日高千湖 さん プロフィール

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日高千湖さん: 夢見月夜曲
ハンドル名日高千湖 さん
ブログタイトル夢見月夜曲
ブログURLhttp://yumemizukiyakyoku.blog.fc2.com/
サイト紹介文ようこそ日高千湖のオリジナルBL小説ブログです♪現在、『薄き袂に宿る月影』から作品を移転中です。
自由文旧ブログ『薄き袂に宿る月影』から引越して参りました!
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供304回 / 365日(平均5.8回/週) - 参加 2014/02/17 00:03

日高千湖 さんのブログ記事

  • T・79
  • 「若、あれで良かったんでしょうか?」「ああ」田山の病室を出て、待たせていた車に乗り込んだ河野は上機嫌だった。田山からはその資産の全てを売却し、《SWAN》で働いている者たちを収容する更生施設を作る事を約束させたからだ。「《SWAN》の存在を国民に知られるわけにはいかねえんだよ、お偉いさんたちは」「それはそうですが・・・河野組はどうなりますか?」《SWAN》から『T』であった加々見敬治を強引に連れ出 [続きを読む]
  • 半夏生・27【最終回】
  •  降り出した雨は、なかなか止まない。フロントガラスを打ち付ける雨粒はますます大きくなり、遠くで稲光が鈍い色の雲を切り裂く。俺の言葉は宮嶋の心をキズ付けてしまったに違いない。彼の真意とかは別として、俺が旧友としての態度を貫けば良かっただけの事だった。すでに名古屋に戻ってしまっただろうか。黒い名刺は腹立ち紛れに、駅のゴミ箱に放ってしまったっけ。謝る機会さえも失くした俺は、自分がなぜ叔父の墓を目指してい [続きを読む]
  • T・78
  • ★このお話はフィクションです。 青くなった田山の顔を覗き込みながら、河野は笑う。だが河野の目は笑ってはいない。整った顔立ちの河野が口元だけに笑みを浮かべながら近付くと、彼の内から湧いている田山への怒りや嫌悪感がじわりと伝わる。田山は傷を庇いながらもそれを避けようと、顔を引き攣らせながら仰け反った。「俺は見舞いに来ただけだ。ビビんなよ」「き、さま」「まずは傷を治すこったな。邪魔したな」大川は田山の顔 [続きを読む]
  • 半夏生・26
  •  会議が終わり、高田くんと山下くんは帰っていった。俺は皆が使ったグラスやコーヒーカップを洗いながら、「お疲れさま!」と声を掛ける。蛇口から勢い良く出てくる水で泡を流しながら、俺はどうして圭介くんが宮嶋の件を皆に話したのか、その理由を考えていた。もっとも、彼の事だから何も考えていなかったのかもしれないけれど。 圭介くんと信吾さんの関係は、ただの「友人」とか「先輩・後輩」ではない。学生の時に恋人との辛 [続きを読む]
  • T・77
  • 「何かあったのか?」大成は隣に座る父・政重を見遣った。大川たちが去り、部屋は完全にプライベート空間だ。誰が点けたのか、サスペンスドラマの再放送が映っている。「ああ」政重は箸を置き、腕を組んだ。「何だよ?何か問題でも起きたのか?花子が妊娠したとか?」大成は父の表情から話の深刻さを感じ取って、わざと茶化すような事を言った。そして準備された箸を握り、大皿から焼きそばを取り分ける。「この2人から話しがある [続きを読む]
  • 半夏生・25
  •  現在、『S−five』は《銀香》の裏手に事務所を構えている。『S−five』は起業して間もない会社だ。社長の滝山信吾が大学を卒業してすぐに、高田博臣と山下明利が勤務していた《八番館》というホストクラブを居抜きで買い、《白夜》と名を変えてオープンしたのが始まりだ。滝山信吾の実家は、『滝山産業』という不動産業を中心にゲームセンターやボーリング場といった遊興場を経営する大きな会社だが、彼は「実家の会社経営には [続きを読む]
  • T・76
  • 「丹田、久し振りだな?」「・・・」ソファーにゆったりと腰掛けた河野の姿を見た丹田は、気丈にも彼を睨み付けた。その様子を見た槌屋が、丹田の背後から蹴りを入れた。「・・・っ」両手を縛られた状態で、腰の辺りを蹴られた丹田は前によろめく。「丹田、俺に挨拶もなしか?」機嫌良さそうに膝の上の花子の背を撫でる河野は、丹田の顔など見てはいない。「若にご挨拶しないか!」「・・・お久し振りです」渋々丹田が口にした挨拶 [続きを読む]
  • 半夏生・24
  •  会計を済ませていると、宮嶋が慌てふためいて追ってきた。「ご馳走さまでした」「ありがとうございました」「待って!会計は僕が!」宮嶋が慌てて店のスタッフに言うが、俺がすでに支払いを済ませている。スタッフは「お会計は済んでおりますので」と、困ったように笑ってみせた。「まだ料理が残っていたじゃないか。俺は帰るが、君はゆっくりしておいでよ。これで失礼します」少し冷たい言い方だとは思ったが、俺は宮嶋にきっち [続きを読む]
  • T・75
  • 「《SWAN》を潰す?」いつもは飄々として、世間の事には関心なさそうにパソコンを弄っている飯坂の口から飛び出した言葉が、河野には意外だった。「ええ。あんな店があるから、田山のように私腹を肥やす事に必死になるヤツが現れるんですよ」「それはわかっているさ。だが、お前も知っているだろう?あの店は」《SWAN》は70年以上、「公営」の状態で営業されてきた店だ。《SWAN》の売り上げは、田山のような輩の私腹 [続きを読む]
  • 半夏生・23
  •  運ばれてきた日本酒は辛口の大吟醸だ。気泡を多く含んだグラスにキンキンに冷やした酒を注いだ宮嶋は、「乾杯しようよ」とグラスを上げた。「ああ」「再会を祝して、乾杯」「乾杯」グラスを合わせるとキーンと高い音が響いた。グラス半分ほどをクイッと飲み、宮嶋は小さな吐息を吐いた。「ふうっ・・・会えて良かった」「俺も、会えて良かったよ」「そう?良かった」俺の「良かった」と宮嶋の「良かった」は、きっと意味が違うな [続きを読む]
  • T・74
  • 「飯坂」「はい」「寺内から連絡があるまで座敷で寝る。槌屋、寺内から連絡があったら起こしてくれ」「はい」すでに夜は明けていた。カーテンの隙間から差し込む朝日を見ながら、河野は大きく伸びをして立ち上がった。飯坂は慣れた様子で座敷に向う。「大川、味噌汁美味かったぞ。昼は寿司でも取って小山たちを呼んでくれ」「はい、わかりました」「お前たちも休めよ」「ありがとうございます」「それから槌屋、飯坂の件だが」「飯 [続きを読む]
  • 半夏生・22
  • 「三木くん、お疲れ。今日はもう落ち着いたみたいだから。ありがとう、助かったよ」「そう?」店内の客も疎らになった。「うん」圭介くんはカウンターの客に飲ませてもらってほろ酔いだ。目元に朱を刷いたように赤くしてこちらを見ているが、相当色っぽい。「大丈夫?飲み過ぎないでよ?」「大丈夫。俺、店にベッド持ってるし」「ああ、そうだったね」俺は事務所の隅にドーンと置いてある彼のベッドを思い出しながら笑った。「はは [続きを読む]
  • 半夏生・21
  •  宮嶋は、いくら待っても俺の部屋に戻っては来なかった。インターフォンが鳴る度に宮嶋が戻って来たかと思って、俺は急いで玄関を開けた。そこに立っている新聞や宗教の勧誘の人を見る度に、彼はもう度って来ないのだと現実を思い知らされる。 学生だった俺にとって、彼の行方を捜す事は砂粒の中から一粒のダイヤモンドの原石を探すようなものだった。宮嶋自身の意思で戻ってくれなければ俺は成す術もなく、ただ待ち続けるしかな [続きを読む]
  • T・73
  • 「槌屋、丹田はどうしてる?」「津田顧問のマンションに閉じ込めています。どうしますか?」河野はタバコの煙を吐き出して、天井を向いた。「そうだな・・・。ところで、飯坂。田山を撃った銃は、うちのじゃねえな?」「はい。田山から渡されました。宋との取引は危険だから念の為、と言って田山が持たせました」元大蔵省の官僚だった田山が拳銃を所持している、というのが河野には意外だった。そして広い屋敷の管理をする為とは言 [続きを読む]
  • T・72
  •  本宅には、千葉から戻った槌屋が待っていた。本宅のリビングで河野の帰りを待っていた槌屋と大川の視線は、河野の後ろから入って来た飯坂の姿に釘付けになる。飯坂は伏し目がちで2人の前に現れ、軽く会釈した。槌屋からピリッとした空気が流れ、隣にいた大川は一歩後退する。槌屋は飯坂から一瞬たりとも目を離さずに、河野に頭を下げた。「お帰りなさい、若」「おう。皆、ご苦労だったな」「いいえ」槌屋は飯坂を睨みながら河野 [続きを読む]
  • 半夏生・20
  •  宮嶋と共に俺のマンションに戻り、再び2人の生活が始まった。宮嶋は前のように夜間はコンビニで働き、スーパーの品出しの仕事をする。掃除は交代で。食事は出来るだけ自炊。自炊と言っても簡単な味噌汁とか目玉焼き、カレーの繰り返しだったが、時間がある方がそれをやる。お互いがお互いの事を思い遣って、お互いを尊重しあって、良い関係が築けていたと思う。俺は彼の美しい容姿に心を奪われていた。目が覚めた時に宮嶋が隣に [続きを読む]
  • T・71
  • 「飯坂」「放せ」『放せ』とは言いながら、飯坂は心地良さそうに目を瞑った。言葉とは裏腹に身動ぎ一つしない。「若の匂い、久し振り」「お前、何を考えてたんだ?どうして出て行った?」「うーん。俺は・・・悔しかったんでしょうね」「何が、どう悔しいんだ?」「俺の知る若は、あんな尻の青いガキに目をやるような人じゃなかった。どうして彼なんですか?」飯坂は河野の胸をそっと押した。少しだけ生まれた空間から、飯坂が河野 [続きを読む]
  • 昨日の敵は今日の友【後編】
  •  その日から、俺の生活は一転した。耀元が子猫たちに夢中になってしまったのだ。子猫たち中心の生活が始まった。週明けには激務が待っている。仕事人間の耀元は、一日中3匹を構ってはいられない。 彼はその日のうちにペットショップへ行き、子猫用のミルクやキャリーケース等必要な物を買い揃えた。子猫たちはまだ人間に慣れていないし、この広い屋敷の中で行方不明にならないとも限らない。大きくなるまではゲージの中だ。3匹 [続きを読む]
  • 昨日の敵は今日の友【前編】
  •  毎朝の日課は、新聞とメールのチェック。世界中に広がっている『円井グループ』の関連企業から送られてくるメールの仕分け、情報の精査は全て耀元に任せている。その為に耀元は、日曜日も俺より1時間早く起きる。大、大、大不満である。毎朝、耀元の滑らかな肌を撫でながら目を覚ますのが俺の理想なのだ。日曜日くらいは、ベッドでダラダラしたってバチは当たらないはず。耀元がどれだけ頑張ろうが、世界のどこかで問題は起きて [続きを読む]
  • T・70
  •  工事現場に潜ませていた車と乗り替えた。当初の予定では2台ともここで乗り換える予定だった。だが飯坂の発砲という予定外の事態に警察が動いてしまった。このままでは警察の捜査の手が河野組に及ぶのは目に見えていたが、隠せるものは全て隠しておかなければならない。ハマーは大川が運転し河野組まで戻り、敬治と武村は迎えに来た津田の車に乗り本部へと向った。 一方河野は、飯坂の運転で自分が所有する青山のマンションへと [続きを読む]
  • T・69
  • 後ろを向いて勝手口を見ていた敬治が、「来た!」と大きな声で言った。車内に重い空気が流れていたが、その一言で雰囲気が一転した。武村は安堵したのか胸を押さえて呼吸を整え、大川はバキバキッと指を鳴らした。「よし!若たちが乗ったら2人ともしっかりと掴まれよ。すっ飛ばすからな」「はいっ!」2人はしっかりとシートベルトを締めて準備した。 周囲を見回しながら、河野が勝手口から出てくる。続いてスーツ姿の飯坂が後退 [続きを読む]
  • T・68
  • 「若ーっ!」槌屋の声が響く。飯坂が銃を構えた瞬間、槌屋は飯坂とこちらへ駆けてくる河野の間に入り立ちはだかろうと、猛然とダッシュした。「飯坂ーっ!撃つなーっ!」「ダメだーっ!飯坂っ!」河野に向けた飯坂の銃が火を噴いた。バーンッと発砲音が響き、その場にいた者たちの動きが止まった。「・・・うっ・・・ぐっ、はっ・・・」白煙が治まりつつある室内でもんどりを打って床に倒れ込んだのは、武村と対峙していた田山正彰 [続きを読む]
  • T・67
  •  大型ハンマーで勝手口を叩き壊し侵入しようとしているのは、河野の配下の者たちの中でも腕に覚えのある猛者たちだ。裏口から一気に攻め入って、敬治を捜し出す。単純な作戦だったが、突入直前に大川からの報告を受けたのは幸運だった。『若!敬治くんのスマートフォンが反応しています!』「屋敷内か?」『はい。間違いありません』「北と南、どっちだ?」『北側の建物です。一番東の部屋と思われます』「よし。大川、作戦変更し [続きを読む]
  • T・66
  • 「ねえ、迎えが来るのは明日じゃなかったの?」「予定変更だ」「勝手に変更しないでよ」「俺に言わないでよ」丹田は軽口を利く飯坂の事が気に入らないらしい。低い声で「静かにしろ」と言うと、2人を睨んだ。飯坂は「ごめん」とあっさり謝り、敬治は「ベーッ!」と舌を出す。「ここだ」丹田が立ち止まったのは、一際大きく立派なドアの前だった。 蔦が絡まるデザインの彫刻が施された観音開きのドアは、重厚で華麗だ。入り口の左 [続きを読む]
  • T・65
  •  敬治は必死だった。丹田に服を脱がされれば、ポケットの中のスマートフォンが見つかってしまう。それだけは絶対に避けたかった。敬治は「近寄るな!」と叫びながら丹田を蹴る。最初の1、2発は空振りに終わったが、ベッドに近付く丹田の顎に敬治のキックが決まった。「お、うっ・・・」その瞬間、確かな手応えを感じた敬治は、追い討ちを掛けるように仰け反った丹田の胸を目掛けてもう一発キックをお見舞いする。「ギャッ」当た [続きを読む]