『ひとたび走り出しさえすれば、車体の重さを一切感じさせることなく軽快に…』これはバイク雑誌のインプレ記事でよく見かけるフレーズだ。そもそも、走り出した後に車体の重さを感じさせるほど鈍重なバイクなどあるものだろうか。しかしそんなバイクがあるのだ。私の初の愛車だったW400こそが、そんなバイクだった。車重193㎏は当時の同クラスのバイクとしては平均点かもしれないが、W650からボアダウンしたエンジンはとにかく低~...
新しい相棒となったXSR700だが、前回の記事で説明した通り完全に一目惚れの衝動に駆られて購入に踏み切ったので、試乗はしていない。愛車選びは結婚のようなもの、「勢い」が大切なのだ。但し見た目に惚れたXSR700だが、何度かツーリングに連れ出したところ、その性格も私との相性も期待を遥かに上回るものだった。具体的には追々記事にしていきたいと思っているが、今回はそれとは反対に「こんなはずではなかった」という部分に焦...
前回の記事に書いたように3年以上続いた次期愛車選びが終結した。新たな相棒は、このブログで紹介してきた愛車候補には一度も登場しなかった車種だ。それほどこのバイクに関心を持ってから納車迄があっという間だったのだ。散々迷走した私の愛車選考は、2023年に入った時点では「CRF250 Rally」と「W800」が最終候補として絞り込まれていた。さて2台が残ったものの、軽さやキャンプへの対応力で「Rally」にするか、もしくは重さは...
異性に別れを告げるより、告げられる方が多い人生だった。それで良かったと思っているのは、負け惜しみだろうか。フラれた場合とは違い、自分から別れを切り出した時の思い出は、今も心の底に苦く黒い塊になって沈んだままだ。遂にMT-09に別れを告げる時がやって来た。1カ月前にオーダしていた新しい愛車は「納期未定」ということだったので、MT-09との別れはまだずっと先だろうと高を括っていたのだが、なしのつぶてだったディー...
コロナ禍の間の忌まわしい思い出といえば、1カ月に2度も立ちごけをしたことだ。それ以来バイクに「乗れていない」感覚が払しょく出来ないでいたのだが、最近になって漸く「乗れている」感が蘇ってきた。先日も古風なガニ股ライディングスタイルの原2スクータをぶっちぎってやった。これで私の「乗れている」感は完全復活と言っていいだろう。ミラーからガニ股が消えた後も快走を続けていると、完全復活を祝うかの如く突然爽やかな...
シティ派の大人のライダーとしてバイクに乗り続けてきた私である。バイクでキャンプや鳥見など、コロナ禍の間だけのお戯れだ。Withコロナが定着した今こそ、以前のようにバイクで街を駆け巡り、おしゃれなカフェ情報等をブログで発信しなければならない。街乗りではヘビーデューティーなトレッキングブーツではなく、ブラウンが鈍く光るワークブーツを履いて。どうにもこうにもシルエットが決まらないライジャケは、目的に着いたら...
引越しの混乱の中、行方不明になってしまっていた夏用のメッシュグローブだが、猛暑到来に間に合わせるようにして、その姿を確認することができた。何度も風雨に晒されたおかげで、かなり色褪せてしまったが、しっかりと手に馴染んでいるので、そう簡単には手放せないのだ。そんな愛着あるグローブは、前愛車W400時代に愛用していたサイドバックの中で発見された。今では使い道が無くなってしまったこのサイドバッグは、引越し先の...
伊東四朗の現在を伝えるドキュメンタリー番組を観た。舞台にテレビ、ラジオと、仕事に真摯に向き合うその姿は、「老いてもなお」という言葉がピッタリだった。画面の中で今にも「ニン」と言い出しそうな伊東四朗を見ていて、若かりし頃に観た映画「稲村ジェーン」を思い出した。ビッグウェーブを待ち焦がれる波乗り達の青春を描いた映画にもかかわらず、サーフィンのシーンが全く出てこないで有名な、あの映画だ。その映画に伊東四...
引越しは終わったが、残務整理は終わらない。今朝は、ご無沙汰していたMT-09のご機嫌伺いも兼ねて、住所変更のため免許センターへと向かった。昭和は遠くなりにけりだが、休日の免許センターの混雑だけは、令和の時代も変わらない。センターの外は、施設内に入りきれない人達で溢れかえっており、皆一様にスマホに目を落としながら、自分の整理番号が呼ばれるのを待っている。私は住所の変更だけなので、整理券無しでもそのまま施...
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『ひとたび走り出しさえすれば、車体の重さを一切感じさせることなく軽快に…』これはバイク雑誌のインプレ記事でよく見かけるフレーズだ。そもそも、走り出した後に車体の重さを感じさせるほど鈍重なバイクなどあるものだろうか。しかしそんなバイクがあるのだ。私の初の愛車だったW400こそが、そんなバイクだった。車重193㎏は当時の同クラスのバイクとしては平均点かもしれないが、W650からボアダウンしたエンジンはとにかく低~...
バイクで街を駆け抜けた。私が住む街は、次の交差点に辿り着くまで車列の最後尾で信号が何度も変わるのを待たねばならないような所だ。ところが夜明けすぐに自宅を出た今朝は、街中に無数にある信号機をもってしても、私に足止めをくらわすことが出来ず、街を駆け抜けた勢いそのままに目的地である干潟へとXSRを走らせた。まるで自宅と干潟との間に、私とXSR専用のハイウエイが敷かれているかのようだった。旅鳥の季節です。旅鳥で...
1回のツーリングで走る距離が減った。以前は早朝走り出し、夕方自宅に戻る頃にはトリップメータは300を表示するのが常だった。ところが今は走り出しが早朝なのは相変わらずだが、お昼には自宅に帰ってきてしまうし、頑張って午後も走ったとしてもメータが200を超えることは珍しくなってしまった。走る距離が減った要因は様々だ。①鳥見に時間がとられる②時速100km/hで走るのが何だか怖くなって、高速道路にあまり乗らなくなった③混...
初めて宿泊ツーリングに挑戦したのは、バイクに乗り始めて4か月後のGWだった。夜明け前、着替えを詰め込んだボストンバックをリアシートに括り付け、当時住んでいた広島から山口に向け出発した。秋吉台では鬱蒼とした木々を縫うようにして丘を駆け上がった先で、突然視界に飛び込んできたカルストの荒涼とした景色に身体を震わせた。角島では、真っ青な海の上に敷かれた絨毯のような大橋を愛車で走る間、僕の意識は空の上に飛んで...
右折が嫌いだ。対向車線の流れを把握しつつ、辺りに歩行者がいないことを十分確認して右折を始めたとしても、交差点を曲がり切ろうとしたところで、逆走する自転車が突っ込んでくることだって有り得る。だから私は右折の際はいつも、おおげさに身体を捻って右斜め後方を目視するようにしている。先程から右折待ちをしているが、対向車線の流れが全く切れない。私が先頭で入った右折レーンだったが、今や後ろに何台もの車を従えてし...
クロスバイクを愛用してかれこれ20年近くになる。原チャリを持たない私にとって、クロスバイクが日常の足替わりだ。本格的なロードバイクならいざしらず、乗り始めた当時はクロスバイクのヘルメットや車道走行は奇異な目で見られる対象だったが、今や努力義務だったり道交法で明確に規定されていることが知られるようになり、随分と走りやすくなった。今朝、自転車専用と書かれた青色のレーンをクロスバイクで走っていると、後ろか...
一夜明けると一斉に花が咲き、ハンカバが外れた。そしてインナージャケットも脱いだ。冬の間かじかむ両手を守ってくれたハンカバだが、これを外した途端、レバーを握る指が軽くなったように感じる。冬の間ウエア内の暖を逃がさないでいてくれたインナージャケットだが、これを脱いだ途端、シートの上でダンスだって踊れるほど体が軽くなったように感じる。冬の間海に浮かんでいた富士山も霞に隠れてしまう春だけれど、軽くなった身...
一平ちゃん、それはないぜ。あなたのことも大谷さんのも、僕が見ている二人の姿はメディアが作り上げた虚構だということは分かっている。一皮むけば、そこに生身の人間がいることは重々承知の上で、僕は夢を見ていたんだ。それでも一平ちゃん、それはないぜ、嘘だと言ってくれ。きっと一平ちゃんは違法賭博の胴元に嵌められたんだ。そもそも奴らは一平ちゃんの借金なんて、屁とも思っちゃいない。100万ドルだろうが1000万ドルだろ...
XSR700に跨り視線を落とすと、そこには小さな丸いメーターが一つある。ブラックアウトした車体に載る白いタンク同様、このメーターもキーを回せばブラックの背景に白字がくっきりと浮かび上がる。小ぶりなメーターだが走行中には必要な情報を確実に届けてくれるし、小ぶりであるが故に、無用に視界に出しゃばってくることもない。最近流行りの大型液晶カラーメーターと比較するとその存在自体はとても奥ゆかしいが、その奥ゆかしさ...
普段のツーリングでは、XSR700にサイドバッグを一つぶら下げて走っている。このバッグは愛車がW400だった頃に4万kmを共にした品なので、見えない部分に所々痛みが出ているが、外観だけをみれば長年風雨に晒されてきたとはとても思えない。取り付けには少々のコツと時間が必要だ。シートを外した状態でバッグの付属ベルトをシートレールをくぐらせ、ベルトホールに尾錠を通したら、最後にバッグ下部のリングとサイドバッグステーを...
大谷さんが結婚を発表した日、妻に大谷さんと結婚したかったかと訊ねると、迷う表情もみせることなく私はあなたを選ぶわと答えた。球威、飛距離とも大谷さんには若干劣る私だが、お嫁さん選びなら決して負けてはいない。一方、私のバイク選びについてはどうだろうか。XSR700を手に入れるまで、愛車選びの期間は実に3年以上に及んだ。長期化の最大の要因は、途中コロナ禍もあり、自分自身のバイクライフに対する展望が見えなくなっ...
ライダーなら誰しも自分の愛車が最高のバイクだと思っていることだろう。しかし、年収が今の10倍になったらどんなバイクに乗りたいかと問われた途端、迷いが出てくるのではないだろうか。もし私に同じ問いが投げかけられたなら、その瞬間BMWのR nine T Scramblerが頭をよぎるかもしれない。先日R nine T Scramblerをじっくりと眺める機会に恵まれたのだが、水平対向2気筒エンジンの存在感は言うまでもなく、都会的な高級感を漂わせ...
ドラマ『不適切にもほどがある』が話題だ。主人公である昭和の中学校教師が、タイムマシンに乗って昭和と令和を行ったり来たりしながら、昭和の常識が令和の非常識になっていることに戸惑うコメディだ。私はドラマが紹介する昭和の時代に中学、高校生活を送った。私が通っていた中学は、全国で校内暴力の嵐が吹き荒れる中、厳しい部活と体罰で生徒を締め付けることで、管理教育の面子を保とうとしていた。休日も無く朝から晩まで部...
ツーリング先でライダーから声をかけられることは殆どない。そもそもライダーが集まるような場所には近寄らないし、たとえ間違ってそういう所へ足を踏み入れたとしても、私の背中には声をかけてくれるなオーラが漂っているだろう。干潟が広がる探鳥地で、カメラ女子に声をかけられた。彼女はカメラの腕を磨くために、干潟の風景を撮りに来たのだそうだ。カメラ女子が遠くで群れる鳥の名を聞いてきたので教えてあげると、嬉しそうに...
ユニクロのセルフレジはとても賢い。まずは商品についたICタグを読み込むため、買い物カゴを大きなくぼみの中に入れる。次にユニクロアプリの会員コードを読み込ませるため、スマホをバーコードリーダーの下にセットする。続いてレジがここのモールの会員ではないのかと聞いてくるので、慌てて財布から会員カードを抜き取り端末に通す。するとカードをスライドさせる向きを間違えてしまったらしく、もう一度やり直せと催促される。...
散歩の帰りだろうか、おばあさんがコロコロと押してきたショッピングカートを、ガレージの手すりにチェーンロックでつないでいる姿を見かけた。カートの盗難対策はこれで十分だと思うが、窃盗団の興味はその隣に鎮座するレクサスにあるのではないだろうか。手すりにつながれたショッピングカートは滑稽に見えるかもしれない。しかしおばあさんにとっては、息子のレクサスなんかより、カートが運んでくれた思い出の方がずっと大切な...
今回は「新春キャンプツーリング」記事の第3弾(最終回)です。 【第1弾記事】へのリンク 【第2弾記事】へのリンク前回記事では、何とかXSRを引き起こし安堵したのも束の間、クラッチレバーが大きく曲がっていることに気づき、茫然としているところまでを書きました。果たしてXSRは再び走り出すことができるのか、ぜひ最後までお付き合いくださいませ。<<<前回からの続き>>>XSRにまたがりハンドルに手を伸ばしてみたと...
前回記事では、バイクを降りて歩き始めたところで大きな音が響き、後ろを振り返ってみると愛車が横たわっていたというところまでを書きました。今回記事は愛車を引き起こすべく四苦八苦しているところから再開します。<<<前回からの続き>>ヘルメットを脱ぐことも忘れて愛車に駆け寄ってはみたものの、ガードレールが邪魔をして引き起こしのための足場を確保することが出来ない。腕力だけではどうにもならない。助けを呼ぼうに...
私のバイク乗りとしての素養は、甚だ危ういレベルにある。そのため過去の愛車には大型のエンジンガードを装着することで、再三にわたる立ちごけにおいても被害を最小限に抑えてきた。しかし現在の愛車であるXSR700ではその完成されたデザインが崩れることを嫌って、エンジンガードをつける予定はない。よってライダーとしての素養の無さを気合と根性でカバーすることで、立ちごけを阻止していかねばならないのだ。ここまでを読んで...
その造形に惚れこんで愛車にしたXSR700だが、もうそろそろ熱も冷めてくる頃かと思いきや、走行距離が延びるに連れ、一つ一つのパーツが織りなす曲線に至るまで愛でる時間が増えてきた。そんなパーツ類の美しさを称する呼び方に「機能美」という言葉があるが、その代表格にXSRのエキパイから伸びる配線が挙げられる。メカ音痴の私であるが故、その配線の機能について語ることが出来ないにもかかわらず、これぞ機能美と無責任にも思...
新しい相棒となったXSR700だが、前回の記事で説明した通り完全に一目惚れの衝動に駆られて購入に踏み切ったので、試乗はしていない。愛車選びは結婚のようなもの、「勢い」が大切なのだ。但し見た目に惚れたXSR700だが、何度かツーリングに連れ出したところ、その性格も私との相性も期待を遥かに上回るものだった。具体的には追々記事にしていきたいと思っているが、今回はそれとは反対に「こんなはずではなかった」という部分に焦...
前回の記事に書いたように3年以上続いた次期愛車選びが終結した。新たな相棒は、このブログで紹介してきた愛車候補には一度も登場しなかった車種だ。それほどこのバイクに関心を持ってから納車迄があっという間だったのだ。散々迷走した私の愛車選考は、2023年に入った時点では「CRF250 Rally」と「W800」が最終候補として絞り込まれていた。さて2台が残ったものの、軽さやキャンプへの対応力で「Rally」にするか、もしくは重さは...
異性に別れを告げるより、告げられる方が多い人生だった。それで良かったと思っているのは、負け惜しみだろうか。フラれた場合とは違い、自分から別れを切り出した時の思い出は、今も心の底に苦く黒い塊になって沈んだままだ。遂にMT-09に別れを告げる時がやって来た。1カ月前にオーダしていた新しい愛車は「納期未定」ということだったので、MT-09との別れはまだずっと先だろうと高を括っていたのだが、なしのつぶてだったディー...
コロナ禍の間の忌まわしい思い出といえば、1カ月に2度も立ちごけをしたことだ。それ以来バイクに「乗れていない」感覚が払しょく出来ないでいたのだが、最近になって漸く「乗れている」感が蘇ってきた。先日も古風なガニ股ライディングスタイルの原2スクータをぶっちぎってやった。これで私の「乗れている」感は完全復活と言っていいだろう。ミラーからガニ股が消えた後も快走を続けていると、完全復活を祝うかの如く突然爽やかな...
シティ派の大人のライダーとしてバイクに乗り続けてきた私である。バイクでキャンプや鳥見など、コロナ禍の間だけのお戯れだ。Withコロナが定着した今こそ、以前のようにバイクで街を駆け巡り、おしゃれなカフェ情報等をブログで発信しなければならない。街乗りではヘビーデューティーなトレッキングブーツではなく、ブラウンが鈍く光るワークブーツを履いて。どうにもこうにもシルエットが決まらないライジャケは、目的に着いたら...