日高千湖 さん プロフィール

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日高千湖さん: 夢見月夜曲
ハンドル名日高千湖 さん
ブログタイトル夢見月夜曲
ブログURLhttp://yumemizukiyakyoku.blog.fc2.com/
サイト紹介文日高千湖のオリジナルBL小説ブログです♪『薄き袂に宿る月影』はこちらへ移動しております。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供342回 / 365日(平均6.6回/週) - 参加 2014/02/17 00:03

日高千湖 さんのブログ記事

  • 青い朝・27〜『待つ夜ながらの有明の月』番外編
  •  大切な薫の一大事と聞き、木下章太郎がすぐに駆けつけた。だが僅かな時間しか《イゾルデ》を抜けられず、薫は章太郎の仕事が終わるまで預かる事になった。三木くんは箱根に出張中、山下くんは《サラダボックス》の件で忙しく、章太郎の交代要員がいなかったのだ。「薫は真っ直ぐ家に帰ったと思ってたんですけど?」ベッドに寝かせた薫の髪を撫で上げながら、章太郎は不機嫌そうに俺を見上げた。「俺が引き止めたわけじゃないから [続きを読む]
  • 青い朝・26〜『待つ夜ながらの有明の月』番外編
  • 「薫、帰ったんじゃなかったのか?」そう声を掛けると、薫はムスッとして答えた。ここに居るのは本望ではない、って顔をしている。「帰るつもりだったんですけど、小鳥居さんとバッタリ」薫は不機嫌そうに後ろにいた小鳥居を見た。薫がここを出て30分は経っていると思う。その間、2人は外で立ち話でもしていたっていうのか?「俺、ちょっと章太郎さんの所に顔を出してたんです」「ああ、それでね」仕事終わりにやって来た小鳥居 [続きを読む]
  • 青い朝・25〜『待つ夜ながらの有明の月』番外編
  •  久し振りに《SUZAKU》に顔を出した清川薫は、大変お怒りだった。薫は自分の事に関してはグッと我慢してしまうが、輝也に関して不満があると目を吊り上げて抗議してくる。こんなに怒った薫を見るのも久し振りだ。 俺だって電話で謝りたかったんだよ。ただ、今朝から忙しかったんだ。チャンスがなかっただけなんだ。薫、そんな顔をして睨むなよ。「泣きたい気分になる前に、どうして電話しなかったんですか?」「まあ、そう [続きを読む]
  • 青い朝・24〜『待つ夜ながらの有明の月』番外編
  •  輝也から連絡がない。マジで怒ってんのか。胃がギューッとなって、握っていたスマホが急に重くなる。「はあっ」スマホをテーブルに投げ出して、俺は頭を抱えた。電話するタイミングを考えていたら、タイミングがわからなくなってしまったのだ。今すぐに電話して素直に「誤解だからな」と言えばいいだけなんだが、すでに遅いような気もする。もしかして目覚ましが鳴った瞬間が、そのタイミングだったんじゃないか?あっ、待てよ。 [続きを読む]
  • 菜虫化蝶・29【最終回】〜『Love me do』番外編
  •  家永さんは早めに起き、先にマンションに戻った。僕は可野児と一緒に食べようと思って、朝食の準備をしている。ここには廉慈さんが一週間はいるだろうと思っていたので、食材を少しだけ持ってきていたのだ。キッチンの音で目覚めたのか、可野児が起き上がった。「おはよう、航」可野児は「うーん」と大きく伸びをした。『航』と呼ばれて、ドキリとする。「起きたの?」「うん」可野児はベッドに座ってボーッとしている。大きなあ [続きを読む]
  • 青い朝・23〜『待つ夜ながらの有明の月』番外編
  • 「圭介さん、どうかしたんですか?」「どうかって?」「いや、珍しいなと思って」「どこが珍しいんだよ。これが平常運転だろうが?」「・・・どこが平常運転ですか?」「全面的に」《イゾルデ》の店長・木下章太郎は、事務所に入るなり「ジャガイモなしのまかないを食わせろ」と言った俺を迷惑そうに迎えた。「三木くんは箱根だし、山下くんは《サラダボックス》で忙しいだろ?だから、せめてこっちだけでも俺が動いてやんないと」 [続きを読む]
  • 青い朝・22〜『待つ夜ながらの有明の月』番外編
  •  冷蔵庫を開けると、真正面にジャガイモの煮物とポテトサラダが鎮座していた。「量、多くない?」これは一人で食べる量ではない。半端ない量だ。輝也がいない間は、このジャガイモシリーズで飢えをしのげというのか。そうか・・・俺が昨日から胃が痛いのを輝也は知らないからな。俺は思わず冷蔵庫に向かって呟いた。「胃が痛いんですけど」誰に言うでもないが、ただ訴えたくて冷蔵庫に向かって言ってみた。「輝也のヤツ何を考えて [続きを読む]
  • 菜虫化蝶・28〜『Love me do』番外編
  •  大見可野児さんはざっくばらんな性格で、僕の方が2つ年下だとか気にならないようだ。年下から呼び捨てにされても何ともないようで、もう何年も前から友人であるかのような気安さで接してくれる。そういう点は《ピタゴラス》のヒカルにも共通していると思う。『友だち』と呼べる存在がいなかった僕の隙間を埋めるかのように、ヒカルはごく自然に接してくれたっけ。 可野児はお酒が大好きだという。家永さんや廉慈さんほどではな [続きを読む]
  • 青い朝・21〜『待つ夜ながらの有明の月』番外編
  •  目を瞑って、ほんの十数秒だったと思う。ピッとロックを解除する音がして、裏口のドアが開いた。てっきり小鳥居が戻ってきたのだと思い込んだ俺は、何も考えずに言った。「忘れ物か?小鳥居」「・・・」人の気配はするが返事はない。ロックを解除出来たって事は、うちの関係者には間違いない。あれ・・・小鳥居のはずがないな。ここの鍵は《SUZAKU》のスタッフか、山下くん、三木くんしか持っていないはずだった。俺はボン [続きを読む]
  • 菜虫化蝶・27〜『Love me do』番外編
  •  ギャラリーの入り口をトントンと叩く音が聞こえた。「今頃、誰だよ」家永さんが不思議そうな顔で言った。ギャラリーの正面の外灯はすでに消されていて、【CLOSED】の札が下げられている。営業中は開けているスクリーンカーテンを下ろして、外からは中が見えないようにしてあった。だが、中の明かりが漏れているから、まだここにスタッフが残っているのはわかるとは思う。 家永さんは首を捻ったが、廉慈さんにはノックしている人 [続きを読む]
  • 菜虫化蝶・26〜『Love me do』番外編
  •  えっ?廉慈さんが戻ってきた?一瞬、わけがわからなかった。あれ程、『戻らないから』と頑なだったのに。大見さんの家の玄関で僕を見送ってくれた廉慈さんの心が、数時間で変化してしまったのだ。大見さんが上手く説得してくれたのかな?それとも・・・。「若がどうかしたの!?」僕の声が2階にいた吉塚さんにも聞こえたのか、大きな声で聞き返してきた。お客さまが居なくて良かったよ。「若が戻ってきたそうです」「ホント!? [続きを読む]
  • 青い朝・20〜『待つ夜ながらの有明の月』番外編
  •  あー、頭痛い。俺、いつ寝たんだっけ?薄く目を開けると、ボンヤリと薄明かりが見えた。隣には輝也が寝ている。俺はそう確信して輝也に手を伸ばして、その身体を引き寄せた。「テール」「・・・」人肌に安堵して、俺は目を瞑った。まだ朝じゃない。「・・・あぁ・・・だるい」目を覚ました俺は身体に乗ったダウンケットの感触を確認して、ここが自宅ではないと気が付いた。タバコの香りがしみ付いたダウンケットとシーツの感触に [続きを読む]
  • 菜虫化蝶・25〜『Love me do』番外編
  •  そっと玄関のドアを開けると、フットライトが点いた玄関は薄暗かった。奥の方から明かりが漏れていて、リビングの方から人の気配がする。こうして朝方こっそりと玄関を開けるのは何年振りだろう。キッチンで朝食の準備をしている母にわからないように、そっと階段を上る時の気持ちを思い出す。家永さん、もう起きてるんだ。「ただいま」遠慮がちに言ったけど、リビングのドアがガバッと開いて家永さんが顔を出した。「航!今まで [続きを読む]
  • 恋とは戦さのようなもの・17
  • 「それで?寿さんから蔵野の事を聞けた?」俺は自分の太腿に乗った秀人の手を引き剥がした。「真面目に運転しろ」秀人は「おお、怖い」と言いながら左手をハンドルに戻す。「確かに蔵野部長は、重役連中からの評判が悪いようだね」「それはそうだろうね。飲食部門の顧問に信吾さんが就任した時も、不平不満の声が聞こえてきたからな」「信吾さんの件は義道会長の一声で黙らざるを得なかったが、蔵野部長は完全な余所者だからね」「 [続きを読む]
  • 青い朝・19〜『待つ夜ながらの有明の月』番外編
  •  山下くんがくれた胃薬を飲んでから《SUZAKU》へと移動した。サッパリとした飲み口の胃薬で、モヤモヤとしていたものがスッキリした。親子丼と蒸しパンは美味かったが食べ過ぎた。ああ、それにコーヒーの飲みすぎだな。胃薬のおかげか、ストンと胃が軽くなったような気がして急に腹が減った。途中でパンを買い、ベニちゃんとしーちゃんには甘そうなカスタードクリームと林檎のコンポートが入ったデニッシュとメロンパンをお [続きを読む]
  • 菜虫化蝶・24〜『Love me do』番外編
  •  『勝ち目ないなあ』と大見さんは言った。それは彼が廉慈さんの事を好きで、廉慈さんが好きだった僕をライバル視した発言だったと思う。彼らは互いに想い合っているのに、互いの気持ちに気が付けていないのだ。僕から廉慈さんの気持ちを伝えるのは簡単だけど、それは僕の役目ではない。「寝ないの?」「ええ。廉慈さんに逃げられるのはちょっと困るんで」「僕が起きてるから、寝たら?トイレに行ったら目が覚めちゃったから、交代 [続きを読む]
  • 菜虫化蝶・23〜『Love me do』番外編
  • 「寝るぞ」「・・・はい」「泊まるんだろう?」「泊まります」古い日本家屋は寒かった。マンションは気密性が高くて、今の時期ならエアコンなしでも十分なんだけど、この家は寒い。廉慈さんは毛布と掛け布団を出してきて大見さんに掛けた。「毛布も布団もあと一枚しかない」「廉慈さん、どうぞ」「君が使えよ」「でも」「俺はホテルに泊まるから」「ダメです!」廉慈さん自身が酔っ払ってるのに。「さっきのコールボーイは冗談だか [続きを読む]
  • 菜虫化蝶・22〜『Love me do』番外編
  •  ワインはすぐに空になった。廉慈さんと大見さんが競うように飲み始めたからだ。2本目のワインが半分以上減り、追加した料理を食べ終えた頃には他のお客さんは帰ってしまった。マスターが「ラストオーダーですが」と聞きに来ると、廉慈さんはワインをもう1本追加した。「廉慈さん、飲み過ぎじゃ・・・」「大丈夫だよ、なあ?可野児」「うん!へーきだよ。鹿之江くんも飲んで、飲んで!」「そうだよ、飲め」僕のグラスに勝手に継 [続きを読む]
  • 菜虫化蝶・21〜『Love me do』番外編
  •  廉慈さんは急に口をへの字に曲げ、腕を組んで黙った。大見さんの「親も親戚もいなくなった」という言葉に、廉慈さんは反応したようだ。逆に大見さんは、入り口に突っ立っていた僕を見てニコリとした。「一緒にご飯を食べようよ、鹿之江くん」「・・・はい」「廉ちゃんも、ね?」「勝手にしろ」廉慈さんは不機嫌そうに言った。大見さんは廉慈さんの機嫌なんか知ったこっちゃないって感じで元気良く手を上げ、「了解」と返事をした [続きを読む]
  • 菜虫化蝶・20〜『Love me do』番外編
  •  「1人の時に電話してもらえますか?」、と言って渡された名刺の優雅なデザインには目を奪われた。季節ごとに配布される『蘭雅』のパンフレットに載っている振袖のような御所車と牡丹、菊、藤がこぼれんばかりに描かれた古典柄の名刺は華やかで、受け取った人の興味をかき立てる。裏に返すと紺地に緋色で『大見可野児』と書かれていた。『可野児』というのは本名なのかな?「かのこ」という響きは女性的で表記も珍しい。まるで万 [続きを読む]
  • 青い朝・18〜『待つ夜ながらの有明の月』番外編
  •  目が覚めると、輝也はすでにベッドから消えていた。カーテンはまだ閉まったままだ。今日から《有明の月》には出勤しないとわかっているから、俺が遅くまで寝ていると思ってるんだ。手を伸ばして輝也の温もりが残っている部分を探し、僅かに人肌の名残を見つけて俺は名前を呼んだ。「テールー」寝起きで思ったように声が出ない。横向きから仰向けに体勢を変え、少し腹に力を入れてもう一度輝也を呼んだ。「テールー」「・・・」キ [続きを読む]
  • 菜虫化蝶・19〜『Love me do』番外編
  • 「あー、美味かった」「・・・」家永さんは弁当をペロリと平らげてテレビを点けた。僕は観た事がない刑事ドラマが始まったばかりだった。これには人気の若手俳優が何人も出演していて、明日は敦子さんが朝一で「カッコ良かったわ〜」というやつだ。このドラマは吉塚さんも観ているから、観ていない僕は会話に付いていけない。良い機会だから、僕はストーリーがわかる程度にテレビを観ながら弁当を食べる事にした。「まだ若の事を気 [続きを読む]
  • 恋とは戦さのようなもの・16
  •  蔵野は『K・Uカンパニー』の社長だった義父に気に入られ婿養子となったわけだが、『滝山産業』による買収を主導し親族からは嫌われているらしい。妻や義母からは「毛虫のような扱い」をされていると言うが、それは彼にとっては痛くも痒くもないようだ。 濃い目だが顔貌は整っていて、長身の蔵野。懐具合も悪くはなく、妻帯者とわかっていても声を掛けてくる女性は多そうだ。自慢話が続き俺は辟易していたが、蔵野はそれには気 [続きを読む]
  • 河野組日誌・2〜『T』番外編
  • 皆さん、こんばんは〜♪おいおい、どうした〜?と思いながら読んで下さい(笑)【津枝の呟き】 皆さん、こんばんはっ!津枝っす。敬治さん付きの津枝っす。敬治さんのご機嫌も体調も良く、ついでに若のご機嫌も麗しく、良い事ばっかです。 先日、敬治さんが「運転免許を取りたい」と言い出されまして・・・。「免許?必要ねえだろ?」ええ、俺もそう思います。親父さんにレクサスを買ってもらったから、敬治さんは自分で運転した [続きを読む]
  • 菜虫化蝶・18〜『Love me do』番外編
  • 「知りませんよ」さり気なく言えたと思う。あっ、ここは冗談っぽく言うべきだっただろうか。「実は一緒に逃避行中でーす」的な?まあ、それも僕らしくないからな・・・。「冗談よ、冗談」敦子さんは手をパタパタさせながら言った。「ここだけの話しですけど」みたいな感じで、「実は・・・」と言って冗談にすれば良かったのかな?「本気にしないでよ」こういう時の敦子さんの勘は鋭いのだ。僕は本能的に、秘密を嗅ぎ付けられてしま [続きを読む]