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ハッピーアート https://blog.goo.ne.jp/nositen10/

簡単お絵かきソフトで遊びながら、しあわせにいて考えています。あなたもやってみませんか?

「のしてんてん」というタイトルで鉛筆絵画を描き続けています。 ずっと白黒の世界なので、パソコンでは色を使った抽象絵画を楽しんでいます。 楽しむことで癒しの空間が生まれればという思いで、 アートセラピーというサイト名をつけました。

のしてんてん
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住所
泉南市
出身
田辺市
ブログ村参加

2007/12/28

  • 五次元という考え方について(認識論)5

    のしてんてんとまらないカリントウキャンバスに鉛筆空間は認識できるのでしょうか空間それだけを考えてみてもつかみ取る手がかりはありませんね。空間は物があって初めて、その周辺にある空白を認識できるだけです。太陽や月が空に浮かんでいるのを見ても何の不思議も感じませんが自分が浮かんでいると考えると奇妙な感じがしますね。しかし今や私達は宇宙空間に飛び出し遊泳する人の姿を見ています。地上に立っているのも地球の引力に引き寄せられているだけだと科学が教えてくれるのです。そんな時代に私達の意識が変わらないのは何故なのでしょう。それはおそらく空間を認識する能力が十分に成長していないからだと思うのです。しかし空を知る手がかりがあるのです空の秘密が役立つことを願って書きます●五次元(新たな認識能力について)第五章空間の秘密(空間は...五次元という考え方について(認識論)5

  • 五次元という考え方について (認識論)4

    のしてんてんカスタードクリームキャンバスに鉛筆自分とは何でしょうかなぜ人は自分なのでしょうか生まれて死ぬまで私達は自分であり続けます自分から一歩も出ることはできないのはなぜなのでしょうそんな自分をちっぽけな存在と思ったことはありませんか宇宙の中のけし粒にも劣ると思ったことはありませんかそれが四次元思考の限界なのですでは五次元は●●五次元(新たな認識能力について)第四章五次元思考で見る自分の姿(自分と他分)自分という言葉から何がわかるのか、考えてみたい。言葉を解釈すると、自分とは自身の取り分(領地)ということになる。つまり全宇宙があって、その中で自身であると思われる部分のことである。すると、その他は自身ではない部分であり、これを他分と呼ぶことにしよう。すると宇宙は自分と他分によって成り立っていることになるだ...五次元という考え方について(認識論)4

  • 五次元という考え方について (認識論)3

    のしてんてん「孫のビスケット」キャンバスに鉛筆概念がなかったら誰も世界を思い浮かべることが出来ません私達が何気なく思い描いているこの世界もそれはただの光の海であってそこになんの意味も見いだせないのです赤ん坊の認識世界を覗いてみたらきっとそんな風に見えるでしょうそんな光の海に秩序を与えて意味あるものにするそれが概念なのです認識世界に目を向けてみるとその骨組みが見えてきます数えてみたら四本いえ、五本目がそこにある本当?五次元(新たな認識能力について)第三章.五次元の認識能力(五次元の検証)五次元とは、四次元(四つの概念)で認識する世界観に追加し得る、五番目の概念を示したものである。すなわち五つの概念によって認識される世界観のことである。この五番目の概念というのが、第一章ですでに述べた、大きさ(スケール)の概念...五次元という考え方について(認識論)3

  • 五次元という考え方について (認識論)2

    のしてんてん宝石ふうゼリー(キャンバスに鉛筆)思考世界はいくつかの柱で成り立っています。その柱がなかったら頭の中は見たままの光があるだけで見えるものの姿を何一つ形あるものとして理解できないでしょうそれは赤ちゃんの見ている世界と同じなのです成長するにつれて赤ちゃんの意識の中に認識の柱が建てられていきますその柱のことを概念と呼ぶと・・・五次元(新たな認識能力)について2、これまでの認識のかたち(認識=感覚+知覚)認識とは意識の中に世界を思い描く働きをする。その認識は五感による感覚から始まる。認識の世界はそこから広がっていくのであるが、それは知覚の働きなのである。知覚とは知識の母体ともいえるのだが、生まれて間もない赤ちゃんにはない。五感に頼る赤ちゃんが、体験と育みに包まれて知を芽生えさせる。その知は「何?」とい...五次元という考え方について(認識論)2

  • 五次元という考え方について (認識論)1

    のしてんてん甘すぎるかりんとう(キャンバスに鉛筆)今回から9回に分けて、私の認識論「五次元(新たな認識能力)について」を掲載いたします。これは私が五次元を提唱するに至った経過を、認識論としての可否を問う意味で書いたものです。もしこの認識が正しいのなら、人間は四次元の世界観をひっくり返すような世界観を常態化する可能性を持っていると言えるのです。ぜひその可否を考えてみていただきたいのです。五次元(新たな認識能力)について1、スケールの概念発見の発端大きさとは何だろう。ふと疑問に思ったことがある。それは湯船に浮かんでいる自分の体を眺めた時だった。大きな浴槽に自分の体がずいぶん小さく感じられた。足を折らなければ入れない家風呂と違うのは当たり前のことなのだが、なぜこんな風に違うのかと思ったのである。しかし私が驚いた...五次元という考え方について(認識論)1

  • 瞑想と悟りの形(五次元思考)

    瞑想とは何か。言うまでもなくそれは己との出会いである。その己とは何なのかが分からない。分かったようで分からないのだ。問うまでもない自明のことだと思う人は試しに自分の身体だけに絞って考えてみてほしい。自分と、自分でない部分を貴方はどうして知ることが出来るだろう。この身体、皮膚から向こうは何もないだから皮膚の向こうの空間は私ではないのだというかもしれないしかし空間がなかったら私は存在しない。呼吸に意識を向けたらどうだろう何もない空間にガスを吐き出し何もない空間から空気を吸い込む貴方はこのシステムのどこで自他の線引きをする?そこには論理的に説明できない何かが存在しているのだ。つまり瞑想とは論理にとらわれないで意識を拡げ可能な限り自分という存在の境界線を探っていくことなのだ。直感によって出逢う自分という領域をただ...瞑想と悟りの形(五次元思考)

  • 四人展つづき

    二階の私の展示を正面から見たもので、↑解説文はこの通り↓五次元龍の製作過程の部分をそのまま展示した。ここから階段を下りて1階に向かう↓五次元龍と空間絵画のつなぎはこんな感じです一階の私のコーナー↓五次元龍と空間絵画のつなぎに孫の菓子の絵をのせてみたかりんとう、ビスコ、カスタードケーキ、果物入りゼリー↑間﨑・奥野↑北籔・花房↑奥野↑間﨑↑花房↑全体の様子↑そして喫茶スペース↑ピアノに乗せた、辿・伝・転・点の種明かし↑画像では読めません。雰囲気だけで・・・申し訳ありませんこれは花房の新作↑転故の新しい挑戦間﨑の点は筆先のこちら側にあり↑奥野の辿は何といっても桜とともにある↑北籔の伝は相変わらずです絵本「きみのからだは運動会」はまたいずれ公開しようと思います四人展つづき

  • 辿・伝・展・展 四人展 15日~26日 オープンしました

    ↑展覧会がオープンしました。蔵つくりの2階スペース四人がぎゅうぎゅう詰め↑後ろを振り返ると階段手すりの向こうに私(北籔)の空間絵画右に1階会場が見えます。その奥に見えるのが(北籔)龍の絵の部分展示われは空、誰もが持っている五次元の認識能力を伝えたいのです↑(奥野)が日本全国を桜とともに北上して辿り着く春にふさわしい写真集↑左(花房)の通称バベルの塔蜜月の作風が転じて新たな挑戦に臨むのです右(間﨑)の克明に描いた風景は点のような風景が積み重ねられて、己もまた風景の中の点となって描き進めるのです1階の紹介は明日に持ち越します辿・伝・展・展四人展15日~26日オープンしました

  • 四人展、本日飾り付け

    飾り付けの予定日が一日早まった関係で、土日が天手古舞でした。ギリギリまで新作の予定を入れていたのが、一日違いで仕上げまで至らずやむなく古い作品を引っ張り出してくる羽目になりました。(言い訳しない!)駆け付けた展覧会場にはもうすでに飾り付けが始まっており、私は最後になって、床を見ながら入り口を通ったのです皆はサクサクと作品を飾り付け、キャプションも貼り終えたというのに私はついにギブアップオープン当日早めに出てキャプションを貼っていくということで許してもらいました。実のところ時間が足らず、そこまで用意できていなかったので、それはばれずに済んだと内心ほっとしました。そんなわけで会場の様子を写真に収めるひまもなく、後日ゆっくりしたら紹介いたします。ではでは皆さま、しばしお待ちください。四人展、本日飾り付け

  • 第三の自我 気の流れ(意識する力)

    カンフーの気の遣い方は私にはいまだ新鮮だそれは今までの私のアプローチからは真逆の立ち位置にあるからだと最近思うようになった。何が違うのか書こう:五次元は思考から始まった。思考が宇宙と己の存在を明らかにするすると、様々な思いすべての思考を成り立たせるためには空間の存在がなくてはならないことが分かってきた。物理学もそうだつまりその先になって初めて、気の存在が具体的な形で思考に現れてくるのである。ところがカンフーはその気が真っ先に取り上げられて、身体に現れる実感を自分と受け止めるのであるそれは思考ではなく、体験なのだ。気の体験が論理を上回るのは容易にわかる私にとって幸運だったのは思考の探求が、空にたどり着いたためかどうかは分からないが、苦悩に堕ちない状態が久しく続く。その後で、カンフーに巡り合ったということだ。...第三の自我気の流れ(意識する力)

  • 辿・伝・転・点 四人展

    二月も終わりですねいかがお過ごしですかこのたび、故あって四人展を開催する運びとなりました。辿・伝・転・点四人展のご案内です。辿・伝・転・点とは展をテーマにして各自が一文字で自己紹介したらどうなる?というノリでできたものです点を中心に据えて辿=中高=点伝=職場=点転=大学=点という関係が成り立ちますさてさて辿・伝・転・点はそれぞれ、どの作者と結びつくのかはたまたその故とは何かそれは会場で明らかになります。辿・伝・転・点四人展

  • 第三の自我 あるカンフー達人との対話 (実践)

    9枚作品中、下段右4枚の途中経過第三の自我を意識し始めて2か月を超えたが、苦に堕ちないという現象は今も続いている。それは一つには、偶然に巡り合ったあるカンフーの達人との対話に負うことが大きい。私たちは核心をついて急激に近づいた。不思議だが、他人と話すときの壁がないのだ。だから無駄話がない。パソコンがダウンして2週間とんでしまったのだが、この間に彼は三度びアトリエにやて来たカンフーを伝授しようというのである。「殺法には興味ありません」私が言うと「気の鍛錬に有効なのです」と彼は返した。もちろん私は、それを強く感じていたので、彼の話から気との付き合い方を掴みたいと思っていた。彼が来たのは、そのことを見越してのことだとすぐに分かった。私が欲しかったものを、彼は核心をたがわず持ってきてくれたのだ心と身体の関係気の流...第三の自我あるカンフー達人との対話(実践)

  • 皆様にお詫びと近況報告

    皆様へ悪いことは重なるというか、パソコンのことです。使い慣れたものが古くなって、ダウンしたら使おうと二台目のパソコンを用意していたのですが、予想通りの事態が起こって二台目に切り替えて使っていましたところ、二週間足らずの、前回記事を投稿し終えた直後にその二台目もダウンしたのです。で、やっと今日、新しいものがやってきて、何とかネットだけは使えるようになりました。画像も記事データーもありません。ついこの前までの私なら、手足をもがれたような喪失感と断腸の思いで嘆いていたかもしれませんが、今の私は、何もないことにワクワクしています。本来の自分に豊かな遊びがあると気づいたのです。明らかに五次元・真我=大日如来=宇宙語というような心のつながりが私を変えました。そんな確信を与えてくれるトラブルです。前のデーターがどこまで...皆様にお詫びと近況報告

  • 第三の自我 あるカンフー達人との対談(空海との対比)

    図は空海の心の世界(十住心)と五次元の世界を描いたもの上の図を作成した経緯は、先のカンフー対談の後日談にある。あの日私は新しくできた五次元を説明する図を、分かれる間際に手渡したのだった。(下図)その一週間後だった。彼がこの図の感想を持ってやって来たのだ、そして私に問うた。①ジュウジュウシンを知っていますか?聞いたことがありません。何ですかそれは?私は興味を持って問い返した。②あの図を読ませてもらって、同じイメージの教えを思い出したのです。十住心は空海が悟りに向かう心の発達を十段階にまとめたもので、真言密教の教えの重要な柱の一つです。悟りの段階を表した十牛図というのは知っていますが、同じようなものですか?中国の禅僧の作と言われる十牛図は、五次元追究のバロメーターであった。⓷もっと心を宇宙的にとらえたものです...第三の自我あるカンフー達人との対談(空海との対比)

  • 第三の自我 (あるカンフー達人との対談)

    2023年邂逅展展示風景長年使ってきたpcが突然動かなくなってこれまで積みあげてきたデーターが全て消えてしまいました。とても不便になりましたが、今出来ることを駆使して記事を続けます。いつかこうなると思って、代替のものを用意していたのですが、つい使い勝手が良い古いものを使い続けていて、後の祭りとはこのことですね。ところで、第三の自我についての話で、つい先日、あるカンフーを修行している達人が訪ねてこられて「気」について話し合う機会を得ました。彼と深く語り合うようになったのは、ある日私が、カンフーの動きを見せてほしいと話しかけた時からでした。その時彼は、基本だけをと言って私の1m前で向き合い、気が付いたら私は一瞬で彼にからめとられていたのです。私の目に入ったのは、彼の両手が円を描き、私の腕をはねのけていく一瞬の...第三の自我(あるカンフー達人との対談)

  • 第三の自我 体験記(五次元思考)

    第三の自我発見と言うたいそうな表題を冠した前回記事の手前、私の体験を書かずにはおれないでしょう。と言うのも、まだ私にはその資格があるようなのだ。苦に陥らないという状況がまだ続いているのである。と言っても数日前、大きな苦のエネルギーが現われたことがある。どんな苦なのかと言う、私のプライバシーに触れるつもりはないが、ともすれば自己否定の伴う苦の、救いがたい闇が私に現われたのである。今までなら決まって、その苦にまみれて胸の痛みと石牢に閉じ込められたような窒息感におののいていた。その苦が過ぎ去るまで耐えるしかなかった。つまりそれを私は苦に堕ちると表現しているのだ。だが、うれしいことに、その苦は私にとって極めて客観的に思われた。五次元のイメージが私を救ってくれているのが分かった。私にやって来ている苦は表題の図の「哀...第三の自我体験記(五次元思考)

  • 第三の自我の発見 (五次元思考)

    前回の記事に引き続いて、私が体験中である第三の自我について書いてみよう。まだなかなか言葉がこなれなくて分かりにくいかもしれませんが、この発見に興味ある方は、しばらくお付き合いください。前回書いたように、私は今、苦に陥らない心もちが続いている。その記録がそれから一週間伸びたことになる。なぜそうなるのかよく分からないという意味のことを前回に書いたがこれからお話しする第三の自我を考えていたら、なんとなく分かってきた。順番に論理を重ねて行って、出来るだけ理解してもらえるように努力をしてみようと思う。回りくどいと思われる方は、どうかご容赦下さい。大まかに言って、自我に対する認識が成長していく流れは次のとおりである。①、、生まれる。まだ自分に気付かないで生きている時期・・・・・・・・・・第一の自我②、、自我の目覚めを...第三の自我の発見(五次元思考)

  • 第三の自我 (五次元思考)

    第三の自我は存在する長年にわたる心の探求が突然のように一つの区切りに達した。それが自分にとって正しいのかどうかの検証を続けて来たが、どうやら、単なる思い付きではないらしい。その日達した充足した感覚がすでに30日以上続いている苦にまみれる心もちに堕ちて行かないのだ。今までの私自身の経験では、何度も悟りに達したと思う瞬間はあったが、その至福感が3日続くことはなかった。まるで賽の河原の童のように積み上げたと思ったらその刹那には鬼がやってきて石の塔は蹴倒されるのである。実際私は得たと思う喜びが跡形もなく消え去る経験を何度も繰り返す度に賽の河原を思い浮かべたものだ。この幾たびもの同じ経験が、私に次のような諦観を生み出したのだ。たとえ自分の心が、悟りによって苦に堕ちて行かない境地に一時的に立ってもそれは単なる偶然であ...第三の自我(五次元思考)

  • 2023年 謹賀新年

    2023年あけましておめでとうございます皆様にとって本年もよき年でありますようお祈り申し上げますコロナも戦争も終息しますように新年早々展覧会が続きます①毎年恒例の邂逅展奈良、アートスペース上三条でのグループ展2023年1月3日~1月8日これはちょっと変わった展覧会です。18名の作家が、同じ会場で同時に個展を開くというスタイル各自が自分の個展の案内状を作り発送することとし、邂逅展と言う全体の催しについての案内はしない。展示は各自の判断で飾り付けをする。協調性を問わないということで、のびのび自分のスタイルを表現するユニークな個展集団展覧会です私の展示は、6年計画で進行中の組作品(S30号×9枚組×3セット)の途中経過を見てもらう展覧会です。作品を完成させることが目標ですが、そこに至る心の流れこそ芸術だという想...2023年謹賀新年

  • 大阪泉州でも雪だるまができました

    クリスマス前に大雪は観測史上初めてかも知れないという降雪車上2センチあまり。さっそく作った雪だるま家族孫には大うけだった。と言うより絵より夢中になった雪遊びだった。豪雪地方の皆様には申し訳ないことですが歳をわすれました。たまたまだったのかも知れないが五次元思考で心の次元が上がった実感があって同時になんだか子供心が復活してきたようなのだ。いろんな事が新鮮に見えるしウキウキ感が至る所から出てくる雪が降ってもそうだった。朝目覚めたら一面真っ白だった。実際にはアスファルトの道に雪は無かったのだが意識の方が真新しい風景に心を躍らせた感じだ。何のためらいもなく雪に触れるのがうれしかった。キャンバスに向かう時も同じでただ線を引くことがうれしい。うれしさがつながって気が付いたら絵が出来ている。今日、新しいイメージの絵も生...大阪泉州でも雪だるまができました

  • 具体展観てきました

    「具体」解散50年で2館合同展大阪中之島と国立国際具体美術協会が1972年に解散してちょうど50年になるそれを記念した大規模な回顧展が行われている。大阪の真ん中にある国立国際美術館と大阪中之島美術館の2館が開催する合同展である。具体の仕事を2歳の孫にも見せたくて、家内と連れ立ったのだが、よかった。私が具体を初めて観たのは、大阪万博の会場だった。そこには今まで見たことの無い泡の彫刻があった。様々な容器の口から泡がどんどん押し出されて来る。中学を卒業して大阪に出てきた私には衝撃的な風景だった。その風景は、後に絵を志して師と巡り合うまで記憶にとどまっていた。師(松田豐)に巡り合って、具体を知り、そこで初めて、私は泡の記憶と結びついたのだ。あの泡は師と仰ぐ先生の属していた具体だったのだ。あの時、驚き魅了された、作...具体展観てきました

  • ジイジと北斗連載終了にあたって 五次元世界について考える

    半年の間、「ジイジと北斗」を連載してまいりましたが、いかがでしたでしょうかスケール号が活躍する舞台は五次元思考によって認識される宇宙空間です。その世界観は、物語の中でもありますように、スケールの世界を想像しながら観る宇宙の姿なのです。しかしもちろん、その実在の真偽を語っているのではありません。真偽を言いだせば、分からないというほかはありません。突き詰めて言えば、科学に基づく認識世界でさえ、その真偽は分かりません。ニュートンの万有引力を例にとるまでもなく、科学が真とすることは、今の知識と現実との適応を考えて、とりあえず真であるらしいという程度の意味なのです。実際それが我々人間の持つ認識の限界であり宿命なのですから、いかんともしがたい訳ですね。つまり、逆に言うと私達は世界に対する認識の真偽を問うても無駄だし、...ジイジと北斗連載終了にあたって五次元世界について考える

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)47

    (31)バリオンの王宮では、スケール号とお別れの大宴会が催されていました。いまさらですがバリオンの王様はどうやら派手好みのようです。それは歓迎パーティの比ではありませんでした。国中がお祝いムードのお祭りです。巨大な天空のドームの下に設けられた、円形の舞台では様々な種類の楽団が明るい音楽を披露し、華やかな衣装を身に着けた舞踊集団が競うように踊りだしました。鳴りものの音が絶えず、盆踊りのような国民ダンスが三日三晩続いたのです。外では見たことの無いパフォーマンスや光の祭典がもこりん達を夢中にさせましたし、テーブルに並べられた毎回の料理は日毎ぐうすかの眠りを妨げました。「王様、ありがとうございました。おかげでのぞみ赤ちゃんの憂いは消えました。一刻も早くその健やかな姿を見たいと思いますので、出発いたします。」「そう...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)47

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)46

    (30)「王様、よくご無事で。」「おおフェルミン、お前こそ。」「フェルミン、無事で本当によかった。」フェルミンは喜びとともに王のもとに帰りました。父母に抱かれると、フェルミンがまだ少女だったことが分かります。バリオンの王様とタウ将軍、そしてスケール号の面々、エルも並び立って喜びの意を伝えあいました。フェルミンにはスケール号の面々は初めてでした。黄金の猫がスケール号という宇宙船だと知ったのもつい今しがたでした。そのスケール号はすっかりフェルミンになついてしまって離れません。足元にすり寄ってはだっこをせがむのです。この猫の中にこの人たちがいて、宇宙を旅しているなんてとても信じがたいことでした。フェルミンはもう一度足元からスケール号をすくい上げて抱いてやると、スケール号はぺろぺろとフェルミンの顔を舐めるのです。...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)46

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)45

    (29)「緑の穴」の周辺が大火に見舞われたのは、黒旗を掲げる反乱軍が突然現れたその夜のことでした。ダニールの指揮によって烏合の衆と思われていた反乱軍が強固な軍に変りました。「緑の穴」は天然の要害で、洞窟はどこまで広いのか分からない鍾乳洞でした。奥に逃げられたら長期戦を覚悟しなければなりません。ダニールは中で戦うことを諦め、あぶり出し作戦をとったのです。全員に油を持たせ、穴を取り囲むように木の幹や枯れ柴が山のように積もっている場所など、至る所に油をしみこませて行きました。そして一斉に火を放ったのです。瞬く間に森は火の海になりました。煙の匂いと木のはじける音を見張りの兵が気付いたときには、もう辺りは火の海になっていました。洞窟に煙が流れ込んできてこのままでは全員窒息死かと思われました。洞窟の中は大騒ぎです。統...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)45

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)44

    (28)白い剣士が黒龍の頭上に現われ、剣を頭に突き刺しました。龍は身体を痙攣させて湖に沈んだのです。「ちくしょう!」一部始終を見ていたチュウスケは思わず叫んで黒い槍を全弾スケール号に向けて発射しました。槍は空中に網の目のように拡がりスケール号を包み込むように襲いかかりました。逃げ場がないのです。「博士!チュウスケの攻撃です。空いっぱいに槍が飛んでくるでヤす!!」「ついに来たか。艦長、身体を小さくして槍を避けるぞ。王様、ビーム砲の準備を!」ところがスケール号が動かないのです。「スケール号をもっと小さくするのだ、ハエのように。艦長!・・艦長??」「博士、艦長は寝ているでヤす!」「艦長が起きないダすよ。」艦長は揺りかごの中でスヤスヤ寝息を立てているのです。もこりんがほっぺたをつんつんしても起きません。ぐっすり寝...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)44

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)43

    (47)-2黒龍が悲鳴とも雄たけびともつかない声を響かせてそのまま大空に舞い上がったのです。女の子の剣は黒龍の首筋にあるウロコの隙間に食い込み、剣もろとも空に舞い上がりました。黒龍の首は女の子が三人がかりで一周できるほどの大きさで、上空に舞い上がった姿は、手足の生えた大蛇そのものだったのです。風に逆らいながら女の子は大蛇のたてがみをわしづかみにして身を立て直し、剣を再び黒龍の首に突き立てました。黒龍は真っ赤な口を開けて火を吐き、暴れまわって女の子を振り落とそうと空をうねるのです。ところが女の子は龍のたてがみを手綱にして、暴れ馬を制するように身をこなし、龍の首に第三の太刀を深々と首に突き刺しました。「ぐぐぐおーー」黒龍は突然頭を下にして急降下を始めました。そして一直線に頭から湖に突っ込んでいったのです。大き...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)43

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)42

    (27)-1「親分、あれは本当にスケール号ですかねポンポン」「スケール号は銀色だったはずカウカウ?」「色が違っても、あんな芸当が出来るのはスケール号しかいないだチュ。」「親分の槍で確かに仕留めたポン。どうして生きているのだポンポン?」「ええい、うるさいだチュ。あ奴は生きているだチュ。前にいる黒猫はスケール号だチュうのだ。忌々しい奴だ。」「親分、スケール号は何処に行くつもりですカウね?」「魔法の芯に決まってるだチュ。バカかお前たちは!」「その前にポン、今度こそやっつけましょうポンポン。」「ポンポンうるさいだチュ。たまには悪知慧でも働かせてみろチュウのだ。」「へいポンポン。」「悪知恵ならカウカウ、任せて親分、カ,カ,カ,カ,カウカウ。」「まったく、お前達はわたチュの最大の失敗作だチュ!」どうしたわけか、心がざ...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)42

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)41

    (26)タウ将軍がストレンジの王に謁見を求めたのはチュウスケの山焼きが始められてからでした。森を這う火の龍を発見した時、タウ将軍がついに動き出したのです。バリオン軍の総司令官として、タウ将軍はすぐにでも軍を動かし、反乱軍を打つべしと考えていました。しかしバリオンの王様はストレンジの姫の救出を優先させ、あろうことか、本人自らその救出作戦に参加しているのです。王のやり方は、軍人からすれば理解しがたいというべきでしょう。地上に配備したバリオン軍をどう使うのか。上空の兵をいつまで待機させるのか。先を見通すのは司令官として当然の使命でもありました。しかしいつまでも王からの封印が解けない軍杖を握りしめてタウ将軍はいら立っていたのです。そんな時異変が起こりました。ストレンジの森に生じたかすかな赤い点、その赤い点がじわじ...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)41

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)40

    (25)-2「私を好きにしたらいいでしょう!」そこまで言うとフェルミンは動物たちの背に寄り掛かるように崩れ落ちました。ダニールはフェルミンの姿を見ると、振り上げた剣を納め、足を引きずりながら部屋を出て行ったのです。「お願い、エルのところに連れて行って・・」動物たちは静かにフェルミンの身体を運んでいきました。「エル、大丈夫?」「なに、たいしたことはない。わき腹をやられただけだ。それより姫様の方が心配だ。長い間助けにこれずに済まなかった。」「私はもうだめかもしれない。エル、私が堕ちたら、あなたが私を殺すのよ。」「馬鹿なことを言わないでくれ、フェルミン。どんなことをしても俺が助ける。」「もうあなたの手には届かないの。」「死ぬなんてことを言うな。姫様はこの国を背負って生きるお人だ。簡単に死ぬなんて言うな。」「エル...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)40

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)39

    (25)-1カキーン、カキーン、カキーン剣の打ち合う音がくすんで汚された迎賓の間に響いています。一人は頭巾を肩に垂らした黒ずくめの男で、もう一人は衛兵の軍服を着た男でした。黒ずくめの男は流れるように剣を使い、あたかも鳥が舞うように見えました。一方軍服の男はまっすぐ敵の急所を突いていく剣なのです。柔と剛、二人を眺めれば虎と燕が戯れているようにも見えるのです。エルとダニール、二人はともに親衛隊の同期で、良きライバルでした。共に山野を駆け巡り腕を磨きました。戦い方は対照的でした。ダニールは、風と地を知り、機を見て剣の動きに逆らわない剣法を編み出し、エルは目前の敵を一気に断ち切る気力を鍛えました。二人はすべての面で拮抗した力を持っていたのです。二人の間でたった一つ違ったものがありました。それはエルが親衛隊長の息子...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)39

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)38

    (24)黒いスケール号がフェルミンの額に止ると本当のハエのように見えました。ところがスケール号の窓から眺めるフェルミンの姿は大きな丘に見えるのです。のぞみ赤ちゃんの額に止ったときは何もない湿地のような平原に見えましたのに、フェルミンの額は乾燥地帯でした。地面はひび割れ、枯れた泉が点在するばかりでした。スケール号はその枯れた泉の水脈をたどりながら縮小を続けていきました。「どうだ、チュウスケはついてきているか。」スケール号のモニターには自分の位置を示す緑の点が画面の中心で点滅いていました。そこから離れて点滅するもう一つの点が赤く光っていました。それがチュウスケの位置を示しているのです。スケール号がチュウスケの鼻を蹴とばして飛び立ったとき、チュウスケの鼻頭に目に見えない小さな発信機を注入していたのです。「はい、...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)38

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)37

    (23)-2「やめなさい。」フェルミンの叫んだ口をふさぐようにダニールの手が素早く動きました。丸薬を押し込んだままその手がフェルミンの口を押さえつけてしまったのです。もがく身体を数人がベンチに抑え込みました。やがて抵抗する力が消えました。押さえつける手が緩んだ瞬間、フェルミンは手を跳ね上げて立ち上がったのです。そして丸薬を吐き出しました。しかし出てきたのは黒ずんだ唾液だけでした。「チュはは、もう遅い。これでお前の身体はわたチュの黒に染まっていくだチュ。」「フェルミン、私のもとに来るのだ。」「馬鹿なことを言わないで。」フェルミンは口から垂れた黒い液を腕で拭いながらダニールを睨みつけました。その時でした、床の絨毯が山のように盛り上がったのです。その山が破裂して黒猫が飛び出してきました。そしてエルが姿を見せまし...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)37

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)36

    (23)-1豊かな森をイメージさせる彫りもので埋め尽くされた豪華なベッドがありました。中天に黄金色の太陽を模した天蓋が付けられ、白いレースのカーテンがベッドを覆っていました。別の部屋には落ち着いた色調の調度品がおかれ、花柄の絨毯が敷き詰められています。壁には暖炉があって、その上にアーチ状の飾り鏡がはめ込まれているのです。テーブルとソファーはそれだけで和やかな会話が交わされているように見えました。そんな迎賓の間は廊下を挟んで12室ありました。四季ごとに招く来賓をもてなすために設けられた部屋なのです。ところがその中の一室が、今まで焚かれたことのない香が立ち込めていたのです。香というべきか、爪を焼くような、硫黄とも腐臭ともつかない臭気なのです。テーブルやソファーは部屋の隅に押しやられ、煤のこびりついた鍋と、かま...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)36

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)35

    (22)「待ってくれ、今はまずい。」エルがきっぱり言いました。「どうしてだ。」博士の余裕のない声です。「猫で見つかったら、猫のままでいいのです。猫のままで切り抜けましょう。大きさで逃げるのは最後の最後です。」ここで大きさを変えて逃げるのは簡単ですが、それでは隠密の意味がないというのです。このことがネズミに知られたら、姫様が危険だ。エルはそう言って、博士の考えに反対したのでした。何ものかに攻撃を受けていると感づかれたら、そうでなくても、何かおかしいと思われるだけでネズミがどんな手に出るか分からない。すべて思い通りに進んでいると思わせなければ、ずるがしこい奴のことだ、姫様を亡き者にして暴走を始めるかも知れないのです。今のところ、姫様は大丈夫。ネズミの欲しいものを何も与えていない。だから殺さないし、やみくもに森...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)35

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)34

    (21)「そっちに行ったぞ!」「右だ!」「左だ!」歓声の中、金色の猫が宮殿から中庭に飛び出してきました。ところが広場は騒ぎを聞きつけた兵士で埋まっていたのです。逃げ場を求めて突進する猫の道が盾でふさがれ、進路を変えると、そこにも盾が現れます。猫はいつの間にか盾の壁に追い込まれていったのです。兵士たちは楽しむように猫を追い詰めていきました。その輪の中に網を投げ込む者がいました。二投、三投と猫は辛うじて網から抜け出しました。そのたびに兵士たちがゲームを見るように歓声を上げるのです。そして四投目の網が覆いかぶさってきたとき、猫の足が地面に落ちている網に引っかかってしまいました。無慈悲にも猫は網に捕らえられたのです。バカ騒ぎする兵士の輪の中で動けなくなった猫が悲鳴を上げました。その時だったのです。ふいに黒いものが...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)34

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)33

    (20)フェルミンは元気で朗らかな、優しい子供でした。野原を駆けまわるのが大好きで、王宮にある森に興味を持って、ふと気付いた不思議があると、それを探ろうとどこへでも探検する活発な子だったのです。野外の空気はどこまで行っても広く、清らかに感じられました。不思議なのはいつも、フェルミンが遊んでいると森の動物たちが集まってくることでした。フェルミンが森で迷子になっている時も、必ず動物たちが助けてくれたのです。それというのも。フェルミンは動物と話が出来たのです。どうして話せるようになったのか自分でも分かりませんが、幼いころから宮殿の森で動物たちと過ごすうちに言葉を覚えたのでした。大きくなって、誰も動物と話せないということを知ったときの驚きをフェルミンは忘れません。森の中には新しいことがたくさんありました。空を飛ぶ...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)33

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)32

    (19)-2それにしても、バリオン星は確かに強大な力を持っていました。チュウスケ自らがバリオンから発射された黄金の槍の餌食になって大けがをしたばかりなのです。それは見たこともない武器でした。いかにストレンジの軍を掌握して軍備を整えてもストレンジには勝てない。それはチュウスケにも分かっていました。けれども、いかに強大な軍隊であっても、内に潜り込めばチュウスケの思うつぼです。ストレンジ軍を手に入れて攻め入れば、たとえ勝てなくてもバリオンに潜り込める。そう考えていました。チュウスケにとって、軍はしょせん道具に過ぎないのです。仮に王軍が勢力を盛り返して来たのなら、それはそれで好都合。餌をなくしたわが軍が大喜びするだろう。怒りをどこまでも膨らませてやらねばならないとチュウスケは考えるのでした。「親分、兵士たちは戦う...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)32

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)31

    (19)ー1ストレンジの王宮はまるで廃墟のようなたたずまいになっていました。壁が崩れても、石畳に兵士の屍骸が転がっていても、誰もかまうものはいないのです。機能的に、通行の邪魔になるものだけが取り除かれ、それ以外の場所にはたくさんの戦死者が鎧兜や折れた武器などと共に転がっていました。悪臭が立ち込め、尋常の者なら一刻も耐えがたいでしょう、空気が腐っているのです。反乱軍の兵士は怒りで心が潰され、この地獄のような宮殿を顧みるゆとりもないのでしょう。ありていに言えば生きるしかばねのようになって、通路の辻々に立っているのです。侵入者を見つければ見境なく攻撃する操り人形のようになっていました。誰でも腹が立って、つい何かにあたってしまうという経験はあるでしょう。ところがその度を越えた怒りが次々と湧きあがってくると、心は砕...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)31

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)30

    (18)ストレンジ王メイソンは白髪の老人でした。かりそめの王座に座った王は、苦渋に満ちた顔をしていました。憔悴した姿は今にも崩れ落ちそうに見えるのです。無理にベッドから身を起してきたのでしょう。傍らには心配そうにたたずむ后の姿がありました。「ストレンジの王、メイソンよ、どうかベッドに身を横たえて、御身を御自愛下され。私がそちらに参りましょうぞ。」「王様、バリオンの王様から御慈悲のお言葉を頂きましたよ。」「ならぬ。お前は奥に控えているのじゃ。」メイソンは胸を張って、バリオン王とその随員に目を向けました。「バリオン様、よくぞこのようなところにお越しいただけました。見苦しいところをお見せ申して面目もございませぬ。衰弱ゆえ声もままなりませぬ。どうか近こうお寄りくだされ。」バリオンの王様は、厳かに一礼して王座に対面...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)30

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)29

    (17)-2「頑張って。大丈夫、今助けてあげるからね。」「どなたか知らぬが、この矢は抜けぬ。」白鹿は苦痛に耐えながら言いました。「大丈夫ダす。ぴょんたはお医者さんダす。しっかりするダすよ。」「少し痛いけど、我慢して。」そう言ってぴょんたは刺さった矢を一気に引き抜きました。「クオーッツ」矢は三本、ぴょんたは手際よくその傷口に薬をぬって万能絆創膏を貼っていきました。「キッキー、キッキー」サルがやってきてしきりに白鹿の背中を指さします。「反対側にも矢が刺さっていると言ってるでヤす。」「みんなで体を返すのダすよ。」ぐうすかが言うと大きな動物たちが集まってきました。「白鹿さん、頑張って寝返りしようね。」「すまない。」白鹿は力を振り絞って首をもたげ、身を起そうとしました。動物たちが手を差し伸べ、頭でわき腹を押しあげよ...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)29

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)28

    (17)-1キイキイ、キャッキャッ、コロコロ、ジャングルの夜はこんなに賑やかなのかと思うくらい動物たちの鳴き声が聞こえます。「この星は豊かなのですね。たくさんの動物がいる。」博士が王様の方を見て言いました。「ストレンジは水が豊かなのだ。甘い河、苦い河、いろいろあって動物たちは好みの水によって棲み分けが出来ている。確かに動物の種類は多いかも知れぬ。」ギャーギャー、キーッツ、クオーツ、「でもなんだか悲しそうでヤすよ。」「泣いているのダす。悲しいことがあるのダすよ。」キーッツ!キーッツ!!ギャー、ギャー、ギャー、「確かにおかしいです。助けを呼んでいる鳴き声です。ぐうすかの言うように、泣いているものもいます。何かあったんだ。」ぴょんたが耳を立てて不安そうに言いました。「艦長、動物たちの鳴き声のする場所を探せないか...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)28

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)27

    (16)-2そのスケール号の中で、ストレンジ星の反乱軍討伐の作戦が話し合われたのでした。一つ、タウ将軍はバリオン軍を率いてストレンジを目指し、大気圏外に結集して反乱軍の動きをけん制する事。しかしそれは簡単に決まったわけではありません。大気圏に突入して一気に反乱軍を壊滅させるというタウ将軍の強硬策と王様の考えが真っ向から対立したのです。二人は共に譲らず決着がつきませんでした。そこで博士が代案を出して仲裁しました。それはスケール号が作戦に参加するという提案でした。王様の作戦を軍から切り離すためにスケール号が王様と共に行動するという提案が、ようやく二人の合意を生みだしたのです。王様の作戦はまずストレンジの王軍と合流し、姫君の救出を優先させ、チュウスケの魔法を解く方法を探る。というものでした。それは軍の行動を遅ら...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)27

  • jジイジと北斗(新スケール号の冒険)26

    (16)-1「ゴロニャーン」バリオン星の王宮から金色の猫が鳴き声と共に飛び立ちました。前足で空をかき、後ろ足を大きく蹴りだすと猫は軽々と空中を走り続けるのです。王宮の前庭に集まった民衆が手を振っています。そびえ立つ物見の塔を巻き込むようにスケール号が上昇すると、物見台にはバリオン王国の主なる重臣たちが幾重にも並んでいるのが見えます。スケール号が正面にやってくると、皆が一斉に右手を左肩に置いて出陣の敬礼をしました。スケール号はくるりと宙返りをしてそのまま空高く舞い上がったのです。一方、バリオンの軍船が隊列を組んで飛び立ちました。空をおおうように浮かぶ巨大な猫が反乱軍に攻撃されました。その猫を救うべく王様が発射した黄金の槍の一撃で反乱軍の艦隊は壊滅。かろうじて残った船はほうほうの体で逃げ帰ったのでしょう。その...jジイジと北斗(新スケール号の冒険)26

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)25

    15-2「王様、この子を抱いてやってもらえないでしょうか。」博士は唐突に話を変えて、北斗艦長を差し出しました。それに釣られたように王様は北斗艦長の小さな体を抱き取りました。そしてそっと顔を近づけたのです。「良い香りだ。北斗と申したの。」「はい、」「ハヴパブ」バリオン王の腕の中で北斗艦長は右手をまっすぐ伸ばして自分の握りこぶしを見つめていました。「まるで剣を持った勇者のようだの。」王様は笑いながら言いました。「その子が教えてくれたのです王様。ここには宇宙語がないと。」「また奇妙なことを。先ほどから云っておるな、宇宙語とは何のことだ。」「言葉が生まれる前の言葉なのです。その子はまだ言葉を知りません。ですが元気に生きております。ここ数日だけでも随分重くなりました。」「一体何を言いたいのだ。」王様は苛立って博士を...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)25

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)24

    (15)-1「反乱軍の話しを詳しく聴かせて頂けませんか、王様。」博士は北斗艦長を抱きながら顔を王様の方に向けました。「なぜそんなことを聴くのだ。そなたたちの目的が今だこちらには分からぬのだぞ。」「申し訳ありません、王様。」博士ははやる心を詫びてから話を続けました。「この子がスケール号の艦長、北斗と申します。まだ小さい故、御無礼はおゆるし下さい。」「その子がこの猫の艦長とな。」王様は抱いている猫と北斗を見比べながらつぶやきました。「ごろごろごろ」スケール号は喉を鳴らしています。「ぱふぱふうっキャー」「機嫌がよさそうだの。」「おむつがきれいになるといつもこうなんですよ。」「子が可愛いのはいずこも同じだな。大事にするがよい。」「ありがとうございます。王様。」博士は礼を述べてから、決心したように話を核心に持って行...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)24

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)23

    (14)-2「太陽族の使いの者達、よくぞこのバリオンに参られた。」太い声が頭の上から聞こえました。王様の声だとすぐにわかりました。人々の心が一瞬で変わるのをスケール号の面々でさえ感じることが出来たのですから。台座から王様が姿を現したのです。「まずはゆるりと、身を休ませるが良い。国を挙げて歓迎いたす。我ら、太陽族の意にかけて。」再び大喝采が起こり、ラッパが鳴り響きました。王様は従者を連れて台座から降りると、自らスケール号の面々を出迎え、白いテーブルに一同を導いて行きました。台座を背にして皆がテーブルに着くと王様が手を挙げました。音楽が止むと、左右の食卓から何かが崩れるような音が響きました。全員が一斉に腰を下ろしたのです。すると左右の門が開き何台ものワゴン車を先頭に、楽団とコーラス隊が現われたのです。ワゴン車...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)23

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)22

    (14)-1バリオン星の王宮には大きな物見の塔がありました。最上階に登ると、そこには豪華に設えられた王様の執務室がありました。老練な物見たちが絶えず四方の空を眺めています。彼らは裸眼でも巨大望遠鏡に匹敵する眼力を持っているのです。皆の心配をよそに、王様に会ったその第一声が何と、スケール号を「太陽族の使い」と称してくれたのです。太陽の紋章を持つ者に解り合うための言葉はいらなかったのです。そのバリオンの王様が博士の横に立っています。二人は物見の塔の欄干に手を置いて虚空を眺めているのです。博士の後ろには艦長の揺りかごを守るように、もこりんとぐうすかそしてぴょんたが皆、お腹をそらせて空を眺めています。苦しくてお腹をくの字に曲げられないので、空を眺めるのはちょうどいい姿勢だったのです。「フンギャー、フンギャー」それ...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)22

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)21

    (13)原子の王様に再び近づいたスケール号は黄金色に輝いていました。宇宙空間に浮かぶ黄金の猫。けれどもここは太陽や地球の浮かんでいる宇宙ではありません。のぞみ赤ちゃんの身体の中に拡がる原子の宇宙空間なのです。のぞみ赤ちゃんは超低体重のまま生まれました。その後も理由が分からないまま体重が増えません。それなのに考えられる病気や原因は何一つ見つからないのです。ついに何の手立ても講じられない産院が最後の望みをスケール号に託したのでした。博士はのぞみ赤ちゃんの問題が体内宇宙にあると考えていました。病気でないなら原因はおそらく原子レベルのスケールで起こっている何かだという確信があったのです。「その原因は何なのか。」なんとなく、分かったようで分からないもどかしい感覚を完全にはぬぐえない博士でしたが、ただ一つ確信できるも...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)21

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)20

    (12)「こんなところにいたチュウか。」重苦しい闇の中から、憎悪に満ちた低いうめき声が聞こえてきます。この世のものとも思えないほどおぞましい声が闇の底を震わせているのです。それはニュートと呼ばれる遊星が雨のように降り注ぐ暗黒の空間でした。原子の世界では、太陽族のように王様をいただいていくつもの電子と呼ばれる星が集まる王国があります。けれどもそんな王国を捨て、仲間を持たないで放浪する星もいます。その星はニュートと呼ばれ、原子の宇宙を勝手気ままに飛び回っているのです。「ニュートは王国を死に誘う」という、似たような神話がどの王国にもあって、ニュート星は命を終えたものが棲む場所として嫌がられていました。その星を根城にしているのがネズミのチュウスケでした。チュウスケはこの宇宙を闇の支配する世界に戻すという野望を持っ...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)20

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)19

    (11)「王様、信じられないことですが、ストレンジが敵の手に堕ちました。すでに宮殿が占拠されたようです。」「星の民たちはどうしておる。無事なのか。」王様はタウ将軍に向き直って言いました。「何人かは捕えられましたが、ほとんどのものは山中に潜み抵抗を続けております。しかし一緒に捕らえられた姫君が心配です。・・・」「あの気丈な姫君が捕えられただと?敵はそんなに強いのか。」「魔法を使って心を迷わすのです。ストレンジ星の3分の1の民がすでに敵の配下に下ってしまったようです。」「かつてなかったことだ。このような禍が私の代でやってこようとはの。」「しかし王様、我ら大陽族の絆は強大です。必ず好機は訪れましょう。」「戦意を立て直せば状況は変わるだろうが、あの姫君が捉えられたのなら、民の落胆は大きいだろう。」「ストレンジの姫...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)19

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)18

    (10)結局振り出しに戻ったスケール号です。乗組員たちはテーブルを囲んで会議中です。{どうして原子の王様はスケール号を攻撃してきたのかその原因と対策}議題を白いボードに書いてぴょんたが司会もやっています。博士がみんなの考えをききたいと言い出して始まった会議でした。「まず、あの金の槍は間違いなく王様が投げてきた、それは間違いないですか?」「確かに見たでヤす。金の槍が何本も投げ出されるところをしっかり見たでヤす。」「スケール号に刺さった槍も同じところから投げられたのですか?」「それは見てないでヤす・・・」「誰か見たものはいませんか。」「覚えてないダすよ。確かあの時、王様の星を見ていたんダす。なんだか気持ちよくなって、夢を見ているような気分になっていたのダしたからね・・。」「お前は本当に寝てたんじゃないでヤすか...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)18

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)17

    (9)-2「逆だ、スケール号!大きくなるんだ。原子より大きく!」博士は自分の間違いを隠すように大きな声で命令しました。「ぐぎゃにゃーン」スケール号も必死で応えます。窓に見える黄金の星が点のようになり、銀河の中に紛れてしまいました。するとスケール号の背中に刺さっていた金の槍はするりと抜け落ち、闇の中に消えてしまいました。それと同時に凍てついた体から霜が消えたのです。「大丈夫かスケール号。」「フンにゃー」スケール号はぎこちなく体を動かしました。致命的な被害は免れたようです。その間に、ぴょんたは艦長の背中に万能絆創膏を貼って治療を終えていました。艦長はスヤスヤとぴょんたの胸の中で眠っています。「スケール号の傷はどうだ、船外に出て修理できそうか。」博士がぴょんたに聞きました。「それが博士、おかしなことなんでヤすが...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)17

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)16

    (9)-1「フンギャー、フンギャー、フンギャーーー」北斗艦長が激しく泣き始めました。「ゴンゴロにゃごーー」「フンギャー、フンギャー、フンギャーーー、ふんぎゃーーー」スケール号と艦長の泣き声大合唱です。「はかせぇ、どうしたんでヤすか。」もこりんがオロオロしています。「落ち着け、みんな。各自持ち場で状況を確認するんだ。」博士はみなに指示を出して、揺りかごで泣いている北斗艦長に駆け寄りました。いつもの泣き方とは違うのです。「どうした?北斗。おおよしよし、痛いところがあるのか。」火が付いたように泣く様子は、おむつでも、ミルクでもありません。「よしよし北斗、何があった?どうした、どうしたんだ。」北斗は全身の血が頭に集まったように顔を真っ赤にして息を詰まらせています。頭が破裂しそうで博士は両手で北斗の顔を包んで落ち着...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)16

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)15

    (8)-2それは光芒に包まれた、のしてんてん博士その人でした。「よくぞそこまで理解を深めたものじゃの。」「のしてんてん博士ではありませんか。」ジイジはびっくりして言いました。「それはお前のことじゃよ。」その人影が静かに語りかけました。「私は艦長です、博士。分かりませんか。今はジイジになってしまいましたが、あの時の艦長ですよ、博士!」ジイジは自分が艦長だった頃のことを誰も覚えていないのが残念でなりません。「そんなことはどうでもよい。それよりやるべきことをやるのじゃ。お前にしかできぬことをな。」かつて博士が艦長の自分に云ってくれた口調と同じなのがジイジには嬉しいのです。「やるべきこと・・・」「ひと族の系図を確かめるのじゃ。」「ひと族というと?それは何なのですか、博士。」「もとひと様じゃよ。」「もとひと様・・・...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)15

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)14

    (8)-1ここにありて、しかもはるか彼方にあるもの。我ら、太陽族の生まれた理由がそこにある。そんな宇宙に伝わる太陽族の伝説を知ったのは、博士がスケール号の艦長だった時でした。今はジイジになってしまいましたが、その時はまだ博士も子供でしたので、その伝説がどんな意味なのかよく分かりませんでした。特に「ここにありて、しかもはるか彼方にあるもの」という謎めいた言葉は、銀河に輝いている星々のことぐらいにしか考えていなかったのです。今思えば、この伝説の言葉には途方もなく深い意味が込められていたのだと、太陽の紋章を懐かしそうに見ながら、博士のジイジは気付いたのでした。ジイジが艦長の時には、本物ののしてんてん博士がいました。今どうしているのだろうと思いますが、誰も教えてはくれません。今、皆からそう呼ばれて、自分でもその気...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)14

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)13

    (7)-2ええっ!!みんなが叫んだのは言うまでもありません。博士はこの中にのぞみ赤ちゃんの歴史があるというのです。それはようやくスケール号がその歴史の中に入って行けるという意味だったのです。赤い丘に立ったままスケール号が原子の大きさにまで小さくなると、赤い丘に凸凹が現れ視界一杯に広がって霧になり、やがて突然現れた原子宇宙の光景に心を奪われたのはつい先ほどのことでした。そんな大変な仕事をこなした後の食事会ですから、きっとごちそうに違いないとぐうすかが期待したのも無理はありません。それがパンひとつだったものですから、ぐうすかのがっかりした様子は気の毒なほどでした。皆でいただきますと手を合わせて食べ始めるまでの、ほんの数分前までは。「わーなんダすかこれ!すごいダす!おいしいダす!」まずぐうすかがびっくりして言い...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)13

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)12

    (7)-1「博士、ここが本当にのぞみ赤ちゃんの体の中なのでヤすか・・・」もこりんがスケール号の窓から外を見ています。「美しいダすなあ、あれが銀河ダすかね。色鉛筆の中にいるみたいダすなぁ。」もこりんも枕を抱えたまま、眠るのも忘れています。「ここがのぞみ赤ちゃんの中だなんて信じられませんね。」ぴょんたもうっとりしています。「あの銀河は間違いなくのぞみ赤ちゃんの中にある宇宙の姿なのだよ。光っているのはみな原子と呼ばれるものなのだ。」博士が白く光る河を指さしながら言いました。宇宙空間に色とりどりの光が無数に集まっていてそれが白い光の河に見えているのです。「体がこんな宇宙でできているなんて不思議ダすな。」「博士、原子というのは太陽なんでヤすか。」「そうだね。でも大きさが違うのだ。みんなが知っている太陽の大きさは、あ...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)12

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)11

    (6)-2「どうしたスケール号!」と思った瞬間、その声は揺りかごの中からだと分かりました。「博士、大変でヤす!!艦長が泣いているでヤす!何もしていないでヤすよ。」ちょうどもこりんが艦長を見ていて、あまりにかわいいのでつい艦長のほっぺを指でつんつんしたのです。マシュマロのように柔らかいほっぺが気持ち良くて、もこりんは何度かつんつんしてしまいました。その時艦長が急に泣き出したのでした。「ウソだー、もこりんが艦長をつんつんしていたの見たダすよ。」ぐうすかがもこりんを睨みました。「ほんのちょっとだけでヤす。何もしていないのに一人で泣き出したのでヤすよ。ほんとでヤす。」もこりんのオドオドした言い訳です。「ふぎゃー!フンギャー!」艦長の泣き声が段々激しくなります。「艦長どうしたのですか。お腹痛いのでしょうか?」ぴょん...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)11

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)10

    (6)-1スケール号は額に入り口があります。猫の額が開いて階段が下りてきます。乗組員たちがスケール号に乗る姿を見ていた院長先生は目を見張りました。猫が大きくなっているのか、乗組員たちが小さくなっているのか、分からなくなってしまうのです。混乱しているうちに全員がスケール号の額の中に消えていきました。銀色の猫が床を蹴って飛び上がったと思うと、その姿がふっと消えてしまいました。ハエが一匹、院長先生の頭の上を越えて、窓に止りました。よく見るとそれは窓ガラスに張り付いたスケール号だったのです。そのスケール号がノミのように小さくなり、やがて見えなくなって窓ガラスにしみこんでしまいました。院長先生はよく見ようとして窓ガラスに額を打ち付けてしまいました。幸いにも窓ガラスは丈夫にできていたので、院長先生の額が赤くなるだけで...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)10

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)9

    (5)-2「何か言ってないかな。北斗なら助けてあげられるからね。」ジイジが博士の口調で言いました。その時北斗の目が真ん丸に開きました。そしてまっすぐにジイジに目を向けて動きません。その目はジイジを見るというよりは、ジイジの背後を見ているようでした。「はぷー」「博士、艦長はなんて言っているのですか。」ぴょんたが聞きました。ぴょんたは博士の肩越しに飛び上がって艦長を見ていたのです。「分からないらしい。」「どういうことですか?」「どうしてほしいのか、赤ちゃんは何も言わないらしいのだ。」「がっかりでヤす。」「助けられないのダすのか」「いや、そうではない。」博士がきっぱり言いました。博士は優しく北斗を揺りかごに戻しました。そして院長先生に向き直りました。「先生、やってみる価値は十分あります。あの子の中をスケール号で...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)9

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)その8

    (5)-1元気な赤ちゃん院は街と森の間に建っていました。まるでピンクのお城です。ここは赤ちゃんの総合施設で、赤ちゃんを宿したお母さんの宿泊施設もあり、そこでお母さんたちは安心して赤ちゃんを産む準備ができるのです。産後は赤ちゃんのための保育所から幼稚園まであって、望めばそこで一貫した子育もできる国内唯一の施設なのです。「そんなところですから、今まで早産するお母さんはほとんどいませんでした。私達には信じられないことが起こっているのです。原因が全く分かりません。」院長先生が困り果てて涙を浮かべています。院長先生は皆を赤ちゃんのところに案内しました。もちろん窓越しに見るだけですが、中央に小さな透明の保育器が置かれていました。その周りを透明のカーテンで仕切られ、厳重に隔離されているのが分かりました。そこに小さな赤ち...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)その8

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)その7

    (4)-2「バブバブ」艦長も元気な声を上げました。空飛ぶ揺りかごは北斗を元気にするものがそろっているに違いありません。あまり元気とは言えなかった北斗が一回り大きくなったように思えて、ジイジは嬉しいのです。「それで博士、困っている赤ちゃんの話をしてください。」「おお、そうだったね。」博士は思い出したように、少し改まってみんなの前に立ちました。「元気な赤ちゃん院というところで生まれた赤ちゃんなのだが、他の赤ちゃんより半年も早く生まれてしまった。」「すごい!優秀な赤ちゃんでヤすね。」「違うんだよもこりん。赤ちゃんはお母さんのおなかの中で栄養をもらって大きくなるというのは知っているね。」「知っているでヤす。」「すごいぞ、もこりん。そしたら赤ちゃんにしたら、半年も早く生まれるというのはどういうことかわかるかな。」「...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)その7

  • ジイジと北斗 (新スケール号の冒険) その6

    (4)-1「博士はどうして艦長と話ができるのですか。」食事のあと、ぴょんたが言い出しました。「本当に艦長は話ができるのでヤすか。」「寝ているか、泣いているかダすからね。でもわたスも艦長と話をしたいダす。」「私が北斗、いや艦長と話ができるのは宇宙語があるからなのだよ。」「宇宙語ってなんでヤすか?」もこりんが真っ先に質問しました。「むつかしいのはいやダすよ、博士。」「実はね、この宇宙そのものが宇宙語でできているのだよ。」「意味が分かりません。」「分からなくていいのだよ。ただ知ってほしいのは、この宇宙にあるどんな小さなもの一つだって、宇宙の全体とつながっていないものはないということなのだ。ぴょんただって、もこりんだって、ぐうすかだって同じなのだ。もちろん艦長も私も、それに食堂のおばさんもそうだ。みんながつながっ...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)その6

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)その5

    (3)-2スケール号の中は北斗艦長を讃える歌の大合唱が響き渡りました。「艦長が目を開けたでヤす!」最初にもこりんが声を上げました。「艦長が目を覚ましたダすよ!」ぐうすかも大喜びです。「艦長、帰りましょう。」ぴょんたは耳をパタパタさせて北斗の上を飛んで見せました。「君は艦長なんだよ、北斗。」北斗はまん丸に見開いた目をジイジに向けています。「何も知らなくていいんだよ。初めてなんだからね。」ジイジは北斗の目から伝わってくる言葉に答えているのです。「大丈夫だよ、ジイジも艦長だったんだ。だから言うとおりにしてごらん、スケール号はその通りに動くからね。」北斗の口元が少し笑ったように見えました。ジイジはそれから北斗の目の中に入って行くように心を集めて、スケール号の操縦方法を教えてあげるのでした。それはジイジにも、考える...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)その5

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)その4

    (3)-1スケール号の操縦室をジイジは懐かしそうに眺めました。操縦席の前に赤いレバーがありました。操縦かんです。ジイジはすぐにスケール号を動かしてみたくなりました。でも操縦席には坐れません。そして気付いたのです。自分が艦長でない理由が分かったように思えました。いつの間にかジイジになってしまっていたということなのです。でも北斗だって、この席に坐れないし、操縦かんも握れない。そう思っていると、北斗を乗せた揺りかごが浮かんだまま操縦席に近づいて行ったのです。すると操縦席の背もたれが後ろに倒れて寝台のようになりました。その上に揺りかごが滑り込むように乗っかると、カチャンと何かが固定されるような音が聞えました。「艦長、基地に戻りましょう。」ウサギのぴょんたが言いました。「早く戻るでヤす。」モグラのもこりんも言いまし...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)その4

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)その3

    (2)-2「艦長はそこに寝ている北斗です。」「北斗が艦長?まだ生まれたばかりの子だよ。スケール号、お前も私のことを覚えていないのか。」「覚えていますよ、ケンタ。あなたはとってもいい艦長でした。おかげで私達はとってもいいパートナーでしたね。」「スケール号、覚えていてくれてありがとう。」「でもあなたはもう艦長ではありません。」「しかし北斗はまだ赤ちゃんだ、それがどうして艦長に?」「北斗はまだ宇宙の子です。その力が必要なのです。」「しかしそれは無茶な話だ、スケール号。北斗は歩けない。」「大丈夫ですよ。これに北斗を寝かせてください。」スケール号が言うと、音も無く揺りかごが浮かんで飛んできたのです。「ほぎゃー、ほぎゃー」北斗の泣き声がジイジの耳に届いてきました。「おーおー、怖くないぞ北斗、お腹すいたのかなぁ。母さん...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)その3

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)その2

    (2)-1ある日、珍しく温かい陽射しがカーテンを通して部屋に差し込んできました。ジイジは意味なく心がうきうきしてカーテンを開けたのです。ピンク色の花びらが一枚とんでいました。近所の梅の花が満開なのかもしれません。その時、北斗のかわいい力み声が聞えてきました。そして泣き出したのです。窓際に置かれた小さなベッドに寝かされた北斗の顔が輝いていました。「おうおう、すまなかったな、眩しかったね。」ジイジが反射的にカーテンを閉めて、北斗に謝りました。その時だったのです。「ゴロニャーン」ジイジには聞き覚えのある猫の声でした。「艦長、迎えに来たでヤす。」「艦長、お迎えに上がりました。」「艦長、お迎えに参りましたダすよ。」ジイジが声の方を振り返ると、三匹の勇士の姿がありました。その後ろに銀色に光る猫がうずくまっていたのです...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)その2

  • ジイジと北斗(新スケール号の冒険)その1

    (1)北斗と言えば、夜空に並んでいる七つ星。でも、ジイジにとっては可愛い小さな赤ちゃんのことなのです。白いおくるみからちょこんと顔をのぞかせているその目を見た時、ジイジは初めて北斗と出逢ったのでした。それは深い穴からこわごわと外を眺めているつぶらな瞳でした。怖がらなくていいよ。ジイジは目でそう言いながら北斗の額にそっと触りました。北斗の真っ黒な目と出会った時、ジイジは天の川で星の赤ちゃんを助けたときのことを思い出しました。涙のプールから今しがたすくい上げてきたような眼を眺めていると、あの時、ブラックホールに呑み込まれそうになっていた星の赤ちゃんの不安そうな目を、つい連想してしまうのです。「安心して出ておいで、ここは明るくて楽しいところだよ。」ジイジが言うと、「生まれたばかりなのにそんなこと言っても、分かり...ジイジと北斗(新スケール号の冒険)その1

  • ジイジと北斗(連載にあたって)

    今回より宇宙語を主題にした、のしてんてん童話「ジイジと北斗」を連載します。宇宙と人間存在をテーマに続けてきた記事が18回で「きみのからだは運動会」に行き着きました。この童話は宇宙モデルを使って宇宙語の存在を示唆するもので、直接私の絵画(尼信会館展)から生まれたものでした。それに先立って、私にはもう一つ生まれてきたものがありました。それが「宇宙語」を懐から描いた文芸作品です。その経緯は次の通りです。これまで五次元の考え方を童話にして書いた「スケール号の冒険」1~4話のうち、2作目を除く3作品を当ブログで紹介してきました。これはケンタと言う6歳の男の子とスケール号の冒険を描いたお話でした。(当ブログのカテゴリーから1,3,4話読んでいただけます)時が流れて、私にも初孫が出来ました。その初孫を見ているうちに物語...ジイジと北斗(連載にあたって)

  • 五次元宇宙と人間存在 18

    尼信会館での展覧会中に生まれた童話ですA6版7ページ簡易製本(表紙)(ページ1)(ページ2)(ページ3)(ページ4)(ページ5)(ページ6)(ページ7)感想など頂けましたらうれしいです。製本が必要な方は実費でお送りします。メールでお申込み下さい。五次元宇宙と人間存在18

  • 五次元と人間存在 17

    こころに芯があるならそれは五次元によって認識される何かだ。それは言葉で表し難いが名を付けるなら「宇宙語」がふさわしい無限のたまごが無限のヒヨコを生み出すようにトロッとした体液がみな迷わずヒヨコになるこの不思議な仕組みを伝えているのが宇宙語なのであるあるいは無数にある素粒子がてんでバラバラに動かないように一つの身体をつくるためだけに働くという願いを伝える言葉なのである科学的に言えば宇宙を読み解く、統一理論般若心経では彼岸に渡る意志、般若波羅蜜多それが宇宙語に最も近いと言えるだろう我が心は日本語である地上にあるすべての言葉はその言葉に基づいた心をつくるそして翻訳が世界をつなぐ翻訳とは他国の言語を自国の言葉に置き換えることだが中には翻訳しないで外国語を直接理解する人たちもいる考えてみればそれは不可能なことではな...五次元と人間存在17

  • 五次元宇宙と人間存在 16

    この字は何と読むの?よく尋ねられることがある決まって私は、自分の造語で誰にも読めない文字なのですと応えてきた。それは本当のことだから決して間違いではない。しかし本当は答えになっていないのだ。それをそのままにしていたのはズバリ適した言葉が見当たらないこともあったのだがへたな説明をして絵の意味を曖昧にしたくなかったというのが本当のところだ。尼信会館の二人展は大きくきれいな会場が、ありがたいことに自分の世界に充分な表現のできる空間を与えてくれたのであるその空間にストレスなく展開できた作品たちに囲まれて私は自分の作品でありながらはじめて出合う感覚を味わい会場で日々成長している実感を覚えているのだそしてこの作品に対する問いの答えがはじめて私の納得できる言葉で生まれて来たのだ。すなわちそれが宇宙語と言う答えなのだ。描いたも...五次元宇宙と人間存在16

  • 五次元と人間存在 15

    人間を味わい尽くすその意味するところは今を否定しないということだ今から逃げないということだ今をそのまま受け入れるということだ今在る充足を知ることだすなわち充足は今にしか無い!そのことを知りながら不満を覚える心を眺めていれば分かる事実があるそれは不満を波動としてとらえられたときに起こる不満が波動と見えた時その波動は突然、不満ではいられなくなる波動は全身の波動と合成されて一つの波となって行くのだ命を躍動する波に飲み込まれると言えばいいだろうか充足の波動その至福感に昇華していくのだすなわちこれが人間を味わい尽くすという意味なのだ選り好んでよき道だけが人生ではない苦悩の避けられない人生ならば苦悩を正面から受け止め全てを受け入れて見詰めるのだそして心の波動を探せ目をそらさずに苦悩を眺めているとそこに波動が見えて来る波動を...五次元と人間存在15

  • 尼信会館ただいま作品展示中です(6月5日まで) なんとジャンルの違う3作家と金貨の競演となりました

    同じ会期で尼信会館1階「油とエンピツの二人展」3階「中村恭子作陶展」と、同時開催しています。偶然の開催で初めての出逢いでしたが、作陶展がのしてんてん絵画と共通点が多く、共鳴しましたので今回は作家の許可を得て、その作風とのしてんてん絵画を並べて、その面白さと展覧会の様子をお知らせします。よく見ると3つの陶器の中には可愛い動物が顔を出しています↑期せずして油絵と鉛筆絵画(1階)、そして色彩豊かな陶芸(2階)の三つ巴のハーモニーを発見して作家同士も意気投合です。なお2階は尼信会館の常設展で、世界のコイン展示は圧巻です、様々な金貨の輝きに目を奪われます。我田引水ですが、1階二人展⇒エレベータで3階作陶展⇒2階世界のコインがおすすめコー^ス^尼信会館ただいま作品展示中です(6月5日まで)なんとジャンルの違う3作家と金貨の競演となりました

  • 五次元宇宙と人間存在 14

    人間を味わい尽くすそれが五次元思考の本懐である喜怒哀楽を差別しないそれが今立っている私の風景だそのイメージは時間軸を垂直に断ち切るように存在するスケール軸の天地を貫く姿であるそれは己の中心を貫いて私自身を天と地につなぎ止める働きをしてくれるすると私は時間から解放され、今この瞬間を楽しむことが出来る真実の中に身を置く至福は喜怒哀楽の波を喜びに変える福なのであるそれは否定しない喜びである今を丸ごと受け入れる寛容である何処からも逃げない安堵である何ものも追い求めない充足である今この瞬間と言う全ての価値を封じ込める玉を手に入れた一体の龍の姿なのであるつまりスケール軸とは人間の認識力を最大に解放したくう(空)の理解なのである尼信会館に展示中の龍明と暗光と闇しかし決して善と悪ではない五次元宇宙と人間存在14

  • 尼信会館二人展 展示風景

    尼信会館二人展の始動していよいよ明日から約1ヶ月の展示が始まります。今回は二人展のポイント風景を公開します。..尼信会館二人展展示風景

  • 五次元宇宙と人間存在 13

    空体を生きるということはたとえば科学的に大日如来を信じることである科学的に神を認識することでもあるあるいは科学と般若心経の融合であるだからもし貴方が無条件に神を信じ、己の身を完全に任せられるのなら貴方は五次元を必要としないつまり五次元は人間の認識世界を捨てられない私のような現代人が理詰めで神に近付くための思考なのであるその思考が空体に至るのだつまり空体とは人間の認識がようやく神に届く領域の被膜一枚を隔てた人間存在だと言えるのである目に見えぬ被膜の向こうに神の世界があるのだ彼岸を飛び越えて神の世界に入ったものは真の悟りを得るだろうしかし認識世界から彼岸に飛び移れない者だって見捨てらるべきではないのだ人間として生きながら神の世界を体感する権利は誰からも奪われない五次元はそう叫び続ける人間として生きたいのだとこの世に...五次元宇宙と人間存在13

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