ヤマト王権は4世紀前半に成立したと想定され、律令制国家が形成される7世紀後半まで存続した王制の政治的権力機構である。この時代の文字資料は極めて少ないため、本書では中国の歴史史料、後代の史料、考古学資料を手掛かりに実像に迫る。邪馬台国と書かれた魏志倭人伝の時代の「台」の読み方について、現代の母音とは異なる5音甲類とは別に3音乙類があり、台の読み方は当時としては乙類、今の「づ」と「と」の中間音であり、現代音で書くとしたら「やまどぅ」国となる。当時の地名で奈良地方の大和は乙類、九州筑後や肥後の山門は甲類であり、音節でいえば近畿説が有利。また魏志倭人伝の使者は女王に会見したと書かれているが、実際に女王国に赴いたのかどうかは道程記述の伝聞調からは疑問がある。記述を信じるとしても様々な解釈が可能。しかし当時の魏呉蜀の...ヤマト王権シリーズ日本古代史②吉村武彦***