はじめに金門島は、最近、メディアによってにわかに注目され始めた地域だ。日本ばかりではなく、欧米のメディアでも金門島を報じる動きが広がっている。その注目とは、いうまでもなく「台湾有事の最前線の島」としてである。実際、金門島に行くと、目の前に中国大陸・厦門の高層ビル群が建ち並び、この島が本当に台湾なのかと驚くばかりだ。大金門島から厦門へは、約10キロ、小金門島(烈嶼郷)からは、約5・4キロの位置にある。これに比べて、金門島から台湾までは、約190キロにもなる。金門島を訪れると、確かに、この島はかつては「最前線の島」であり、「中台戦争の戦場」であったことが分かる。1949年最後の「国共内戦」を戦い、その後1954年からは第一次・第二次台湾海峡危機を経て、1992年戒厳令解除まで、まさに、「冷戦の島」(マイケル・...電子ブック版『金門島戦跡ガイド――「台湾有事」の最前線を歩く』の発行