丸谷才一『女ざかり』(文藝春秋)
大新聞に所属する女性の論説委員・南弓子が、あるコラムをきっかけに政府与党から圧力がかかり、「閑職」に飛ばされそうになる。そこで女性論説員は恋人や親戚の力を総動員しこの圧力に抗するが、はたしてその結末どうなるか。 筋の要約だけだとこれで終わる。これで終わってもいいのだけれど、ここは僕しか書かない様なことを頑張って書くべき場所なので、こんな文庫本裏の紹介文をそのまま写した様なもので満足するわけには、いかない。どうしても。 読中読後、第一に、丸谷さんの小出しに決めてくる新奇絶妙の造詣に余程吃驚した次第。文人墨客の揮毫がなぜ政治家に重宝されるのかを分析する件、御霊信仰に基づいて西郷隆盛の銅像化を論ずる…
2018/05/30 12:55