【主な乗り物:京成「スカイライナー」、リムジンバス成田空港-新宿線】 人間は速さに憧れる生き物である。陸上競技のアスリートは秒単位で競い合い、乗り物でも、超音…
旅日記・紀行文が主体です。長距離高速バスや鉄道の一人旅が好みですが、その他日々のつれづれも。
高速バスと鉄道で、四季折々の日本の風土と、その地に生きる人々の姿に思いを馳せながら、ひと通り48都道府県をめぐりました。「思い出のバス紀行」「鉄路遥かなり」「高速バス風土記」は日本各地を回った旅の懐かしい思い出を、「愛車放浪記」は家族とのドライブを綴りました。「ある医療現場の素描」は僕の仕事のこぼれ話などです。 長文が多いのですが、内田百間・宮脇俊三のファンですので御容赦下さい(笑)
蒼き山なみを越えて 第63章 平成27年 サザンクロス号神戸・大阪・京都-長野・湯田中線
週末の三宮の高速バスターミナルは混雑していた。 乗り場の隅に佇んでいる僕の視界に、次から次へと様々な人々が現れては消えていくが、大半は、互いに言葉を交わすわけ…
蒼き山なみを越えて 第62章 平成25年 快速「信越リレー妙高」~後編~
(「蒼き山なみを越えて 第62章 平成25年 快速『信越リレー妙高』~中編~」 の続きです)平成25年の5月に常磐線不通区間の北端である相馬駅や原ノ町駅を訪れ…
蒼き山なみを越えて 第62章 平成25年 快速「信越リレー妙高」~中編~
(「蒼き山なみを越えて 第62章 平成25年 快速「信越リレー妙高」~前編~」 の続きです)平成25年11月初旬の連休に、金沢から長野を経由して前橋で1泊した…
蒼き山なみを越えて 第62章 平成25年 快速「信越リレー妙高」~前編~
蛍の光は 遠い日の送り火か小さく見える景色は 陽炎か出会いも別れも夕暮れに預けたら自分の影を探しに 西へ行くああ 日本のどこかに私を待ってる人がいるいい日旅立…
蒼き山なみを越えて 第61章 平成25年 夜行高速バス千葉-長野線・高速バス長野-富山線~後編~
金沢市内の病院に母を見舞い、意外と元気そうな様子に安堵して、金沢駅に戻ったのは、日曜日の午後4時過ぎだった。予約した東京行き夜行高速バスの時間まで、かなりの時…
蒼き山なみを越えて 第61章 平成25年 夜行高速バス千葉-長野線・高速バス長野-富山線~前編~
夜も深まった千葉中央駅は人影も少なく、静まり返っていた。昼から降り続く雨に濡れた路面が、街灯の光を反射して鈍く輝いている。 平成25年10月の夜である。僕は…
蒼き山なみを越えて 第60章 平成25年 高速バス新宿-佐久・小諸線 佐久・小諸号
平成25年9月上旬の日曜日の話をしたい。夜勤明けだったので、慌ただしく自宅に帰って妻と一憩すると、腕時計を気にしながら、再び自宅を飛び出した。 当時の僕と妻…
蒼き山なみを越えて 第59章 平成20年 高速バス立川-上田線、松本・長野-仙台線信州ライナー号
平成20年の7月の週末のこと、立川駅で中央線快速電車を降りた僕は、北口のバス乗り場に歩を運んだ。ペデストリアン・デッキに出ると、真夏の太陽の眩しさにくらくらし…
蒼き山なみを越えて 第58章 平成18年 快速「みすず」・特急バス松本-金沢線
昭和30年代から50年代にかけて、帰省バスが全国を走り回っていた時期があった。お盆や年末年始などの多客期に、殺人的な混雑を呈していた鉄道を補完して、地方から大…
蒼き山なみを越えて 第57章 平成18年 高速バス新宿-坂城・戸倉上山田温泉・屋代線
新宿駅西口高速バスターミナルが面した狭隘な路地を抜け出したバスは、高層ビル街を抜けて甲州街道から山手通りに右折し、一路信州を目指して走り始めた。 関越自動車…
蒼き山なみを越えて 第56章 平成18年 高速バス長野-甲府線
平成18年の真夏に、珍しい旅をした。埼玉県のさいたま新都心から仙台へ向かう昼行高速バス、仙台から前橋・高崎へ向かう夜行高速バス、前橋から新潟へ向かう昼行高速バ…
原発事故に揺れる街へ~「311」を前に「いわき」号東京-富岡線で震災後12年の歳月を思う~
東京駅八重洲南口高速バスターミナルは、広い敷地が狭く感じる程の人出だった。前日は首都圏に雪が降り、東京都内でも数センチの積雪が見られたが、この日はすっかり晴れ…
蒼き山なみを越えて 第55章 平成18年 リムジンバス長野-中部国際空港線
年末に「中央道特急バス」名古屋-長野線で帰省した僕は、平成18年の正月が明けると、13時05分に長野駅を発車する中部国際空港行きのリムジンバスに乗り込んだ。 …
蒼き山なみを越えて 第54章 平成17年 中央道特急バス名古屋-長野線・高速バス長野-妙高高原線
もうじき日付が変わる頃合いに、東京駅八重洲南口バスターミナルに足を踏み入れると、何台もバスを連ねた23時40分発の名古屋行き「ドリームなごや」3号と、同時発車…
蒼き山なみを越えて 第53章 平成17年 大阪-長野直通特急「しなの」
浅草駅を16時20分に発った東武鉄道の特急「りょうもう」号は、時刻表通りの17時25分に館林駅に滑り込んだ。東武鉄道の特急電車と言えば、浅草と日光や鬼怒川を結…
蒼き山なみを越えて 第52章 平成17年 名古屋-上田・草津温泉スパライナー草津号
僕の故郷信州と、志賀高原や白根火山を隔てた草津温泉は、首都圏から様々な高速バスで結ばれている。 信州にも温泉は数あれど、高速バスで他県と直結しているのは、「中…
蒼き山なみを越えて 第51章 平成16年 大阪-上田・小諸・軽井沢線千曲川ライナー号
軽井沢駅前には、質素だが鮮やかなイルミネーションが置かれていた。この日は平成16年12月23日、クリスマスが近い。長野新幹線が開通して6年が経ち、新装なった軽…
蒼き山なみを越えて 第50章 平成16年 特急バス高山-松本線アルプスライナー
平成16年の2月の週末、僕は深夜の鳥取駅前にいた。新幹線で神戸入りし、三宮を17時に発つ倉敷行き高速バス「ハーバーライナー」号で日没の山陽自動車道を駆け抜けて…
蒼き山なみを越えて 第49章 平成15年 南アルプス号・中央高速バス新宿-木曽線
平成15年の初秋の週末、新宿駅南口の高速バスターミナルを定刻8時20分に発車した「南アルプス」号は、狭い通路をくぐり抜けて明治通りに出ると、新宿4丁目の交差点…
蒼き山なみを越えて 第47章 平成14年 特急「伊那路」・特急長野-白馬線・みすずハイウェイバス
平成14年の盆を長野市の実家で過ごし、急行バス長野-野沢温泉線と長野電鉄木島線の廃止代替バスで木島まで往復した僕は、長野電鉄の特急「志賀高原」を長野駅で降り、…
蒼き山なみを越えて 第46章 平成14年 急行バス長野-野沢温泉線・長野電鉄木島線代替バス
長野電鉄に初めて乗ったのはいつのことだったか。実は、はっきりと憶えていない。確実であるのは、自宅から1kmと離れていない西長野にあった信州大学教育学部附属長野…
蒼き山なみを越えて 第45章 平成13年 急行バス長野-大町線・中央高速バス新宿-大町・白馬線
平成9年10月の長野新幹線開業は、長野を故郷とする人間としてこよなく嬉しかったが、それにも増して僕の心を躍らせたのは、新幹線に接続して長野駅から各地に走り始め…
蒼き山なみを越えて 第44章 平成12年 関越高速バス池袋-臼田線・高速バス長野-佐久線
朝の8時50分に池袋駅東口を発車した「関越高速バス」池袋-臼田線は、ぎらぎらと照りつける真夏の太陽の光を浴びながら、一目散に関東平野を走り続けている。車内に冷…
令和5年が明けました。新型コロナウイルスの流行も4年目となり、生活が大きく変わりましたが、少しずつ、元に戻りつつあるのかな、とも思います。いわゆる、ウィズ・コ…
蒼き山なみを越えて 第43章 平成11年 いいなかライナー号
昭和50年代まで、中央本線の下り列車に乗って岡谷駅を発車すると、北西方向の塩尻・松本方面に向かうはずなのに、線路は、諏訪湖から流れ出る天竜川に沿って、ぐいぐい…
蒼き山なみを越えて 第42章 平成10年 急行「アルプス」・急行「ちくま」
どの駅にも、昼と夜が移り変わる時間帯がある。 帰宅ラッシュの潮が引く時間帯に相当することが多く、ホームやコンコースを歩く人々の姿が目に見えて減り、大量の乗降客…
蒼き山なみを越えて 第41章 平成10年 高速バス長野-上越線
平成9年10月に開業した、長野と直江津を結ぶ高速バスの記憶は、曖昧模糊としている。何処から乗車したのか、ということすら、忘却の彼方である。初乗りしたのが、平成…
蒼き山なみを越えて 第40章 平成10年 JRバス関東碓氷線・しなの鉄道
鉄道は斜陽である、と言われて久しい。新幹線や大都市近郊を除けば、膨大な赤字を抱えていた国鉄のローカル線や、地方私鉄の存否が常に話題になり、鉄道ファンであれば、…
蒼き山なみを越えて 第39章 平成9年 長野新幹線「あさま」
『本日もJR東日本を御利用下さいまして、ありがとうございます。この電車は、長野新幹線「あさま」号、長野行きです。携帯電話をお持ちのお客様にお願い致します。車内…
蒼き山なみを越えて 第38章 平成8年 「関越高速バス」池袋-長野線
池袋駅東口を定刻7時35分に発車した「関越高速バス」池袋-長野線は、駅前ロータリーを抜けて、神田川の低地に降りる坂道を、右に緩やかな曲線を描きながら下り始めた…
蒼き山なみを越えて 第37章 平成8年 長野-松本空港リムジンバス「信州ウィングライナー」
故郷の信州で、高速交通網が発達していく時代に生きていて良かった、と感慨深く思い出されるのは、平成8年の1月である。 平成7年の年末に帰省していた僕と弟は、母と…
金沢行き特急「白山」は、定刻8時30分に上野駅16番線を発車した。 転轍機をガチャガチャと鳴らしながら進路を見定め、ようやく速度を上げた時には、左手に鴬谷駅の…
蒼き山なみを越えて 第35章 平成6年 梅田-駒ケ根・伊那線アルペン伊那号
「中央高速バス」新宿-伊那・駒ケ根線は、発車時刻の11時30分きっかりに、新宿駅西口のロータリーの対面にある高速バスターミナルの狭隘な路地を抜け出した。 ビ…
蒼き山なみを越えて 第34章 平成6年 特急「あずさ」・高速バス長野-岡谷・諏訪・茅野線
新宿駅を11時00分に発車した松本行き特急「あずさ」13号の車内で、僕は何となく違和感を感じていた。 列車は、新宿大ガードから大久保駅まで続く、看板が乱立し…
平成6年3月の週末、金沢行き夜行急行「能登」は、上野駅16番線を23時58分に発車した。 上野駅の古びて煤けた通路を乗り場に急いだことや、「能登」が構内を抜け…
蒼き山なみを越えて 第32章 平成6年 松本-大阪線アルペン松本号
平成6年の正月に、僕は前年に開業したばかりの高速バス長野-松本線で長野自動車道を南下し、松本バスターミナルに降り立った。 真夏に初めて乗車した時と異なり、長…
蒼き山なみを越えて 第31章 平成5年 高速バス長野-松本線・中央高速バス新宿-松本線
長野市と松本市── 信州を代表する2つの都市は、近代になって、時に長野県を割りかねないほどに張り合う関係にあった。現在の若い世代の方々の思いは判らないが、少な…
蒼き山なみを越えて 第30章 平成5年 関越高速バス池袋-上田線・国道長野-上田線
平成5年は、我が国でも様々な出来事があったが、僕にとっては、故郷である長野市に高速道路が到達した年として、強く心に刻まれている。3月25日に、長野自動車道が豊…
蒼き山なみを越えて 第29章 平成4年 中央道特急バス名古屋-松本線
午後10時を過ぎた東京駅9番線は、予想より遥かに混雑していた。 中央線快速電車や京浜東北線、山手線の電車がひっきりなしに出入りして、発車ベルが途切れることの…
平成4年5月の週末に「中央高速バス」新宿-長野線で実家に帰省した僕は、1泊しただけで、東京にとんぼ返りしなければならなかった。前日の車中で、僕は、久しぶりに特…
蒼き山なみを越えて 第27章 平成4年 中央高速バス新宿-長野線
平成4年の大型連休を実家で過ごし、いったん東京へ戻った僕は、数週間後の5月中旬の週末の朝、新宿駅西口の高速バスターミナルにやって来た。この年の4月に、夜行高速…
蒼き山なみを越えて 第26章 平成4年 東京・新宿-長野・湯田中線ドリーム志賀号
平成4年の大型連休が始まったばかりの4月30日、午後11時を回った東京駅八重洲南口バスターミナルは、名古屋行きの「ドリームなごや」号が3台連なって出発していっ…
蒼き山なみを越えて 第25章 平成4年 横浜-飯田線ベイブリッジ号・梅田-飯田線アルペン飯田号
JR横浜駅中央コンコースの雑踏を東口の方へ向かい、ルミネと東口地下街「ポルタ」を抜けると、いきなり、掻き消すように人の姿がまばらになる。 通路をまっすぐに進め…
蒼き山なみを越えて 第24章 平成3年 新潟-長野線ナガデンエクスプレス号
『皆様、おばんでございます。この列車は仙山線、奥羽線回りの青森行き急行「津軽」号でございます。上野駅を22時37分、定刻に発車しています』 平成3年の師走も押…
蒼き山なみを越えて 第23章 平成3年 関越高速バス池袋-小諸線・国道長野-上田線
ある程度の空調が効いていた池袋の駅舎から東口に出ると、ぶわっ、と息を吐きたくなるような、湿気の多い熱気が身体にまとわりついた。 平成3年の夏は、気温がそれほど…
蒼き山なみを越えて 第22章 平成2年 アルペン諏訪号・中央高速バス岡谷・諏訪線
新宿駅西口ロータリーに面した安田生命第二ビルの裏側に、新宿高速バスターミナルがある。多くの利用客と、対面の家電量販店の買い物客が交錯して、いつもごった返してい…
蒼き山なみを越えて 第21章 平成2年 大阪-長野線アルペン長野号
午後10時を過ぎると、長野バスターミナルを出入りする路線バスはめっきりと減って、広い構内は暗がりに包まれていた。もともと、このターミナルを出入りする路線は少な…
蒼き山なみを越えて 第20章 平成元年 難波-長野・蓮池線サザンクロス号・ナガデンエクスプレス号
大阪をあてもなく彷徨ったことが、何度かある。 思い起こせば、心暖まるひとときを過ごしたとも言えず、退屈で遣り切れなかった訳でもなく、何となく曖昧な記憶であるの…
蒼き山なみを越えて 第19章 平成元年 中央道特急バス名古屋-茅野線,中央高速バス新宿-諏訪線
平成元年10月の週末のこと、新宿駅西口ロータリーに面した小田急ハルク前の停留所を23時きっかりに発車した岐阜行き夜行高速バス「パピヨン」号は、ほぼ満席の乗客を…
昭和60年から品川区大井町に住んでいた僕にとって、遊びに行く繁華街と言えば、東急線沿線の自由が丘か渋谷がせいぜいで、山手線の対角線上に当たる池袋まで出掛けるの…
蒼き山なみを越えて 第17章 平成元年 中央高速バス新宿-松本線
平成元年4月に、「中央高速バス」新宿-松本線が開業した。「中央高速バス」は、昭和59年12月の新宿-飯田線と新宿-伊那・駒ケ根線、昭和61年11月の新宿-茅野…
蒼き山なみを越えて 第16章 昭和64年 みすずハイウェイバス
昭和63年の9月に、信州を故郷とする高速バスファンとして、見逃せない出来事があった。長野と飯田、長野と伊那・駒ケ根、そして松本と飯田を結ぶ3系統の県内高速バス…
蒼き山なみを越えて 第15章 昭和63年 東亜国内航空603便大阪-松本線
昭和60年代の羽田空港には、航空機に乗りもしないのに、よく遊びに行った記憶がある。当時、品川区大井町に住んでいたので、食事や買い物のために、京浜東北線で隣り駅…
蒼き山なみを超えて 第14章 昭和62年 長野電鉄バス長野-志賀高原線・国鉄バス志賀草津高原線
昭和62年の盆に長野市の実家へ帰省していた僕は、東京へ戻るために、午前10時過ぎの長野駅に来ている。Uターンラッシュと日程をずらしたので、長野駅はすっかり普段…
蒼き山なみを越えて 第13章 昭和62年 中央道特急バス名古屋-駒ケ根・伊那線
昭和62年の旧盆に入ろうという日の朝、僕は、東京駅を6時00分に発車する東海道新幹線下り1番列車の博多行き「ひかり」21号に乗った。 この列車には、東京で大…
蒼き山なみを越えて 第12章 昭和62年 中央道特急バス名古屋-飯田線と急行かもしか
昭和62年の正月明け、長野の実家に帰省していた僕は、長野駅を7時10分に発つ飯田行き急行電車「かもしか」に乗り込んだ。もちろん東京に戻るつもりなのだが、早朝に…
蒼き山なみを越えて 第11章 昭和61年 中央高速バス新宿-茅野線
昭和61年3月末に、僕は新宿区に住む叔父の紹介で、品川区大井町のアパートに引っ越した。 国鉄大井町駅西口とロータリーを挟んだ阪急百貨店の裏手にあり、駅から徒歩…
蒼き山なみを越えて 第10章 昭和61年 川中島バス長野-高府-大町線
昭和61年が明けると、富士吉田にある昭和大学教養学部の課程は1月いっぱいで終了し、2月から3月まで長い年度末の休みに入る。 早々と期末試験も終わり、無事に進級…
蒼き山なみを越えて 第9章 昭和60年 東北急行バス浜松町-山形線と急行とがくし
富士吉田の昭和大学教養部の寮生活も9ヶ月が過ぎた、昭和60年の師走のことである。年内最後の講義が終った翌日の夕方に、僕は年末年始の帰省のために、富士急行線富士…
蒼き山なみを越えて 第8章 昭和60年 中央高速バス新宿-伊那・駒ケ根線と急行天竜
僕が大学1年生として富士吉田で過ごしていた昭和60年は、故郷の信州に大きな事件が相次いだ年だった。 中曽根康弘首相が前年の11月に着任したばかりで、「不沈空…
蒼き山なみを越えて 第7章 昭和60年 中央高速バス新宿-富士五湖線と国鉄ドリーム号
僕が入学した昭和大学の1年生は、山梨県富士吉田市の教養学部の寮で1年を過ごす。 東京の品川区旗の台にある本校での入学式の後、新入生は、そのまま貸切バスで富士吉…
昭和59年の当時、信越本線経由直江津行き夜行急行列車「妙高」が、上野駅を発車する時刻は、23時58分だった。 当時、多客期に運転されていた上野発長野行き急行「…
蒼き山なみを越えて 第5章 昭和59年 東名ハイウェイバス318便
大学受験は一浪した。 落ち込む暇もなく、昭和59年の4月に僕は故郷の信州を出て東京の予備校に入学し、その寮に入居して、生まれて初めての1人暮らしを始めた。入試…
蒼き山なみを越えて 第4章 昭和57年 甲子園を往復した60台の貸切バス
昭和57年3月26日、時刻は午後9時頃だったと思う。夜も更けてきたというのに、長野駅東口は、大層な熱気と賑わいを呈していた。 当時の東口は、現在のように整備さ…
蒼き山なみを越えて 第3章 昭和48年~53年 小・中学校のバス遠足
僕が子供の頃、長野市には2つの路線バス事業者があった。県内最大手の老舗である川中島自動車と、鉄道系の長野電鉄バスである。僕が通った信州大学教育学部附属長野小学…
長野市の市街地は、善光寺平の西の山ぎわに片寄っている。創建が642年と伝えられる善光寺がその位置にあったので、門前町として発展した街並みも、自然とそうなったの…
蒼き山なみを越えて 第1章 昭和59年 中央高速バス新宿-飯田線
新宿駅西口の広大なロータリーに面したオフィスビルと、家電量販店に挟まれた狭隘な路地は、中央自動車道沿線の街へ向かう「中央高速バス」のターミナルだった。そうは言…
このブログへの御訪問をありがとうございます。「信州の高速バス大バザール」、やっと迎えた最終回は「県内路線編」です。 トップバッターは、長野と伊那・駒ケ根・飯田…
蒼き山なみを越えて~信州の高速バス大バザール 北信編~その2
このブログへの御来訪に心から感謝します。 さて、1編にまとまらなかった「北信編」、2回目は三大都市圏以外に向かう高速バス路線を紹介致します。 最初は、新潟交…
蒼き山なみを越えて~信州の高速バス大バザール 北信編~その1
このブログへの御来訪に心から感謝します。「信州の高速バス大バザール」第4弾は「北信編」です。まずは、懐かしい写真から御覧下さい。平成4年4月に開業した、東京駅…
このブログにお越し下さいましてありがとうございます。「信州の高速バス大バザール」第3弾は、東信編です。 最初に紹介する写真は、関越自動車道を経由して池袋と佐久…
このブログへの御訪問に心から感謝します。「信州の高速バス大バザール」第2弾は「中信編」です。 最初に紹介するのは、「中央高速バス」新宿-松本線です。昭和63年…
このブログへの御来訪をありがとうございます。 全国の高速バスと鉄道を中心とした旅日記を、徒然なるままに書き記して参りましたが、これから、僕の故郷である信州を縦…
バス旅は続くよどこまでも~駿府ライナーで30年前の高速バス初体験を偲ぶ~
新宿駅南口高速バスターミナルを初めて利用したのは、平成元年10月の開業直後に、新宿と常陸太田を結ぶ常磐高速バス「常陸太田」号に初乗りした時だったと記憶している…
バスタ新宿の賑わいを後にプリンセスロード号で姫路へ~更に京都特急ニュースター号で関西を旅する~
週末のバスタ新宿に足を踏み入れると、予想以上の賑わいだった。1日1500~1700便が集中する本格的な高速バス専用バスターミナルであるから、よそ行きの出で立ち…
新宿発宇治経由枚方行き「宇治」号の呆気ない一夜~新宿と渋谷の高速バスターミナルの思い出とともに~
平成15年の初夏の週末、大阪で所用が出来た僕は、新宿駅西口の新宿高速バスターミナルを23時00分に発車する宇治・枚方行きの夜行高速バス「宇治」号の1席に収まっ…
東京の豪雪の日の放浪記~都営バス「渋51系統」と「小田急箱根高速バス」~
東京品川区の大井町にあるマンションで目を覚ました時に、いつもの朝と何かが違う気がした。 当時、僕が暮らしていたのはワンルームマンションの1階で、庭に面した硝子…
飯坂温泉への平凡な旅~山形新幹線つばさと福島交通、福島-郡山間高速バス~
平成25年11月の週末に、福島県の飯坂温泉で開かれた会議に出席することになった。 温泉で会議とは、どこまで真面目なのか、会議にかこつけてひとっ風呂浴びたいだ…
新幹線の運休で利用した高速バス新潟-長岡線と長岡-高田線~糸魚川-高田線の思い出とともに~
上越新幹線が動いていない── 新潟に来ている東京の人間としては、極めて深刻な事態である。 平成13年の11月12日から、職場の所用で新潟市内に1泊していた僕…
バスを乗り継いで能登半島へ~横浜-金沢間夜行高速バス「ラピュータ」号と「奥能登特急バス」~
横浜駅西口ロータリーのバス乗り場を、時刻表通りの22時00分に発車した金沢行き夜行高速バス「ラピュータ」号は、首都高速三ツ沢線の横浜駅西口ランプの高架に駆け上…
遠い記憶に浮かび上がる北陸の高速バス乗り継ぎ旅~金沢-富山線と富山-新潟線~
金沢から新潟まで、日本海に沿ってのんびりと北陸自動車道を走った今回のバス旅は、前後の記憶が完全に抜けている。 乗り継いだ2本の高速バス、金沢-富山線と富山-新…
晩秋の東北道ミニ・トリップ~「マロニエ東京」号と「マロニエ新宿」号、そして佐野ラーメン~
平成28年11月の休日の朝、僕は、晩秋とは思えないほどの鮮烈な日差しが真上から照りつけている東京駅八重洲南口バスターミナルにいた。朝寝坊したので、既に時計の針…
真夏の夜の夢の旅~群馬発北陸経由大阪行「シルクライナー」と大阪-伊賀上野「忍者ライナー」~
浅草駅を16時20分に発った東武鉄道の特急「りょうもう」号は、時刻表通りの17時25分に館林駅に滑り込んだ。 東武鉄道の特急電車と言えば、浅草と日光や鬼怒川…
鹿児島-熊本間高速バス「きりしま」/「ハイビスカス」号に乗るために新幹線開業前夜の九州へ
あの時は、何を焦っていたのだろう、と今にして思う。 平成16年2月の話である。今回の旅の1番の目的は、当時付き合っていたT子の延岡の実家への訪問であるが、夏休…
「東海道昼特急大阪」号から「宮崎エクスプレス」へ~高速バスと船を乗り継ぐ贅沢な九州行~
「うわあ、高いもんですね」 と、窓の外を見下ろしながら、T子が目を丸くしている。 「そうかな。他とそれほど変わらないんだけどね」「でも、人の頭が、あんなに下に…
夜行バスに乗りたくて1400km~大阪-岡山「吉備エクスプレス」号と岡山-名古屋「チボリ」号~
一夜を、バスの中で過ごしたくなった。 行かなければならない場所も、片付けなければならない用事も、何にもないけれども、夜行バスに乗りたくなったのである。21世紀…
夜行快速「ムーンライト信州」の長い夜~長野-白馬特急バスで善白鉄道を偲ぶ~
夜行快速「ムーンライト信州」は、定刻23時54分に新宿駅10番線を発車した。日中からどんよりと雲が垂れ込めて蒸し暑かった、平成29年7月中旬の週末の夜である。…
故郷へ最後の夜汽車の旅~急行アルプスと急行ちくまを乗り継いだ一夜の物語~
どの駅にも、昼と夜が移り変わる時間帯がある。 帰宅ラッシュの潮が引く時間帯に相当することが多く、ホームやコンコースを歩く人々の姿が目に見えて減り、大量の乗降客…
「ブログリーダー」を活用して、ごんたさんをフォローしませんか?
【主な乗り物:京成「スカイライナー」、リムジンバス成田空港-新宿線】 人間は速さに憧れる生き物である。陸上競技のアスリートは秒単位で競い合い、乗り物でも、超音…
【主な乗り物:多摩動物公園ライオンバス】 多摩動物公園のライオンバスのことを初めて知ったのは、幼少時代に読んだ絵本だったと記憶している。青と白のツートンカラー…
【主な乗り物:東武東上線「TJライナー」、秩父鉄道、西武特急「ちちぶ」】池袋駅の構内に足を踏み入れると、どことなく違和感に戸惑うことが少なくない。30年前に上…
【主な乗り物:つくばエクスプレス線快速電車】 東京が急に暖かくなって、観測史上2番目という早咲きの桜が満開になっていた、平成25年の3月末の平日のこと、南風に…
【主な乗り物:高速バス新宿-千葉・鎌取・土気線】 早暁6時台の新宿駅に着いた時、辺りはまだ薄暗かった。ところが、新宿西口高速バスターミナルに足を運ぶと、寝起き…
【主な乗り物:高速バス東京-ユーカリが丘線「マイタウン・ダイレクトバス」、京成本線・東葉高速鉄道・JR京葉線】 東京駅八重洲口前停留所を定刻17時35分に発車…
【主な乗り物:高速バス東京-白子線、千葉-白子急行線「サンライズライナー」】 ふと、海を見たくなった。 山国で育った僕には、海への憧れがある。東京湾岸の埋め…
【主な乗り物:高速バス「もみじ」号、路線バス塩原温泉-上三依塩原駅線、東武鉄道・野岩鉄道直通快速電車】 平成19年2月の日曜日の朝、塩原温泉行き高速バス「も…
【主な乗り物:高速バス横浜・羽田空港-茂原線、リムジンバス羽田空港-大網線】平成15年3月に、京浜急行バスと小湊鉄道バスが、横浜駅と茂原駅を結ぶ高速バスを開業…
【主な乗り物:高速バス「足利わたらせ」号、特急「日光」】 平成18年の秋の週末、僕は東京駅を14時に発った足利行きの高速バス「足利わたらせ」号に乗っていた。…
【主な乗り物:高速バス「さいたま・つくば」号、「TMライナー」、「ベイライナー水戸・横浜号」、京浜東北線快速電車】 開業後、たった3ヶ月で消えた高速バス路線…
【主な乗り物:高速バス東京-下妻線、関東鉄道バス下妻-つくば線、常磐高速バス「つくば」号メガライナー】平成17年11月、晩秋の肌寒い週末のこと、僕は、錯綜する…
【主な乗り物:リムジンバス羽田空港-五井線、高速バス横浜-五井線】 羽田空港第2ターミナルを定刻20時10分に発車した五井行きのリムジンバスは、次に停車した第…
【主な乗り物:高速バス「スパライナー草津」号、高速バス「上州温泉めぐり」号】 僕の故郷信州と志賀高原や白根火山を隔てて位置する草津温泉は、首都圏から様々な高…
【主な乗り物:リムジンバス羽田空港-八王子・高尾線、羽田空港-立川線】羽田空港と八王子・高尾を結ぶリムジンバスが開業したのは、平成14年11月のことである。…
【主な乗り物:高速バス新宿-TDL線、JR京葉線】「今まで、あなたにあちこち連れていって貰いましたけど」T子がハンカチで鼻を押さえながら呟いた。「ここからバス…
【主な乗り物:東京-勝浦・御宿線、特急「わかしお」】平成14年8月に開業した東京-勝浦・小湊・御宿間高速バスは、平成11年開業の東京-安房鴨川線「アクシー」号…
【主な乗り物:高速バス新宿-大宮・大子・烏山線、JR烏山線】 烏山駅行き高速バス「山あげ」号は、昼でも薄暗い穴倉のような新宿駅南口JR高速バスターミナルを…
【主な乗り物:高速バス東京-君津線、東京湾フェリー】 平成12年7月に、東京と君津を結ぶ高速バスが走り始めた。君津の地名は、首都圏の鉄道をよく利用する人なら…
【主な乗り物:リムジンバス羽田空港-館林・太田・桐生線、高速バス新宿-館林・太田・桐生線】 群馬県は交通に恵まれている印象がある。隣りの長野県で育った人間の…
週末の三宮の高速バスターミナルは混雑していた。 乗り場の隅に佇んでいる僕の視界に、次から次へと様々な人々が現れては消えていくが、大半は、互いに言葉を交わすわけ…
(「蒼き山なみを越えて 第62章 平成25年 快速『信越リレー妙高』~中編~」 の続きです)平成25年の5月に常磐線不通区間の北端である相馬駅や原ノ町駅を訪れ…
(「蒼き山なみを越えて 第62章 平成25年 快速「信越リレー妙高」~前編~」 の続きです)平成25年11月初旬の連休に、金沢から長野を経由して前橋で1泊した…
蛍の光は 遠い日の送り火か小さく見える景色は 陽炎か出会いも別れも夕暮れに預けたら自分の影を探しに 西へ行くああ 日本のどこかに私を待ってる人がいるいい日旅立…
金沢市内の病院に母を見舞い、意外と元気そうな様子に安堵して、金沢駅に戻ったのは、日曜日の午後4時過ぎだった。予約した東京行き夜行高速バスの時間まで、かなりの時…
夜も深まった千葉中央駅は人影も少なく、静まり返っていた。昼から降り続く雨に濡れた路面が、街灯の光を反射して鈍く輝いている。 平成25年10月の夜である。僕は…
平成25年9月上旬の日曜日の話をしたい。夜勤明けだったので、慌ただしく自宅に帰って妻と一憩すると、腕時計を気にしながら、再び自宅を飛び出した。 当時の僕と妻…
平成20年の7月の週末のこと、立川駅で中央線快速電車を降りた僕は、北口のバス乗り場に歩を運んだ。ペデストリアン・デッキに出ると、真夏の太陽の眩しさにくらくらし…
昭和30年代から50年代にかけて、帰省バスが全国を走り回っていた時期があった。お盆や年末年始などの多客期に、殺人的な混雑を呈していた鉄道を補完して、地方から大…
新宿駅西口高速バスターミナルが面した狭隘な路地を抜け出したバスは、高層ビル街を抜けて甲州街道から山手通りに右折し、一路信州を目指して走り始めた。 関越自動車…
平成18年の真夏に、珍しい旅をした。埼玉県のさいたま新都心から仙台へ向かう昼行高速バス、仙台から前橋・高崎へ向かう夜行高速バス、前橋から新潟へ向かう昼行高速バ…
東京駅八重洲南口高速バスターミナルは、広い敷地が狭く感じる程の人出だった。前日は首都圏に雪が降り、東京都内でも数センチの積雪が見られたが、この日はすっかり晴れ…
年末に「中央道特急バス」名古屋-長野線で帰省した僕は、平成18年の正月が明けると、13時05分に長野駅を発車する中部国際空港行きのリムジンバスに乗り込んだ。 …
もうじき日付が変わる頃合いに、東京駅八重洲南口バスターミナルに足を踏み入れると、何台もバスを連ねた23時40分発の名古屋行き「ドリームなごや」3号と、同時発車…
浅草駅を16時20分に発った東武鉄道の特急「りょうもう」号は、時刻表通りの17時25分に館林駅に滑り込んだ。東武鉄道の特急電車と言えば、浅草と日光や鬼怒川を結…
僕の故郷信州と、志賀高原や白根火山を隔てた草津温泉は、首都圏から様々な高速バスで結ばれている。 信州にも温泉は数あれど、高速バスで他県と直結しているのは、「中…
軽井沢駅前には、質素だが鮮やかなイルミネーションが置かれていた。この日は平成16年12月23日、クリスマスが近い。長野新幹線が開通して6年が経ち、新装なった軽…
平成16年の2月の週末、僕は深夜の鳥取駅前にいた。新幹線で神戸入りし、三宮を17時に発つ倉敷行き高速バス「ハーバーライナー」号で日没の山陽自動車道を駆け抜けて…
平成15年の初秋の週末、新宿駅南口の高速バスターミナルを定刻8時20分に発車した「南アルプス」号は、狭い通路をくぐり抜けて明治通りに出ると、新宿4丁目の交差点…
平成14年の盆を長野市の実家で過ごし、急行バス長野-野沢温泉線と長野電鉄木島線の廃止代替バスで木島まで往復した僕は、長野電鉄の特急「志賀高原」を長野駅で降り、…