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2018/06/16

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  • 【小説】 Useless 5

    【小説】 Useless 5

    しょぼくれた男の姿は、俺が小学生の頃、姉が拾ってきた仔犬を思い出させた。父は直ぐに捨ててくるように姉に言ったが、彼女は一歩も引かなかった。このまま捨てたら死んでしまうことを分かってて言ってるんだったら、お父さんのこと一生許さない、と言い放った姉の顔は今も忘れない。その頃姉もまだ小学生のはずだったが。 俺の部屋があるフロアでエレベータが止まった。俺は降りずに再びドアを閉め、地下のボタンを押した。 男はさっきと同じ姿勢で、まだホールに突っ立っていた。 「おい、時間があるんだったら、飯に付き合え」 俺の言葉に男は怪訝そうな顔をしたが、何も言わずに後ろから付いてきた。 マンションの向かいにある中華飯店…

  • 【小説】Useless 4

    【小説】Useless 4

    シャツのボタンが弾け跳び、軽く無機質な音を立てながら転がっていった。 「あんたもグルなんだろ」 男が力を入れると、俺の躰がわずかにフロアから浮き上がった。何か言おうにも声が出せない。やがて男もそれに気が付き、少し力を緩めた。 「……一体、何の話をしている?」 「この動画を撮った奴を知ってるんだろ」 俺は首を振った。男は更に力を緩めた。俺はようやく息を大きく吸い込んだ。 「とんだお門違いだぜ。俺はお前も知らなきゃ、動画を撮った奴も知らん」 男はしばらく俺の目を見つめた後、手を離した。 「そうか。だが、まだ信じた訳じゃないぜ」 俺は足元に転がっていたシャツのボタンを蹴飛ばした。 「お前、馬鹿じゃな…

  • 【小説】Useless 3

    【小説】Useless 3

    数日後の夜、あの日と同じような時間にマンションに着いた。車を降りると、柱の陰からあの男が現れた。この間と同じ格好だった。 「勘弁してくれよ。こないだのやり直しか?」 男は首を振った。 「そうじゃない。教えて欲しいことがあるだけだ」 「何だって?」 「少し時間をくれ」 俺は男と距離を取りながら、エレベータホールへ向かった。男は黙ってついてくる。 「一体何が知りたいんだ?」 エレベータホールの灯りで男の顔がはっきり見えた。この前は30過ぎだと思ったが、案外もっと若いのかもしれない。 男がポケットに手を突っ込み、俺に近づいた。俺が身構えるのを見て、男は微かに笑った。 「ちょっとこれを見てくれ」 男が…

  • 【日記】ソーシャルレンディング 2

    【日記】ソーシャルレンディング 2

    ソーシャルレンディングのリスクは2階建てです。ソーシャルレンディングの融資案件のリスクと、運営会社自体のリスクです。最初にソーシャルレンディングに接したとき、リスクが2階建ての割に年利が5〜10%程度では見合わないなと私も思いました。しかし、色々情報を調べるうちに、1階の部分(運営会社のリスク)が最小化できれば、2階部分(融資案件のリスク)は分散投資でどうにかなるのかな、と考えるようになりました。どのソーシャルレンディングの会社の信頼性が高いかは、多くの場所で語られていますので、ここでは触れません。ただ、このことは、確かなバックボーンを持った会社が、この市場に参入すれば、一気にシェアを獲得でき…

  • 【日記】 ソーシャルレンディング 1

    【日記】 ソーシャルレンディング 1

    去年からソーシャルレンディングに興味を持ち、学習中です。一言でソーシャルレンディングといっても、不動産会社の資金調達部門的なものから、本気のマイクロファイナンス寄りのものまで様々です。今後、ソーシャルレンディングがどのような方向に拡がっていくのか、あるいは伸び悩むのか、観察していきたいと思います。

  • 【小説】Useless 2

    【小説】Useless 2

    リビングの窓を開け、淀んだ空気を部屋から追い出す。ソファーに腰を下ろし、俺を殴りたいと思ってそうな奴のリストアップを始めた。 金を借りている奴……今はいない。別れた女?……もう三年前の話、それも俺が振られた方だ。ましてや会社関係ではない。トラブルになるほど真面目に仕事をしちゃいない。 コーヒーを淹れて、テレビを点けた。何年か前に流行ったドラマの再放送。顔はよく見るが名前を知らない女優達。 マンションで何かトラブル起こしたか? 自分で気付かないうちに誰かを怒らせた? 無い話じゃないが、夜中に殴られるほどのことをしたとは思えなかった。 何かの手違いさ。さっきの男のフレーズを真似て、頭の中の白紙のリ…

  • 【小説】Useless 1

    【小説】Useless 1

    コンクリートの上を転がり、車のバンパーに背中を打ち付けた。一瞬、息が詰まる。だが、俺を後ろから突き飛ばした男が、ゆっくりと近づいて来るのは視野に入っていた。 俺のマンションの地下駐車場。時間はちょうど日付が変わる頃。 脚で俺の頭を弾ける距離まで男は近づいてきた。中肉中背、パーカーのフードで目から上は隠れているが、全く知らない男だった。そいつは、顎をしゃくって、俺に立てと促した。俺は肘をバンパーにかけ、躰を持ち上げた。 「二、三発殴ればいいと言われたんだがな」 男の声は何故か戸惑っているように聞こえた。 「じゃあ、さっさと済ませればいいだろう」 思ったより情けない声じゃなかった。「なんで俺が殴ら…

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