『名もなき本棚』 三崎亜記 朝から感じていた異物感にたまらず咳き込むと喉から転がり出た「部品」・・・『部品』。政府によって確認された「未確認」改め「確認済飛行物体」がしょっちゅう姿を現す街で・・・『確認済飛行物体』。ダブって登録されてしまった個人情報・・・そのどちらが本当の「私」のものなのか・・・『私』。 本を読む…
読んだ本やマンガの感想と、歌舞伎観劇記録。
読んだ本やコミックの記録が中心ですが、最近は歌舞伎ネタが増えてきました。
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『名もなき本棚』 三崎亜記 朝から感じていた異物感にたまらず咳き込むと喉から転がり出た「部品」・・・『部品』。政府によって確認された「未確認」改め「確認済飛行物体」がしょっちゅう姿を現す街で・・・『確認済飛行物体』。ダブって登録されてしまった個人情報・・・そのどちらが本当の「私」のものなのか・・・『私』。 本を読む…
『好きになってしまいました』 三浦しをん しをんさんのエッセイからは、グツグツと滾り迸るアツすぎる思いや、いかんともしがたいトホホな暮らしぶりが溢れ出していて、いつも「ブフゥッ」と吹き出したり、「うんうん」を通りこして「ガクガク」とうなずいたり、荒々しすぎる鼻息にちょっと引いてしまったり・・・。ともすると胸やけするほどの…
『木島日記 うつろ舟』 大塚英志 「あれ? 『木島日記』の新しいのが出てる? 今?」と思って手に取った。 もう20年以上前になるか・・・『多重人格探偵サイコ』とか『木島日記』とか…
『スナイパー入門』 かのよしのり 実写化きっかけで友人から『ゴールデンカムイ』を薦められて激ハマり。中でも孤高の狙撃手・尾形百之助に感情グチャグチャにされた挙句、そのグチャグチャの感情の持って行き場がなくて迷走した末に、たまたま立ち寄った古本屋の店先で見かけて自分が何を思っているのかよくわからないままに購入してしまったも…
『春風伝』 葉室麟 「今年も梅の花の香る季節になったなぁ・・・」と、ふと思った二月の中頃に読み始めたのだけど、思いのほか頁が進まず、読み終えるのに随分暇がかかってしまった。 高杉晋作モノはなかなか評伝を超える作品に出合うのが難しい。 「春風伝」・・・春を呼ぶ風。まさに春雷のような晋作の姿に胸わななかせたい・・・と…
予約購入していた『THE FIRST SLAM DUNK』のBD(LIMITED EDITION)が発売日の今日届いた。 早速、開封。ディスクや封入された特典を一つ一つ取り出してみる手が、色々とこみ上げてくるもので震える。手に取るすべてから制作者の方々の想いが溢れてくる。尊い。 大切に見続けよう。
江戸川乱歩「人間豹」より 【江戸宵闇妖鉤爪】明智小五郎と人間豹 「分かったぞ、貴様明智だろう。明智小五郎だろう」 「ハハハ……、やっと分かったか。お察しの通りだよ。君をこんな目に合わせる人間は僕の外にはありやしないよ。」 江戸川乱歩「人間豹」 私、原作のこの台詞が大好きなんだけれども。この台詞に表れる二人の関係性〜人間豹・恩田と明智小五郎が互いに…
友人に薦められて今さらだが『ゴールデンカムイ』に激ハマり。 尾形に色々掻き乱されすぎて、帰省先で立ち寄った古本屋さんでこんなもの買ってしまう程度には情緒がおかしくなってる。
『歌右衛門の六十年 ーひとつの昭和歌舞伎史ー』 中村歌右衛門・山川静夫 エンターテインメントの多様化に社会や価値観の急速な変化、そしてコロナ禍。この数年、歌舞伎は大きな変化の波にさらされていると思っていたんだけれども、いやいや、明治維新も戦争も、変わりゆく社会の枠組みも、新しいメディアの誕生も、移り行く人の心も・・・歌舞…
本日、『THE FIRST SLAM DUNK』復活上映! 雪模様の中、熱い一日を過ごしてきました。 ソーちゃんの姿を見た途端に涙ツーっとこぼれたのには自分でも面食らった。
『地図と拳』 小川哲 日露戦争前夜から第二次世界大戦後の満州の地を舞台に、様々な国家・民族の思惑、個人の利害、因縁がからみあう中で栄え、滅びたある都市の年代記。地図を描き、建築物を生み出し、未来を思い描き都市を創る。都市の歴史に様々な形で関わったものたちの長きにわたる人間ドラマが展開するスケールの大きなエンターテインメン…
『有栖川の朝』 久世光彦 昨年末に読んでいたもの。久世氏の小説を読むのは久しぶり。 久世氏の書くものは熱っぽく湿って少し悲しく、見すぼらしくて哀れだけれども色っぽい。 そこに見えるのが夢という嘘の世界だと思っても、嘘こそが本当なんだよ。 一時、ワイドショーを騒がせた実在の事件を題材に久世氏…
5月以降、気持ちが沈むことが多くて、本を読むのも、絵を描くことも、音楽聴くのも億劫になっていたんだけど(唯一、『SLAM DUNK』だけを動力源に最低限職場には通ってた感じ)、やっと少し気分が上向いて来たので、新しい年に向けてリハビリを開始しました。 まず、本当はもっとハマって楽しみたかった歌舞伎版『刀剣乱舞』鷹之資さんの同田貫。
『歌右衛門の疎開』 山川静夫 自宅を引越すにあたって手持ちの本を整理するから〜という友人の好意に甘えて譲りうけたもの。もともと古本で入手したものとかで、頁の端は茶色く焼けていて、手に取るだけで、ちょっとノスタルジックな気分が湧いてくる。 そして頁を捲るごとに見えてくるのは、セピア色の画面に浮かぶ、懐かしく、慕わしき人…
『不忠臣蔵』 井上ひさし 世に名高い『忠臣蔵』。華々しく語り継がれる赤穂浪士による吉良邸討入の陰に、一度は義盟に名を連ねながら、自らの意志で、あるいは運命の巡りあわせによって脱盟していった者たちがいた。世に不義士と呼ばれることとなった者たちの真実を語る銘々伝。 語り手は不義士本人であったり、縁ある人物であったり、ただ…
『月と散文』 又吉直樹 又吉さんの言葉への感受性の鋭さとこだわりがぎゅうぎゅうつまった一冊。 「鋭さ」とは言ったけど、それは鋭利なナイフの切れ味というよりは、鉈でザクっといく重さを含んでいて・・・。 さて、ここで、「ナイフ」じゃなくて「鉈」だと感じたってのはどういうことなのか書かなきゃいけないわけだけども、そのた…
『漱石と日本の近代』 石原千秋 漱石の書く主人公たちを理解したい。そのために明治という時代について勉強しなきゃと思い立ち、明治維新についての新書を一冊読んでみたものの、「こりゃあんまり遠回りだ」と気が遠くなったので、今度は一気に近道を行ってみるつもりでこちらを読んでみた。漱石作品の主人公たちと彼らが生きる日本近代社会につ…
『江戸東京の明治維新』 横山百合子 この夏、『坊ちゃん』『三四郎』『それから』『門』と夏目漱石の小説を読んで、明治という時代のことを勉強せねばと思ったので、まずは手軽に読めそうな新書から。 『三四郎』の中に「明治十五年までの生まれの者とそれ以降の生まれの者ではものの見方、考え方が随分…
『金色の獣、彼方に向かう』 恒川光太郎 恒川光太郎の語る怪異はいつも私の予想を裏切り、越えてくる。今作に語られる「神」も、私のイメージする神というものの姿とは何か異質なものだった。 蒙古の襲来とともにこの国に渡って来た異神。神の力と繋がる金色の獣。人々の虐殺から逃れ、人々を虐殺し、山中に紛れ潜んで今も息づく神の力。 …
『門』 夏目漱石 『三四郎』『それから』に続き、またも恋愛問題である。私、こと恋愛に関してはまったく不甲斐ないので、恋愛きっかけで何か人生が変わっちゃうとか、正直よくわからない。『黒い長い髪で縛られた時の心持ち』なんて知らない。 主人公・宗助はその心持ちを知る人なのだ。彼は資産家の子弟らしく得意満面…
『幻獣の話』 池内紀 『畏怖感にも似たもの、奇妙な高ぶり』 「私という幻の獣 ー 寺山修司の夢」の項に書かれた言葉であるが、この本を手に取ったのは『幻獣』という文字を見て、やはり何かしらそのような「高ぶり」を感じるからであって・・・ 『幻獣の話』といっても古今東西の幻獣を図鑑的にまとめ、紹介する…
『ノートル=ダム・ド・パリ』 ヴィクトル・ユゴー 鶴屋南北の『金幣猿島郡』とユゴーの『ノートル=ダム・ド・パリ』を綯交ぜにしたお芝居〜「猿之助と愉快な仲間たち」の『ナミダドロップス』の予習のために、先月の京都旅行中に読んでいたもの。 結局、観劇当日までには二幕構成の第一幕にあたるとこ(小説の第七編あたり)までしか読む…
『橋本治と内田樹』 橋本治・内田樹 橋本 私にとっては自分は謎じゃないんですよ。 内田 そうなんですか? 橋本 そうなんですよ。だって使っているんだもん。 橋本治氏の物ごとの『わかり方』が想像を絶している。 「あんまり脳で考えてない」「体全部で考える」「体感」「職人」「抽象概念がわかん…
3月19日 京都芸術劇場 春秋座での猿之助と愉快な仲間たち 第3回公演『ナミダドロップス』を観てきました。 郁治郎さんの『泣いて笑って感情をグチャグチャにして帰ってもらいたいです。』の言葉どおり、感情グチャグチャでなかなか劇場を出られない自分がいた。色んなナミダでびしょ濡れの心で、遠くほのかに灯る温かな光をのぞむ心持ちというか・・・ 鶴屋南北『金幣猿島郡』の衣裳を着たヴィクトル・ユーゴー…
南座花形歌舞伎 感想つづきです 鷹之資さんが斧定九郎というのは驚きました。明るく朗らかな鷹之資さんのイメージからはなかなか想像できないお役だったので。でもギャップがあるだけに楽しみでもありました。真剣にお役に取り組んでいらっしゃる様子や意気込みを感じる配信でのお話しぶりが頼もしかったので。 「もうすぐ・・・、もうすぐ」と息を詰めて見つめるなか、与市兵衛が押しいただく財布の上の暗闇にぬっと…
解説「仮名手本忠臣蔵のいろは」大序より四段目まで 【仮名手本忠臣蔵】 五段目 山崎街道鉄砲渡しの場 同 二つ玉の場 六段目 与市兵衛内勘平腹切の場 【忠臣いろは絵姿】 上の巻 花の山科 下の巻 雪の討入 行ってまいりました、南座の花形歌舞伎。『仮名手本忠臣蔵』五、六段目を上方と江戸の演出で、さらに全十一段をいろんな…
南座の花形歌舞伎に鷹之資さんご出演との情報を見て決めた今回の京都旅行。仕事のお休みを取りやすい平日で考えてたんだけど、予定を立ててる最中に、『猿之助と愉快な仲間たち』の公演が19日の日曜日、春秋座であることを知り、あわてて予定を立て直し。職場にはちょっと迷惑かけるかもしれないけど、年に何度もあることじゃなし、思い切って前後の日もお休みをとり余裕のあるスケジュールで京都旅行を楽しむことにしました。…
今週末は南座の花形歌舞伎と「猿之助と愉快な仲間たち」第三回公演『ナミダドロップス』を観に京都へ。 久しぶりに生の舞台で鷹之資さんをみられる嬉しさと、やっと「猿ゆか」公演を観られる喜びで今、ワクワクが最高潮。旅の荷造りも終わり、『ナミダドロップス』の予習用に『ノートルダム・ド・パリ』をバッグに入れる。でも、このページ数、公演当日までの読み終えられるかしらん? 移動の新幹線の中でどれだけ読み進…
『TRIGUN STAMPEDE』を時々観ているんだけど、主題歌の『TOMBI』を聴くと何故か伊藤英明主演でドラマ化された『YASHA』の主題歌だったStingの『Desert Rose』を思い出すんですよね。 何でなんだろう? 別に曲そのものが似てるから・・・というわけではないと思うんだけど。 『TOMBI』の曲調やそれを聴いているシチュエーションが、『YASHA』を観ていた時(というか、その主題歌の『Desert Rose』を聴いていた時…
『困難な成熟』 内田樹 思春期の頃には訳もなく『自分には特別な何かがあるんじゃないか』なんて夢を見た。けど、これといった努力も、然るべき自分探しもせず、だらしなく10代を過ごした結果、とっても残念な状態で学生時代を終えることになってしまった。昭和が終わって少しした頃だった。何の芸もないけれど、これからは自分で食べていかなき…
『新・三国志 関羽篇』に出演されていた若手の役者さん中心の舞踊公演。開演前には猿之助さんがこの公演に込めた想いをお話しされました。 将来の歌舞伎界を担う若い役者さんたちが中心となって舞台に立ち、その若い方たちを多くの人に観てもらえるようにと企画された公演。未来を託された若者たちを応援しないわけにはいきませんっ! お一人お一人のお名前とお顔、そして今日のこの舞台を目と心にやきつけるべく…
客席に降りそそぐ花びらは、春待つ人々への祈り、希望、慰め、祝福・・・。一座の皆さまの心づくし、全身にいっぱい浴びてきました。 「スーパー歌舞伎」のイメージがあるので、どうしても物語はもちろん上演時間、舞台装置の上でもスケールの大きなものを求めてしまう。ダイジェスト的にならざるを得ない演出に、舞台づくりの上でまだまだ多くの制約があることを感じさせられるけれど、今できることの全部をつぎこんだ、…
『豆腐小僧双六道中 おやすみ』 京極夏彦 なんかもう、京極さんがやりたい放題である。 時は幕末。前作『豆腐小僧双六道中 ふりだし』で自分探しの旅の途上、武州の妖怪騒動?を治めた豆腐小僧。なんだかちょっと自信と向上心を身に着けた小僧、この度は、立派な化け物にならんと…
『豆腐小僧双六道中 ふりだし』 京極夏彦 江戸郊外の廃屋に棲みつく一匹の妖怪。ある夕暮れ、ふと「自分」という存在に気づいてしまったこの妖怪 〜 大きな頭に笠をかぶり、豆腐を乗せた盆を手にただ立っているだけの「豆腐小僧」。自分はいつから此処にいるのか? 豆腐の盆から手を放してしまったら果たして自分はどうなってしまうのか? …
『鳥獣戯画』 磯�ア憲一郎 多分これが今年最後に読む一冊になるんだけども、今までの読書生活の中で一、二を争うくらいしんどい本だった。 のっけから語り手のおじさんは、私には関係ない、というか私にはわからない理由で何だか怒っていて、たまたま行き会ってしまった私に八つ当たり的に半ギレしてくるのだ。 「ええ〜っ?!」と思い…
『この人の閾』 保坂和志 仕事相手に約束をすっぽかされた「ぼく」が、近くに住む学生時代の先輩「真紀さん」のことを思い出し会いに行く、 『「小田原、一時」という約束の時間に着いて駅前から電話を入れると』という語りだしから、十年ぶりに会う、想像とはどこか違っていた「真紀さん」に『「おばさんになったねえ…
家庭の事情もあり遠方の公演にはなかなか行けなくなってしまったので、このところあまりチェックもしていなかったのですが・・・『鬼滅』歌舞伎化ですか。う〜ん。行くのか?私。 コロナ禍での停滞もあったけど、ワンピ歌舞伎以来、まさに堰を切ったように・・・ですね。嬉しいし、ワクワクするけど。この中から繰り返しの再演にたえるものがどれだけ残っていくか。
『あの日、松の廊下で』 白蔵盈太 主人公は、あの日、松の廊下で吉良上野介に斬りかかった浅野内匠頭を「殿中でござる」と抱きとめた梶川与惣兵衛。 朝廷からの勅使饗応という年に一度の大イベントに向けて動き出した江戸幕府。高い教養と私心のない高潔な人柄で質の高い仕事をする吉良上野介と勅使饗応の経験者でもあり情に厚く面倒見の良…
今夜の『無限列車』、またどれだけの人の涙をしぼったことでしょう。 昨年の『無限列車(劇場版)』放映時は高熱を出して自室隔離されウンウン言ってました。楽しみにしていた私の代わりに夫がテレビ観てくれてたようですが、私はそのまま5日ほど高熱がつづき、腎盂腎炎で1週間の入院となってしまった・・・そんな『無限列車』の思い出。
『散歩する侵略者』 前川知大 隣国との戦争の戦略拠点となっている海辺の小さな町に3人の「宇宙人」がやってくる、昨日までよく見知っていた人の姿で。彼らは毎日散歩に出かけ、町の日常を漁る。 「ぅわ、こんな終わり方するんだ」 残りのページ数が少なくなってきたのを見て、そろそろ終わりだな〜 と思いながら読んでたらいきな…