きみの首筋ゆふぐれと檸檬の香(きごさい恋の俳句大賞 入選) ちとせあめガリガリしちゃう七五三(娘7歳の句 NHK俳句第25回全国俳句大会 入選)
きみの首筋ゆふぐれと檸檬の香(きごさい恋の俳句大賞 入選) ちとせあめガリガリしちゃう七五三(娘7歳の句 NHK俳句第25回全国俳句大会 入選)
あなたがケタケタ笑うたび みずぶえの玉が 回っているような気がするの 透きとおったまあるい玉が あなたの中のどこかにあるのかしら そのやさしい振動に 澄んでゆくまわりの空気 澄んでゆくわたしの心
一七歳の無力さを覚えている うかつにひらいた手のひらの その軽さに打ちのめされて 孤独を孤独で埋めるように もう片方の手を重ねた 祈りとは呼べない不器用な形 出会わない折り鶴たちが 横たわる窓
静止画のような雨の朝 深碧に滲む世界 その中心に 一本の大樹がある 冷たい雨粒を受けとめて 微かに震える 一枚の葉は 一つの国かもしれない 一軒の家かもしれない 一個のわたしかもしれない
2024.1.9 目が覚めると私の家じゃない 窓が大きくて開放感がある 窓の外からは海の気配 外へ出ていくとやはり海が見える 海へと続いていく階段を下っていく 空気も海も暖かく穏やかでいつまででも入っていられ
鳥よ鳥よ 言葉もなく 振り返りもせず 空高く飛び立つけれど それでもかならず帰ってくる 羽はどんどん冷えていくのに 小さな虫を飲みこまず おまえを一心に呼ぶ声を 覚えているのか 鳥よ鳥よ 電線に
秋の空気を纏った人々が ぞろぞろと 吸い込まれていく プラネタリウムの場内 投影機を取り囲んだ席の どこが特等席かわからず 心許ない気持ちのまま みな散り散りに腰をおろしてゆく 丸天井の 無機質
2023.10.30 些細なことで強く怒ってしまった夜 娘と二人 布団のなか 嫌なお母さんでごめんと謝る 自分の不甲斐なさに涙まで出てくる 嫌なお母さんじゃないよ いいお母さんだよ と言ってくれる娘 理想の母
檸檬灯す藍染のテーブル掛けへ(聞ける俳句・10月佳作句) ほたる手渡すいつまでも明るい夜に 短夜は水出しコーヒーへしづむ 漁火を宿して烏賊の眼は凍る(青嵐俳談5/26入選) 入学の空青すぎて硬すぎて(聞ける俳
白く静謐な装丁の 詩集の一頁目をめくるように 秋という季節はやってくる 行間からこぼれる祈りのように 銀杏並木の木漏れ日はきらきらと沈澱し 惧れと自由に疼くつま先を 微かにあたた
鎖骨の窪みに溜めた 淋しさにそつと触れる ああまた濡れてゐる 拭つても拭つても あの日の泉が しづかに溢れてくるので 少しだけ爪を立ててみる これはもう夢ではない 夢よりもあいまいな白昼 揺り
ほたる手渡すいつまでも明るい夜に 短夜は水出しコーヒーへしづむ 漁火を宿して烏賊の眼は凍る(青嵐俳談5/26入選) 入学の空青すぎて硬すぎて(聞ける俳句・4月佳作句) 雷鳥の冬毛に春の風溜めて(2023.4.5上野
短夜は水出しコーヒーへしづむ 漁火を宿して烏賊の眼は凍る(青嵐俳談5/26入選) 入学の空青すぎて硬すぎて(聞ける俳句・4月佳作句) 雷鳥の冬毛に春の風溜めて(2023.4.5上野動物園) 有刺鉄線くぐり灰空へ蝶
湯舟にたっぷりと浸かり すこやかに濡れる ちいさな背中の蒙古斑 思春期になったとき あなたは気にするだろうか 雨の朝を 閉じこめたように優しい その色を プールの授業中 背中に注がれる視線を 恐
シミの落ちないシャツ 子供が飽きてしまったスニーカー 色褪せたハンカチ 工場へ預けてある 汚れても古びても 捨てきれなかったものたち 工場裏の川のほとりで それらが戻ってくるのを 人々は待ちわびて
薄明をゆく 砂の城を壊してきた 公園の帰り道 あっさりと 繋いだ手をほどくと 空を指差して あの海に いつか行きたいね と言うあなた そのみずみずしい言葉に導かれ 視線をあげてみれば 伸びやかに
入学の空青すぎて硬すぎて(聞ける俳句・4月佳作句) 入学の日の雨に祖母生きてゐる 雷鳥の冬毛に春の風溜めて(2023.4.5上野動物園) 有刺鉄線くぐり灰空へ蝶 春の雪眺めて弦を張る力(聞ける俳句・2月佳作句) 恋
夜明け前の月を 見つめながら歩く 足元に沈澱した紫の夜 うつむけば その深みに 落ちてしまいそうな心細さのなか しずけさを 優しく揺らすエンジン音で どこかへ走り去っていくトラック 誰もいなく
ぽとんぽとんぽとぽとん 季節工場の屋根の下 ずらりと並べられたバケツのなかへ 雪解雫の落ちる音が響きだします ぽとんぽとんぽとぽとん 朝日を孕んだ雫の 楽しげな音色は 何かを呼んで
あらしの夜の 季節工場には いつもポケットに飴を忍ばせた 人々が集まっていて ベルトコンベアから流れてくる 空色の薄荷飴を せっせと割りつづけています カリンッ カリンッ と 割れた
薄明をゆく 砂の城を壊してきた 公園の帰り道 あっさりと 繋いだ手をほどくと 空を指差して あの海に いつか行きたいね と言うあなた そのみずみずしい言葉に導かれ 視線をあげてみれば 伸びやかに
入学の空青すぎて硬すぎて(聞ける俳句・4月佳作句) 入学の日の雨に祖母生きてゐる 雷鳥の冬毛に春の風溜めて(2023.4.5上野動物園) 有刺鉄線くぐり灰空へ蝶 春の雪眺めて弦を張る力(聞ける俳句・2月佳作句) 恋
夜明け前の月を 見つめながら歩く 足元に沈澱した紫の夜 うつむけば その深みに 落ちてしまいそうな心細さのなか しずけさを 優しく揺らすエンジン音で どこかへ走り去っていくトラック 誰もいなく
ぽとんぽとんぽとぽとん 季節工場の屋根の下 ずらりと並べられたバケツのなかへ 雪解雫の落ちる音が響きだします ぽとんぽとんぽとぽとん 朝日を孕んだ雫の 楽しげな音色は 何かを呼んで
あらしの夜の 季節工場には いつもポケットに飴を忍ばせた 人々が集まっていて ベルトコンベアから流れてくる 空色の薄荷飴を せっせと割りつづけています カリンッ カリンッ と 割れた
お正月の真新しい空に 凧をあげる子供たち 遠い空を泳ぐ凧を眺めながら たとえば心のようだとおもう 遠い未来や過去を思うほど 遠くの人を思うほど ピンと張る糸 消えそうな雲を求め 凧はずっと張り詰
かすかな光を 睫毛が絡めとる カーテンの隙間から 朝のさざめきの予感 いつもより 足裏が火照っているのは 甘酒のとろりとした湯に浸かる 夢を見たから バスタオルで体を拭く 夢の続きのように 布団
光ごと掬う目高の子ら透けて(第33回伊藤園新俳句大賞佳作特別賞) 風信子ことしも吾子の心電図(第33回伊藤園新俳句大賞予選通過) 落椿どこかに罠のあるような(第33回伊藤園新俳句大賞予選通過) いわし雲満ちる水笛
高速道路より、牛久大仏の頭が点灯しているのが見えて、 クリスマスだから?年末だから?と夫とアホな会話をしておりました。。
あらゆるひとびとの あらゆる首を濡らしてゆく 変声期の すこし喉仏の張り出た首も 消えかけた地図のような 静脈の浮かぶ手首も 崩れそうな肉体を いっしんに支える足首も 嬰児に与えるための ミル
会わないことと 会えないことの隔たりの深さで 星の瞬く夜 季節工場の大きな暖炉の前に 人々が列を成します 亡き人へ宛てた手紙を 燃やすために 訪れた人々の列は 星空の下まで続いていま