姓さんがお芋を収穫していました。「やあ、畑を持ったお百姓さん、今日もご精が出ますな」「これは、村長さん、こんにちは。おや、きこりの後家さんも、こんにちは。 この間は大変なことでしたな。どうですか、もう、落ち着かれましたかな?」 お百姓さんは腰を伸ばしてあ... [続きを読む]
  • ある後家さんのお話(10)
  • 「村長さん、こんにちは」 牛飼いは牛にえさをやっていました。「きこりの後家さんも、こんにちは。 …先日は、とんだことでしたなあ。 坊やはどうしていますかな?  おとうちゃんを恋しがって、泣いてはいませんかな?」 牛飼いは、父親を突然亡くした坊やのことを案じてくれていました。「ええ、ありがとうございます。 本当は寂しいんでしょうけれど、頑張って元気にしてくれているんで... [続きを読む]
  • ある後家さんのお話(9)
  •  そこでふたりは、にわとりをたくさん飼って卵を集めている家にやってきました。「やあ、こんにちは。ご精が出ますな」「これは村長さん、こんにちは。きこりの後家さんも、ご一緒で。 ……ご主人はお気の毒なことでしたなあ。お優しい、いい方だったのに」  卵屋さんのご主人も、おかあさんを労わってくれました。「にわとりの様子はどうですかな?」 村長さんが尋ねると、卵屋さんが答えまし... [続きを読む]
  • ある後家さんのお話(8)
  •  ふたりはまず、りんごの木のたくさん植えられた家に行きました。 その家の人は、木からもいだりんごを、大きなおぼんに乗せて運ぼうとしているところでした。「りんごを急いで運んでおくれ。 傷つかないように、乾かないように、腐らないように」 けれど、いくら大きなおぼんでも、りんごはそんなに乗りません。 転がってしまうので、重ねることもできません。「やあ、こんにちは。ご精が出ますな... [続きを読む]
  • ある後家さんのお話(7)
  •  あくる日、後家さんのこれからのことを、さて、どうしたものか、と考えながら村長さんが村の道を歩いていますと、田んぼを持っているお百姓さんが大きな袋を運んでいました。「やあ、ご精がでますな」「これは、村長さん、今日は見廻りですかな。いや、いつもありがとうございます」「いやいや、恐れ入ります。ところで、何を運んでいらっしゃるのかな?」「これはもみがらですわいな。米をとった後の、稲の殻... [続きを読む]
  • ある後家さんのおはなし(6)
  • 「村長さん、奥さま、先日はお忙しい中、主人の葬儀に来てくださって、ありがとうございました」 おかあさんは村長さんの家に着くと、まず、お礼を言いました。「やあ、きこりの後家さん、もう、落ち着いたかね?」 村長さんは、少し言いにくそうに応えました。 おかあさんは「後家さん」と言われて、改めて、自分が夫を亡くしたのだと認めずにはいられませんでした。「坊やはお元気にしてらっしゃ... [続きを読む]
  • ある後家さんのお話(5)
  •  おかあさんは帰り道、また、家々の戸を叩いて訊きました。「何かお手伝いすることはございませんか」「何かお手の足りないことはございませんか」 すると、ある家の中でおばあさんが針仕事をしていました。「ああ、お願いしたいねえ…」 おばあさんは声をかけました。「どうしても針に糸が通らなくてねえ…。 あんた、ちょっと手伝ってくれないかね」 おかあさんは、すぐ針に糸を通して... [続きを読む]
  • ある後家さんのお話(4)
  • 「なにかお手伝いできることはございませんか」「なにかお手の足りないことはございませんか」  断られるのを承知で、おかあさんは村の家を一軒一軒廻りました。 すると何軒目かの家のおばさんが親切に教えてくれました。「川向こうの家の奥さんが、たちの悪い風邪をひいて困っているそうだよ。 子供たちが小さいのに、うつすといけないから世話ができないって。 ご主人は町へ出稼ぎに行っているしねぇ... [続きを読む]
  • ある後家さんのおはなし(3)
  •  おとうさんの上に倒れた大きな木は、村の男の人六人がかりでやっとどかすことができました。「しっかりしろよぉ」「気を強く持てよぉ」「おれたちみんな、ついてるぞぉ」  男の人たちは口々におとうさんを励ましながら、ようよう重い木をどけました。 それからおとうさんを担架に乗せて運びました。 誰かが町まで行って、お医者さんを呼んできてくれました。  ですが、お医者さんはおとうさんを... [続きを読む]