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2019/01/21

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  • 純文学って何?

    私は基本的に純文学作品にしか手を付けないことにしています。 別に大衆文学を毛嫌いするわけではありません。裾野を広げればそれだけ読みたい作品が増えるので困るというだけのことです。だいたいすでに読みたい本が山積みであるので新しいジャンルの本に目を向ける暇がないのです。 純文学とか大衆文学とか言っているのは日本人だけだ、という批判もあります。 海外ではそんな分類しないし、日本でもその線引きは非常にあいまいであるので、その意見はごもっとも。それでも日本の文壇には純文学と大衆文学が確実に存在している(ように見える)。 現代純文学の代表的な作家を挙げるとすれば、大江健三郎、村上春樹、小川洋子、村上龍、川上…

  • 壁①

    気怠い朝日。窓から射し込むオレンジ色の光が網膜を刺激する。目がくらんで頭の芯がじんと痛む。痛みで目が覚めそうになるが、身体はそれを良しとしない。 ふたたび目を開けた時には、白く濁った青が掃き出し窓の向こうに広がっている。一つ舌打ちをして、渋々布団から身体を引きずり出す。 ふらふらとした足取りで洗面所に向かう。途中灰皿を蹴飛ばしてしまったが、その処理はまたの機会にする。辿り着いた洗面所の床は黒く変色して、元は何色だったのか今ではわからない。鏡は酒に酔った拳で割ってしまったので、蜘蛛の巣状にひび割れてしまっている。蛇口をひねり、まだすっきりとしない頭に冷水をぶっかける。脳天から顔に滴る水は息が詰ま…

  • 【キングスフィールド】について語りたくなった。

    なんだか【SEKIRO】というゲームが流行っているとか。なにしろこのスマホ課金ゲーム世代において、据置き機でイージーモードなしの超絶難易度という狂った設定の鬼畜ゲームらしい。まあ最近のチュートリアル満載、親切な村人、難易度★☆☆☆☆、っていうゲームにはがっかりだったのでいいニュースだね。ってよく見てみたらフロムじゃねーか!僕たちがキングスフィールドの時代から愛してやまないフロム・ソフトウェア。さすが、やってくれるね。 キングスは不朽の名作です。でもやっぱりFPSってそうなりがちなのかな、ゲーム性だけが評価の対象になってるよね。実際そのお蔭で有名になったってところはあるんだけど、僕としてはやっぱ…

  • 大局観

    プロフェッショナル~仕事の流儀~を見た。 棋士の羽生善治さんが出ている回だった。 私は羽生さんの中には幾千もの手がインプットされていて、天才的な記憶力を持って、合理的で効率的な将棋を打っているのだと思っていた。それは半分その通りで、もう半分はそうではなかった。羽生さんは30代になってから打ち方が変わったのだという。 重視しているのは大局観。直感を大事にすることだという。あえて手を読まない。 意外だった。直感。コンピューターのようなイメージからは程遠い言葉だ。 全体を見る力。それはたくさんの経験を積み重ねたからこそできる境地なのか。 才能とは、努力を継続できる力。 自分の将棋を極め、進化させてい…

  • 令和的宗教考察

    昭和終わったときの話。あのとき宗教は完全に終わった。キリスト教も終わったし、イスラム教も終わったし、仏教も終わってる。宗教の本当の意味なんてもう無くなってしまった。純粋に神を求めている人もいたかもしれないが、ほとんどはそうではなかった。新興宗教も終わった。創価学会も終わった。天理教も終わった。大本教とかは潰された。エホバは元から終わってた。完全に宗教終わったって思った。でもさすがに信者に対して本部はそういうスタンスはとれないから見ないふりをした。そして露骨な延命措置に取り組んだ。それは案外間違いじゃなかったかもしれない。 終わってるってのは価値が無くなったってことだ。人間として価値が無くなって…

  • 雑文ハードビスケット

    最近「夫のちんぽが入らない」を読んだ。以下完全ネタバレ含む。 あらすじ。地味な女の子が大学進学と同時に都会に出てきて一人暮らしをするようになる。その初日に同じアパートに住む男が世話をしてくれた。男は同じ大学の先輩だった。ほどなくしてふたりは付き合うようになるが、どうしてもちんぽが入らない。先輩のちんぽは大きかったがこんなことは初めてだという。やむなく口や手で幼稚なセックスにとどまる。時を経て二人は結婚する。夫は教師で、「私」も憧れの教師になる。相変わらず二人は「入らない」ままだ。教師生活も順風満帆にはいかず「私」は多大なストレスの末、ネットで出会った男と会うようになってしまう。そして皮肉なこと…

  • 雑文ハードビスケット

    タイトルに意味はありません。思ったことを書いていくだけなので、駄文・支離滅裂・意味不明なんてことになってしまうかもしれません。そもそも僕の思考記録みたいなものなのでご注意ください。最近こんなことばっかりしてるなあ。 僕は一応作家を目指しています。今まで書き上げた作品は1作のみ。それで作家目指してるとか言ったら笑われるかもしれないけど。でも真剣に目指しています。正直どうしていいのかわかんない。たくさん本を読んでたくさん書いて研究して推敲して書き上げる。それしかないと思うけど、近道があるならだれか教えてください。 小説家ってすごいなって思う。書いてみてわかったけど、こんなにたいへんなことってない。…

  • 宗教ってなんなんだよ。

    一応最初に言っとくけど、別に宗教毛嫌いしてこんなこといってるわけじゃあない。 むしろ僕は宗教の「中の人」だ。 だからこそ言いたいことがたくさんある。宗教やってるやつがみんな宗教好きでやってるわけじゃないし、むしろそんなやつは幸せなやつだと思う。自分のやってることに誇りもてるって羨ましい。もちろん僕はそうじゃないってことになる。 僕の家は百年以上続く教会で僕はそこの長男だ。別に長男だから必ず継がなきゃいけないってルールはないけど、でもそんなことしたらもちろん家には住んでいられない。両親だって悲しむだろうし、僕にはそんな勇気はなかった。だからすげえ消極的な気持ちだけど、今はその教会の後継者ってやつ…

  • 絶忙

    本当に忙しい。 更新が滞っている。本当に暇がなかった。とりあえず落ち着いたが、まだまだやることが山積している。本格的な更新はしばらくお休みする。 しかし、暇を見つけて書いていくことは忘れずにやっておきたい。

  • けっこう辛い

    最近、物語っぽいものを書きはじめたわけです。 でも自分で今読み返してみても、面白くない。 クリエイティブぶってみたけど、ぜんぜん才能なんて感じない。 読みやすくもない。共感もできない。鋭くもない。 それがない文章になんの魅力があるのか。 ない。 しょうがないなんて言いたくないけど、しょうがない。 今まで書いてこなかったんだし。 だから書き続けたいって思ったわけだし。 共感なんて得られなくてもいい。 自分が書きたいこと書いていきたい。 でも正直心折れそう。 辛い。 ツイッターなんかでもそう。 ほんと共感得られない。これでもかってくらいいいねがつかない。 センスねえよなあ。 現実でもそうなんだよね…

  • 『嘘』2

    「今日よろしく。たぶん少し遅れると思うけど」 日曜日には行事が行われることが多い。今日は中学生以下の信者子女を対象とした教会周りの清掃奉仕作業が行われる。子供だけに任せるわけにはいかないので、僕と数人の信者が付き添うことになっている。 西田は正面の御神体に向かって目をつぶり手を合わせた。数人の信者が教会の扉から出ていく声が聞こえる。それに混じって聞こえる車のエンジン音、自転車のベル、小鳥のさえずり。扉の隙間から入り込んだ音が教会の高い天井に反響する。 「それじゃ」 「うん、気をつけて。」 その信仰心はどこから湧いてくるのだろう。西田の親に信仰があるわけでもなく、親戚にはむしろ止められたこともあ…

  • 連載はじめました。

    作家を目指している。それはもちろん職業としての作家という意味で。 作家になる方法は簡単である。 作品を書けばいいのだ。それが読まれるかどうか、その作品が本になって読まれるかどうかは関係ない。だからただ書けばいい。 そんなふうにハウツー本に書いてあった。だから、書くことにした。 しかし、どこかで寂しさも感じる。 この作品がどこかで誰かの目に留まってほしいとも思う。 書いた時点で作家にはなれるかもしれないが、それでは寂しいだけだ。 僕は読まれる作家になりたいのだ。 だから書く。 面白い作品が書ければ言うことはないけれど、もちろんそんなの最初から出来っこない。……できるやつもいるかもしれないけれど、…

  • 『嘘』1

    短い小説のようなものを書いていきたいと思います。 プロットは大体のものしか書いておりませんもので、どうなるのか、いつまでつづくものか、まったく私自身見当もつきませんが、おつきあいいただければ幸いです。 駄文・悪文・誤字・脱字のオンパレードの可能性もありますが、その際はぜひご指摘ください。ご意見ご感想等寄せていただけましたらたいへん喜びます。どれくらいのペースで連載していくのかわかりませんが、どうぞよろしくお願いいたします。 それでは。 『嘘』 「永田くんは本当に神様って信じてる?」 窓の外を見ると、庭の椿が花を落とし緑の濃くなった葉が茂る。国道の側にあるこの建物は、窓を閉めきっていても車のロー…

  • 休業します。

    なかなか思うように時間が取れないので一旦読書記録は休業します。そのかわりその日一日で思ったことを書きます。つまらないけれど。 NHKで女優の芦田愛菜さんがコピーライターの糸井重里さんと対談していた。芦田さんは話の中で「日本人は言葉にならないものを感じとる事が出来る」と言っていた。芦田愛菜はすごいなと素直に感じた。中学生の割に、ではなくて対等な人間としてそう思った。そう思うと同時に負けてたまるか的な思いが込み上げてくる。しかし、14歳の女の子に負けず嫌いを発揮するってなんだか情けない気もする。それでも負けるよりはマシか。 何くそと 負けるものかと 芦田愛菜 ひとりつぶやく 三十男

  • 『バースデイ・ガール』村上春樹

    『バースデイ・ガール』村上春樹の短編です。 村上春樹さんの短編の中でもかなり短い部類になると思います。 『バースデイ・ガール』村上春樹 ひとりの女の子が20歳になります。その誕生日、バイト先で急に欠員が出て仕事に出なければいけなくなります。それが不思議な一日の始まりでした。彼女はレストランで働いているのですが、このレストランではいつも決まった時間にオーナーに食事を持っていくという決まりがあります。いつもは支配人が持っていくのですが、その日に限って彼女が持っていくことになります。そしておそるおそる食事を運びます。そこで待っていたのは一人の老人でした。そして老人は言います。「なんでも一つ願い事をい…

  • 『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』ミック・ジャクソン

    今日は珍しく海外文学なんです。背伸びしてます。 でも内容的には難しい本じゃあありません。『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』は寓話的な内容になっています。平たくいうと、日本昔ばなしみたいな感じですね。 実際イギリスには野生の熊がいないそうですね。大昔はいたそうなんですが、絶滅してしまったようです。本当にいなくなった理由はわかりませんが、この本の中では〈人間の愚かさによって〉熊はいなくなった。と書かれています。熊を中心に描きながら、人間の本質を描き出した一冊ですね。 『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』ミック・ジャクソン ところで、熊って不思議だと思いませんか。日本において熊のキ…

  • 『最終兵器彼女』高橋しん②

    昨日のつづきです。 ちなみに最終兵器彼女は実写映画化されています。わたくし、見ましたが、見なくて良かったです。 ちなみに、ノベライズもされています。これは、読む価値アリです。でも漫画でじゅうぶんですけど。 最終兵器彼女はアニメ化もされております。僕、正直に申しましてアニメから入りました。もちろん内容は原作そのままですし、谷戸由李亜さんの歌うop曲・ed曲、これがまた素晴らしくいい!!最終兵器彼女の世界観にすごく合ってます。ぜひお聞きいただきたい。 ああ、やっぱりいくつになっても好きな作品っていうのは色褪せないものですよね。もちろん新しい作品が次々と生まれていて、それもすごく面白い。でも、自分の…

  • 『最終兵器彼女』高橋しん①

    今日は珍しく漫画の話をしたいなあと思います。 僕が一番好きな漫画の話です。 漫画『最終兵器彼女』1~7巻 手前は一番お気に入りの4巻の表紙 僕のアンダーグラウンドはここから始まってると思うんですよね。たしか中学生のころでした。最終兵器彼女を初めて読んだときに驚きを隠せませんでした。それまで僕が読んでいた漫画はワンピースやナルト、いちご100%などでしたね。それも懐かしいですが。とにかく最終兵器彼女の衝撃は今でも忘れられない。 平和ボケのアホな中学生には、とにかく色んな意味で衝撃的でした。こんなにも次々と人が死ぬ漫画を読んだのも初めてでしたし、こんなにも堂々とセ◯クスという単語が登場する漫画も初…

  • 『リバース』湊かなえ

    今日の一冊はこちら。湊かなえさんの傑作ミステリ『リバース』。藤原竜也さん&戸田恵梨香さん主演でドラマにもなりましたよね。もちろんそちらも面白かった。 湊かなえさんはこの小説を書き始める前に最後の一行だけ決めていたそうですね。読み終わったあと「なるほどね~」と思いました笑 もちろん伏線もたっぷりあってミステリ好きの人にはすぐにわかっちゃうのかな? わたしには最後までわからず、謎のままで楽しめました。読み返すと「あっ」って気づくのがまた楽しいんですよね。 『リバース』湊かなえ 講談社文庫 水筒の中身はもちろん蜂蜜入り珈琲 序盤の展開を話しますと、主人公〈深瀬和久〉のゼミの友人が死んでしまうんですね…

  • 『君の膵臓をたべたい』住野よる

    「キミスイ」の愛称でお馴染みですかね。そう呼んでしまうと軽くなってしまいそうで、あまり略称は好きではありませんが。 ちなみに未読の方がいらっしゃるかわかりませんが、一応断っておくとカニバリズム(食人)のような描写は一切ありません(主人公のツッコミには登場する)ので悪しからず。 まあお涙頂戴の予定調和小説ですよね、と言われてしまうとちょっと悲しい。たしかに物語の枠組みはそれほど新しいものとは呼べないかもしれません。余命を宣告された女の子。その事実をたまたま知ってしまう〈僕〉。死ぬまでにやりたいことをひとつずつ達成することが、彼女と〈僕〉の時間になっていく。そして別れは訪れる。 『君の膵臓をたべた…

  • 『星の子』今村夏子

    インフルエンザがようやく治りました。初めて罹患しましたけれど、辛いものですね。「まあ、風邪でしょ?」とか言ってた自分にドロップキックしたいですね。インフルエンザは悪魔のウイルスや!! 今日の読書はこちら。今村夏子さんの『星の子』です。今村さんの著書はまだ多くないのですが、どれも面白いです。デビュー作の『こちらあみ子』、芥川賞候補作『あひる』、そして野間文芸新人賞受賞の今作です。どれも薄気味悪さを感じさせる不穏な空気感が漂う面白い読み応えになっています。 『星の子』朝日新聞出版 主人公のちひろは小さいころ体が弱く、両親は困り果てていました。そこに会社の同僚から勧められた「奇跡の水」を試してみたと…

  • 『コンビニ人間』村田沙耶香

    今日はわたしが大好きな作家さんのお話を。 今回は村田沙耶香さんです。彼女は作家仲間のあいだでは"クレイジー沙耶香"と呼ばれているとか。ラジオやテレビでもほかの作家さんがよくそのクレイジーぶりを紹介していたりしますね。そのクレイジーぶりが村田さんの魅力を一層ひきたたているような気がします。かわいい。 そんな村田さんの著書は、やはり一風変わった作品が多いです。 とくに性に対して、いびつな捉え方をした主人公が多いように思います。著書のなかではかなりおもいきった表現が見られます。ちょっと普通ではいいにくいようなことも、鮮やかに描いてのけるところが華麗です。そんなわたしの一番の愛読書がこちら。 『コンビ…

  • 『檸檬』梶井基次郎

    京都に3年ほど住んでいた。休日に風情あふれる街並みを散策するのが当時の楽しみだった。古都の街並みはいつでもわたしの期待に応えてくれた。ダークトーンで統一された平屋の連なり、隅々に京都らしさを感じさせる家屋のディテール。時折顔をみせる、昔ながらの商店。それらはわたしのこころに沁みて、今も残っている。 京都を舞台にした小説は多い。それは京都が個性にあふれた街であるからだろうか。その個性にインスピレーションを受けて、ふわりと頭に物語が浮かぶのだろうか。いずれにせよ、それが京都のひとつの魅力であることに違いはないだろう。 『檸檬』梶井基次郎 表題作含む20篇。 『檸檬』はわたしの最も好きな短編である。…

  • 『騎士団長殺し』村上春樹

    久しぶりに村上春樹の1000頁を超える長編小説ということで、読むこちらとしてもなぜか肩に力が入ってしまいました。みなさんも経験がおありでしょう、好きな作家さんの小説を読むとき、わたしは高揚感で満たされます。 春樹さんの小説は読みやすいのが一番ですね。文も歯切れがいいし、わくわくするような比喩もその楽しみの一部になっています。今回の『騎士団長殺し』もいままでの文体をそのままに、読後は「ああ、春樹を読んだ、堪能した」と満足する内容でした。 『騎士団長殺し 第1部・第2部』『多崎つくる~』以来となる長編。 画家の〈僕〉は、妻に「一緒に住むことはできない」と唐突に告げられる。それからあてもない旅をする…

  • 『博士の愛した数式』小川洋子

    わたしが先生と呼んでいる(勝手に)小川洋子さんの感動の名作『博士の愛した数式』。私は読み終わるまでに2回泣きました。とはいっても、悲しいお話じゃありません。辛いシーンもありますが、読み終えたときにはしっかりと前を向いて生きていくための力をもらえている。そんなお話だと思いました。 こういうお話って、ちょっと元気がないときにすごく心に沁みるんですよね。 『博士の愛した数式』新潮社 主人公は家政婦の女性です。あたらしく務めることになった先の老人がどうやら変わり者のようで、警戒しながら家に向かうとそこで待っていたのは「80分」しか記憶の続かない老人でした。老人は当然〈わたし〉のことも覚えられず、いつも…

  • 『イニシエーション・ラブ』乾くるみ

    これはもう名作の域なのでしょうね。 いまさら解説やネタバレもないとおもうのですけども、読んでしまったものはしかたがありませんので、紹介していきます。前田敦子さんと松田翔太さん主演で映画にもなりましたね。いや、まさかこの小説が映画になるなんて……。と誰もが思ったわけです。それにはある理由が……。『イニシエーション・ラブ』を未読の方はここで引き返して、純粋な気持ちで読んでからこちらに帰ってきてほしいですね。そのほうが100倍楽しめるので。 『イニシエーション・ラブ』文春文庫 だまされましたね…… この作品の素晴らしいところは一見するとただの恋愛小説、ラブ・ストーリーのように読みすすめてしまえるとこ…

  • 『カンガルー日和』村上春樹

    本を好きになる。 わたしたちはその瞬間を経て、本を読み続けています。 そのきっかけは人それぞれでしょう。 はじめて読書の魅力を感じたのは国語の教科書でした。 学生のとき、ぱらぱらと教科書をめくっていると「鏡」という短編が載っていました。その短いはなしの面白さが、わたしを掴んで離さないのです。わたしは家にあまり本がありませんでしたので、その出会いは新鮮でみずみずしいものでした。それがかの有名な村上春樹の著書と知るのは、わたしが大人になってからのことでした。 『カンガルー日和』講談社文庫 少々くたびれている 『カンガルー日和』は村上春樹の短編集です。あとがきの日付が1983年になっていますので、か…

  • 『蛇を踏む』川上弘美

    先日、家にくつ泥棒がはいった。 玄関先に置いていたスリッパやくつが片方ずつ無くなっているのです。両方なら使いみちもあろうというものですが、使い古しのスリッパ片方になんの価値があるのやらと訝っておりました。するとそこに新たな事実、どうやらくつ泥棒はこの街一帯に出没しているようなのです。 怒れる住民は捜索の末、犯人を絞り出すことに成功します。まあ、防犯カメラに写っていたわけですが。犯人は……たぬきでした。そう、あのたぬき。その寝床も突き止められ、あえなくご用となりました。そこには数百足のくつやスリッパが……なんともかわいらしい事件でした。 ということで今日の一冊はこちら。 『蛇を踏む』文春文庫 芥…

  • 『キッチン』吉本ばなな

    こんばんわ。kuroiです。 今日はひっこし記念に吉本ばななさんの『キッチン』をよませていただきました。 ばななさんの著書は死をテーマに書かれることが多いですね。ばななさんのデビュー作でもあるこの作品ですが、やはり死がテーマになっています。それでも暗い雰囲気ばかりではなく、明るくチャーミングな部分もあって大変読みやすい一冊だと思います。 『キッチン』新潮文庫 『キッチン』には表題作の「キッチン」とその続きの物語にあたる「満月―キッチン2」、そして泉鏡花文学賞受賞の短編「ムーンライト・シャドウ」が収められています。初版が1988年ですから、昭和の一番最後の年ですね。世界的に評価されている作品です…

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