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因幡屋ぶろぐ https://blog.goo.ne.jp/inabaya2005kiyoko05

因幡屋の劇評ブログです。 舞台は人生の宝。その印象をより的確により豊かに記せますように。

大部分は劇評ですが、ツイッターでは映画やテレビドラマのこともつぶやいております。 https://twitter.com/inabaya_kiyoko 2年前からはじめた俳句も一生懸命!

因幡屋
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2014/11/08

  • 因幡屋通信73号ぶろぐ公開

    遅れに遅れて因幡屋通信最新号の73号がようやく完成し、各設置先へ発送いたしました。今回は2022年後半のトピックに続いてこの年の因幡屋演劇賞、2023年の冬から春のトピックをまとめて記しました。何とぞご笑覧くださいませ。観劇後にblogをアップしたものについてはリンクをしてあります。ご参考までに。今号より「NPO法人阿佐ヶ谷ワークショップ」さまにも設置していただくことになりました。ご理解とご協力に感謝いたします。2022年【秋から冬のトピック】☆9月☆*文学座公演秋元松代作松本祐子演出『マニラ瑞穂記』文学座アトリエ明治時代後期、スペイン統治下のフィリピン・マニラの日本領事館を舞台に、軍人や領事、娼婦に女衒、さらにフィリピンの独立運動に加わる日本人志士らが歴史の荒波に翻弄されながらぶつかり合い、それぞれの道...因幡屋通信73号ぶろぐ公開

  • 唐組・第71回公演『透明人間』

    唐十郎作久保井研+唐十郎演出『透明人間』公式サイトはこちら(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14)新宿・花園神社にて観劇4月22日、岡山市旭川河畔・京橋河川敷で初日を迎え、神戸・湊川公園の上演も無事に終わって5月6日から新宿・花園神社へ。その後雑司ヶ谷・鬼子母神から再び花園神社へ戻り、6月11日、長野市城山公園ふれあい広場でフィナーレとなる。1990年初演からこのたびで6回目。久保井研の演出家デヴュー作品(1998年)でもあり、唐組の財産演目だ。自分は2015年版が初見であり、このときはほぼ30年ぶりの紅テント観劇(そのときのblog記事)とあって、あれから8年が過ぎたことに愕然としつつ、4年ぶりに桟敷席になったテントの前から4番めに腰を下ろした。エンタメ情報サイト「メディアス...唐組・第71回公演『透明人間』

  • 文学座公演『地獄のオルフェウス』

    *テネシー・ウィリアムズ作広田敦郎訳松本祐子演出公式サイトはこちら信濃町・文学座アトリエ23日まで本邦初演は1961年、杉村春子主演による文学座公演とのこと。自分は文学座の倉野章子主演のTPT公演(『地獄のオルフェ』2000年秋こりっち掲載ページには配役もきちんと出ており、大変有益)を観劇して以来となる。松本祐子演出の舞台では、昨年9月の『マニラ瑞穂記』、同じテネシー・ウィリアムズの2010年秋、新国立劇場小劇場上演の『やけたトタン屋根の上の猫』が記憶に残る。アメリカ南部の田舎町の雑貨店を舞台に、自由に羽ばたきたいと切望する魂が、因習と偏見と暴力によって無残に踏みにじられるさまを容赦なく描く。休憩を挟んでおよそ3時間の大作である。名越志保は、その顔立ちや芸風から「和物」のイメージが強い。特に2000年12...文学座公演『地獄のオルフェウス』

  • 岸田今日子記念 円・こどもステージ№41 演劇集団円+シアターχ提携公演『ぼくは人魚』

    *國吉咲貴作後藤彩乃(1,2)演出公式サイトはこちら7日まで両国・シアターχ2018年上演の『はだかナおうさま』と同じ作と演出による童話あそびシリーズ第二弾である。公演チラシには「本当の私って、なんだろう?」のキャッチコピー。深淵で哲学的なメッセージが潜む80分の舞台である。本作は観客にさまざまな疑問を抱かせる。まずはタイトルの「ぼくは人魚」である。アンデルセンの童話『人魚姫』の影響であることはまちがいないが、わたしたちの心には「人魚は人魚姫なのだから女性なのだ」という強固な概念があることに気づかされる。ならば「ぼく」とは誰だろう?公演チラシに掲載の物語のあらすじによれば、好奇心旺盛な人魚のカイリが陸に憧れ、15歳になった日、魔女に「足をください」と頼み込む。魔女は足の代償としてカイリの「私」を貰うと告げ...岸田今日子記念円・こどもステージ№41演劇集団円+シアターχ提携公演『ぼくは人魚』

  • 2023年5月観劇と俳句の予定

    ずっと寒かったのが急に暑くなり、また寒くなった4月が終わって若葉の美しい季節に。観劇は前半多めです。作り手も受け手も心身守られますように。*岸田今日子記念円・こどもステージ№41演劇集団円+シアターχ提携公演國吉咲貴作後藤彩乃(1,2)演出『ぼくは人魚』公式サイトはこちら2018年上演の『はだかのおうさま』(残念未見)と同じ作と演出による童話あそびシリーズ第二弾とのこと。楽しいゴールデンウイークの幕開けになりますように。*團菊祭五月大歌舞伎公式サイトはこちらお友だちが3階B席の最前列を取ってくれまして、昼の部を観劇することに。自分が初めて歌舞伎座に足を踏み入れたのは1985年、十二代目團十郎の襲名披露興行で、そのとき観たのが「若き日の信長」だったことを思い出す。今回は十二世市川團十郎十年祭として、十三代目...2023年5月観劇と俳句の予定

  • 演劇ユニット新派の子特別企画 Salom De Marron~さろん・ど・まろん~ 『明治の雪』『太夫さん』

    *北條秀司作齋藤雅文演出公式サイトはこちら4月13日昼夜2回代々木上原・MUSICASA(ムジカーザ)自分の新派観劇歴はこちら→1,2,3,4,5,6,7,8「まろん」とは波乃久里子が甥御たち(中村勘九郎、七之助)から付けられた愛らしい綽名だ。そのまた息子たち(中村勘太郎、長三郎)は「まろん婆」(まろんば)と呼んでいると聞いたのは「徹子の部屋」であったか。演劇ユニット劇団新派の子は、同劇団文芸部の劇作家・演出家の齋藤雅文を代表に、2020年10月3日結成された。コロナ禍最中の危機的な状況にあって、新派の伝統を重んじながら、新たな演劇活動を追求する志を持つ。これまで2度の公演を行っており、自分はいずれも未見である(公式サイトより1,2)。このたびは齋藤の「久里子さんの声を聞きたい」との切なる願いで実現した一...演劇ユニット新派の子特別企画SalomDeMarron~さろん・ど・まろん~『明治の雪』『太夫さん』

  • 朱の会Vol.6 劇的立体朗読―怪異と幽玄ノ譚―雨月物語と小泉八雲の世界

    *神由紀子構成・演出公式サイトはこちら中野あくとれ9日終了(1,2,2',3,4,5,5',6,7)小説や詩歌を読むと、心の中にいろいろなイメージが沸き、どんどん膨らんでゆく。「この人物にはあの俳優がぴったり」、「クライマックスはこんな音楽が合いそう」等々、さながら脳内ドラマ劇場の様相だ。しかしそれを実際に具現化し、舞台作品として構成するのは至難の業ではないだろうか。朱の会の主宰・神由紀子は、それが出来る演劇人であることを確信した今回の公演であった。前半は短編を6本、10分の休憩を挟んで後半は短編2本と中編1本と、これまでに増して盛りだくさんのプログラムである。さらに今回はプロローグとエピローグが加わり、この形式は2年前同じ中野あくとれでのVol.4公演と同様だ。作者の異なる作品を次々に披露しながら、公演...朱の会Vol.6劇的立体朗読―怪異と幽玄ノ譚―雨月物語と小泉八雲の世界

  • 2023年4月の観劇と俳句の予定

    新年度が始まりました。観劇の予定は次の通り。*朱の会Vol.6劇的立体朗読―怪異と幽玄ノ譚―雨月物語と小泉八雲の世界神由紀子構成・演出公式サイトはこちら(1,2,2',3,4,5,6,7)*演劇ユニット新派の子特別企画SalomDeMarron~さろん・ど・まろん~『明治の雪』『太夫さん(こったいさん)』北條秀司作齋藤雅文演出公式サイトはこちら4月13日のみ代々木上原・MUSICASA(ムジカーザ)*四月大歌舞伎第二部この月から二部制に戻ったため平日の観劇ができなくなったのは残念だが、昨年病気療養で中止された片岡仁左衛門と坂東玉三郎顔合わせの「与話情浮名櫛」がとにかく楽しみ・・・と言っていたら仁左衛門が体調不良で5日から7日まで休演!代役は立てず、夜の部まるごと上演中止とは穏やかではない。尾上松緑、左近親...2023年4月の観劇と俳句の予定

  • 追悼 奈良岡朋子さん

    俳優・奈良岡朋子さんが3月23日(木)逝去された由、代表を務めていた劇団民藝より発表がありました。93歳。天寿を全うされたのですね。しかしわたしはまだまだ奈良岡さんの舞台を観て、考え、学んで書かなければならなかった。俳優・奈良岡朋子と客席の自分との物語は未完のままです。不勉強な者からの追悼として「えびす組劇場見聞録」第42号(2013年12月)を転載いたします。奈良岡さん出演の舞台観劇記録はこちら→1,2,3,4,5,6,7『物語がはじまった~奈良岡朋子のこれまでとこれから~』俳優と観客とのかかわりは不思議だ。自分の意志とは関係なく出会いがおとずれ、いつのまにか自分とその人と、ふたりだけの物語を綴ってゆく。奈良岡朋子。昨年12月1日に83歳の誕生日を迎えた。大滝秀治亡きあと劇団民藝代表として200名近い大...追悼奈良岡朋子さん

  • パラドックス定数 第48項『四兄弟』

    *野木萌葱作・演出公式サイトはこちらシアター風姿花伝26日終了(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30)公演チラシの表は明らかに日本ではない外国の街並み、裏はこれも外国であろう、一面の向日葵畑のセピア色の写真である。さらに表には地球らしき丸いものを囲む4人の人間、燃える火やハート、骨付きの肉のイラスト。裏には「暗い。寒い。腹が減った/このままでは死ぬ。」等々、切羽詰まったつぶやきが詩のように記されている。物語冒頭、父親に支配され、暗闇で寒さと飢えに苦しみながら生き延びるためにあることを決意する四兄弟の台詞である。いつの時代かもどこの国かも特定せず、固有名詞を一切出さないで進行する野木萌...パラドックス定数第48項『四兄弟』

  • ゲッコーパレード出張公演 劇場Ⅱ『少女仮面』

    *唐十郎作黒田瑞仁演出崎田ゆかり主宰・出演公式サイトはこちら下北沢・OFFOFFシアター19日終了劇場に入って驚いた。対面式の場内が大胆に作りかえられ、客席が演技エリアを三方から緩く囲んでいる。OFFOFF劇場でこういうことが可能とは!客席案内のスタッフのほかに、開演前のおよそ30分、出演俳優が一人またひとりと演技エリアに登場し、椅子にかけたり床に座ったり、天井の照明を確認するようなしぐさをしたりなど、微妙な雰囲気を醸し出す。はじめて観劇する劇団だ。劇団名の由来、埼玉県蕨市の旧加藤家住宅を拠点とした多彩な活動歴、それに加えて「出張公演」と銘打った今回の『少女仮面』上演など、公式サイトや公演の当日リーフレットからは、演劇に対する情熱、決意が強く伝わってくる。前記の劇場内の改造、開演前の趣向ともに、非常に意欲...ゲッコーパレード出張公演劇場Ⅱ『少女仮面』

  • 糸あやつり人形 一糸座『少女仮面』

    *唐十郎作天野天街(少年王者舘)演出公式サイトはこちら21日まで赤坂レッドシアターまずは因幡屋の『少女仮面』観劇記録をおさらい。blog記事をリンクいたします。①1982年7月小林勝也演出渡辺えり(当時渡辺えり子)、森下愛子、佐古正人(当時佐古雅誉)他出演渋谷パルコパート3②2019年10月文学座附属研究所研修科の発表会小林勝也演出文学座新モリヤビル③2020年1月トライストーン・エンタテイメント公演杉原邦生演出若村麻由美主演シアタートラムに続いて、③2020年2月月船さらら主宰métro公演天願大介演出月船さらら主演中野・テアトルBONBON④2021年12月新宿梁山泊李麗仙追悼特別公演金守珍演出水嶋カンナ主演芝居砦満天星当初は2020年5月の上演が、コロナ禍や主宰の江戸伝内の病気療養で二度に渡って延期...糸あやつり人形一糸座『少女仮面』

  • 文学座3月アトリエの会『挿話(エピソオド)~A Tropical Fantasy~』

    *加藤道夫作的早演出公式サイトはこちら信濃町・文学座アトリエ26日まで劇作家の加藤道夫が第二次世界大戦末期、陸軍省の通訳官としてニューギニアのソロンという集落で敗戦までを過した体験を基に書き上げた作品とのこと。文学座が1949年三越劇場で初演した。加藤の薫陶を受けた文学座の座友で俳優の川辺久造が、本作上演のために座内勉強会を立ち上げ、2016年6月、演出の的早孝起、俳優の林秀樹、沢田冬樹、横山祥二によるリーディング公演が行われた(未見)。今年1月から3月にかけての文学座通信にはこの経緯が詳しく紹介されており、リーディング公演の当日パンフレット掲載の川辺の寄稿からは、加藤道夫を「劇詩人」として敬愛してやまず、『挿話』の上演への情熱と志が伝わる。それを受けての3月アトリエ公演、作り手の熱意は察するに余りある。...文学座3月アトリエの会『挿話(エピソオド)~ATropicalFantasy~』

  • 演劇ユニット鵺的 第16回公演『デラシネ』

    *高木登作寺十吾(tsumazukinoishi)演出公式サイトはこちら(安心して観劇するための注意事項記載)新宿シアタートップス12日終了(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21+α,22,23,24)昨年は映画や演劇業界でハラスメントの告発が相次いだ。現場では然るべくガイドラインを作成し、対策を講じていることを表明している(鵺的のステートメントはこちら)。鵺的最新作は業界の大御所的存在の男性脚本家飛鳥井宏道(佐瀬弘幸)と、彼の作品に心酔して弟子入りし、脚本家デヴューを目指す女性たち、そして彼の妻と娘をめぐる物語である。何かを表現し、発表しようとする行為が危険を孕むこと、関わる人々を否応なく襲い、時には人生を台無しにするほどでありながら...演劇ユニット鵺的第16回公演『デラシネ』

  • 演劇集団円+シアターχ提携公演『ペリクリーズ』

    *W・シェイクスピア作安西徹雄翻訳中屋敷法仁(柿喰う客)演出公式サイトはこちら両国・シアターχ8日終了本作とはじめて出会ったのは2003年、蜷川幸雄演出による彩の国さいたま芸術劇場の公演である。もう20年も前のことだ。蜷川は戦火の只中にあるどこかの国へやってきた旅の一座による一夜の芝居という外枠を作り、冒頭、爆音が響く中、逃げまどい傷ついて疲弊しきった人々を一人また一人と登場させた。台詞は一切無い。やがて人々は舞台に一列に並び、客席に向かって静かに頭を下げた。「今宵限りの芝居を御覧じろ」ということだ。客席からは拍手が起こり、この趣向を、一座の人々を受け入れたとの応答に、早くも胸が高鳴ったことを思い出す。家族再会の大団円ののち、人々は戦乱の止まぬ地からいずことも知れず、再び旅立ってゆく。喜びに溢れる終幕が夢...演劇集団円+シアターχ提携公演『ペリクリーズ』

  • 2023年3月の観劇と俳句の予定

    2月の宿題がまだ残っていますが、3月の予定は以下の通りです。*演劇集団円+シアターχ提携公演『ペリクリーズ』W・シェイクスピア作安西徹雄翻訳中屋敷法仁(柿喰う客)公式サイトはこちら過酷な運命に翻弄された男が家族に再会するまでの奇跡の物語が日本で初めて上演されたのは、1976年演劇集団円であった!(未見)自分は2003年、蜷川幸雄演出の舞台以来の観劇となる。*演劇ユニット鵺的第16回公演『デラシネ』(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21+α,22,23,24)高木登作寺十吾(tsumazukinoishi)演出公式サイトはこちら(安心して観劇するための注意事項記載)懐かしい新宿シアタートップスに再び足を運べるのは嬉しい限り。飲食店の入った...2023年3月の観劇と俳句の予定

  • 秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場 第129回公演『行きたい場所をどうぞ』

    *瀬戸山美咲作大谷賢治郎演出公式サイトはこちら紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA28日終了瀬戸山美咲作品(演出のみ含め)観劇の記録→(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23、24,25,26,27,28,29,30,31,32,33)スーパーや量販店のセルフレジ、ファミリレストランやチェーン飲食店でのタブレット注文は当たり前。オムライスを席まで運ぶどころか、将棋やチェスの試合で名人を凌ぐAIロボットが登場するほどだ。春近い2月末、青年劇場が上演したのは、AIロボットと女子高校生が「行きたい場所」を探して旅をする物語だ。細木を組み立てた大きな柱が数本立つシンプルな舞台に、白やグレー、黒などモノトーンの衣装をつけた俳優が...秋田雨雀・土方与志記念青年劇場第129回公演『行きたい場所をどうぞ』

  • 名取事務所公演 パレスチナ演劇シリーズ『占領の囚人たち』

    *公式サイトはこちら下北沢「劇」小劇場26日終了ユダヤ系イスラエル人作家エイナット・ヴァイツマンがパレスチナ人の囚人たち(元・現在いずれも)と作り上げたドキュメンタリー演劇『PrisonersoftheOccupation』、ヴァイツマンとSNS投稿が原因で逮捕、収監された詩人ダーリーン・タートゥールによる独白劇『I,DareenT.』が本邦初演の運びとなった。日本の制作者陣が現地での滞在制作を行い、パレスチナ人俳優のカーメル・バーシャーを日本に迎えての上演である。翻訳・ドラマトゥルクは渡辺真帆、演出は文学座の生田みゆき(1,2,3,4,5,6,7)。生田は2020年2月の同事務所パレスチナ演劇上演シリーズで『帽子と予言者』『鳥が鳴き止む時-占領下のラマッラー-』2本立ての演出を担っている。「パレスチナ演...名取事務所公演パレスチナ演劇シリーズ『占領の囚人たち』

  • PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『笑の大学』

    *三谷幸喜作・演出公式サイトはこちらPARCO劇場3月5日までその後新潟、松本、大阪、宮城、兵庫、那覇を巡演。1996年初演、1998年アンコール上演され、大評判を得た西村まさ彦(当時雅彦)と近藤芳正共演の舞台(山田和也演出)の観劇は叶わなかったが、テレビの舞台中継の録画を繰り返し視聴した。PARCO劇場開場50周年記念シリーズと銘打った25年ぶりの再演は、検閲官向坂を内野聖陽、劇作家椿を瀬戸康史が演じ、三谷みずからが演出する。無駄や隙のない演出に俳優ふたりが見事に応え、台詞の間合いや緩急、表情や仕草の一つひとつが舞台に良きリズムを生み、客席も大いにわく。ただし前記のように録画を何度も視聴したため、物語の流れ、やりとりなど覚えてしまっている場面も少なからず。初観劇の新鮮な驚きやおかしみはなく、周囲ほど笑え...PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『笑の大学』

  • 劇団民藝公演『ノア美容室』

    *ナガイヒデミ作中島裕一郎演出公式サイトはこちら紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA19日まで『送り火』(2017年)、『白い花』(2020年)に続くナガイヒデミ3作めの民藝書下ろしは、瀬戸内のとある農村の小さなパーマ屋「ノア美容室」が舞台である。時は2013年夏、美容師の櫟木(くぬぎ)緑(日色ともゑ)と農家の主婦である馴染み客のあかり(船坂博子)が鏡を覗き込みながらのやりとりに始まる。―初日を迎えたばかりの公演です。これからご覧になる方はご注意を―床の掃除やこまごまとした手伝いをしているのは住み込み修行時代からの緑の後輩弓岡麻帆(白石珠江)だ。「新道を使えば車で40分」のところで美容室を経営している。そこへ緑の孫・名越映子(加來梨夏子)が「ただいま」と言ってやってきた。四国は愛媛のことばはゆった...劇団民藝公演『ノア美容室』

  • 東京芸術座 アトリエ公演№45『おんやりょう』

    *内藤裕子作・演出公式サイトはこちら上井草・東京芸術座アトリエ(内藤裕子関連のblog記事→『かっぽれ!』シリーズ4作含むgreenflowers公演の記録、劇団内外作・演出および演出1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11)昨年の演劇集団円公演『ソハ、福ノヨルトコロ』が紀伊国屋演劇賞個人賞、名取事務所公演『カタブイ、1972』が鶴屋南北戯曲賞を受賞するなど、内藤裕子は評伝劇、社会問題劇の方向へ舵を切りつつあるが、2017年4月初演の東京芸術座アトリエ公演『おんやりょう』は、社会で懸命に働く人々の奮闘を綿密な現場の取材に裏打ちされた細やかで温かな眼差しで描いた佳品である。6年後の2023年2月、一部の配役や登場人物の設定を変更して、物語の時は初演の2017年4月、桜の季節そのままに再演された。西武新...東京芸術座アトリエ公演№45『おんやりょう』

  • 唐組若手公演・第70回公演『赤い靴』

    *唐十郎作加藤野奈演出久保井研監修公式サイトはこちら下北沢・駅前劇場5日まで2023都民芸術フェスティバル、第33回下北沢演劇祭参加(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13)本作の上演歴を少し調べてみると、初演は1996年秋。当時渋谷のさくら通り沿いにあった映画館の渋谷ユーロスペース2を「幻想劇場館」として上演されており、林海象監督、唐十郎脚本・主演の映画『海ほおずき』上映との連携公演であった。その後2002年冬に阿佐谷のスタジオ・アルスノーヴァでの新人公演、春には横浜赤レンガ倉庫1号館開館記念公演が行われたとのこと。いずれも紅テントではなく映画館やスタジオ、劇場といった「箱もの」で、若手公演第二弾と銘打った今回も、下北沢・駅前劇場である。これは偶然なのか、作品の持つ必然性なのか。前回...唐組若手公演・第70回公演『赤い靴』

  • 2023年2月の観劇と俳句の予定

    第8波が収まったのか、それとも次なる波の前なのか。こんな思いをもう3年もしているのですね。昨年の今ごろは自宅療養中でしたが、つい昨日のことのようでもあり、遠い昔のようにも思えます。舞台の作り手、受け手ともに心身が守られますように。*唐組若手公演第70回公演唐十郎作加藤野奈演出久保井研監修『赤い靴』公式サイトはこちら下北沢・駅前劇場(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13)一昨年冬の若手公演第一弾『少女都市からの呼び声』の印象は今でも鮮烈だ(blog、通信)。今回は中堅の加藤野奈が演出を担う。監修の久保井研は公演チラシに「さあ、行け/思う存分、暴れてこい!」と檄を飛ばす。こちらも確と臨みます。*東京芸術座アトリエ公演№45内藤裕子作・演出『おんやりょう』公式サイトはこちら上井草・東京芸術...2023年2月の観劇と俳句の予定

  • 演劇集団Ring-Bong 第10回公演 『さなぎになりたい子どもたち』

    *座・高円寺冬の劇場22日本劇作家協会プログラム山谷典子作(1,2,3,4)藤井ごう演出公式サイトはこちら座・高円寺122日(日)終了2021年4月から2022年3月まで、東京都世田谷区の公立中学の保健室を主な舞台とし、教師と生徒、その親など総勢12名が登場し、コロナ禍真っ只中における子どもと大人、社会、この国のありようを炙り出し、問いかける物語だ。休憩無しの約2時間10分、客席は息をつめて舞台の人々を見守り、その声に耳を傾ける。作り手の誠実な姿勢が伝わり、劇場は温かな空気に包まれた。元看護師だった養護教諭の高岡美穂(鬼頭典子/文学座)が誰かと電話で話す場面に始まるが、ここで早くも彼女がただごとではない状況に置かれているらしい不穏な滑り出しである。鬼頭典子は前回公演の『みえないランドセル』の助産師、また名...演劇集団Ring-Bong第10回公演『さなぎになりたい子どもたち』

  • 2023年1月の観劇と俳句の予定

    明けましておめでとうございます。親戚友人知人にコロナ感染の知らせ続々におののく年末年始、インフルエンザも猛威を振るっており、気の抜けない日々が続きます。舞台の作り手の方々、そして劇場に足を運ぶ方々いずれも、どうか心身守られますよう。年明けは劇団東京乾電池公演『十二人の怒れる男』を早々に見逃したのが残念です。*新春浅草花形歌舞伎・・・お正月の浅草歌舞伎が3年ぶりに開幕。第2部の「傾城反魂香」、「連獅子」の観劇を予定しています。浅草散策も楽しみたいところですが、しばし我慢ですね。*RingBong公演山谷典子作(1,2,3,4)藤井ごう演出『さなぎになりたいどもたち』座・高円寺・・・悩む人に対して、「人生はいつでも、いつからでもやり直しができる」と励まし、またそうできる社会でなければと思います。公演チラシには...2023年1月の観劇と俳句の予定

  • 2022年因幡屋演劇賞

    いつになく早い年末の訪れに寄せて、以下感謝と喜びを以て発表いたします。タイトルには観劇後のblog記事をリンクしておりますので、よろしかったらご参考までに。☆演劇集団円公演マーティン・マクドナー作小川絵梨子役寺十吾演出『ピローマン』@俳優座劇場・・・こんなに陰鬱で残虐な物語なのに、待った甲斐があったと晴れやかな気持ちで帰路に着く。自分を変にしてくれる芝居が好きだ。☆朱の回第5回公演藤沢周平作神由紀子構成・演出『朝焼け』@野方・BookTradeCaféどうひん・・・節目の5回公演で、本ユニットのひとつの達成点を示す舞台。11月には早々のアンコール公演、先日の小公演Vol.2「太宰治特集」も盛況に終わり、着実な歩みを示した。☆六月大歌舞伎有吉佐和子作齋藤雅文演出/坂東玉三郎演出『ふるあめりかに袖はぬらさじ』...2022年因幡屋演劇賞

  • 朱の会小公演Vol.2「太宰治特集」

    *公式サイトはこちら(1,2,2',3,4,5,6)阿佐谷ワークショップ24、25日2回公演先月アンコール公演∔有吉朝子作品を披露したばかりの朱の会による太宰治3作品の朗読公演。今回は佐藤史織による津軽三味線演奏も加わった。☆『眉山』・・・「これは、れいの飲食店閉鎖の命令が、未だ発せられない前のお話である」というはじまりに、「もしやコロナ禍の?」とドキリとするが、本作は1948年(昭和23年)3月「小説新潮」に発表された短編小説である。時代は敗戦から数年後、帝都座の裏にある若松屋という飲み屋の常連である作家の「僕」が思い出を語る形式だ。高井康行がひとりで朗読する。若松屋にはトシちゃんという若い女中がいる。文学が好きだからと作家たちの宴席に首を突っ込み、知ったかぶりの無智な発言から「眉山」と綽名が付いた。客...朱の会小公演Vol.2「太宰治特集」

  • 【追悼】西村博子さん

    12月14日、新宿タイニイアリスのオーナーで演劇研究者の西村博子さんが逝去されました。出会いは2007年6月、劇団印象公演『父産』(「とうさん」/鈴木アツト作・演出)がきっかけです。「因幡屋ぶろぐ」の観劇記事をアリスのHPにリンクしてくださって、メールのやりとりがあり、そのすぐあとでしたか、別の劇団の公演に再びアリスへ行って終演後に階段を上っていたとき、「もしかして宮本さん?」と呼び止められたのです。どうしておわかりになったのですかとたまげていると、「わたし、こういうの、わかるの」とにっこり。それがご縁になって、アリスに乗り込んでくるイキのいい若手劇団に次々と出会えたこと、特に大阪の劇団Mayとの出会いは大きかった(2015年3月、最後のアリスフェスティバル公演記事→『零度の掌』)。舞台の勢いに負けまいと...【追悼】西村博子さん

  • 劇団劇作家主催12月公演/平林たい子没後50周年記念 『世界が私を嫌っても』

    *有吉朝子(1,2,3)作西本由香(文学座)演出公式サイトはこちら(劇団劇作家1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12)下落合/TACCS117918日終了本作は「日本の劇」戯曲賞2020において佳作に選出、翌年9月、南河内万歳一座の内藤裕敬の演出による成果発表のリーディング公演を経て、このたび「劇団劇作家主催の公演としては、初めての台本を持たずに演じる形式」(当日パンフレット掲載の有吉の挨拶文)で上演の運びとなった。舞台には数本のグレーの柱、その前に平台が少し斜めの向きに置かれている。この台を主な演技エリアとして、たい子の故郷である信州諏訪から東京、駅の待合室や書店、座敷等々、屋内外自在にどんどん変わってゆく。大正6年(1917年)、主人公のたい子が12歳の夏にはじまり、戦中戦後を経て昭和3...劇団劇作家主催12月公演/平林たい子没後50周年記念『世界が私を嫌っても』

  • 復帰50年企画・共同制作『カタブイ、1972』

    *ACO沖縄/名取事務所共同制作内藤裕子作・演出公式サイトはこちら11月30日~12月4日沖縄・ひめゆりピースホール12月15日~18日下北沢・小劇場B1沖縄でタクシー運転手をしながらさとうきび農家を営む波平誠治と家族の1971年12月から翌1972年5月15日までの物語(内藤裕子関連のblog記事→『かっぽれ!』シリーズ、他1,2,3,4,5)である。観劇当日は名取事務所プロデューサーの名取敏行によるプレトークが行われ、本作企画の経緯や今後の予定などが淡々と語られた。本作が内藤裕子による家族劇3部作の第1弾であり、1995年、2025年と続く企画であることがしっかりと心に刻みつけられての開幕。期待が高まる。「カタブイ」とは「片降り」であり、片側だけ雨が降ることを指す。こちら側は大雨が降っているのに、向こ...復帰50年企画・共同制作『カタブイ、1972』

  • 動物自殺倶楽部第2回公演 『凪の果て』

    *高木登(演劇ユニット鵺的)作小崎愛美里(フロアトポロジー/演劇ユニット鵺的)演出公式サイトはこちら雑遊18日まで高木登作品の過去記事→23が動物自殺倶楽部の旗揚げ公演記事(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21+α,22,23)ステージには椅子が3脚、客席に対して斜めの向きに置かれている。ある弁護士事務所の一室。妻の市原茜(三浦葵/劇団いいのか・・・?)は離婚に応じない。彼女が雇った弁護士の笹井(函波窓/ヒノカサの虜)は切れ者のの印象だ。対する夫の市原丈留(たける・橋本恵一郎)には愛人がおり、彼女と再婚するためにひたすら離婚を願っている。彼の側の弁護士稗田晶子(赤猫座ちこ/牡丹茶房・動物自殺倶楽部)はまだ若いが、誠実な姿勢が感じられる。...動物自殺倶楽部第2回公演『凪の果て』

  • 文学座12月アトリエの会 『文、分、異聞』

    *原田ゆう作所奏演出公式サイトはこちら信濃町/文学座アトリエ15日までタイトルは「ぶんぶんいぶん」と読む。休憩無し、1時間55分。年初に福田恆存はじめ29名の脱退者を出した1963年(昭和38年)の11月20日、東京・信濃町の文学座では、当時文学座文芸演出部に籍を置いていた三島由紀夫が書き下ろした『喜びの琴』の翌64年の正月公演の是非を巡って議論が紛糾、さらなる分裂の危機を迎えようとしていた。幹部俳優や総務部、研究生ながら主役に抜擢された若者などが喧々諤々の議論を展開する。イヌイさん、スギムラさん、ナガオカさんなどと呼び合うやりとりは、「史実を基にしたフィクション」ではなく、まさに実在の人物が実名で登場する「ドキュメンタリー演劇か」と身構えたが、いくら60年前とは言え髪型や服装など、あの杉村春子先生とは似...文学座12月アトリエの会『文、分、異聞』

  • 劇団民藝公演 『モデレート・ソプラノ』

    *デイヴィッド・ヘア作丹野郁弓訳・演出公式サイトはこちら紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA10日終了デイヴィッド・ヘア作品の観劇歴を振り返ると(記載はいずれも「デヴィッド・ヘア」)『スタッフ・ハプンズ』(2006年燐光群坂手洋二演出)、ドラマリーディング『パーマネント・ウェイ』(2008年同渡辺美佐子が主演した2005年の観劇のblog記事無し。因幡屋通信22号に劇評記載)、映画『スカイライト』(2015年ナショナルシアターライヴ)、『ブルールーム』(2016年PLAY/GROUNDvol.0井上裕朗演出ver.A)、ドキュメンタリー要素の濃厚な鋭い筆致、複雑なドラマ性など幅が広く、奥の深い作風である。今回の『モデレート・ソプラノ』はナチスドイツが台頭する1930年代に始まり、戦後の50年代、6...劇団民藝公演『モデレート・ソプラノ』

  • 2022年12月の観劇と俳句の予定

    11月の宿題がまだ残っているのですが、12月の予定を先にアップします。カレンダーが最後の1枚になると、やらねばならないこと山積なのに、あれもこれもまだだよという焦燥感がいっそう募ります。慌てず落ち着いて一つひとつ大事に。*劇団民藝公演デイヴィッド・ヘア作丹野郁弓訳・演出『モデレート・ソプラノ』デイヴィッド・ヘアのヒット作の本邦初演。1930年代から戦後、そしてまた30年代に戻るという重層的な構造とのこと。*文学座12月アトリエの会原田ゆう作所奏演出『文、分、異聞』舞台は1963年の文学座。年初に大量の脱退者を出した劇団で、翌年の正月公演である三島由紀夫の書下ろし『喜びの琴』上演の是非をめぐって紛糾、再び分裂の危機を迎えている。「宙づりになった作品に、研究生という名の宙ぶらりんの若者たちが揺さぶられ、未来に...2022年12月の観劇と俳句の予定

  • ティーファクトリー T Crossroad 短編戯曲祭《花鳥風月》「秋」Dプロ+Iプロ

    ☆公式サイトはこちら川村毅演出雑遊27日終了2021年冬上演の「2020年の世界」観劇の記録→1,2,32022年「夏」→1,2戯曲が観客の前で産声をあげ、育ちゆくプロセスを味わうシリーズの「秋」は全9作品。ようやく駆け込んだ千秋楽の客席はキャンセル待ちの出る盛況だ。☆Dプロ竹田行人作『淡い月』雨あがりの朝、高校教師の水川りん(山崎美貴)が、出席日数が足りない受け持ちの生徒・月下亜和(和田真季乃)の家を訪ね、母親と話がしたいと言う。亜和は母親はまだ寝ていると答えるが、何となく雰囲気がおかしい。やがて出た来た中学生の妹のチエ(石森咲妃)は姉と正反対で、りんへの挨拶の言葉づかいも立ち居振る舞いも申し分ない優等生である。チラシにはりんの年齢が28歳と明記されており、演じる山崎とはいささか差があるものの不自然では...ティーファクトリーTCrossroad短編戯曲祭《花鳥風月》「秋」Dプロ+Iプロ

  • PLAN39 『クドい十二人の女』

    *表情豊脚本・演出公式サイトはこちら富士見台/アルネ54327日終了ある劇団が新作公演のために合宿を行おうとしている。集まってくるのは劇団員はじめオーディションの合格者や主宰の作・演出家「表情豊」から声を掛けられた女優たち、主宰のマネージャー、合宿所の管理人の合わせて12人だ。タイトルの通り、「クドい」女たちが繰り広げる2時間弱の群像劇だ。昨年中止となった公演に出演者が再び集結し、上演の運びになったとのこと。ひとしおであろう関係者の喜びと熱気が爆発する舞台であった。演劇業界の裏事情や創作現場の事情を容赦なく晒しつつ、そこに吸い寄せられてしまう人々のどうしようもない性(さが)がぶつかり合って大騒動が展開する。女たちをここまで狂わせ、混乱させる「豊さん」とは、いったいどういう人物なのかが物語の重要な軸なのだが...PLAN39『クドい十二人の女』

  • 朱の会公演―朱の会アンコール+有吉朝子作品

    *公式サイトはこちら(1,2,2',3,4,5)阿佐谷/アートスペース・プロット11月22日2回公演劇団劇作家(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12)の有吉朝子(1,2)の新作『波津子―レディの肖像』と、今年5月の本公演で好評を得た藤沢周平『朝焼け』がリーディング上演された。構成、演出はいずれも主宰の神由紀子。夜の部を観劇した。第1部有吉朝子作『波津子―レディの肖像』…『月・白き水晶の夜』を二人芝居として書き下ろした新作である。関東大震災から1年後の大正13年の秋、東京府立精神病院の一室が舞台である。そこは自分をレディと呼ばせている女性患者の個室らしい。彼女は明治政府の高官・九鬼隆一のかつての妻であり、近代日本美術の先駆者である岡倉覚三(天心)の愛人であった星崎波津子(神由紀子)である。そ...朱の会公演―朱の会アンコール+有吉朝子作品

  • 二兎社公演46 『歌わせたい男たち』

    *永井愛作・演出公式サイトはこちら11月13日埼玉で初日、東京芸術劇場シアターイースト公演は12月11日までその後来年2月まで愛知、滋賀、山形、兵庫、長野、福岡、岩手をツアー(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12)2005年秋の初演(blog記事)は第5回朝日舞台芸術賞グランプリ、第13回読売演劇大賞最優秀作品賞を受賞するなど高い評価を得た。2008年の再演を経て14年ぶりのお目見得だ。2008年3月。卒業式を2時間後に控えた都立高校の保健室が舞台である。シャンソン歌手に見切りをつけ、音楽講師となって間もない仲ミチル(キムラ緑子)は、卒業式でのピアノ伴奏に四苦八苦。コンタクトレンズを落し、眩暈に襲われて保健室で休んでいるところへ、養護教諭の按部(うらじぬの)、校長(相島一之)、紋付き袴の衣...二兎社公演46『歌わせたい男たち』

  • studio salt 第22回公演『うたかた』

    ☆椎名泉水作・演出『うたかた』公式サイトはこちら川崎市・溝ノ口劇場23日まで(1,2,3,4,5,6,6`,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23)昨年上演の『2メートル2021』を見逃してしまい、スタジオソルトの舞台を観るのは3年半ぶりとなった(あいだに配信公演あり)。会場の溝ノ口劇場は、JR武蔵溝ノ口駅、東急田園都市線溝の口駅の喧騒から徒歩7、8分か。1階が「溝ノ口カレー」という、その名の通りカレー屋なのだが、ピアノと音響設備を備えたライヴハウスでもあり、溝ノ口劇場と連携したイベントも行うとのこと。スタジオソルトの特徴のひとつとして、「場所」の個性を上演作品に取り込み、活かすことがあげられる。今回の『うたかた』は、1階がカレー屋で、そこには本やア...studiosalt第22回公演『うたかた』

  • 劇団フライングステージ 第48回公演『Four Seasons 四季 2022』

    *関根信一作・演出公式サイトはこちら下北沢・OFF・OFF劇場6日終了(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24)フライングステージは今年創立30周年を迎える。今回の『FourSeasons四季2022』は、2003年初演の『FourSeasons四季』に登場したゲイたちの2022年を描いた作品で、自分は初演を見ていないが、2005年にはじめて足を運んだフライングステージの公演が再演の『FourSeasons四季』で、「あのときのあの人にまた会えた」という懐かしさだけでなく、あっという間に過ぎた17年の年月を実感せずにはいられず、苦さを伴う観劇となった。50代ともなると、親世代の老いや死は「必須科目」のごとく襲いかかる。と...劇団フライングステージ第48回公演『FourSeasons四季2022』

  • 第19回 明治大学シェイクスピアプロジェクト『夏の世の夢』

    *原作W.シェイクスピア翻訳コラプターズ(学生翻訳チーム)プロデューサー金子真紘演出養父明音(1,2,3,4,5,6,7,8)公式サイトはこちら明治大学駿河台キャンパス・アカデミーコモン6日まで昨夜の『二人の貴公子』に続いて、『夏の夜の夢』を観劇した。妖精パックが魔法を間違えたために起こる、二組の若い男女の恋の大混乱の顛末。いわばシェイクスピアのラブコメ決定版である。初めて本作を観たのは、確か東京女子大学のシェイクスピア研究会公演ではなかったか。女子大ゆえ、キャストは全員女性であった。そのあと夢中になったのは、出口典雄率いるシェイクスピアシアターだ。海外の劇団によるものや、柄本明演出の東京乾電池版もあった等々、思い出は尽きない。さまざまな座組による『夏の夜の夢』を体験してなお、今回のMSPの舞台は新鮮で楽...第19回明治大学シェイクスピアプロジェクト『夏の世の夢』

  • 第19回 明治大学シェイクスピアプロジェクト『二人の貴公子』

    *原作J・フレッチャー翻訳コラプターズ(学生翻訳チーム)プロデューサー金子真紘演出養父明音(1,2,3,4,5,6,7,8)公式サイトはこちら明治大学駿河台キャンパス・アカデミーコモン6日まで今回のシェイクスピアの『夏の夜の夢』と、J・フレッチャー『二人の貴公子』の交互上演にあたっては、2016年の第13回公演が『MidsummerNightmare』のタイトルで、2つの作品をひとつに再構成し、二部作として上演されたことを踏まえておく必要がある。公演パンフレット記載のコーディネーター・井上優教授の寄稿によれば、コロナ禍に鑑み、「二部作ではなく、2本立てにして、状況が許せば2本上演のつもりで準備を進めるが、厳しい場合は『夏の夜の夢』のみにする」という、感染状況の変化に対応可能な形式を試みたとのこと。ここに大...第19回明治大学シェイクスピアプロジェクト『二人の貴公子』

  • 2022年11月の観劇と俳句の予定

    ついこのあいだまで夏だったのに、秋を味わう間もなく早や冬の足音と季語が迫っています。観劇は次の通り。*第19回明治大学シェイクスピアプロジェクト(MSP1,2,3,4,5,6,7,8)公式サイトはこちら『夏の夜の夢』/『二人の貴公子』―恋をすると、人は「おかしく」なる。シェイクスピアの『夏の夜の夢』と、J・フレッチャー『二人の貴公子』の交互上演の試み。9月のラボ公演『短夜、夢ふたつ』の手応えも上々、期待が高まる。*劇団フライングステージ第48回公演『FourSeasons四季2022』関根信一作・演出公式サイトはこちら(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24)今年創立30周年を迎えるフライングステージが2年ぶりに下北沢・...2022年11月の観劇と俳句の予定

  • 因幡屋通信72号ぶろぐ公開

    お待たせいたしました。因幡屋通信72号を以下公開いたします。メイン劇評1本と、5月から8月のトピックです。どうかお楽しみくださいませ。開幕ベルはひそやかに―『ふるあめりかに袖はぬらさじ』と『亀遊の死』行き来の楽しみ―六月大歌舞伎第三部『ふるあめりかに袖はぬらさじ』有吉佐和子作齋藤雅文演出坂東玉三郎演出成瀬芳一演出補織田音也美術前田剛美術中村圭佑照明今藤政太郎劇中歌作曲内藤博司効果6月2日~27日歌舞伎座◇はじめに―◇昨年11月に二代目中村吉右衛門が亡くなって以来、「○○さんのこのお役は、これが最後になるのでは」という思いが募る。それゆえ六月大歌舞伎の『与話情浮名横櫛』が、与三郎役の十五代目片岡仁左衛門の病気療養のために休演と知ったときは、甚く落胆した。ところが代替の演目『ふるあめりかに袖はぬらさじ』(以後...因幡屋通信72号ぶろぐ公開

  • 文学座公演 『欲望という名の電車』

    *テネシー・ウィリアムズ作小田島恒志訳高橋正徳演出公式サイトはこちら紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA11月6日までこれまで本作を観劇したのは、2002年蜷川幸雄演出のシアタコクーン版(「えびす組劇場見聞録」掲載/大竹しのぶ、堤真一、寺島しのぶ共演)、2007年篠井英介版、2011年松尾スズキ演出のパルコ劇場版で、日本が1953年杉村春子のブランチで初演以来繰り返し再演された、いわば「本家本元」の文学座版は未見である。今回35年ぶりの文学座公演は、高橋正徳演出、山本郁子のブランチ、鍛冶直人のスタンリー(横田栄司が体調不良により降板)、渋谷はるかのステラの布陣である。高橋は3年前の『ガラスの動物園』に続いて、テネシー・ウィリアムズの大作に挑んだ。舞台の作り方や俳優の演技に正解はなく、いろいろな趣向...文学座公演『欲望という名の電車』

  • 因幡屋通信72号完成

    おかげさまで因幡屋通信72号が出来上がりました。各設置先へ発送中です。今回のメイン劇評は「開幕ベルはひそやかに」と題しまして、六月大歌舞伎より坂東玉三郎主演『ふるあめりかに袖はぬらさじ』、5月から8月に観劇した舞台よりトピック、映画や展示会についても記しております(画像は通信の一部と昨日開幕した展覧会「岡本太郎」の超迫力チラシ)。今回より設置再開となりましたのが、下北沢の「本屋B&B」さま、鳥取市鹿野町の「鳥の劇場」さま、愛媛県松山市の「シアターねこ」さま、大阪の「浄土宗應典院」さまです。厳しい状況が続く中、ご快諾ありがとうございました。そして新規設置先としまして、横浜の「若葉町ウォーフ」さま、岡山市のNPO法人「アートファーム」さま、岩手県盛岡市の「盛岡劇場」さまにお目見得することになりました。まことに...因幡屋通信72号完成

  • 劇団劇作家10月公演 リーディングミュージカル『Killer Queens!』(キラークィーンズ)

    *モスクワカヌ(劇団劇作家)脚本赤澤ムック演出伊藤靖浩音楽公式サイトはこちらこれまでの劇団劇作家関連の記事はこちら→(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11)下落合・TACCS117916日終了昨年の『ヴェガとアルテオ』に続く劇団劇作家の「リーディングミュージカル」の第二弾は、切り裂きジャックと並ぶ「KillerQueen」(キラークィーン)を選ぶコンテストパーティが開かれ、実在した古今東西の8人の女性キラーたちが招かれて、「われこそは女王」と競い合うというもの。8人の女性キラーは、シャルロット・コルデー(関森絵美)ファゼカシュ・ジュジャンナ(伊藤昌子)、エルジェーベト・バートリ(神由紀子/朱の会)、高橋お伝(小見美幸)、イーディス・トンプソン(角島美緒)、アイリーン・ウォーノス(中谷弥生)、ポニ...劇団劇作家10月公演リーディングミュージカル『KillerQueens!』(キラークィーンズ)

  • 唐組・第69回公演『改訂の巻 秘密の花園』

    *唐十郎作久保井研+唐十郎演出公式サイトはこちら猿楽通り沿い特設紅テントが3年ぶりに聳え立った。泉鏡花文学賞制定50周年記念、「金沢泉鏡花フェスティバル2022」招待作品として、金沢市民芸術村・憩いの広場での公演も行われ、雑司ヶ谷・鬼子母神公演へと続く(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12)。本作は1982年本多劇場の杮落しの初演以来、唐組だけでなく、さまざまな座組で上演されている。自分は2016年春の唐組公演が初めての出会いだが、唐組俳優のみごとな客入れに導かれて開演を迎える高揚感に浸り、本編については記していない。2018年東京芸術劇場での公演(福原充則演出公式サイト)についても書けないままである。キャバレーの多い町・日暮里にある古いアパートに住む大貫(久保井研)といちよ(一葉/藤井由...唐組・第69回公演『改訂の巻秘密の花園』

  • 演劇集団円 『ソハ、福ノ倚 ルトコロ』

    *内藤裕子作・演出(内藤裕子関連のblog記事→『かっぽれ!』シリーズ、他1,2,3,4)公式サイトはこちら吉祥寺シアター16日まで2022年の芝居はじめは大雪の翌日の国立劇場公演「南総里見八犬伝」であった。内藤裕子の新作は、曲亭馬琴(佐々木陸)と嫁の路(髙橋理恵子)による『南総里見八犬伝』完結までの物語だ。円の公演で、日本髪を結い、着物と草履の本格的な時代物を観劇するのはこれが初めてか。公演パンフレットに「サスティナブルな作品制作の試み」というチラシが折り込まれており、今回の公演では環境負荷の少ない舞台作りを目標に、可能な限りリサイクル可能な素材を用いた大道具小道具、衣裳が使われているとのこと。畳と障子だけのごくシンプルな装置は可動式で、登場人物たちによってテンポよく場面転換が行われ、馬琴の書斎やその妻...演劇集団円『ソハ、福ノ倚ルトコロ』

  • GORCH BROTHERS 2.1『MUDLARKS 』(マッドラークス)

    *ヴィッキー・ドノヒュー作髙田曜子翻訳川名幸宏演出(作・演出、演出のみも含め1,2,3,4,5,6,7,8,9)公式サイトはこちら下北沢ザ・スズナリ9日終了3人の出演俳優(永島敬三/ウェイン、玉置玲央/ジェイク、田中穂先/チャーリー…彼らは劇団「柿喰う客」メンバー)と演出の川名幸宏(東京夜光)が所属するゴーチ・ブラザーズによる新しいプロジェクト「GORCHBROTHERS2.1」の第一弾であること。これが本公演の第一の特徴である。当日配布のチラシおよびパンフレット掲載のプロデューサーの大石直人の挨拶文には、2020年からのコロナ禍において始まったこの企画が、2022年秋に実現する喜びや期待、関わる人々への感謝などが記されている。活動の具体的な内容は語られていないが、この特殊状況での演劇の現場の苦悩や葛藤、...GORCHBROTHERS2.1『MUDLARKS』(マッドラークス)

  • 劇団印象-indian elephant- 第29回公演 『カレル・チャペック―水の足音』

    *鈴木アツト作・演出公式サイトはこちら(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28第28回公演『ジョージ・オーウェル―沈黙の声』はblog記事無し)。『ロボット(R.U.R)』、『山椒魚戦争』などで知られるチェコの劇作家・小説家のカレル・チャペックが本作の主人公である(Wikipedia)。物語は1921年1月25日、自身の書いた戯曲の公演初日のチャペック兄弟の家に始まり、1938年12月、半世紀に満たない生涯を終わろうとしているカレルの寝室で終わる。30そこそこの若手作家から、次々に作品を発表してノーベル賞の候補にも選ばれるほど著名で影響力のある存在になる晩年までを、休憩無しで一気に見せる2時間15...劇団印象-indianelephant-第29回公演『カレル・チャペック―水の足音』

  • 2022年10月の観劇と俳句の予定

    今年も4分の3が過ぎてしまったのかと愕然としつつ、10月は前半が大変なことになりそうで、すべての公演に関わる方々の心身が守られ、初日から千秋楽まで無事に幕を開けることを祈ります。*劇団印象-indianelephant-第29回公演『カペル・チャペック―水の足音』鈴木アツト作・演出公式サイトはこちら「国家と芸術家シリーズ」の最終章は、東欧はチェコの作家カレル・チャペックが主人公となる。新宿のタイィアリスで出会って早や15年。劇団印象が東京芸術劇場シアターイーストにお目見得する(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,286月の第28回公演『ジョージ・オーウェル―沈黙の声』はblog記事無し)。*GORC...2022年10月の観劇と俳句の予定

  • 劇団民藝公演『忘れてもろうてよかとです―佐世保・Aサインバーの夜―』

    *河本瑞貴作丹野郁弓演出公式サイトはこちら紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA10月2日まで佐世保市に生まれ、現在も住まう劇作家河本瑞貴は、池端俊策との共作『正造の石』(2019年4月)以来、2作めの民藝登場となった。「Aサイン」とは、米軍の衛生検査に合格した店に発行発行される証明書のこと。国際通りのバー「ELLE’S(エリーズ)」の壁の中央には、その「Aサイン」が貼りだされている。米軍から安全のお墨付きをもらい、敗戦後から朝鮮戦争、ベトナム戦争と、戦争のたびに米兵で賑わったエリーズも、2002年の今はすっかり寂れ、女主人エリーこと満江(日色ともゑ)は開店前の掃除をしながら、見えない誰かに話しかけている。突然、1945年9月に時が遡り、店には上陸したばかりの米軍の水兵たち、濃い化粧をして派手な衣装...劇団民藝公演『忘れてもろうてよかとです―佐世保・Aサインバーの夜―』

  • 第19回明治大学シェイクスピアプロジェクト (MSP)ラボ公演『短夜、夢ふたつ』

    *小林萌華演出金子真紘プロデューサー明治大学駿河台キャンパス猿楽町第2校舎1Fアートスタジオ公式サイトはこちら11日まで(入場は明治大学教職員限定)動画アーカイブもあり今年で19回を迎える明治大学シェイクスピアプロジェクト(MSP1,2,3,4,5,6,7,8)が本公演を前に、小さな空間で実験的な上演を行うのが「ラボ公演」である。当日パンフレット掲載の総監修・井上優明治大学文学部教授によるラボ公演の背景(2018年3月シェイクスピアReMix『銀河鉄道の十二夜&熱〇殺人事件みたいなヴェニスの商人』+2021年11月第1回MSPラボ公演『ロメオ、エンド、ジュリエット』)には、現役生だけでなく卒業生を含めたMSP活動の広がりが記されて、大変興味深く心強い。「既成の文学作品の枠組みでシェイクスピアを語り直すとい...第19回明治大学シェイクスピアプロジェクト(MSP)ラボ公演『短夜、夢ふたつ』

  • プラチナネクスト第26回公演『十二夜』

    *ウィリアム・シェイクスピア作小田島雄志翻訳大滝寛演出公式サイトはこちら劇場MOMO12日まで(1,2,3,4,5,6,7→注:プラチナネクストの第6期生によるシックスセンスの公演含みます)さまざまな作品に取り組んでいるプラチナネクストが、星組、月組の交互上演でシェイクスピアの喜劇に挑む。公演初日(星組)を観劇した。ふたつの階段状の台があるだけのシンプルな舞台美術(阿部一郎/青年座)で、この台が場面に応じて合体したり離れたり、双子の対面においては最高の効果を上げた。後藤浩明による音楽の生演奏は聴くだけでなく、演奏の様子を観る楽しさも。自分にとっての『十二夜』は80年代はじめ、出口典雄演出のシェイクスピアシアターの印象がいまだに強烈で、以後どの舞台を観てもあのときの『十二夜』を越える手応えを求めてしまう。し...プラチナネクスト第26回公演『十二夜』

  • 文学座公演『マニラ瑞穂記』

    *秋元松代作松本祐子演出公式サイトはこちら信濃町文学座アトリエ20日までアトリエで行われる本公演の初日を観劇した。本作は2014年春、新国立劇場公演を観劇しており(blog記事)、あれから早や8年が経過。良き手応えを得て「見逃さないで良かった」と喜びつつ、後日知己から舞台に対する違和感を聞いたことを思い出した。舞台と客席の距離が近く、濃密な空間の文学座アトリエでの観劇を前に懸念があったのだが、休憩を挟んで2時間30分のあいだ、それはみごとに吹き飛ばされていた。1898年(明治31年)フィリピン独立運動の内乱にあって、マニラの日本領事館は運動を支援する日本人志士、帝国軍人、内乱を避けて「からゆきさん」たち女郎衆も駆け込んでいる。そこへ女衒の秋岡伝次郎が登場。さまざまな理由で祖国日本を離れて異国の地で志を遂げ...文学座公演『マニラ瑞穂記』

  • 2022年9月観劇と俳句の予定

    今年も大変な9月になってしまいました(毎年のことゆえ、わけは言いませぬ)。まずは観劇の予定から(見出し画像は「歌舞伎オンデマンド」より)*文学座公演『マニラ瑞穂記』秋元松代作松本祐子演出公式サイトはこちら信濃町の文学座アトリエで行われる本公演。本作は2014年春、新国立劇場公演を観劇しており(blog記事)、その記憶を呼び起こしつつ、新鮮な気持ちで。*プラチナネクスト公演『十二夜』ウィリアム・シェイクスピア作小田島雄志演出大滝寛演出劇場MOMO公式サイトはこちらさまざまな作品に取り組んでいるプラチナネクストが、シェイクスピアの喜劇に挑む。星組、月組の交互上演(1,2,3,4,5,6,7)。*第19回明治大学シェイクスピアプロジェクト(MSP1,2,3,4,5,6,7,8)ラボ公演『短夜、夢ふたつ』(1)小...2022年9月観劇と俳句の予定

  • オフィスコットーネプロデュース『加担者』

    *フリードリヒ・デュレンマット作増本浩子翻訳稲葉賀恵演出(1,2,3)プロデューサー綿貫凛公式サイトはこちら下北沢/駅前劇場9月5日までようやくデュレンマット作品観劇デヴューの今夜、昨年9月上演の『物理学者たち』(ワタナベエンターテインメントDriversTheater)、今年4月上演の『貴婦人の来訪』(新国立劇場)のいずれも見逃したことが悔やまれて悔やまれて。大学の生物学者だったドク(小須田康人)は民間企業に引き抜かれ、高額報酬を得て人生を謳歌していたが、経済危機によって失業。妻子にも去られた。タクシー運転手として糊口をしのいでいたところ、マフィアのボス(外山誠二)に拾われ、薬品の知識を活かして訳ありの死体を溶解する仕事を始めた。古いビルの地下5階がドクの職場であり、住処である。世間から隔離されたかのよ...オフィスコットーネプロデュース『加担者』

  • ティーファクトリー T Crossroad短編戯曲祭≪花鳥風月≫夏 Aプロ+Eプロ

    *公式サイトはこちら(2021年冬上演の「2020年の世界」観劇の記録→1,2,3)昨夜に続く観劇の記録。演出はすべて川村毅スペース雑遊28日まで☆Aプロいしざわみな作『ある愛の夢』作者のいしざわみなついては主宰を務める劇団日々刻刻のサイトに詳しい。高校生のときから始めた戯曲創作を一度休み、2016年の劇団の旗揚げとともに12年ぶりに再開したとのこと。今回は同戯曲祭「春」に続いて第三場と第四場が上演される。ここでも「春」の見逃しを悔やむことに。一組の夫婦が別れの日を迎えている。部屋を出る妻の木野ミミ(石村みか)に、夫の学(佐藤満)が朝食を用意する。コーヒーといっしょに出て来たのが、かつて一緒に訪れたニューヨークで食べたものと同じパン(名前聞き取れず)で、そこから二人の思い出話が始まる。小さなテーブルと椅子...ティーファクトリーTCrossroad短編戯曲祭≪花鳥風月≫夏Aプロ+Eプロ

  • ティーファクトリー T Crossroad短編戯曲祭≪花鳥風月≫夏 Gプロ+Hプロ

    *公式サイトはこちらスペース雑遊28日まで(2021年冬上演の「2020年の世界」観劇の記録→1,2,3)5月の「春」に続いて「夏」の新作戯曲8編(川村毅の『カミの森(仮)』含む)のリーディング上演が開幕。初日を観劇した。☆Gプロビト作『あの夏よ、君を忘れない』舞台には厚手のパーカーを着込み、首にはマフラーをぐるぐる巻きに、帽子まで被った男が3人(宮川智司、大森寛人、二神光)、中央のテーブルにはペットボトルの水が置かれている。季節は夏、部屋の中も暑いのになぜ彼らはこんなことを?…という観客の疑問をずっと引っ張りながら、最後まではっきりと答を示さないところが好ましい。タイトルの「君」は4人めの登場人物で、彼らに決して忘れられない体験を呼び覚ます存在だ。目の前で展開する物語はおよそ20分だが、そこに行き着くま...ティーファクトリーTCrossroad短編戯曲祭≪花鳥風月≫夏Gプロ+Hプロ

  • KAATキッズ・プログラム2022 『さいごの1つ前』

    *松井周作・演出公式サイトはこちら。KAAT神奈川芸術劇場〈大スタジオ〉21日まで。ソファとベッドのようなものが置かれているだけのシンプルな舞台は、パステル調の可愛らしい雰囲気だが、上手には「コロナ流行のため声は出しません」の立札があり、親子連れでほぼ満席の会場には期待と緊張が交じり合う。カオル(白石加代子)とミチロウ(薬丸翔)、マリン(湯川ひな)は、どうやらこの世の人生を終えて旅立つらしいのだが、3人とも自分の死んだ理由がわからず、実感もなさそうだ。そこへ地獄への案内人アキオ(久保井研/唐組)が現れる。地獄もイメージが変わり、なかなか楽しい場所になっているという。ソファとベッドは乗り物に早変わり。死出の旅はトラブル続きで、彼らがたどり着くのは地獄か、天国か。子どもの頃、「人間は死んだらどこへ行くの?」と...KAATキッズ・プログラム2022『さいごの1つ前』

  • 劇団民藝公演 KEIKOBA 『破戒』

    *島崎藤村原作村山知義脚色岡本健一演出麻生区区制40周年記念公式サイトはこちら川崎市麻生区黒川/劇団民藝稽古場8月1日~10日1948年民衆芸術劇場(第1次民藝)第1回公演で上演した記念碑的作品であり、今年は水平社宣言100周年とも重なるなど、時を得た上演となった。コロナ禍により月末の公演が中止を余儀なくされたが、8月1日を新たな初日として追加公演も行う盛況だ。稽古場のロビーには第1回公演のチラシや舞台写真、パンフレットのコピー、今回の公演の上演台本や舞台美術の模型などが展示されており、これから観る舞台が劇団の新しい一歩となる予感が。物語は主人公の小学校教員瀬川丑松が下宿する寺の客間のみで進行する。家具調度はほとんど置かず、数本の細い柱が立つだけの極めてシンプルな美術である(勝野英雄装置)。冒頭、左右の出...劇団民藝公演KEIKOBA『破戒』

  • 岸田今日子記念 円・こどもステージ №40『キレイちゃんとけだもの』

    *演劇集団円+シアターχ提携公演ニコラス・S・グレイ原作菊池章一翻訳谷川俊太郎上演台本小森美巳演出公式サイトはこちら両国・シアターχ5日終了円・こどもステージは今年で40作の節目を迎えた。当日パンフレット掲載の小森美巳の挨拶文には、その10作目の記念として『美女と野獣』のタイトルで上演された本作を企画者である岸田今日子がことさらに愛したこと、「工夫を重ねて再演を」の約束が30年を経て実現の運びとなった喜びが綴られている。コロナ感染拡大の収まる気配はなく、公演の中止が相次ぐ現状にあって、薄氷を踏む思いでこの日を迎えられたことであろう。来場御礼に続いて爽やかに開演を告げる「お兄さん」(石原由宇)への観客の拍手はいつもの「わくわく」に「しみじみ」が加わって、劇場の雰囲気も柔らかくなった。ある国の森に、老魔法使い...岸田今日子記念円・こどもステージ№40『キレイちゃんとけだもの』

  • 2022年8月観劇と俳句の予定

    コロナ禍による公演の中止もあり、遂に7月は2020年の自粛期間以来のリアル観劇ゼロとなりました。いまだに感染拡大が止まらず、先の見通しはまったく立たない。公演に関わる方々の心身が守られ、すべての舞台が無事に開幕することを願う気持ちに変わりはありませんが、罹患されたなら、どうかゆっくりと静養されること、座組の立て直しが順調に進むことを切に祈っています。*演劇集団円+シアターχ提携公演岸田今日子記念円・こどもステージニコラス・S・グレイ原作菊池章一翻訳谷川俊太郎上演台本小森美巳演出『キレイちゃんとけだもの』公式サイトはこちら大切な思い出となった昨年末の『河童の三平』は今月パルテノン多摩公演を控えている。今回も多くの子どもたちとその付き添いの大人たちが舞台に出会えますように。*スタジオHaNaBivol.27原...2022年8月観劇と俳句の予定

  • 映画『PLAN75』

    *早川千絵脚本・監督公式サイトはこちら近未来の日本。75歳以上の高齢者に生死の選択を認めるという法令が国会で可決された。生きることを妨げはしないが、自らの意志で死を選択すれば国がサポートもサービスも行うという。つまりは安楽死の奨励であり、かつての「姥捨」を合法的に実施するのが「PLAN75」なのだ。78歳の主人公のミチ(倍賞千恵子)は古い団地で一人暮らしだ。ホテルの客室清掃員として働いているが、同僚が孤独死したことをきっかけにこのプランを選ぶ。「そんな酷い話が」と思うが、PLAN75は当然のように高齢者たちを導き、綿密に構築されたシステムに従って進んでゆく。その様相は、架空、SFとは思えない。プロモーションビデオには家族のため国の将来のためにためらうことなく選択したと晴れやかに語る女性が映し出されており、...映画『PLAN75』

  • 2022年7月 観劇と俳句の予定

    突然の梅雨明けから卒倒しそうな猛暑を経て、ここ数日は随分しのぎやすくなりました。しかしまたしても感染者数の急増に心が折れそうです。中止を余儀なくされた演劇公演も続いており、関わった方々、観劇を予定しておられた方々の心中はいかばかりか。お察しいたします。すべての舞台が初日から千秋楽まで、無事に上演されますよう。観劇予定は以下の通りですが、確定しているものは大変少なく、コロナ禍の自粛期間以来かもしれません。七月大歌舞伎第三部の「風の谷のナウシカ」のチケットが取れなかったのは残念無念。*山本さくらパントマイム第50回公演『一期一会』(1,2,3,4)山本さくら作・演出・出演鎌田千尋演奏ザムザ阿佐谷公式サイトはこちら待ちに待ったリアル公演なのですが予定合わず、配信を視聴いたします。毎公演の演目はすべて新作とのこと...2022年7月観劇と俳句の予定

  • 文学座公演 『田園 1968』

    *東憲司作西川信廣演出公式サイトはこちら紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA25日終了文学座と東による作品のblog記事はこちらタイトルの通り、世界各国の若者たちの政治活動が激化し、日本でも全共闘が荒れ狂う中、高度経済成長の勢いが迫りくる地方に暮らす梁瀬家の人々を中心とした物語だ。一家の末っ子で浪人生の次男(武田知久)が語り部となって、舞台と観客をつなぐ。祖母のサワ(新橋耐子)は、亡くなった夫はじめ先祖からの農園にこだわり、自身が社長を務める工務店の経営に苦しむ父(加納朋之)は農園を売ろうとする。子どもの頃の怪我のために片足が悪い長男(越塚学)は家族にも言わずに勤め先を辞めてしまい、農園を引き継ぐと言い出す。東京の大学に進んだ長女は学生運動に挫折してうちに引きこもり、次男は予備校に行かず、町の映画...文学座公演『田園1968』

  • 六月大歌舞伎 第三部「ふるあめりかに袖はぬらさじ」

    *有吉佐和子作齋藤雅文演出/坂東玉三郎演出公式サイトはこちら歌舞伎座27日まで「与話情浮名横櫛」主演の片岡仁左衛門が病気療養となり、本作に代替えとなった。俳優、演出家だけでなく、成瀬芳一(演出補)、織田音也、前田剛(美術)、中村圭佑(照明)、今藤政太郎(劇中歌作曲)、内藤博司(効果)など劇団新派にゆかりの舞台創造の錚々たる方々の実績、知恵、情熱が結集し、初日より絶賛の声が引きも切らない。仁左衛門の病気休演の落胆ゆえ、なかかな気持ちを切り替えられずにいたのだが、絶賛称賛はほんとうであった。これはもう、上半期屈指の観劇体験と言ってよい。筋書巻末に掲載された本作の上演記録を改めて読み返す。初めての出会いは1994年秋の文学座公演(戌井市郎演出東京芸術劇場)であった。1961年発表の短編小説「亀遊の死」を作者の有...六月大歌舞伎第三部「ふるあめりかに袖はぬらさじ」

  • serial number 07『Secret War ひみつせん』

    *詩森ろば作・演出公式サイトはこちら東京芸術劇場シアターウエスト19日終了本作の舞台は、かつて秘密戦という名の科学戦争のための研究が行われていた第九陸軍技術研究所、通称「登戸研究所」である(劇中では「登沢研究所」)。現在は「明治大学平和教育登戸研究所資料館」となり、企画展や講演会などが開催されている。物語は、研究所で和文タイプを担当する村田琴江(三浦透子)たち女性タイピスト、研究者たち、責任者、陸軍中野学校から派遣された将校が登場する戦争中の場と、2001年、科学ライターとして中国・北京を訪れた津島遥子(三浦2役)が中国の研究者・王浩然(大谷亮介)が語り合う場が行き来しながら進行する。映画『ドライブ・マイ・カー』の寡黙なドライバー役で多くの映画賞を受賞した三浦透子の舞台を観るのはこれがはじめてだが、詩森ろ...serialnumber07『SecretWarひみつせん』

  • 鵺的 第15回公演 『バロック』[再演]

    *高木登作寺十吾(tsumazukinoishi)演出公式サイトはこちらザ・スズナリ19日まで過去記事→(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21+α,22)一族のほとんどが近親相関関係にあり、そこから逃れるには互いに殺し合うしかない血と骨の壮絶憎悪劇『悪魔を汚せ』(初演、再演)は、鵺的の傑作である。ここまで来るともう天晴、爽快ですらあるという稀有な観劇体験であった。『バロック』はその後日譚だが、登場人物の名前や関係性は少しずつ変えてあり、『悪魔を汚せ』体験がなくとも十分に楽しめる。いや「楽しめる」といっても、一般的なコメディや人情喜劇とは異なる劇世界なので、もしかすると「楽しめる」と言ってしまう自分は、もはや感覚のどこかが変容しているのか...鵺的第15回公演『バロック』[再演]

  • COCOON PRODUCTION 2022/NINAGAWA MEMORIAL 『パンドラの鐘』

    *野田秀樹作杉原邦生演出公式サイトはこちらシアターコクーン28日まで1999年の初演では、世田谷パブリックシアターで野田秀樹演出/出演版が、シアタコクーンで蜷川幸雄演出版がほぼ同時期に上演された。二十数年を経て杉原邦生が映像、小劇場、歌舞伎まで、年齢もキャリアも出自も異なるたくさんの俳優との創造に挑む。杉原演出の舞台観劇記事はこちら(2014年から、なぜか一気に202年に飛んでおります)→1,2,3,4太平洋戦争開戦直前の長崎の海辺で、古代遺跡の発掘作業が行われている。考古学者カナクギ教授(片岡亀蔵)と助手イマイチ(柄本時生)はほぼやる気なしだが、作業の命を出したピンカートン未亡人(南果歩)の娘タマキ(前田敦子)の婚約者でもある、もう一人の助手オズ(大鶴佐助)は一心に取り組む。彼が掘り出した一本の折れ釘か...COCOONPRODUCTION2022/NINAGAWAMEMORIAL『パンドラの鐘』

  • 2022年6月 観劇と俳句の予定

    昨年より早い梅雨入り。かと思えば気持ちよく晴れわたり、しかし夕刻には小雨が降りはじめ、明日の最高気温は20度以下という梅雨寒の日々です。観劇の予定は以下の通り。*COCOONPRODUCTION2022/NINAGAWAMEMORIAL野田秀樹作杉原邦生演出『パンドラの鐘』公式サイトはこちら1999年の初演では、世田谷パブリックシアターで野田秀樹演出/出演版が、シアタコクーンで蜷川幸雄演出版がほぼ同時期に上演された。二十数年を経て杉原邦生が映像、小劇場、歌舞伎まで、年齢もキャリアも出自も異なるたくさんの俳優との創造に挑む。*劇団印象-indianelephant-第28回公演鈴木アツト作・演出『ジョージ・オーウェル―沈黙の声』公式サイトはこちら下北沢/駅前劇場劇団観劇過去記事→(1,2,3,45,6,7,...2022年6月観劇と俳句の予定

  • 劇団民藝『ルナサに踊る』

    *ブライアン・フリール作長木彩訳シライケイタ演出公式サイトはこちら紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA6月4日まで劇団の俳優である長木彩がはじめての翻訳を手掛けたこと、主宰する温泉ドラゴンのみならず、さまざまな公演に活動の場を広げているシライケイタが演出として登場するなど、話題性に富む公演だ。シライが脚色や演出した作品のblog記事はこちら→『birth』(2013年9月/作・演出)、新宿梁山泊公演『恭しき娼婦』(2018年10月/上演台本)、劇団東演公演『獅子たちの見た夢戦禍に生きた演劇人たち』(2019年11月/脚色)ブライアン・フリールは北アイルランド出身の劇作家、短編小説家で、自分が観劇した作品は『モリー・スウィーニー』(谷賢一翻訳・演出2011年6月)があり、本記事中に1996年文学座アトリエ...劇団民藝『ルナサに踊る』

  • 因幡屋通信71号完成 その2 冬から春のトピックほか

    続きまして今年1月から4月までに観劇した舞台につきまして短くまとめたトピックをお届けいたします。ネット視聴の舞台やコロナ禍のために中止となった公演についても少し。リンクは観劇後のブログ記事です。【冬から春のトピック】~心に残った舞台覚書~☆1月☆*国立劇場開場55周年記念初春歌舞伎公演曲亭馬琴作渥美清太郎脚色尾上菊五郎監修国立劇場文芸研究会補綴通し狂言『南総里見八犬伝』小学生のとき、楽しみにしていたテレビ人形劇「新八犬伝」の記憶を呼び起こしつつ、久しぶりの通し狂言を堪能。二代目中村吉右衛門逝去の悲しみは色濃いが、歌舞伎界を背負う尾上菊五郎の貫禄、実父と岳父の芸道を誠実に歩み続ける尾上菊之助、着実な成長を見せる尾上左近の清々しさに、佳き芝居はじめの一日。*壽初春大歌舞伎「一條大蔵譚」好演の中村勘九郎に、若手から中...因幡屋通信71号完成その2冬から春のトピックほか

  • 因幡屋通信71号完成 その1

    おかげさまで因幡屋通信71号が完成いたしました。これまでの設置先を再び一つひとつお問合せしつつお送りしておりますが、文学座さまには事務所のチラシラックに、そして亀戸の「時々海風が吹くスタジオ」さまに新規で設置が叶いました。ご協力に心より感謝申し上げます。まずメイン劇場からお届けいたします。明日まで公演中の「朱の会」の舞台につきまして綴ってみました。ごゆるりとお読みくださいませ。朱の会のこれまでとこれから―第5回公演に寄せて―俳優の神由紀子が主宰する朱の会(しゅのかい)は、2017年の旗揚げ以来、年一回のペースで小説や戯曲、詩歌の朗読を中心とする公演に加え、昨年末は4人の俳優がそれぞれ1作品を語る「小公演」が行われました。今号は、これまで印象に残った作品を振り返りつつ、第5回公演に寄せる夢と期待と妄想をお届けいた...因幡屋通信71号完成その1

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