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★★★★2020年/アメリカ監督/エリザ・ヒットマン削ぎに削ぎ落とした語り口とリアリティを追求した演出で図らずも妊娠してしまったオータムの切なさが胸に迫る。また、驚くほど口数が少ないこの2人の従姉妹関係が興味深い。オータムの真の理解者として、ひたすら彼女のために行動するスカイラーの背景にも思いを馳せる。17歳の瞳に映る世界
★★★☆2021年/アメリカ監督/M・ナイト・シャマラン突然時間のスピードが早まる海辺に連れてこられた家族たち。異常に年老いてしまうという絵面の引きで引っ張るネタ系映画と思いきや、SFホラーであり、家族の物語であり、時間をめぐる哲学的な物語でもあり、どの角度からでも楽しめる懐の広さ。シャマランこんな余裕のある映画取れるようになったんだ。ちゃんとオチも付いてる抜かりのなさ。オールド
★★★☆2020年/チリ・アメリカ・ドイツ・オランダ・スペイン監督/マイテ・アルベルディ老人ホームにおじいちゃんが潜入。ドタバタ騒動かと思いきや。セルヒオ爺さんが実に魅力的。そしてご老人が発する滋味深い言葉の数々に感嘆。マジでセリフ仕込んでない?老年は誰しも孤独だ。しかし豊かな繋がりも存在する。目の前の人に関わる事を手放してはいけないのだ。83歳のやさしいスパイ
★★★★2020年/イギリス・アメリカ監督/ドミニク・クックカンバーバッチ、これでアカデミーノミニーでしょ?ってくらいの熱演。一般人が図らずもスパイをさせられ怒涛の展開。究極の状況で人は正義を貫けるのか。国家は個人を助けるのか。ブリッジオブスパイにも通じる。巻き込まれサスペンスとしても実に面白い。力作。クーリエ最高機密の運び屋
ルシルボールという女優、およびその人気のテレビ番組というものを知らないため、何が何だかさっぱりわからず。前提知ってる状況でどんどん進むの、ちょっと不親切設計過ぎやしませんかね。JKシモンズ、このちょい役でノミネートなの?こんな置いてけぼり映画久しぶりだわ。愛すべき夫妻の秘密
★★★★2020年/日本監督/沖田修一夫に先立たれた老女の変わらない孤独な毎日を描く秀作。淡々とした筆致に挟まれるおかしみたっぷりの演出がいかにも沖田修一らしく、日常の愛おしさをひしひしと感じさせる。大きな家を捉えるロングショット、里山の美しさ。撮影がいいと思ったら流石の近藤龍人であった。我が母も無くなった父のことを「クソ●●」などと呼び、替え歌まで作ってしまう。あまりの一致ぶりに苦笑い。思い出を反芻し、妄想し、付け足し、そうして残りの人生を生きていく。老いるとはそういうことか。ラストシーンに込められた希望に安堵した。おらおらでひとりいぐも
★★★★2013年/アメリカ監督/ジョン・リー・ハンコックメリーポピンズに詳しくなくても大丈夫。偏屈な英国中年女とアメリカ人富豪の交流を描いた上質な作品。様々な対立が溶けていく、主演2人の演技はさすがの貫禄。原作者と製作委員会の物語でもあるので、その攻防は映画ファンとしても楽しめる所。エマトンプソンが最高。原作者パメラの過去が映画製作の現在と交互に描かれるが、このオーストラリアパートが涙を誘う。父が押しつぶされた男らしさ、その呪縛を娘が書くことで解放したというメリーポピンズの原点話。またメリーポピンズを見返したくなった。ウォルト・ディズニーの約束
せっかくこの題材に斬り込んだのに、感傷的な演技が多過ぎる。上からの命令に誰も逆らえず、ひたすら俳優陣の涙ぐむ演技が続く。怒りや憤りよりも悲しみを前面に出す演出では到底グローバルに訴えることはできない。新聞社も検察もできなさばかりが目立ちとても残念。タイトル新聞記者なのだから暴き、書き、社会を動かすダイナミックなシーンがもっとあっていい。一番動きがあるのが輪転機が回るシーンとは…。改ざん資料を記者に渡す理由が同じ悲しみを知る者同士というのも頂けない。役者陣は熱演。眉毛と目を一つずつ動かせる吉岡秀隆に驚嘆。新聞記者
★★★☆2021年/日本監督/横浜聡子津軽三味線のグルーブ感が好きだ。主演の駒井蓮。ずいぶん練習したんだろうねえ。様になってるしちゃんと聴かせる。豊川悦司もステキだが、祖母役の三味線奏者の西川洋子がいい。この人の存在なくして成り立たない作品。津軽弁全くわからないがそれもいい。青春映画の佳作。いとみち
★★★★☆2016年/日本監督/長久允たまらんね、このセンス。思春期の醒めた感覚、どうせ人生なんてという中学生の厭世観を綴るセリフの洪水とポップな色とりどりの映像。そしてメタ構造。ただの馬鹿騒ぎではない知性も感じさせる。何とキュートで魅力的な作品。そうして私たちはプールに金魚を、
生きること。赦すこと。愛すること。伝えること。演じること。1つの作品に多彩なテーマが存在し、呼応し合う。鑑賞者はさらに村上春樹やチェーホフへと世界を深める。どこまでも広がる知のスケール感。かつ、多様性と男らしさの放棄という現代のテーマが融合する。参りました。家福の再生をチェーホフのワーニャ伯父さんに重ね、繰り返しテープでセリフを流し、自らの演出法までさらけ出しセリフを染み込ませる。言葉に対する並並ならぬこだわり。それは言葉を疎かにしている現代人への痛烈な警鐘にも感じられる。我々はもっと言葉を大事にせねば。知的で物静かな人物が多い中、ただ1人世俗的で底知れぬ狂気を感じさせる岡田将生の存在が効いている。後部座席で家福が知らない、あの物語の続きを唐突に語り出すシーンは背筋がゾクゾクした。ドライブ・マイ・カー
★★★★2021年/アメリカ監督/デスティン・ダニエル・クレットントニーレオン見たさに鑑賞。普通にカンフーアクションファンタジーとして楽しむ。主人公がそもそもスーパーパワーを持たない普通の人というのがいいし、安直に恋愛に持ち込まないオークワフィナとのバディ感も好感。後半はネバーエンディングストーリーだった…シャン・チー/テン・リングスの伝説
★★★☆2021年/アメリカ監督/テイラー・シェリダン森林消防隊員の女性と少年の逃避行を描く人間ドラマ。少年の父が殺された理由はマクガフィンでやさぐれたアンジーと森林火災の恐ろしさを堪能すべしな1本。テイラーシェリダンだと鑑賞前のハードルが上がるしグロリアとか刑事ジョンブックとか既視感のある作劇がやや物足りなし。モンタナの目撃者
★★★★2020年/日本監督/大森立嗣未熟児だった自分のために両親は新興宗教に入った。それでも私は両親の側から離れない。思春期の女の子の繊細な感情を丁寧に掬い取る秀作。エキセントリックになりがちな題材を淡々とした筆致で描く演出がいい。主演の芦田愛菜が親思いの中学生を好演。頭にタオルは笑っちゃったよ。新興宗教の家族たちの日常。その滑稽さも含めて淡々と見せるところが作品の独特の味わいになっている。彼らの行動が滑稽であればあるほど、切なさ倍増。また、立ってるだけで十分に胡散臭い教団側の黒木華と高良健吾やイケメン教師の岡田将生といいキャスティングが抜群。星の子
★★★★2021年/日本監督/劇団ひとり芸に人生を賭けた師弟の物語が実に抑制的に描かれていて驚いた。カットバックを用いた時制の行き来やラストの長回しなど、映画的演出も上品でスムーズ。時代を掴む者と取り残される者という普遍的物語とあのビートたけしの売れない時代という個の物語としての魅力が見事に両立する秀作。とにかく柳楽優弥がすばらしい。モノマネ感が前傾に来ると、とてもじゃないけど見れなかったと思う。シャイだけど内には秘めるものがあって、毒もあるひとりの芸人としての実在感。クランクイン前に真似るのは一旦やめようと提言した劇団ひとりの判断は正しい。浅草キッド
★★★★2019年/日本監督/岩井澤健治声優坂本慎太郎に惹かれ、原作漫画はまるで知らずに鑑賞。ただただベースとドラムが鳴ってるだけでグルーブが生まれる。そのプリミティブな高揚感が独特のタッチと合間って、不思議な魅力を放つ。アニメ化には多大な時間と努力があったようだが、それを前面に出さない抜け具合もクールでいい。音楽
★★★★★大傑作。処方通りに服用して依存症になる患者の地獄、それを処方した医師の悔恨、虚偽のデータで莫大な富を築く一族の骨肉の争い。地を這うように捜査するDEAや地方検事。オピオイドの恐ろしさと巻き込まれる人々の重厚な人間ドラマにただただ圧倒された。マイケルキートンとケイトリンデヴァーは本作でゴールデングローブ賞にノミネート。しかし、それ以外のキャストもすばらしくて役者陣みんなベストアクトでは?というくらいの熱演。特に私はピーターサースガードを推したい。DOPESICK~アメリカを蝕むオピオイド危機~
★★★★2021年/アメリカ監督/マギー・ギレンホール単身避暑に来たレイダ。海辺での少女の迷子をきっかけに若かりし頃の子育ての記憶が呼び覚まされる。悔恨と懺悔の意識。乱れに乱れる心。タイトルにある「ロスト」が二重三重の伏線となり、母の役割とは母性とはを突きつける。知性と危うさが共存するオリビアコールマンが圧巻。ロスト・ドーター
★★★☆2020年/イギリス監督/エリザ・シュローダー3世代の女性が協力し合い洋菓子店を経営する人間ドラマ。とにかくノッティングヒルの街並みが絵になる。そして美味しそうな洋菓子の数々。祖母ミミが住む家も本当にステキ。移民の多い街ロンドンならではの展開と街、食、家の美しいショットの三拍子揃う良作。「ノッティングヒルの恋人」が好きな人はきっとこの映画も満足じゃないでしょうか。街も登場人物の1人のように大事な要素なんですよね。どこを切り取っても絵になる。数年前に訪れた時は残念なことに土砂降りで…。絶対リベンジしに行きたい。ノッティングヒルの洋菓子店
★★★★☆1991年。マドンナのVOGUEに始まりチャカカーンのI'mEVERYWOMANで終わる完璧な音楽構成。リアタイで聞いていた世代としてはクソミソに泣けた。エイズの蔓延、アクトアップ、人権問題。もがきながらも前に進む人物たちの成長譚。とにかく1話1話の内容が濃密!大感動。トランスが殺されても警察は1ミリも動かない。エイズへの偏見。商売を邪魔する白人。酷い仕打ちばかりが彼らを襲うが、それでも煌びやかなボールの世界で彼らは輝く。S1で感じた美しさを評価するのは現代にフィットしていないのでは?という違和感も見事に回収。すばらしすぎる。POSEシーズン2
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