個人的に興味深い一節を見出したので、採り上げておきたい。如何なるか是れ僧。師云く、鶏狗戒を持せず。『仏光国師語録』巻6、『大正蔵』巻80所収ご存じの方が多いと思うが、仏光国師とは鎌倉時代に来日した無学祖元禅師(1226~1286)のことである。そこで、無学禅師が指摘されることとしては、僧侶とは如何なる存在か?という問いに対して、端的に「鶏狗戒を持せず」としている。これは、中国の宋代、三宝に関する問いというのは、それ自体「公案」として機能しており、今回はその内「僧宝」についての問いとなっている。そこで、ここで無学禅師が意図したところを読み解いてみたい。まず、「鶏狗戒を持せず」とはあるが、この内、「鶏狗戒」は仏道以外の戒として認識されているかと思う。例えば、以下の一節などはどうか。云何が菩薩、戒を修治するや。...無学祖元禅師の問答に見える「鶏狗戒」について