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大福 りす
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2011/01/21

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  • ハラカルラ 第64回

    ハラカルラ 第64回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第60回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第64回烏に文字を習いだして二十日が経った。「なんでじゃ?」「え?なにがですか?」「覚えるのが早すぎるだろうて」早ければそれでいいではないか。どうして疑問を持つのか。「いやぁー、文字数そんなに多くありませんでしたから」現段階で五十音より少なかったのではないだろうか。言い換えれば五十音より少ないのだから、もっと早く覚えてもよさそうなものだが、日本語のように単純に一文字が一発音ではなく、一文字で二つ三つの発音となっている文字もあり、単に文字を覚えるだけとはいかなかった。「そういえば、この文字って烏さんが考えたんですか?」「うーん、ほじくるとそうではないが、ま、...ハラカルラ第64回

  • ハラカルラ 第63回

    ハラカルラ 第63回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第60回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第63回こんなタイミングで裏切りなどされては潤璃が言っていた村の中での繋がりが芋づる式に上がってきてしまう。そこに玻璃も含まれるかもしれない。後藤智一は水無瀬の返事を知りたくて今もスマホを凝視しているはずである。とにかく返事を送らねば。『今は特にないよ後藤君は静観しておいて絶対に動いちゃだめだからねちゃんとこちらで動いているから安心して』動いているのは水無瀬ではなく潤璃だが。「どうする・・・」潤璃に訊こうか。手に握るスマホを見ていた目を外した時、着信音が鳴った。画面には一ノ瀬玻璃とでている。時計を見ると例の時間である。連絡があるということは、少なくとも今現...ハラカルラ第63回

  • ハラカルラ 第62回

    ハラカルラ 第62回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第60回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第62回何かが聞こえた何の音だろう顔を巡らせるキラキラと光るモノが見えるあの音は何処から聞こえてきたのだろうかキラキラからだろうかそれともずっと続く広いどこかからだろうか悲しい声が聞こえる『悲しい声』一歳の子供には言葉としての理解は出来ず、悲しい声としかわからなかった。それでも感情が伝わってきていた。―――悲しい―――痛いと。六日が経った。今日からは朱門が見張りに着く。穴にいる間、烏たちとは出来るだけハラカルラの言葉で話すようにしていた。烏が日本語で何かを言ってくればハラカルラの言葉で返し、言いたいことや質問があればハラカルラの言葉を使った。水無瀬のそんな...ハラカルラ第62回

  • ハラカルラ 第61回

    ハラカルラ 第61回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第60回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第61回潤璃の話を静かに聞いた水無瀬。村という中に生まれたわけではなく、村での生活という事をよくは知らないが、それでも青門以外の三門で数日暮らした。それとなくではあるが、門を持つ村の存在の在り方は分かったつもりでいると言い、潤璃の行動を肯定する言葉を続ける。「村の在り方に意見をするということは、簡単ではないということは理解しているつもりです」潤璃が小さな声で「有難う」と言った。「いいえ、こちらこそお話を聞かせてもらえて感謝をしています。それでと言っては何ですが、一ノ瀬さんと同じお考えをお持ちの方をご存じありませんか?」「・・・そういう人間を集めるってことか...ハラカルラ第61回

  • ハラカルラ 第60回

    ハラカルラ 第60回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第50回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第60回「おう、お疲れ」水無瀬をアパートまで送った稲也と茸一郎が村に戻ってきた。「どんなだった?」声をかけてきたライにファミレスで耳にしてきたことを話す。「白門小僧たちは最初こそ警戒してたけどな、その内にイイ感じになってきた雰囲気あり」「水無瀬君の“当然を実行に移そう”ってのが響いたのかもな」「それとその前に言ってた、小僧たちは特別なことを言ってない、当然なことを言ってるだけってのに溜飲が下がった思いだったんだろうな」「そうか。白門の在り方からすると自分たちがそう考えてしまうことに、落ち着かなさを感じてたのかもしれないな」「そうかもな。ライには俺らから言っ...ハラカルラ第60回

  • ハラカルラ 第59回

    ハラカルラ 第59回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第50回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第59回以前、白門は一枚岩ではなかったとライから聞いた。そこのところを詳しく訊いてみると、くすぐってみると動く可能性があるのではないかと思えた。ただそこはかなりセンシティブな箇所である。一言を間違えてしまっては完全にこちらに耳を傾けてくれなくなるだろう。相手は多感な時期の高校生というだけに耳を傾けないどころか、バリケード並みを張られてしまう可能性があるが、反対に言えばくすぐりようで自己確立に舵を切らせることが出来る可能性も捨てきれない。「そういうことか、分かった。で、頼みたいんだけど」僅かではあるが、今できることはライから聞いた話の可能性にかけるしかない。...ハラカルラ第59回

  • ハラカルラ 第58回

    ハラカルラ 第58回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第50回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第58回長たちに頼んだ白門の見張り、圧をかけるということはあくまでも時間稼ぎである。そこのところは雄哉にも長にも話してある。時間を稼いでもらっている間に白門を止める策を講じる。その策の一端に白門の前に水無瀬が姿を現すということが入っている。「一歩前進だな」「ま、そうだな」「で?何か思いついたか?」「それがなぁ・・・」まさか水見が烏によって力を取られていた、烏はずっと白門のやっていたことを知っていた、ハラカルラが白門のしていることに我慢をしている。そんなことを知らなかった時と今では考え方が変わってくる。とは言っても知らないときに何か案があったのかと訊かれれば...ハラカルラ第58回

  • ハラカルラ 第57回

    ハラカルラ 第57回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第50回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第57回「なに?雄哉おススメ?」「ああ、それな。水無ちゃんご所望からすんごく外れてるけど、そこだったら出社しないでいいからいいんじゃないかと思ってな」「リモートってことか?」「リモートまでいかない。たまにはあるみたいだけどな」内容を読んでいくと中小企業や個人などの経理チェックや相談受付、コンサルティングなどその他諸々といったことだった。水無瀬が公認会計士の資格を持っているのを知っている雄哉だからこそのおススメピックアップである。データのやり取りだけで済むということは、時間的な拘束がないということ。ハラカルラから戻ってきて仕事を始めればいいことである。とは言...ハラカルラ第57回

  • ハラカルラ 第56回

    ハラカルラ 第56回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第50回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第56回翌々日、昨日と同じようにライから受け取ったプラスティックのキツネ面を着け、ライと二人で黒の穴に向かって二人で歩いている。あまり近付くと白烏の守りからライがどうなるか分からないということで、ライとは少し離れて歩いているが、話が出来ないほど離れているわけではない。それなりの会話をしながら歩き、久しぶりの黒の穴までやって来た。「黒に入るところを見つかっちゃヤバイからな。俺も辺りを見てるけど、下の様子を見ながら上がっていけよ」黒に見つかってしまえば、キツネ面が勝手に黒の穴に入っているということになる。それは今の状態ではある意味裏切りとなってしまう。「分かっ...ハラカルラ第56回

  • ハラカルラ 第55回

    ハラカルラ 第55回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第50回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第55回水無瀬の話から朱と黒は水無瀬に賛同し、ハラカルラを守ろうとしているということ。朱と黒もハラカルラを想っているのだろう。「ちなみに訊くが青はどうなのか?」水無瀬と雄哉が青の守り人とここを訪れた日があった。歴代にそんなことは無かった。それに三人もの守り人がこの穴に入ることなどなかった。「あ、青とはそんな話はしませんでした。先日初めてお会いしただけで、どんな方かも分かりませんでしたので。でもとても良い方のようでしたから、ちょっと機を逸してしまったかなという感じはもっていますが」それに長に何も相談しないまま話していいはずはない。「吾からの助言としては青には...ハラカルラ第55回

  • ハラカルラ 第54回

    ハラカルラ 第54回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第50回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第54回それにしてもこの白烏、こうして話してみると、もしかしたら黒烏より話がしやすいのかもしれない。「つかぬことをお伺いしますが」「鳴海は質問が多い」「あ・・・」勘違いだったのだろうか。へそを曲げてしまっただろうか。「何をそんなに気にしておるのか」「色々と・・・」「水さえ宥めておればいいだけの話だろうが」「まぁ、そうなんですけど」「まぁいい。そんな鳴海も魚は受け入れたのだろうからな、なんだ言うてみぃ」有難うございます、と言って疑問を投げかけた。それは最初の青門の出来事以降にハラカルラを荒らした者が居たのかどうかということだった。唐突の質問に白烏が一瞬、水無...ハラカルラ第54回

  • ハラカルラ 第53回

    ハラカルラ 第53回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第50回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第53回「・・・何年、何十年と研究を重ねてきたと思っているのかっ」それが何だというのだ。「どれだけの金をつぎ込み、大学に通わせ大学院に行かせ研究をさせ。村にも研究施設を建てた。それを全て棒に振れというのか!」研究施設といっても村の金で建てたのだ、ご立派なものではなくプレハブを建て、手が出せる程度の研究機器を揃えたくらいのものである。だがそれでも村にとっては大出費になる。「白門の、ハラカルラを金で計るでない」二枚貝を使って終貝がないかを見ると次に質の悪いものが入っていないかを見、そして今は今日烏から教えられたハラカルラに歪みが出ていないかを見ている。その道具...ハラカルラ第53回

  • ハラカルラ 第52回

    ハラカルラ 第52回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第50回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第52回雄哉がピロティで朱門の穴を出たところに座っている。そこへ青門の守り人が穴から姿を現した。「お早うございます、わざわざすみません」「いや・・・話って」雄哉に腰を上げる様子が見られない。青門の守り人が歩を出す。五歩六歩と雄哉に近づいていく。「お話があるのは俺じゃなくて」雄哉が青門の守り人を指さしたかと思われたが、その指をほんの少し横にずらした。どういうことだと顔をしかめた青門の守り人がゆっくりと振り返る。「く、黒門」水無瀬は黒烏の文句を後頭部に受けながら、烏たちの居る穴に入って待機をしていた。そして雄哉の声で見つからないように出てきたということである。...ハラカルラ第52回

  • ハラカルラ 第51回

    ハラカルラ 第51回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第50回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第51回「くっそ、見えないなぁ」水鏡の前で白烏と雄哉が向かい合って座っているが、雄哉に答えたのは黒烏である。「仕方が無かろう、本来ならこちらに来る穴さえくぐれなかったのじゃからな」「もっとパワー注入してくれたらよかったのに」「甘えるでないわ。才能が無ければ努力と根性で補え」「ちぇっ」水無瀬は前に教えられ損ねた終貝である二枚貝で、死んでしまった貝のありかを見つけるやり方を教えられ、これまたすぐに習得でき、もう一組の二枚貝と同じようにこまめに見るようにと言われた。黒烏と雄哉の会話を聞いていてふと考え付いたことがある。「ねぇ、烏さん。俺の力を雄哉に分けるってこと...ハラカルラ第51回

  • ハラカルラ 第50回

    ハラカルラ 第50回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第40回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第50回朱門の提案は、白門と対峙するに朱門だけ黒門だけというのは、時間という不要なリスクが出て来てしまう。互いに手を組まないかというものだった。ハラカルラのために動くのだ、互いが張り合っていても時間がかかるだけ。一日でも早く白門を止めなければならない。考える様子を見せている黒門の長。もう一押しである。「そちらも守り人が居なく困っているだろう」黒門の長が何のことだと少し下がっていた顔を上げる。「白門のことが解決した暁には、この戸田君を黒門に迎え入れるのはどうか」「どういうことだ」「こちらとしても手放したくはないのだが、それ以上早急に白門を止めたいということ。...ハラカルラ第50回

  • ハラカルラ 第49回

    ハラカルラ 第49回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第40回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第49回農地沿いの道路にワハハおじさんが車を停止させると三人が車を降りた。続いていた二台目の助手席からもおっさんが降り、後部座席からは長と雄哉が車を降りる。他の車からも三人が降りてきて運転手が町中のパーキングに車を走らせて行く。この道路にはバスも走っているだろうから、交通の妨げをするわけにはいかない。「ここか」山を見ている長の隣に立ったキリが説明をする。「あの山の中腹です。裾の村が煩そうなんで車では入りずらいんです。少々歩かねばなりませんが」「ああ、かまわん。まだ大爺の歳にはなってないからな」山の手前に見える農地にはまだ稲の苗も見えない。あと少しすれば農地...ハラカルラ第49回

  • ハラカルラ 第48回

    ハラカルラ 第48回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第40回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第48回畑仕事をしながらおっさんたちが話している。「長の話じゃ、朱門のしたことを許してくれたということだが、結局この先をどうするか水無瀬君はまだ決めていないようだ。っていうか、長に何も言わなかったらしい」「そうか・・・」「まぁそうだろう、朱門に居なくてはならない理由なんてないし、元の生活に戻るに戻れないってとこもあるからな」「あの戸田君ってのは?」「戸田君も戻れないだろう、水無瀬君と一緒に逃げたんだから。それに白門の考えていた話を知っているんだ、白門から追われるだろう」「ああ、あの話な、とんでもないことを考えやがって」「若い者たちはその話を知っているのか?...ハラカルラ第48回

  • ハラカルラ 第47回

    ハラカルラ 第47回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第40回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第47回雄哉から目を転じて助手席を見る。俯いているライの僅かな横顔が見える。「・・・ライ、起きてる?」「うん」「・・・ライが謝ることなんてない。でもライはごめんって言ってくれた。それを受け取らないって言っちゃいけないと思うんだ。だから、ライが謝ってくれたことは受け取る」シキミが頬を緩ませる。「・・・言ってはない。書いただけ。だから・・・ごめん」「うん、ちゃんと聞いた。でもさっきも言ったけどライが謝ることじゃない。謝んなきゃなんないのは俺の方だ」短絡過ぎた。後悔してももう戻れないと思っていた。それなのに手を差し伸べてくれた。「何も考えず言い過ぎた、それに言葉...ハラカルラ第47回

  • ハラカルラ 第46回

    ハラカルラ 第46回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第40回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第46回なんとか渓流を渡り切った水無瀬の尻と胸辺りに縄が巻かれ、縄を持ちながら走って登れと言われた。え?っと思う間もなく縄が前に引っ張られる。このまま足を止めていると完全にこけてしまう。必死で足を動かす。後ろには新緑がついている。遅れて渓流を渡って来た雄哉も同じように縄を巻かれ後ろには稲也がついた。その横をシキミが走り抜ける。「うそ、早っ」ライとナギ、他六人で岩から縄をほどいていく。それを持って岩を飛び越え渓流を渡る。同時に山側でも木に括られていた縄がほどかれていく。証拠品は置いていくわけにはいかない。「くっそ重てぇなぁ」水無瀬と雄哉の身体を巻き付けた縄を...ハラカルラ第46回

  • ハラカルラ 第45回

    ハラカルラ 第45回

    『ハラカルラ』目次『ハラカルラ』第1回から第40回までの目次は以下の『ハラカルラ』リンクページからお願いいたします。『ハラカルラ』リンクページハラカルラ第45回新緑が後方の足音に耳を澄ませながら辺りも見ずに走る。目はナギだけを見ている。あと少しでナギの下に着くというときにナギの手がストップと合図を出し、もう一方の手で方向を示した。示した方向から敵が来ているということである。やはり水無瀬達の足に付き合ってしまっていては思いのほか遅れを取る。新緑の足が止まり後ろに手でストップをかけ家の陰に身を隠す、後ろを見ることは無い。ライと稲也が水無瀬と雄哉を見ているのだから、その二人の心配は無用である。怒号が聞こえてきた。「勝手な事すんじゃねー!」ガギっという音が響く。新緑が首をひねる。忍刀で打ち合っている音ではない、そ...ハラカルラ第45回

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