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2018/09/18

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  • 2019年12月07日

    14時ごろ起きる。またやってしまった、午前2時ごろに満腹で寝てしまっていた状態から起きたのが運の尽き。その時に無理をしてでもでなければこの時間に起きると分かっていたのに。 これも睡眠障害の一種なのだろうか。その後は急いで荷物をまとめ図書館に向かう。だが、やはりこの時間帯から自修室を借りるのは難しい。1階のフロアではビブリオバトルをやっている。次に自修室が開くまで時間があるので少し見てみようかと思ったが、すでに発表者への投票も終わった時間だった。 その後は自習室も開いていなかったので、バーガーキングに行って遅い昼飯を食べる。その後、フロアの机で The Economist を読みつつ、わからない…

  • 2019年11月07日

    11時頃だらだらと起床。 朝ごはん代わりに缶コーヒーを飲む。タリーズの緑缶が一番好きだ。伊藤園の自販機を見かけるとついこの缶を探してしまう。 こんなところにプチ情報を書き込んでしまったので、今後の人生で誰かの恨みを買ったら暗殺者の脳裏にこの緑缶の情報がよぎるに違いない。 研究室に顔をだしたところ後輩のMくんに出くわす。 久々に皆でご飯に行く。よく行くラーメン店が新メニューの鶏白湯ラーメンをだしていたので、それを頼む。 戻ってから半期に一回受けなければいけない講習会を受ける。 あまりにも routine な内容なので、飽きて途中から読み進めている Yuval Noah Harari の "21 …

  • 2019年11月06日

    昼頃起床。 昼飯には定期購入しているベースパスタにオマケでついてきたベースブレッドを食べてみる。 研究室の電子レンジで1分ほど温める。海外製のハチミツが1パック付属していたので、それをつけて食べてみる。 ベースパスタに独特の(滋味のありそうな)風味は共通だ。 腹持ちは流石によく、18時半頃まで空腹感は感じなかった。 解析を進めつつ、内定先の技術ブログなどを眺める。 Twitter 情報で Yuval Noah Harari のプレゼンテーションがライブストリーミングが見れるとのことで待機していたが、配信先 URL がわからず(なぜか LinkedIn のページだった)、断念。 代わりに Yuv…

  • 2019年11月05日

    昼、ショート打ち合わせ。 TV会議に繋いでも誰も何も言わないので、変に思っていたが 自分が資料を共有し忘れていたのが原因だった。 資料を共有後、ボスが繋いできた。「忘れていた」だそうだ。 16時から新しいエージェントさんと顔合わせ。 前回までのエージェントさんは人事部に異動になったらしい。優秀だ。 ここ半月ほど悩んでいるある意思決定について40分ほど相談する。 先日オープンしたばかりの新しいオフィスは輝いていたが、まだ引越しが終わっていないようでエレベーター内は養生されたままだった。 その後研究室に向かう。後輩のM君が机に突っ伏して寝ていた。 彼は最近修論に向けた作業が佳境に差し掛かっているよ…

  • 2019年11月03日

    昼頃#と会う。その後+の$に参加。*書店で本を買う。その後、*と喫茶店Sでお昼を食べてから散歩。*の跡地に新しくできた喫茶店Mで買った本を読む。帰宅してからは 尾原和啓「ザ・プラットフォーム」を読む。以前電子書籍で読んだ内容だが、内容はほぼ忘れていて苦笑い。やはり要点の抜き書きなどしないと忘れてしまう。佐藤優が「読書の技法」で紹介していた超速読で要点だけまとめておく。 === ブログを放置していた。毎日の振り返りをかねて、今日から「3分日記」をつけることにする。これはその名の通り、3分以内に書いた日記だ。

  • ホモ・デウス 下:テクノロジーとサピエンスの未来 ユヴァル・ノア・ハラリ(著)

    人間至上主義に変わる新たな宗教はデータ至上主義。 人間の特権であった意識=個人の経験が至上の価値観の源だった時代が終わり、自分以上に自分をよく知るデータフローが、あらゆる選択にベストな選択肢を提示する時代が訪れる。 個人の意志決定の価値は失われ、投票と合意に基づいた自由主義も死を迎える。エリート層は経済的価値を失ったその他大勢の人間を見捨てて能力的にアップグレードされた超人へと変化する可能性がある。 特にAIの発達による知能と意識の分離という論点が斬新。絶対的な価値観が揺るがされる感覚が心地よい読書体験だった。 ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来 作者: ユヴァル・ノア・ハラリ…

  • ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来 ユヴァル・ノア・ハラリ(著)

    現代で最も広く受け容れられている宗教「人間至上主義」は、如何にして誕生し、自明の理として共有されるに至ったかを探る上巻。 人類が地上で覇権を握ったのは、多くの人間が幻想を共有する共同主観的な視野を獲得したことにより、柔軟に協調できるようになったから。 人類の躍進の原動力は、科学のみであると考えられがちだが、実際には科学は倫理的問題には結論を出すことができず、多くの人々が受け入れる宗教=人間至上主義と組み合わされることでその真価を発揮してきた。下巻では、人間至上主義に変わる新たな宗教について考察する。 ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来 作者: ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田裕之 …

  • 【翻訳記事】ギルガメシュ叙事詩の新たな断章が発見される

    以下の記事を翻訳した。 www.livescience.com とある歴史博物館と密輸業者の間の取引によって、史上最も有名な物語のひとつ「ギルガメシュ叙事詩」に新たな見識がもたらされた。新たに発見された一枚の粘土板が、この古代メソポタミアの叙事詩のかつて知られていなかった「章」を明らかにした。この断章が、静かな場所だと思われていた神々の森に、賑わいと彩りをもたらした。また、新たに見つかった韻文は、詩に謳われた英雄が耐えていた内面の葛藤をも明らかにする。 イラクのクルド人地域のスレイマニヤ博物館は、2011年に80から90枚のセットの粘土板を、馴染みの密輸業者から購入した。非営利オンライン出版 …

  • 【読書・人文書】翻訳地獄へようこそ, 宮脇孝雄(著)

    ロンドンのホテルで 、ボ ーイ長がアメリカ人の客にいった 。 「リフトはまもなくまいりますので 、お待ちください 」するとアメリカ人の客はいった 。 「リフト ?あ 、エレベ ータ ーのこと 。あれはね 、アメリカで発明された物なんだから 、エレベ ータ ーというのが正しいんだよ 」 「はい 、ですが 、あなたさまがお使いの言葉は英国で発明された物ですので 、リフトと呼ぶべきでございます 」 海外文学を読むと、素人ながら翻訳の苦労に思いを馳せることがある。また、古い翻訳モノを読んでいると一つや二つは意味が掴めないがスルーしても差し支えないような箇所がある、という方も多いだろう。 本書では経験豊…

  • 【読書・国内文学】消滅世界 (河出文庫) 村田沙耶香 (著)

    「婚姻関係」と「恋愛関係」が完全に分離した世界。 そんな世界に暮らす女性「雨音」が主人公の物語である。 作中世界では、戦時中の若年男性人口の減少を受けて開発された技術により、生身の人間同士の「交尾」ではなく、人工授精による出産がマジョリティとなっている。 そんな中、両親の自由恋愛による交わりが出生のルーツである雨音は、変わった出自のために周囲の人間とのあいだに溝を感じることが多かった。 この世界での「恋愛」の対象は、人間はもちろん、各人の性的趣向に合ったキャラクターたちも含まれている。雨音はもっぱらキャラクターたちとの恋愛に夢中なタイプであり、常に持ち歩いているポーチの中には、彼女を形作ってき…

  • 【読書・海外文学】絶望 (光文社古典新訳文庫), ウラジーミル・ナボコフ, 貝澤哉

    こんなにうれしいのは、だれかをペテンにかけた場合なんだな。たったいまある人物をみごとにペテンにかけたところだが、だれかって? 読者よ、鏡をよくよく覗いてみるがいいさ、なにせおまえさんは鏡に目がないときてるんだからな。 ビジネスマンのゲルマンは、自分にそっくりの顔を持つ浮浪者フェリックスと出会ったことをきっかけに保険金殺人を企てる。それは本人曰く、完璧な計画殺人と呼ぶべきもの。本作はゲルマン自身による手記の体裁を取った小説だ。 ナボコフの作品を読むのはこれが三作目(「カメラ・オブスクーラ」、「偉業」に次ぐ)だが、この作家の名前を聞いてまず思い浮かぶのは、翻訳の妙技を思わずにはいられないような複雑…

  • 【読書・一般向け技術書】ブロックチェーン入門(ベスト新書) 森川 夢佑斗 (著)

    米アクセンチュアによれば、分散型台帳技術(distibuted ledgers)はビジネス成功に欠かせない新たなテクノロジートレンド「DARQ」の一角とされている。 https://www.accenture.com/jp-ja/insights/technology/technology-trends-2019 今回ご紹介するのは、暗号通貨の基礎として知られるブロックチェーン=分散型台帳技術の入門的内容を扱った一冊だ。 序章では、取引記録の連鎖=ブロックチェーンが、中央管理者を必要とせずに記録の改ざんが困難な取引を実現するからくりが明確に説明されている。暗号通貨の文脈でしばしば目にする「マイ…

  • 雷神山古墳(宮城県名取市)

    東北地方で最大の前方後円墳である、雷神山古墳に行ってきた。 最寄りの館腰駅からは歩いて20分ほど。小高い山が見えてきた。 このあたりは、箸墓古墳を訪れた時のことを思い出す。 kvjdyey.hateblo.jp kvjdyey.hateblo.jp やけに乗用車とすれ違うと思ったが、どうやら墳丘の上は行楽スポットになっているらしい。 折しも春の陽気に恵まれたこの日は、墳丘の周辺は親子連れで賑わっていた。古墳を散策するときは、いつもほとんど人気のない場所行く。賑わっている墳丘など初めてで、やや戸惑う。 墳丘へと続く斜面で、桜の花がお出迎え。 最初に見えたのは、お隣の小塚古墳だった。こちらは円墳で…

  • 手を伸ばせ、そしてコマンドを入力しろ 藤田 祥平 (著)

    ネットゲームで世界4位にまで上り詰めた伝説的ゲーマーによる半自伝的青春小説である。 帯の煽り文句によれば、著者は母親が自殺した瞬間もネットゲームに興じていたのだという。言うまでもなく、常軌を逸したのめり込みぶりである。この煽り文句だけを読むと、今作はいわゆる「ネトゲ廃人」の転落と更生の記録のような内容ではないかと想像する方も多いだろう。 だが実際のところ、この半ば自伝であり、半ばポストモダン小説であるかのような作品の主人公=著者は、単なる熱狂的なゲーマーではない。この作品はむしろ、ある作家の卵が自らの創作能力によって人生の傷を癒す物語として読めるのではないだろうか。 きっかけという呪い 高校生…

  • 顔のない裸体たち (新潮文庫) 平野啓一郎 (著)

    あまり物事に思い悩まず、周囲に流されるように人生を送ってきた中学教師の女性「ミッキー」と、鬱屈した感情を抱える典型的なダメ男「ミッチー」の間の、ねじれた性的主従関係を描いた物語。 誰の記憶にも残らなかったであろう女性が、センセーショナルな事件に巻き込まれるまでを描く。 「ミッキー」は、クラスで話題に上がるようなこともない、自分自身よりも「自分の写真に似ている」ような女性。なんとなく、川上未映子の作品(「愛の夢とか」のどれか)に出てきた、帰宅後に何をする訳でもなく充電器に収まるようにひっそりと時間を過ごす女性を彷彿とさせる。 今作では、他人の人生の書き割りとして作られたような女性が、どのようにし…

  • エッジ 上 (角川ホラー文庫) 鈴木 光司 (著)

    「リング」シリーズでおなじみの著者による、2013年のシャーリイ・ジャクスン賞受賞作。 日本各地で発生する大量失踪事件について、ルポライター栗山冴子とテレビ局ディレクター羽柴が事件の真相に迫るという内容だ。 主人公・冴子にもかつて失踪した父がいる。片親の冴子にとって心の拠り所であり、理想の男性像でもある父の失踪は、冴子の心に深い影を落としていた。だが二人が事件の真相に迫るにつれて、冴子の前には失踪する直前の父の足跡が見え隠れしてくる。 物語の背景には、量子力学における波動関数の収縮や、人間原理、アインシュタインとボーアの論争といった科学的知識が散りばめられている。観測者と宇宙の相互関係、あくま…

  • 読書について (光文社古典新訳文庫) ショーペンハウアー (著), 鈴木 芳子 (翻訳)

    トルストイ、カフカ、トーマス・マン、ニーチェに称賛された、あるいは影響を与えた著者の手によるアフォリズムが織り込まれた哲学小論集。 怠惰な読書は、能動的に磨き上げた思考に劣ると述べた「自分の頭で考える」、文体の乱れが思考と品位に影響を与えることに警鐘を鳴らす「著述と文体」、良書を読むために悪書で無駄なエネルギーを消費しないこと、良書は二度読んで味わうこと、洗練された古典を読むことの効用などを述べた「読書について」の三本からなる。 特に読書人にとって耳が痛いのは、読書態度に関する記述だろう。自ら思考せず、やみくもに本を捲るだけの読書態度は、「精神の麻痺」をもたらし、本人にとって無益なだけではなく…

  • 十二世紀ルネサンス (講談社学術文庫) 伊東 俊太郎 (著)

    世界史における一地方に過ぎなかったヨーロッパの躍進のきっかけを描く。 ギリシャ、ローマの知識は決してヨーロッパ全土に直線的に受け継がれたのではなく、その直接の後継者はアラビア・イスラム文化だった。中世の知識人たちは異文化の知識を吸収しようと努め、その情熱は三度のルネサンス運動に繋がっていく。 彼らの姿は、明治時代に西欧文化と格闘した日本人たちを思い起こさせる。 十二世紀ルネサンス (講談社学術文庫) 作者: 伊東俊太郎 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2006/09/08 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 34回 この商品を含むブログ (19件) を見る

  • あしながおじさん (光文社古典新訳文庫) ウェブスター (著)

    孤児のジェルーシャ(ジュディ)が、謎の紳士ジョン・スミスの経済的援助を受けて女子大に進学し、才能を開花させてゆく物語。 本文はジュディによるスミス氏(あしながおじさん)への「月に一度のお礼状」の文面という形式をとる。 孤児院で最年長の少女、ジェルーシャ・アボットに、何度目かの憂鬱な第一水曜日が巡ってきたある日の場面から、物語は幕を開ける。鬱々とした生活を送っていたジェルーシャの元に、突然のグッドニュースが舞い込んでくる。 それは、ジェルーシャの作文を気に入った孤児院の評議員のジョン・スミスなる人物が、大学進学のための学費と寮費として月35ドルの支給を申し出たという知らせだった。 ジェルーシャは…

  • 英国一家、フランスを食べる マイケル・ブース (著)

    技術的には未熟ながら、料理への熱意は人一倍ある英国人ジャーナリスト、マイケル・ブースは、フランス料理文化の守り手と名高い名門料理学校「ル・コルドン・ブルー」のパリ本校への入学を決意する。そして妻と二人の子どもとともに、パリへ移住する。 著者の食との出会い、そしてパリ移住への決意を記した章から、本書は幕を開ける。 まず驚かされるのは、「好き嫌いが多い」という表現でさえ語弊があると自ら述べるほどの、著者の子ども時代の偏食ぶりだろう。 僕は10歳ごろまで、フライドポテトとタノックスのティーケーキ〔マシュマロとスポンジケーキをチョコレートでコーティングしたお菓子〕以外、ほとんどなにも食べない子だったの…

  • 寄宿生テルレスの混乱 (光文社古典新訳文庫) ムージル (著), 丘沢 静也 (翻訳)

    舞台は良家の子息の集まる寄宿学校。 寄宿生テルレスは、 宮廷顧問官の息子。空想しがちで、空き時間には授業で扱った「無限」や「虚数」といった数学上の概念を少年なりに真面目に検討してしまい、決まって最後にはメモリがパンクしてしまうような少年だ。 「無限!」。テルレスは数学の授業でこの言葉を知った。これまでこの言葉から特別なことを想像した事はなかった。何度も繰り返し使われる言葉だ。誰かが発明したのだ。それ以来、固定したもののように「無限」を使って、確実に計算できるようになった。まさに計算の時に必要なものだった。それ以上のことをテルレスは求めたことがなかった。ところが突然、ひらめいた。この言葉には、恐…

  • ねにもつタイプ (ちくま文庫) 岸本 佐知子 (著)

    まるで著者の性格を一言で表したかのようなタイトル(本人は文中で否定しているけど)に、日常生活で感じるよしなし事が綴られた文章。 こうした構成の本を読むと、脊髄反射的にエッセイ集の類なんだろうなぁと分類してしまう。 しかしエッセイだと決めてかかって読んでいると、三行先で深みに嵌る、そんな読み物だった。 国会図書館に調べ物に行く話(「お隣さん」)では、著者と隣り合っているという「炭焼き」の「岸本Q助」氏の名前を見て、なんとなく倉橋由美子「スミヤキストQの冒険」を思い出した。 あの作品を意識していたりしたら、面白いけど。 ねにもつタイプ (ちくま文庫) 作者: 岸本佐知子 出版社/メーカー: 筑摩書…

  • ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) ダニエル・カーネマン (著), 村井章子 (翻訳)

    ノーベル経済学賞受賞者が著した、人間の認知と思考の癖を紐解く一冊。 瞬時の判断を司る「速い」思考と、論理的判断を司る「遅い」思考の特徴についての記述が興味深く、 これまで漠然と感じていた、自分自身を含めた人間一般の思考の癖(手元にある情報から都合の良い因果関係をでっち上げる、イメージを元にした連想から、評価基準の異なる事象どうしを評価してしまう...など)への不信感が確かなものになった。 ただし、これ自体が認知のバイアスであるかもしれないということもこの本は教えてくれるのだが...。 ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 作者: ダニエ…

  • 天使も踏むを恐れるところ (白水Uブックス―海外小説の誘惑) E.M. フォースター (著), 中野 康司 (翻訳)

    天使も足を踏み入れるのを恐れるところに、愚か者は飛び込む───。 本書のタイトルは、アレクサンダー・ポープによる有名な格言が元になっているそうだ。読み終わって始めて、この格言の意味がわかった。 裕福で世間体を重んじるイギリス中産階級の一家と、経済的には貧しいが自由奔放な生活を送るイタリアの片田舎の若者という対照的な人びとは、一人の“愚か者”の行動が元で、ぶつかり合うことになる。 特に注目して貰いたいのは、ヘリトン家の近所に住まう慈善事業に生涯を捧げる女性、キャロライン・アボット。 序盤ではごく退屈な女性でしかなかった彼女の印象は、イタリア訪問をきっかけに大きく変わり始める。 そして、喜劇的要素…

  • 死の家の記録 (光文社古典新訳文庫) ドストエフスキー (著)

    「地下室の手記」以来の惹きつけられる読書体験。美しい悪夢を見て、ぐったりと疲れて目覚めたときのような読後感に浸れる。監獄の灰色の日常の中で異彩を放つ降誕祭の場面、特に囚人たちによる演劇のシーンと、読んでいるこちらまで少し後ろ髪を引かれるような気分になる出獄のシーンが好き。 死の家の記録 (光文社古典新訳文庫) 作者: ドストエフスキー 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2015/09/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る

  • イー・イー・イー タオ・リン(著)

    「優雅な読書が最高の復讐である」に載っていた訳者の山崎まどかさんの解説を読んで興味を持ったので。 身の回りの誰かを思い出す、不毛さと鬱屈した感情の洪水だった。「イルカ」はなんとなくWindows XPの例の(人によっては見ていると腹が立つらしい)イルカで想像してしまった。 山崎まどかさんの切れ味の良い解説文を読んでいなかったら消化しきれたかは不明。 イー・イー・イー 作者: タオ・リン,山崎まどか 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2009/08/07 メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 36回 この商品を含むブログ (27件) を見る

  • 城 (新潮文庫) フランツ・カフカ (著)

    永遠によそ者を拒み続ける「城」の見下ろす村で、主人公Kが翻弄され、爪弾きにされていく話(?)。 特に印象的だったのは、終盤のペーピーの長い独白。 Kとフリーダの奇妙な同棲は、人格を認め合うのではなく、単にお互いを近づきがたい城へのコネクション(=フリーダ)と、自らを汚すに相応しい、最も下等な相手(=K)と見なすことで取り持たれていたという指摘が、鳥肌ものだった。 前田敬作さんのあとがきも明快だった。自己疎外される現代社会の不条理を看破したのは、永遠の異邦人とされたユダヤ系のカフカとマルクス。 城 (新潮文庫) 作者: フランツ・カフカ,Franz Kafka,前田敬作 出版社/メーカー: 新潮…

  • ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 (中公新書) 矢野久美子 (著)

    アーレントの生涯を通じて、その思索を辿る一冊。 民主主義国家が全体主義に陥る過程は、決して一度きりの悲劇ではなく、戦後の世界でも起こりうる問題であること、 個人を結びつける世界がなくなり、その関係性が「砂漠化」することが、全体主義による人々の組織化を可能にしていることがわかった。 所々で引用されるアーレントの「歴史の歪曲と垢を洗い落とした」言葉遣いからは、その透徹した思考の一端を垣間見ることができる。 ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 (中公新書) 作者: 矢野久美子 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2014/03/24 メディア: 新書 この商品を含むブロ…

  • イブン・ジュバイルの旅行記 (講談社学術文庫) イブン・ジュバイル (著)

    書記イブン・ジュバイルのメッカ巡礼記。巡礼の最中目にしたものの記述で面白かったのは、エジプトの「ピラミッド」と「老婆の城壁」に関する箇所。 ピラミッドについては、その正体を「コーランに登場する古代のアラブの部族長とその子孫の墓」と考える者がいたらしい。 これは、コーランの記述と関連づけて古代の遺跡を解釈しようという試みで興味深い。 また、現代でもなおその正体について異論があるピラミッドについて、「墓」という解釈がどこから生まれたのかも気になる。 「老婆の城壁」は、ナイルの東岸に 200km 近くも続く城壁であり、「諸道路と諸王国の書」なる書物(なんと魅惑的な名前の書物でしょう)に記された女魔術…

  • カーブの向う・ユープケッチャ (新潮文庫) 安部公房 (著)

    「砂の女」の原型となった「チチンデラ ヤパナ」や、方舟さくら丸」のプロローグ的短編「ユープケッチャ」などを含む短編集。 印象的だったのは、結婚相談で出会った男が、太古の地球を再現した閉鎖空間内で子どもを養っている…という「子供部屋」と、娘との関係性を修復するために手練の老人にそそのかされて保険金詐取に手を染める男が主人公の「手段」。 前者での細かい発見として、安部作品でいわゆるお嬢様言葉を使う登場人物を見たのは初めてかもしれない(「箱男」の看護婦なんかはもうちょっとくだけてた気がする)。 カーブの向う・ユープケッチャ (新潮文庫) 作者: 安部公房 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 198…

  • 暴力の人類史 上 スティーブン・ピンカー (著)

    気鋭の心理学教授が「暴力」の側面から概観した人類史を扱う一冊。著者の主張は大きく分けて以下の二点。 ・その歴史を通じて、人類全体であらゆる種類の暴力(個人間も、集団間も)は減少してきている。 ・また、テロや紛争による被害の実態は、現代の悲観的な予想とは反してきわめて小さく、むしろ正確な現状理解が得られていない点が問題である。 こうした誤解が蔓延する理由としては、カーネマン「ファスト&スロー」でも扱われる認知バイアス=ヒューリスティクスについて言及している。下巻にも期待。 暴力の人類史 上 作者: スティーブン・ピンカー,幾島幸子,塩原通緒 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2015/01/…

  • やがて哀しき外国語 (講談社文庫) 村上春樹 (著)

    著者には、もっと超然として必然的な選択の結果としての人生を送っている印象を持っていた。 だがこの本の中で語られた内容によると、著者はこれまで度々行く手に困難が予想される選択肢を選び取っているばかりか、作家人生のはじまりはまったくの僥倖だと考えているようで、少し意外に感じた。 作品の執筆は若い頃の肉体労働の生活で身につけた身体感覚に基づいて行なっているという内容と、海外生活は不自由な外国人にすぎない自分、裸のままの自分を感じられるという内容が印象に残った。 やがて哀しき外国語 (講談社文庫) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1997/02/14 メディア: 文庫 購入: …

  • もだえ苦しむ活字中毒者地獄の味噌蔵 椎名誠(著)

    のちの昭和軽薄体の片鱗が見える表題作。 東ケト会シリーズファンにはお馴染みの“活字中毒患者”目黒さんが、武術の使い手であり(ここからもう面白い)、口論の末に著者をのしてしまうのが冒頭。その報復に、活字中毒の治療と称して著者の叔父貴の家の味噌蔵に閉じ込められてしまう、というのが流れ。 叔父貴の古い家に住まう人びとからほんのりと漂う狂気、味噌蔵の中を這う「北政府もの」風の架空生物など、随所に椎名テイストを感じた。 後半は世間の雑誌評など。ググったら「主婦の友」新年号は2019年版も似たような表紙なんですねえ。 もだえ苦しむ活字中毒者地獄の味噌蔵 作者: 椎名誠 出版社/メーカー: 本の雑誌社 発売…

  • 女のいない男たち (文春文庫 む 5-14) 村上 春樹 (著)

    いろんな事情で女性に去られてしまった / 去られようとしている男たちを題材とした短編集。 風変わりな友人"木樽"とその恋人の関係を通じて、青春の孤独のほろ苦さを感じる「イエスタデイ」、妻に去られ始めたバーに訪れる、捉えどころのない神秘的な"カミタさん"が印象的な「木野」が好き。 女のいない男たち (文春文庫 む 5-14) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2016/10/07 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る

  • 鬼速PDCA 冨田和成 (著)

    社会人の基礎知識と言われるPDCAサイクルを効率的に回し、課題解決と目標達成に至る方法を述べた本。流し読みに近いが、各段階の方法論が非常に具体的で、再読したいと感じた。 また、この手の本は方法論の実践については、ケースバイケースを考えずに役に立たない正論を押し付ける印象があって敬遠していたのだが、この本では臨機応変で柔軟な対応策が示されていて好印象だった。 ところどころ著者の企業に関する手前味噌の味噌漬けのような(?)記述があるが、著者の熱量が伝わる内容なので、無関係な一般読者もモチベートされるとは思う。 鬼速PDCA 作者: 冨田和成 出版社/メーカー: クロスメディア・パブリッシング(イン…

  • なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である 中島聡 (著)

    時間内に仕事が終わらない理由を指摘し、改善策として2割の時間に全力疾走で8割の仕事を終わらせる(ロケットスタート)+ 8割の時間で流しつつ質を高める(スラック=余裕、たるみ)という方法を提案している。 本書では「期限を守ること」を最重要に考えており、〆切直前のラストスパートの悪弊には枚挙に暇がない。さらには安請け合い、見積もりの甘さ、〆切直前の精神的圧迫感による生産性の低下など、学生視点でも頷ける事柄ばかりだ。 自分の体験と照らし合わせても納得の内容で、これまでの研究姿勢を振り返り、身につまされる思いで読みきった。 なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である 作者: 中島聡…

  • 高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568) フィリップ・K・ディック (著)

    amazon prime オリジナルドラマが面白かったので、原作を読んでみた。 舞台は第二次大戦で枢軸国側が勝利した世界。日独により分割されたかつての合衆国で、日本、ドイツ、イタリア、アメリカ、そしてユダヤにルーツを持つ人々の運命が交差する。 この並行世界において、連合国側が勝利した世界を描いた本が出回るという二重の構造が描かれている。 印象的だったのは日本人夫妻と白人古物商・チルダンの晩餐のシーン。慇懃に振る舞おうと努力しつつも人種の違いから生じるルサンチマンがにじみ出ている。映像作品でも同様のシーンがあり、非常に印象的だった。 この世界では、大きな選択に迫られたときは、社会的地位の高い者も…

  • 命 (新潮文庫) 柳 美里 (著)

    消えゆく命と生まれつつある命の間でもがく作家・柳美里の葛藤が綴られた一冊。 特に印象的だったのは、かつての恋人であり、精神の支えでもある東由多加氏による、痛々しいまでのサポートだ。 命 (新潮文庫) 作者: 柳美里 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2003/12/20 メディア: 文庫 クリック: 11回 この商品を含むブログ (21件) を見る

  • 緋色の研究【新訳版】 (創元推理文庫) アーサー・コナン・ドイル (著), 深町 眞理子 (翻訳)

    推理小説というジャンルを確立したとも言える古典作品で、「シャーロック・ホームズ」シリーズの第一作にあたるようだ。 ホームズの言行録は半分程度で、残り半分は解決編にあたる第二部に当てられている。第二部は一見すると冒険活劇のようなテイストで急展開に驚かされるが、やがて物語は犯人が凶行に及ぶに至った背景に収束しており、単なる怪奇殺人に止まらない犯人の心情に迫る緻密な背景描写がなされている。 ちなみに表題はホームズ曰く美術用語からの転用とのこと。 「人生という無色の綛(かせ)糸の中に殺人という緋色の糸が紛れ込んでいる...」のくだりを読んで、なんとなく一昔前のテレビドラマ「古畑任三郎」のオープニング映…

  • 蠕動で渉れ、汚泥の川を (角川文庫) 西村 賢太 (著)

    まだ藤澤清造作品も秋恵の存在も知らない頃の、痛々しくも切ない、貫多・青春編。 17歳にして、小心者でありながら根っからのスタイリストな人格は完成済み(?)。 貫多ものの作品では毎度のことながら、貫多と周囲の人々の、危うい感情のキャッチボールは、読んでいて冷や汗ものだ。 結句破局を迎えるとわかっている物語に、つい引き込まれてしまうのは何故なのだろう。 メディア: この商品を含むブログを見る

  • 螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫) 村上春樹 (著)

    ノルウェイの森の雰囲気を感じる「蛍」(あの「突撃隊」風の、同室の青年には懐かしささえ感じてしまった)、村上作品には猫より多く出ているんじゃないかと感じる『僕だけが正体を知っているサイコパス』的登場人物が印象的な「納屋を焼く」、ファンタジックだが不気味な余韻を残す「踊る小人」が印象的。 って、ほぼ半分ですけど。 「三つのドイツ幻想」は、理由はわからないが高橋源一郎っぽいなーと感じた。小説ではなくエッセイの方である。 螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1987/09/25 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 76回 この商品…

  • わしらは怪しい探険隊 (角川文庫) 椎名誠 (著)

    椎名誠といえば 「アド・バード」や「水域」、「武装島田倉庫」といった SF 小説のイメージが強い方も多いかもしれないが、筆者にとっての第一の印象は「あやしい探検隊」シリーズである。 最初に読んだ椎名誠の本は「怪しい探検隊 北へ」だったと記憶している。「昭和軽薄体」の軽佻浮薄(?)さに衝撃を受けたものだった。 東ケト会でも本の雑誌関係のメンバー以外の活動は、「怪しい探検隊もの」でなければなかなか掴めない。 十数年ぶりの「陰気な小安」、「依田セーネン」、「濁り目のイサオ」、「ユー玉」、「フジケン」との誌面上の「再会」に顔がほころぶ。 依田セーネンが、爽やかさとキテレツさを兼ね備えた青年として描かれ…

  • 「意識の量」を増やせ! (光文社新書) 齋藤 孝 (著)

    タイトルを今流行りのテレビ番組っぽく言うと「ボーッと生きてんじゃねーよ!」だろうか。 筆者の想定している「意識の量が少ない人」というのは気が利かない人、自分の頭で考えない人、相手が求めるものがわかっていない人などを指すらしい。 また、筆者が教員ということもあってか今時(2011年当時?)の若者への不満の内容も多い。 第3章「意識増量レッスン」で紹介された方法はなるほどと思うものも多かったが、筆者の主張を補強する具体例が、周囲の学生の数例だったり、著名なスポーツ選手や作家の習慣だったりで、あまり根拠に普遍性を感じなかった。 「意識の量」を増やせ! (光文社新書) 作者: 齋藤孝 出版社/メーカー…

  • e-typing 今月のタイピング「秋長文」で 500pt 突破!

    腕試しレベルチェックで行き詰まっているので、今日は長文に取り組む。 お題は「秋長文」。日本の秋の風物が取り上げられている。何故だかわからないが、リセットすると同じ長文が連続して出題されることが多い。 本日の結果は以下。 やはり長文だとスコアが伸びる!という訳で初のレベル「EddieVH」。ヴァンヘイレンだ。ピロピロ系ギタリストである。嬉しいな。 WPM的にはもう少しで 550 も突破できそう。 それにしても 9 月の最終日にこれに気づくとは...。もう少し早くから取り組んでいれば良かったのに...とやや後悔。 手汗 なし。トゥルトゥルのキータッチである。ただ相変わらず Mac は発熱している。

  • ある戦いの記録 2018年9月25日

    雨が降って気温が低い一日だった。 今日から作業部屋の同居人が、気温20度を下回っていたのにも関わらず冷房をかけていたからか、喉が痛い。 というかあの人も一日中咳をしていたので、ひょっとしたら風邪の元をうつされたのかもしれない。滞在初日から困ったものである。 以下は今日の結果。今週のテーマは「数のある言葉」だ。 最近スコアが 430 - 450 pt あたりで安定している。目標としている 500 pt にはなかなか手が届かない。起死回生の、ムーンショットを探している...。

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