続編
何だ、これは?ある小説を読み終わり、その終わり方に何とも言えない後味の悪さを覚えた。山本周五郎作、「寒橋」である。周五郎氏(1903~1967年)は、昭和の売れっ子小説家だった。彼の短編集の多くはハッピーエンドで、悪者が成敗されたり、貧しい主人公が幸せを手に入れたりと、読んでスカーっとするものが多いのだが、「寒橋」はどうもいけない。簡単にあらすじを要約すると、時三とお孝と言う若夫婦がいて、お孝の年老いた父親と暮らしていた。夫婦の間に子はいない。時三は入婿で、女中のお民と過ちを犯し孕ませてしまう。お民は二つ身となる為、よその土地へと離れるが、お孝は赤子の父親が誰であるかという事に疑惑を抱く。亭主は保身の為、妻に詰め寄られても否定を続ける。病の床にあるお孝の父親は、娘夫婦の幸せの為と、噓の告白をする。「子供の...続編
2023/12/30 01:04