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ダ・ヴィンチ 編集部から、今年の「プラチナ本OF THE YEAR 2019」に選ばれた本書。どんな本なのかと興味を持っていたところ、たまたま立ち寄った普段とは違う町の図書館で見つけ、折角なのでタイトルのとおり図書館で読みました。表題作の「図書室」は、主人公である50歳の女性がふとしたことから過去の11歳の頃に図書室で出会った少年との交流を思い出す。何かが変わるわけでも無くとも、記憶とはそれでも生きていく寄る辺のような気がする。もう一作の「給水塔」は、名古屋から大阪の街に出てきた著者の自伝的エッセイ。 図書室 作者:岸 政彦 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2019/06/27 メディア…
米澤さんの新刊。合併により誕生した地方の小規模自治体である南はかま市が舞台。6年前に無人となった集落の簑石を再生するために設置された"甦り課」に配属された満願寺と新人の観山、定時退庁が取り柄の西野課長の3人。移住プロジェクトにより12組が移り住むことになり、満願寺はイマイチ学生気分の抜けない観山と共に次々と起こる厄介ごとの解決に奔走するものの、甲斐なく皆やがて去っていってしまう。その裏に隠された思惑と意外な真相。地方自治を取り巻く不条理な現実をテーマにしつつミステリとしての仕掛けもある。ただ居た堪れない。 Iの悲劇 作者:米澤 穂信 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2019/09/26…
2015年の読書メーター読んだ本の数:117冊読んだページ数:38064ページナイス数:6754ナイス
2015年12月の読書メーター読んだ本の数:11冊読んだページ数:3837ページナイス数:671ナイス陽気なギャングは三つ数えろ (ノン・ノベル)の感想陽気なギャングシリーズ第3弾。4人の変わらないテンポと楽しい会話と、時間の経過とともに少しずつ変わっているようなところも感じられる。ホテルで出くわした週刊誌記者の火尻の財布を久遠がスった事から正体に気付かれ、記事にすると脅されることに。火尻が借金を抱えるカジノグループの大桑たちや過去に火尻の記事に被害を受けた人達を交えて、裏をかき合う騙し合いが始まる。余りの火尻のゲスっぷりに、一矢報いたところで救われない人を思うと、「世の中にはいい話にも悲しい…
2015年11月の読書メーター読んだ本の数:15冊読んだページ数:4333ページナイス数:783ナイス七色の毒 (単行本)の感想切り裂きジャック事件でもお馴染み、俳優並みの容姿に男の犯人の嘘は絶対見破る一方で、女性にはからっきしの≪無駄に男前≫の異名を持つ警視庁捜査一課犬養隼人が主人公。赤、黒、白、青、黄、緑、紫の7色になぞらえた、人間心理の奥底に潜む毒のような感情を描いた7つの短編集。どの話も、犯人や動機が判明したかと思わせておいて、そこから一捻りして意外性のあるどんでん返しを狙って書かれているうえ、社会的な問題を風刺的に取り入れているのも中山さんらしい。書き下ろしの紫が、赤から繋がって短編…
2015年10月の読書メーター読んだ本の数:8冊読んだページ数:2380ページナイス数:479ナイスまぐだら屋のマリアの感想老舗料亭の見習い料理人であった及川紫紋が、自らが働く料亭で起きた料理の使い回しや食品の産地偽装、そしてその告発の責任を取って自ら命を絶った後輩の悠太を救えなかったという拭いきれない罪の意識を抱えて辿り着いたのが尽果という名のバス停の傍にある「まぐだら屋」。そこで何も言わず紫紋を受け入れてくれた女主人のマリアもまた過去に取り返しのつかない罪を抱えている。決して赦されることは無いと知りながら、誰かに受け入れてもらえること、認めてもらえることで今日という日を生きていくことができ…
2015年9月の読書メーター読んだ本の数:7冊読んだページ数:2017ページナイス数:601ナイス書店ガール 4 (PHP文芸文庫)の感想東日本エリアマネージャーとなった理子や本店のMDとなった亜紀から、新しい世代の書店ガールに主役を移したシリーズ第4作。良くも悪くも理子と亜紀無しでは成り立たないのでは?という心配は全くの杞憂でした。契約社員から正社員登用と共に店長就任の打診を受けた彩加と就活を控えて自分の進む道を見いだせずにいるアルバイトの愛奈。二人の等身大の迷いや悩みにもがきながらも前に進もうとする姿にこのシリーズに一貫して流れる仕事への取り組み姿勢や本への愛を感じます。また出番は少ないけ…
2015年8月の読書メーター読んだ本の数:8冊読んだページ数:2522ページナイス数:438ナイス思い出のとき修理します 3 空からの時報 (集英社文庫)の感想思い出のときシリーズ第三弾。男性読者としてはちょっと恥ずかしくなるぐらい順調な秀司と明里の交際に、本作では横から家族ぐるみの付き合いのある骨董屋の娘が登場したり、亡くなったと聞かされていた実の父との関係が影を差したり。まぁ、いい年した二人なんですから、それぐらいあっても当然かも。時計という軸がぶれないのが本シリーズの良いところです。「心は、過去と未来を行き来できる。」とても優しい言葉です。過去を悔やんだり忘れることは難しいけど、立ち戻る…
2015年7月の読書メーター読んだ本の数:9冊読んだページ数:2666ページナイス数:516ナイスいつまでもショパン (『このミス』大賞シリーズ)の感想岬洋介の活躍は遂に舞台を世界に広げ、ポーランド、ショパンコンクールに出場する岬の前で起きる殺人事件と、ワルシャワ市民を巻き込んだ卑劣なテロ事件。コンクールの行方もさることながらと謎のテロリスト「ピアニスト」の正体とは?由緒正しきポーランドのショパンの継承者であるヤンや盲目の榊場、岬、たちの演奏の描写も圧倒的で引き込まれる。テロの理不尽さに対する怒りと音楽の持つ力を再確認する。家名や伝統に縛られたヤンの成長物語でもあったが、戦場で起きたノクターン…
2015年6月の読書メーター読んだ本の数:15冊読んだページ数:5034ページナイス数:613ナイスキネマの神様の感想出だしの1ページ目、エンドロールが流れる様子を映画を旅に例えて表した描写、そしてその余韻を感じさせる劇場の明かりの灯り方、座席や通路の角度や高さへの言及の時点で、映画館派としては、まるでお気に入りの映画館にいるかのような雰囲気に引き込まれました。老舗の映画雑誌が立ち上げた「キネマの神様」というブログを介したゴウとローズ・バッドの邂逅により、映画という世界共通言語を通した国境を越えた丁々発止のやり取りが始まる。何時しか二人の間に生まれた戦友の様な友情。最後まで映画への熱い想いと優…
2015年5月の読書メーター読んだ本の数:13冊読んだページ数:3879ページナイス数:596ナイス温室デイズ (角川文庫)の感想中学三年生のみちると優子が通う宮前中学校は、ごくごく普通の当たり前のような学校。だから、大小差はあれども、教師に暴力を振るったり、授業をサボる子が居たり、ワルの瞬の告白を断った優子が嫌がらせを受けたり、それをなんとかしようと正義感を出したみちるがいじめの標的になるのもこの世界では当たり前の出来事なのかもしれない。確かに義務教育とはタイトルの通り温室なのかもしれないが、そこで苦しむ子供たちを救うことは大人たちには出来ないのだろうか。結局、変えようが無くても最後まで何と…
2015年4月の読書メーター読んだ本の数:5冊読んだページ数:2260ページナイス数:357ナイス神様の御用人 (2) (メディアワークス文庫)の感想モフモフの狐神・黄金とフリーターの良彦の御用人シリーズ第2弾。今回も、現代風の人間臭い古の神々達から、名湯探しから貧乏神の家探し、井戸からの脱出、浮気癖の改心など、様々な御用を言い付けられる良彦ですが、自分にも馴染みの深い出雲の大国主神も登場する本作の目玉は、このシリーズに不足していた美少女要素として、新たに天眼の能力を持つ穂乃香が登場したことでしょう。各話のストーリー展開やラストの納め方も、安心して読んでいられる安定感があり、今後どんな神々が登…
2015年2月の読書メーター読んだ本の数:10冊読んだページ数:3553ページナイス数:642ナイス政と源の感想つまみ簪職人の源二郎と元銀行員で堅物の国政。二人合わせて146歳、幼馴染の政と源。三浦さんでいうとまほろの行天と多田とはまた違った名コンビ。そこに簪職人見習いの徹平と美容師のマミさんを加えた、下町の風情たっぷりの人情物語。花江さんと源さんの駆け落ちの昔話がいいですね。しかし、如何にも職人然として気っぷの良い源二郎に比べて、全く国政は「ひがみっぽいのがいけねえ」や。仕事一筋に生きた挙句、定年後に愛想を尽かされ、娘共々家を出て行かれた国政の悲哀ぶりが、何だかスカッとした読後感を与えてくれ…
2015年1月の読書メーター読んだ本の数:10冊読んだページ数:3317ページナイス数:607ナイス木暮荘物語 (祥伝社文庫)の感想ほのぼのとしたタイトルとのギャップにやられる。築ウン十年のオンボロアパートに住む四人の住人。突然帰ってきた元カレと奇妙な三角関係に陥る花屋店員の繭、70歳を過ぎて老いらくのセックスに挑む大家の木暮、男の出入りの激しい女子大生の光子、その光子を上階から日々覗き見ているサラリーマンの神崎。さらに、毎日木暮荘の前を通るトリマーの美禰やヤクザの前田、繭の花屋に通う虹子さんなどを交え、どこか歪だけれども本質的な愛情と繋がりが描かれる。短編が進み一人ひとりの人物像が深まってく…
2014年の読書メーター読んだ本の数:138冊読んだページ数:48371ページナイス数:8169ナイスビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ~ (メディアワークス文庫)の感想シリーズ6作目の題材は一冊丸ごと再び太宰治。前作でようやく想いが通じ合った大輔君と栞子さんの初々しさはもはやネタの域。ロマネスクの会の三人たち祖父母の世代、田中や大輔、栞子さんたち孫の世代、その間には智恵子さんがいて、それらの世代を超えて人々を魅了する太宰の『晩年』を巡って繰り広げられる因果の罪深さに古書の奥深さを感じます。少し人間関係が内輪で因縁めいて絡ませ過ぎな感はありますが、シリーズも残り僅かとなり…
2014年12月の読書メーター読んだ本の数:2冊読んだページ数:738ページナイス数:220ナイスビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ~ (メディアワークス文庫)の感想シリーズ6作目の題材は一冊丸ごと再び太宰治。前作でようやく想いが通じ合った大輔君と栞子さんの初々しさはもはやネタの域。ロマネスクの会の三人たち祖父母の世代、田中や大輔、栞子さんたち孫の世代、その間には智恵子さんがいて、それらの世代を超えて人々を魅了する太宰の『晩年』を巡って繰り広げられる因果の罪深さに古書の奥深さを感じます。少し人間関係が内輪で因縁めいて絡ませ過ぎな感はありますが、シリーズも残り僅かとなり、母…
9月は新刊の銀翼のイカロスのほか、真夜パン第4弾、ドラマ化を控えたNのために、福家警部補の報告、おやすみラフマニノフ、キケンなどが面白かったです。 2014年9月の読書メーター読んだ本の数:14冊読んだページ数:4514ページナイス数:679ナイス真夜中のパン屋さん 午前3時の眠り姫 (ポプラ文庫 日本文学)の感想真夜中にオープンする不思議なパン屋さんのシリーズ第四弾。人は誰しも何処かに暗い闇の部分を抱えているのに、ブランジェリーの暖かい雰囲気に少し油断していたみたい。のっけから希実の生易しくない過去を思い出させられ、突然現れた広島の従姉妹の沙耶がもたらした嵐は否応無くその封印されていた記憶を…
2014年8月の読書メーター読んだ本の数:9冊読んだページ数:3078ページナイス数:508ナイス 「死神の浮力」が読めるまで待ちましたね~。あとは巻を追うごとに良くなっていく書店ガールが印象に残りました。プリズムは、百田さんが今回取り上げたのはいわゆる多重人格、解離性同一性障害でしたが、良くも悪くも一つのテーマについてとことん掘り下げて調べたことをすべて盛り込むな~という感想。死神の浮力の感想待つこと10ヶ月、ようやく読むことができました。短編集だった「死神の精度」と違って今度は長編により理不尽に娘を奪われた山野辺遼と美樹夫妻との7日間を描く。サイコパスとも言うべき犯人、本城崇への復讐という…
2014年7月の読書メーター 月の前半が全く本を読めませんでしたが、後半は少しまとめて読めました。少ない割にはラノベも含めバラエティに富んだ内容になったのではないでしょうか。 読んだ本の数:8冊読んだページ数:2806ページナイス数:493ナイス生存者ゼロ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)の感想北海道沖の原油採掘基地で起きた職員全員の無残な死体の発見を皮切りに、北海道各地で発生する原因不明のパンデミックと思しき惨劇により次々と町が壊滅していく。命を賭して未知の恐怖に立ち向かう廻田たち自衛隊の壮絶さ、妻子を亡くし次第に正気を失っていく富樫博士、そして危機に際して余りにも無能な政府首脳たち…
2014年6月の読書メーター読んだ本の数:17冊読んだページ数:5777ページナイス数:826ナイス 6月は海堂祭りでしたね。これまでに読んでいたバチスタシリーズと螺鈿迷宮から、ブラックペアン~スリジエのバブル三部作から極北篇、ジーンワルツ等の現代篇、その他の派生サイドストリーまで一気に既刊シリーズの読破へ挑んだ感じです。まだ、カレイドスコープの箱庭などが残っていますが、広がり続ける桜ノ宮サーガを堪能しました。書店ガール (PHP文芸文庫)の感想本屋の雰囲気や待ち合わせの思い出など、書店という存在は何となく惹かれるものがあります。吉祥寺にある老舗のペガサス書店を舞台に、跳ねっ返りのお嬢様、怖い…
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